二輪車の世界ではもうかなり以前に世界中を席巻し、
四輪でも販売台数世界一の自動車会社を有する国、日本。
量的な部分を賞賛している訳じゃない。
それだけの質、性能が安価で提供されているからこそ売れるのも当然なのだ。
だが俺が子供の頃、高度経済成長時代までは海外の一流メーカーはいわゆる
「舶来品」と呼ばれ国産とは次元の違う製品であり、
第二次大戦で焼け野原となった日本はとにかく舶来品に追いつき追い越すまで
頑張った親の世代があったからなのを忘れてはならないだろう。
当時外車しかなかった3ナンバーの自動車さえも今では国産車でもごく普通に
我々一般人が運転するのを目にすると何だか不思議、ちょっと驚く気分になるね。
何万という数で構成される自動車部品や製品も当然グローバルな展開になっている。
デンソーはその名の通り電装部品を中心として自動車部品シェア世界でNO.1の企業だし、
破裂問題で未だに落ち着かないエアバッグのタカタだって問題が起きるまでは
確か世界シェア20~30パーセントのNO.2企業だったのである。
タイヤだってブリヂストンがミシュランとトップを競う状態さ。
考えうる限りのあらゆる国内の自動車関係会社が既に世界レベルの商品開発、
技術、販売力を備えているというのに何故シートは未だにレカロなのだろう。
歴史や実績、またその素晴らしさは俺が初めて購入した30年前から
全く揺るぎが無いどころか他に追随する者の陰さえ見えない。
信頼の老舗ブランドというわけだ。
素人の俺でさえ思うような疑問をある自動車メーカーの講演会でぶつけた業界人がいた。
モータージャーナリストの光本和彦氏だった。
若かった頃、なけなしの小遣いでは毎号は買えなかった自動車雑誌「カーグラフィック」。
そこに寄稿していたのを目にしていたくらいだから御歳84才の筋金入りの重鎮である。
自動車雑誌を買わなくなって十数年、先月ネットで懐かしい名前を見つけて読んでみると流石。
そこらじゅうにいる御用評論家なんかじゃない芯のある骨太の論評なのである。
その記事が載った雑誌が出たのが8年前、講演はその7、8年前というから2001年頃の話だ。
以下その雑誌の三本氏の講演での言葉を抜粋する。
「あなた方の作るシートはヨーロッパ製のものに比較してなぜ"楽"でないのか。」を問い詰め、
具体的には体重をシートに委ねるとポイント沈みする。
体重に応じて面で沈むようなシートクッションは作れぬものか。
例えば古い物ではシトロエン2CV、DS19のようなもの。固めではメルセデス、VWのようでもよい。
固すぎず軟らか過ぎないものならプジョーのものもよい。
「今日の受講者の中に私の例に上げたシートと対等、あるいはそれを超えるものを作ろうと考え、
あるいは作り始めている者はないか」と問いかけた。
暫くあって、たった一人が手を上げた。
以上転載終わり。
車の整備にも例えられるようにどんな高級車であろうとも
きちんとしたメンテナンスをしなければ本来の性能を発揮することは出来ない。
レカロの場合も無論そうである。
俺の場合、車を乗り換えてもレカロはその都度付け替えて使用しているが、
高価な費用を投資している以上長い間ずっと使い続けるには
メンテナンスフリーという訳にはいかないって事だ。
今のオルソペドは約2年前にデッドストック品(未使用の中古)という物を
ヤフオクで購入したのだが見た目の程度は確かに良かったものの
経年劣化というか座面のウレタンが少々弾力が無くなってきていたのと、
使い出して半年後に右脇が当たるサイドサポート部の皮の縫い目が
解れてきたのもあって堺にあるレカロ専門ショップFでリペアしてもらっていた。
その後にサスやショックも交換し更なる乗り心地向上を考えた時に
大きな不具合はないものの推定もう4~5万キロは使用しているのを思えば
そろそろ何かメンテしなけりゃならないかと思う頃だった。
で、また悩むんだよな。
レカロには俺みたいなファンが多くてリセールバリューも安定している。
ヤフオク暦20年程の俺もよく売買させてもらっている。
今のレカロも実際ヤフオクで購入した物なのである。
メンテするかヤフオク辺りで買い換えるかなんて事を考えている時に
あるメーカーのシートに目が留まったのだ。
そこで目にしたのが先に挙げた三本氏の寄稿文だったのである。
広島の安芸という町にその手を上げた男がいたのだった。
会社の名前は「デルタツーリング」。
主にマツダ系の純正シートを納入しているデルタ工業の子会社であった。
三本氏の意見に全く同意の俺は更にHPでの彼らの他社を真似しない、
真似もされないポリシーに共感し段々と惹かれていったのだった。
具体的な特徴としては3つあり
「帆船の帆が風を受けるように、
ドライビング時に発生する慣性力と路面から伝わる走行振動を分散吸収します。
従来のウレタンフォームによるクッションは「内部減衰はありますが、
基本はバネ構造」に対しこの張力構造はドライバーに高いホールド性能とフィット感を与え
新しい乗り心地を創出します。」
「ドライブのように長時間同じ姿勢が続く場合には座面に対して同じ箇所の圧迫が続き、
それが血流障害を起こすことで不快感、痛みにつながります。(中略)
筋肉に近いクッション特性により姿勢を保ちながら生体のゆらぎを許容します。
そして骨突出部はたわむことで圧迫を軽減し身体自体の大きな面は面としてしっかりサポートして
末梢循環系への圧迫を軽減します。」
「3D-NETはネット素材のため通気性は抜群。
座面が蒸れないので長時間ドライブでも経中やお知りに汗をかきにくくなります。
また万一汗をかいても座面はべたつくことなく快適なドライブを実現します。」
http://www.mu-len.jp/mu-len/index.html
海外メーカーに負けない気概を持った大和魂を見るにつけ、もうこりゃ買うっきゃないだろう。
思いつくと即行動あるのみ、デルタツーリングに早速電話してみた。
だがいつものように問題が発生。
マツダ車用は各種ある取付ブラケットがAVV50用は無いようなのである。
そりゃ困るよ、一目惚れした後で二度と彼女に会えないようなもんじゃないのさ。
(続く)