[11月28日09:30.天候:晴 福島県南会津郡南会津町 会津田島駅→福島県立南会津病院]
予定通り、ホテルをチェックアウトしたリサ達は、まず駅に向かった。
善場:「バスの便が悪いので、病院までタクシーで行きます」
高橋:「そうかい」
駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗り込む。
タクシーは駅前ロータリーを出て公道に出た。
途中までは見覚えのある景色を通った。
前回来た時に宿泊したホテルの前を通り、夕食に食べたラーメン屋の前を通り……。
町の中では一番大きな病院ということもあって、運転手も通い慣れた道のようだ。
駅からものの5分~6分くらいでタクシーは病院に着いた。
もちろん土曜日で外来診療は休み。
入院患者への面会も、コロナ禍の影響で原則禁止である。
それでも入院患者が退院しようとすると、費用の支払いなどの関係で平日午前中がベタな法則である。
それがどういうわけだか、土曜日なのである。
何か特別な理由がありそうだが、リサや高橋はその理由を知らない。
善場:「すいません。ちょっと待っててもらえますか?」
善場が一旦ここまでの料金を払うと、運転手に言った。
総合病院なのだから、タクシー乗り場くらいはある。
ただ、これが平日の診療時間だったり、土休日でもコロナ禍前であれば、客待ちのタクシーもいただろう。
しかし、この状況のせいか、タクシーはいない。
そこで善場は、このタクシーも帰りに利用しようと考えたのだ。
運転手:「いいですよ。予約扱いにしておきます」
運転手はタクシーの種別表示を『支払』から『予約』へ変更した。
善場は通用口の方へ向かう。
リサと高橋も続いた。
警備室で善場は身分を明かし、用件を伝えた。
警備員から病棟の方へ連絡が行く。
しばらくすると、奥の方から……。
愛原:「よお、皆!」
高橋:「先生!」
リサ:「先生!」
病院職員に付き添われ、大きな荷物を持った愛原がやってきた。
高橋:「先生、よく御無事で……」
リサ:「先生は大丈夫だと思ったもん……ね……!」
涙ぐむ2人。
職員:「こちらが書類になります」
善場:「ありがとうございました。費用その他につきましては、こちらの請求先に……」
そんな2人をよそに、事務職員と事務的手続きの話を始める善場。
愛原:「密になるといけない。外で待ってよう」
高橋:「はい!」
愛原達は外に出た。
愛原:「おおっ!さすがにもう寒いな」
高橋:「先生、コートをお持ちしました!」
愛原:「おっ、気が利くな。サンキュ」
高橋は家から持って来た愛原の冬用コートを渡した。
愛原は早速安いスーツの上からコートを羽織る。
これとて、スーツ屋のバーゲンセールで購入したものなのだが。
愛原:「リサは寒くないのか?」
リサ:「全然。私、BOWだから」
愛原:「はは、そうか」
高橋:「入院中は大変でしたね、先生?」
愛原:「ああ。何か久しぶりにインフルエンザに罹ったような気がする。何の予防接種も受けないでインフルエンザを発症したって感じだった。よく肺炎にならなかったもんだ」
高橋:「先生は頑丈でいらっしゃいますから」
愛原:「Tウィルスの抗体が元々あって、で、更にCウィルスの予防接種もしたわけだ。にも関わらず、俺の体に入ったリサ・トレヴァーのウィルスがインフルエンザっぽいものに変異するなんて、ウソみたいな話だよな」
高橋:「でも先生、これで今年のインフルエンザも免疫ができてOKってことっスね?」
愛原:「そうだ。……って、言えるのか?インフルはインフルで、また別に打たないといけないかもな」
リサ:「私は要らない」
愛原:「だろうな」
そんなことを話しているうちに、善場が出て来た。
善場:「お待たせしました。以上で手続きは終了です。タクシーを待たせてありますので、行きましょう。こちらです」
愛原:「どうもすいませんね。費用は……」
善場:「全てこちらとBSAAで負担させて頂きますので、愛原所長の御負担はありません。これから東京へ戻りますが、その費用もこちらで持ちます」
愛原:「本当にいいのかい?」
善場:「『1番』を除くリサ・トレヴァーを殲滅することができました。これだけでも、愛原所長の御協力への感謝は大きいものです」
愛原:「『1番』はまだ見つからないのか?」
善場:「そうなんです。目下のところ捜索中なんですが。それと、気になることが最近発生してまして……」
愛原:「気になること?」
善場:「道々お話します。まずは車へ」
さっきの場所へ戻ると、タクシーが待っていた。
車の外で待っていた運転手が手動で、助手席のドアと助手席のドアを開ける。
あとはトランクを開けた。
プリウスがハッチバックではなく、形式的にはセダンとされているのは、トランクがあるからだろう。
ワゴンと違って座席から手を伸ばして荷物が取れない、だからセダンだと。
そこに愛原の荷物などを置く。
往路と同じく、助手席に善場が座る。
あとの3人は後ろに座るが、確かにプリウスに3人は狭いかもしれない。
だが、高橋とリサは愛原に密着できることが何より【お察しください】。
善場:「それでは駅まで戻ってください」
運転手:「分かりました」
車は静かに走り出した。
[同日10:10.天候:晴 同町内 会津田島駅]
タクシーは再び会津田島駅のロータリーに戻って来た。
善場は料金を現金で払っていたが、しっかり領収証をもらっていた。
善場:「まだ少し時間があるので、中でゆっくりしていましょう」
会津田島駅は列車ごとに改札を行う方式らしい。
つまり、キップさえあれば自由にホームに入れるというわけではないということだ。
地方の駅ではたまに見られるタイプである。
この時間ともなると、駅舎内に併設された物産館もオープンしているので、それを見ることにする。
愛原:「ボスにお土産を送ってあげよう。今、事務所はどうなってるんだ?高野君は……残念だけど」
愛原は退院の数日前に、善場から高野のことについては聞いていた。
高橋:「一応、俺で何とかしてますよ。たまに、善場の姉ちゃんも手伝いに来てくれて」
愛原:「善場主任が!?」
善場:「あくまで、リサの様子を見に来たついでですよ。事務作業くらいでしたら、私も事務所でやっていますから」
愛原:「本当に、何から何まですいません」
善場:「いえいえ」
愛原:「まさか、高野君が“青いアンブレラ”だったとは……」
善場:「“青いアンブレラ”以前の、日本アンブレラの関係者でもあったということですよ。彼女の供述のおかげで、五十嵐元社長の罪を更に告発できそうです」
愛原:「素直に供述してるんだ?」
善場:「意外でしたね。もっとも、“青いアンブレラ”に入るくらいですから、既に消滅した日本アンブレラのことなど、どうでもいいのかもしれませんが」
愛原:「ふーむ……。後で面会に行ってもいいですか?」
善場:「構いませんよ。ただ、面会は平日のみでお願いします」
愛原:「分かりました」
とはいえ、高橋の話によると、ボスも心配してよく電話を掛けてくるらしい。
心配させたのは事実だから、ボスにお土産を送っておこう。
高橋:「先生、酒もありますよ?」
愛原:「ほおほお」
善場:「飲み過ぎないようにお願いしますよ」
愛原:「分かってますよ」
ボスへのお土産は菓子折りでいいだろうが、私は地酒でも買って行こうかな……。
因みに物産館とは別に売店もあり、そこでは弁当なども売っていた。
リサ:「お菓子、お菓子……」
愛原:「ああ、いいよ。買いな」
リサ:「おー!……お昼はどうするの?」
愛原:「途中で駅弁でも買うか?」
善場:「下今市で長い時間止まるようなので、その時に買いに行けそうですね」
愛原:「そうですか」
因みに帰りは特急列車一本である。
予定通り、ホテルをチェックアウトしたリサ達は、まず駅に向かった。
善場:「バスの便が悪いので、病院までタクシーで行きます」
高橋:「そうかい」
駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗り込む。
タクシーは駅前ロータリーを出て公道に出た。
途中までは見覚えのある景色を通った。
前回来た時に宿泊したホテルの前を通り、夕食に食べたラーメン屋の前を通り……。
町の中では一番大きな病院ということもあって、運転手も通い慣れた道のようだ。
駅からものの5分~6分くらいでタクシーは病院に着いた。
もちろん土曜日で外来診療は休み。
入院患者への面会も、コロナ禍の影響で原則禁止である。
それでも入院患者が退院しようとすると、費用の支払いなどの関係で平日午前中がベタな法則である。
それがどういうわけだか、土曜日なのである。
何か特別な理由がありそうだが、リサや高橋はその理由を知らない。
善場:「すいません。ちょっと待っててもらえますか?」
善場が一旦ここまでの料金を払うと、運転手に言った。
総合病院なのだから、タクシー乗り場くらいはある。
ただ、これが平日の診療時間だったり、土休日でもコロナ禍前であれば、客待ちのタクシーもいただろう。
しかし、この状況のせいか、タクシーはいない。
そこで善場は、このタクシーも帰りに利用しようと考えたのだ。
運転手:「いいですよ。予約扱いにしておきます」
運転手はタクシーの種別表示を『支払』から『予約』へ変更した。
善場は通用口の方へ向かう。
リサと高橋も続いた。
警備室で善場は身分を明かし、用件を伝えた。
警備員から病棟の方へ連絡が行く。
しばらくすると、奥の方から……。
愛原:「よお、皆!」
高橋:「先生!」
リサ:「先生!」
病院職員に付き添われ、大きな荷物を持った愛原がやってきた。
高橋:「先生、よく御無事で……」
リサ:「先生は大丈夫だと思ったもん……ね……!」
涙ぐむ2人。
職員:「こちらが書類になります」
善場:「ありがとうございました。費用その他につきましては、こちらの請求先に……」
そんな2人をよそに、事務職員と事務的手続きの話を始める善場。
愛原:「密になるといけない。外で待ってよう」
高橋:「はい!」
愛原達は外に出た。
愛原:「おおっ!さすがにもう寒いな」
高橋:「先生、コートをお持ちしました!」
愛原:「おっ、気が利くな。サンキュ」
高橋は家から持って来た愛原の冬用コートを渡した。
愛原は早速安いスーツの上からコートを羽織る。
これとて、スーツ屋のバーゲンセールで購入したものなのだが。
愛原:「リサは寒くないのか?」
リサ:「全然。私、BOWだから」
愛原:「はは、そうか」
高橋:「入院中は大変でしたね、先生?」
愛原:「ああ。何か久しぶりにインフルエンザに罹ったような気がする。何の予防接種も受けないでインフルエンザを発症したって感じだった。よく肺炎にならなかったもんだ」
高橋:「先生は頑丈でいらっしゃいますから」
愛原:「Tウィルスの抗体が元々あって、で、更にCウィルスの予防接種もしたわけだ。にも関わらず、俺の体に入ったリサ・トレヴァーのウィルスがインフルエンザっぽいものに変異するなんて、ウソみたいな話だよな」
高橋:「でも先生、これで今年のインフルエンザも免疫ができてOKってことっスね?」
愛原:「そうだ。……って、言えるのか?インフルはインフルで、また別に打たないといけないかもな」
リサ:「私は要らない」
愛原:「だろうな」
そんなことを話しているうちに、善場が出て来た。
善場:「お待たせしました。以上で手続きは終了です。タクシーを待たせてありますので、行きましょう。こちらです」
愛原:「どうもすいませんね。費用は……」
善場:「全てこちらとBSAAで負担させて頂きますので、愛原所長の御負担はありません。これから東京へ戻りますが、その費用もこちらで持ちます」
愛原:「本当にいいのかい?」
善場:「『1番』を除くリサ・トレヴァーを殲滅することができました。これだけでも、愛原所長の御協力への感謝は大きいものです」
愛原:「『1番』はまだ見つからないのか?」
善場:「そうなんです。目下のところ捜索中なんですが。それと、気になることが最近発生してまして……」
愛原:「気になること?」
善場:「道々お話します。まずは車へ」
さっきの場所へ戻ると、タクシーが待っていた。
車の外で待っていた運転手が手動で、助手席のドアと助手席のドアを開ける。
あとはトランクを開けた。
プリウスがハッチバックではなく、形式的にはセダンとされているのは、トランクがあるからだろう。
ワゴンと違って座席から手を伸ばして荷物が取れない、だからセダンだと。
そこに愛原の荷物などを置く。
往路と同じく、助手席に善場が座る。
あとの3人は後ろに座るが、確かにプリウスに3人は狭いかもしれない。
だが、高橋とリサは愛原に密着できることが何より【お察しください】。
善場:「それでは駅まで戻ってください」
運転手:「分かりました」
車は静かに走り出した。
[同日10:10.天候:晴 同町内 会津田島駅]
タクシーは再び会津田島駅のロータリーに戻って来た。
善場は料金を現金で払っていたが、しっかり領収証をもらっていた。
善場:「まだ少し時間があるので、中でゆっくりしていましょう」
会津田島駅は列車ごとに改札を行う方式らしい。
つまり、キップさえあれば自由にホームに入れるというわけではないということだ。
地方の駅ではたまに見られるタイプである。
この時間ともなると、駅舎内に併設された物産館もオープンしているので、それを見ることにする。
愛原:「ボスにお土産を送ってあげよう。今、事務所はどうなってるんだ?高野君は……残念だけど」
愛原は退院の数日前に、善場から高野のことについては聞いていた。
高橋:「一応、俺で何とかしてますよ。たまに、善場の姉ちゃんも手伝いに来てくれて」
愛原:「善場主任が!?」
善場:「あくまで、リサの様子を見に来たついでですよ。事務作業くらいでしたら、私も事務所でやっていますから」
愛原:「本当に、何から何まですいません」
善場:「いえいえ」
愛原:「まさか、高野君が“青いアンブレラ”だったとは……」
善場:「“青いアンブレラ”以前の、日本アンブレラの関係者でもあったということですよ。彼女の供述のおかげで、五十嵐元社長の罪を更に告発できそうです」
愛原:「素直に供述してるんだ?」
善場:「意外でしたね。もっとも、“青いアンブレラ”に入るくらいですから、既に消滅した日本アンブレラのことなど、どうでもいいのかもしれませんが」
愛原:「ふーむ……。後で面会に行ってもいいですか?」
善場:「構いませんよ。ただ、面会は平日のみでお願いします」
愛原:「分かりました」
とはいえ、高橋の話によると、ボスも心配してよく電話を掛けてくるらしい。
心配させたのは事実だから、ボスにお土産を送っておこう。
高橋:「先生、酒もありますよ?」
愛原:「ほおほお」
善場:「飲み過ぎないようにお願いしますよ」
愛原:「分かってますよ」
ボスへのお土産は菓子折りでいいだろうが、私は地酒でも買って行こうかな……。
因みに物産館とは別に売店もあり、そこでは弁当なども売っていた。
リサ:「お菓子、お菓子……」
愛原:「ああ、いいよ。買いな」
リサ:「おー!……お昼はどうするの?」
愛原:「途中で駅弁でも買うか?」
善場:「下今市で長い時間止まるようなので、その時に買いに行けそうですね」
愛原:「そうですか」
因みに帰りは特急列車一本である。