村の友達にみつけてもらった借家候補3軒目は、引越の準備で時間がなく、結局見に行かないまま決めてしまった。
他の道や買った土地には、マヤの石塀があるが、この道は少ない。往来が多いからかも。
まず引越しの話をすると、8時と言っていたのが半過ぎても来ないんで電話したら、「ロジのミスで3時にしか行けない!申し訳ない!」と言われて7時間近くボケーっと何もない(梱包しちゃってるから。上の写真)ところで待っていた。トラックに積んで村まで来て全部下ろしたら11時だった。疲れた。
隣の食べ物屋が自分の敷地内に作った「4つの部屋以外何もない建物」と「トイレとシャワーの離れ」という家だった。はい、キッチンはありませんよ。
とりあえず、仮住まいでは使わない家具や荷物を奥の部屋へ。
前から、暗くなって散歩したりしてると、電気をつけてるんで家の中が奥の方まで丸見えの家が多いなと思ってたんだが、今まさに自分たちがその状態。海辺の村で風を重視して建てた家はとても涼しかったが、この辺りでは風がない代わりに内陸部なので夕方から気温が下がる。するとドアや窓を開け放って、外の冷気を入れ始め、村人はみんなどうせ知り合いなんでプライバシーとか気にしてない…という暮らし。
引越したのが月曜日で、前の家の買い手による引き渡し前チェックが木曜だというんで水曜に行って家の中と庭を掃除して、引越トラックに乗り切らなかった相棒の植木と植木鉢を乗せて村まで。金曜日に買った家の最終契約にメリダへ…というわけで2日に一回長距離(前の家から150kmくらい、往復300km)移動したんで、ホント疲れた。
が、それ以外に疲れる原因として、借家がキャンプ状態なのである。多分、常に貸してるわけじゃなくて、友達が知り合いに尋ねていたら「家具を置いとくのと臨時で住むのが目的なら、こういうのあるよ」というわけで、急遽貸すことにしたんだと思う。掃除がまだ…と言われて一週間前に見に行けなかったわけだ。床はキレイにモップがけしてあったが、壁や窓など蜘蛛の巣だらけであった。
キッチンがなくて不便なんだが、なんと村の半分くらいはまだ薪で煮炊きをしている様子。つまり、借りたところと環境は同じ。メキシコは昼ごはんにがっつり食べるので、昼過ぎから庭で何か作り出して夜はお菓子か何かつまんで終わり。
調理をどこで…ということ以前に、何しろ流水を使わない。前に書いたか?コロナのときユカタン人は手を洗わず除菌ジェルを塗りたくっていたが、感染云々でなく日頃の生活であまり水を使わない。セノーテの話になると、神秘的…スキューバできる…という修飾語ばかりだが、マヤ人はその水を大事に使って生きてきた。乾季の間一滴の雨もなく、セノーテの水だけを頼りに暮らしてきた、スキューバスポットじゃなくて、農作物に水をやったり体を洗ったりと生活そのものに使ってきた。そしてその長年の暮らしが今の水をあまり使わない生活文化になっている。あー、不便。
あとうちの犬どもはずっと屋上テラスで飼われてて、今回わかったんだが地面では寝たがらない。土まみれになってトイレの離れ(タイル張り)に入るので、すごく汚れる。もうどうしていいか分からない感じ。きれい好きにはとても厳しい。これは文で書いても伝わらないと思う。一週間たって精神的に少し慣れたのと、これから乾季になって雨が降らなくなれば「床がドロドロ」になることは減るのと、建てる新居は風呂桶付きでバッチリになるのでそれまでの我慢なので、なんとか乗り切るつもり。
ちなみに温水器はない。ないが、真冬でも昼間30℃くらいまで上がるのと、水を屋根の上のタンクに一旦上げるんだが、太陽で熱せられて日中は水温が上がるのと、これからも新居の工事で体を使うので、水風呂で乗り切れると思う。
で、その食べ物屋の大家なんだが、日本人にわかりやすい言い方をすると、買って帰るタイプのタコス屋である。朝食用がメインで、一応昼も開いている。が、ここはディープマヤの村、メインはタコスじゃなくてパヌーチョスとサルブーテス。
パヌーチョも似たようなものだが、トウモロコシ粉で作った生地に黒インゲンのペーストを塗ってから揚げる。日本語で検索して出てくる写真のは観光客向けなんでアボカドとかいろいろ乗ってるが、庶民が食べるのはこんな感じ。
当然引越しの翌朝食べたんだが、めちゃくちゃ美味い。びっくりするほど美味しかった。今まで食べたサルブテで一番美味いかも。7時を過ぎると、注文する客と注文しておいたものを取りに来る客でいっぱいになる。生地の作り方とか揚げ方が少し違うだけだと思うが、その辺こそが料理の要ですね。
借家の話に戻ると、この食べ物屋(大家)のおばさんがすっごくいい人で、気さくで、賃貸契約も細かいことなし、月が変わる前に翌月の家賃を払うだけ、増築部分なんで電気代も水道代もなし。契約書も敷金礼金もなし。友達が「外人だと思ってぼってる」と言った2軒目にしなくてよかった。そっちはキッチンがあったが、これからこの小っこい村に住み続けるんで、いい人たちと知り合いになっていったほうが断然いい。
バイクが止まるとペットボトルに入れたガソリンと漏斗をもっておじさんが出てくる。ぜひ拡大表示して、トゥクトゥクの向こう側のおじさんの手元を見てください。子供も時々手伝う。現金のやり取りをしてないから、どうやらツケらしい。
そのお向かいさんにもらった。庭に生えてるという。他にも土地があって(この辺の人はみんなそう)、そこには他の種類の柑橘類もあるという。なんたる豊かさ。ちなみにグレープフルーツ(写真の赤いやつ)は全く酸っぱくない。みかんも甘いが、この先もっと甘いのが出回るという。グレープフルーツとみかんとライムとオレンジで、ユカタンには全部で10種類を超える柑橘類があるらしい。少しずつ旬がずれているという。楽しみ。
お向かいさんちの息子(少年)がこういうのもあると採ってきてくれた。こちらは手で剥いて食べる(洗い物が出ない)わけにはいかないがどうしよう。
採れた果物を持っていくと買い取ってくれる。この村はマメイが多いが、柑橘類を扱う事業所もある。朝、「今日、ドン何とかの家で買うよー、いい買値だよー」と宣伝車が回ってくる。
だいたい空の容器との交換なんだが、彼は漏斗で移すタイプであった。初めて見た。
というわけで、この一週間壁や窓や庭を掃除したり物を片付けたりしてたんで、ちょっと落ち着いた。決してずっと住みたい家じゃないが、新居の工事に張り切れるんでいいかも。