[3月13日13:00.天候:晴 東京都台東区上野]
エレーナと鈴木は秋葉原から御徒町へ移動し、そこで昼食を取った。
御徒町〜上野まで商店街があり(アメ横とは逆の東側)、そこで食べた。
エレーナ:「まさかランチにステーキが食えるなんて、さすが鈴木だぜ。ごちそーさん!」
鈴木:「稲生先輩から聞いたんだ。秋葉原にも姉妹店があるんだけど、こっちにもあるって。で、こっちの方がテーブル席もあるから、ゆっくり食えるだろうと思って」
エレーナ:「なるほど。アキバだけではなかったか」
鈴木:「もち」👍
エレーナ:「御徒町には私も色々と魔法具の仕入れに行ったりもするけど、この店はノーマークだったな」
鈴木:「魔法具売ってる店なんてあるの?」
エレーナ:「内緒だぜ?あとは錦糸町にもある」
鈴木:「へえ……。その人達も魔法使い?」
エレーナ:「とは限らないぜ。単なる『協力者』ってなだけの場合が殆どだ」
鈴木:「そうなんだ」
エレーナ:「うちのホテルのオーナーだってそうだろ?」
鈴木:「あのオーナー、魔法使いじゃないの?」
エレーナ:「違う違う。どういう経緯だか知らんが、『協力者』なだけだ。“魔女の宅急便”でいうところの、パン屋さんみたいなものだな」
鈴木:「なるほど。それは分かりやすい」
エレーナ:「もっとも、キキみたいに行き当たりばったりで住み込んだわけじゃないんだが……」
鈴木:「その魔法具屋っての、見てみたい」
エレーナ:「ああ?フツーの人間が見たって、ただのガラクタだぜ?」
鈴木:「いいよいいよ。エレーナがどんなのを欲しがるのか見てみたい」
エレーナ:「うーん……。まあ、いいか。どうせ魔法使いのセンスなんて、ただの人間には分からないぜ」
鈴木:「是非!」
エレーナ:「分かったから、ここの支払いもよろしくだぜ」
鈴木:「了解!」
鈴木はエレーナの分のステーキ代もしっかり支払った。
鈴木:「この近くなの?」
エレーナ:「ああ。とんだ『灯台下暗し』だぜ」
本当に徒歩数分の御近所さんであった。
店の佇まいは、よくあるリサイクルショップである。
昔は古道具屋とか古着屋とか言ったものだ。
エレーナ:「ちぃーっス!」
店長:「あら、エレーナちゃん。いつも御贔屓にね」
エレーナ:「こいつが魔法具を見たいって言ってるもんで、フツーの人間でも分かるものでも見せてくれだぜ」
店長:「あら?エレーナちゃんが男の子を連れて来るなんて、きっと明日は雪が降るわね」
エレーナ:「うるせーよw」
鈴木:「ど、どうも……」
まるでエレーナを老婆にしたかのような、高齢の店長であった。
この店長自身が、まるで魔法使いのお婆さん的な……。
エレーナ:「せっかく来たんだ。何か掘り出し物でもあったら紹介してくれだぜ」
店長:「『飴玉婆さんの飴の材料』とかどう?」
エレーナ:「鈴木にはインパクト強過ぎだぜ。次!」
鈴木:「え?なになに?」
店長:「『逆さ女のぶら下がり健康器』とか」
エレーナ:「マニアック過ぎだぜ」
鈴木:「見た目はただのぶら下がり健康器だけどねぇ……」
エレーナ:「水晶球とか、タロットとか無いのか?」
店長:「『悪魔の二対のトランプ』が最近入ったわよ?」
エレーナ:「ギャンブル好きの男子高校生には売るなよ?……でも、少し興味があるな」
鈴木:「見た目はただのトランプ……うわっ!」
鈴木がトランプを手に取って絵柄を見てみた。
そこにあったのは、顔が半分ドクロになっている女の絵柄であった。
もう一対のトランプを見ると、そちらは顔が半分ドクロになっている男の絵柄。
物凄く不気味である。
ただ、ドクロになっていない人間の顔を見ると、女の方はギャル系、男の方はギャル男といった感じだった。
鈴木:(AVに出て来そうな男女の顔だなぁ……)
エレーナ:「鈴木、悪いこと言わないから、オマエはどれにも手を付けない方がいいぜ。あくまで、見るだけだ」
鈴木:「分かったよ」
エレーナ:「でも私はこのトランプ、買いだぜ」
店長:「毎度あり。どっちにする?」
エレーナ:「そりゃ、魔女としては男の方だぜ」
店長:「さすがエレーナちゃん、目が高いねぇ」
鈴木:「あ、あの、支払いなら俺が……」
エレーナ:「ああ、これはいいぜ。これはあくまでも、魔女の買い物だ。人間は引っ込んでくれだぜ」
『悪魔のトランプ』だけはエレーナが自腹で購入した。
エレーナ:「あれの『女の方』を手にしたヤツの地獄絵図が楽しみだぜ」
鈴木:「一体、何なんだい?そのトランプは?」
するとエレーナはズイッと顔を鈴木に近づけた。
あと数センチでキスしそうな勢いだ。
エレーナ:「死にたくなかったら、これ以上手を突っ込むのはやめておけ」
鈴木:「う、うん……分かった……」
エレーナの緑色の瞳に見据えられ、鈴木は頷かざるを得なかった。
店長:「手じゃなくて首ね。あ、そうそう、エレーナちゃん。新情報を手に入れたんだけど聞く?」
エレーナ:「何かあるのか?」
店長:「さっき『飴玉婆さん』を出したでしょう?」
エレーナ:「正体はうちの先輩のキャサリンだぜ。それがどうした?」
店長:「また最近、東京中央学園に現れてるみたいよ?それで、うちも材料を仕入れてみたんだけどねぇ……」
エレーナ:「ほお……?シマ荒らしか?」
店長:「エレーナちゃんの知り合いで、『飴玉婆さん』を始めた人がいないのであれば、そうなるわね」
エレーナ:「分かった。ちょっとだけ調査してみるぜ」
2人はここから近い東京中央学園上野高校に行ってみることにした。
鈴木:「ここは稲生先輩の母校じゃないか」
エレーナ:「昔は怪奇現象のイオンモールみたいな学校だったんだぜ?」
鈴木:「どんな学校だよ!よくそんな所に先輩通ったな!」
エレーナ:「『飴玉婆さん』も、その怪奇現象の1つだ。もっとも、その正体は私の先輩だったんだがな」
鈴木:「それって……?」
エレーナ:「前に言わなかったか?私達は怪奇現象を『起こす側』だって。怖くなったら先に帰っていいぜ?」
鈴木:「いや、乗り掛かったバスだ。最後まで行ってみるさ」
エレーナ:「乗り掛かった舟だろ?まあ、いいや」
鈴木:「で、どうするの?」
エレーナ:「どうもこうもないさ。『婆さん』は学校の中には入らない。学校から出て来る生徒を狙って、飴玉を渡すんだ。そこを現行犯で捕えるしかない。……って、こりゃ時間掛かりそうだな」
鈴木:「そう簡単に尻尾を出すような『婆さん』でも無いんだろ?まずはあの店長の情報が本当なのかどうか、調べてからでもいいんじゃないか?」
エレーナ:「で、どうするんだ?私はもうホテルに戻らないといけない」
鈴木:「だから、ホテルに戻るんだよ」
エレーナ:「は?」
鈴木:「ホテルに併設しているレストランの店長さんって、エレーナの先輩だろ?」
エレーナ:「あっ、そういうことか!」
エレーナはポンと手を叩いた。
エレーナ:「そういうことなら、早いとこ戻ろうぜ」
鈴木:「あ、何かもう一泊したくなってきた」
エレーナ:「おあいにく様、今日は満室だぜ」
鈴木:「ちっ。……儲かりまっか?」
エレーナ:「ぼちぼちでんな。って、何だこのやり取りw」
エレーナと鈴木は秋葉原から御徒町へ移動し、そこで昼食を取った。
御徒町〜上野まで商店街があり(アメ横とは逆の東側)、そこで食べた。
エレーナ:「まさかランチにステーキが食えるなんて、さすが鈴木だぜ。ごちそーさん!」
鈴木:「稲生先輩から聞いたんだ。秋葉原にも姉妹店があるんだけど、こっちにもあるって。で、こっちの方がテーブル席もあるから、ゆっくり食えるだろうと思って」
エレーナ:「なるほど。アキバだけではなかったか」
鈴木:「もち」👍
エレーナ:「御徒町には私も色々と魔法具の仕入れに行ったりもするけど、この店はノーマークだったな」
鈴木:「魔法具売ってる店なんてあるの?」
エレーナ:「内緒だぜ?あとは錦糸町にもある」
鈴木:「へえ……。その人達も魔法使い?」
エレーナ:「とは限らないぜ。単なる『協力者』ってなだけの場合が殆どだ」
鈴木:「そうなんだ」
エレーナ:「うちのホテルのオーナーだってそうだろ?」
鈴木:「あのオーナー、魔法使いじゃないの?」
エレーナ:「違う違う。どういう経緯だか知らんが、『協力者』なだけだ。“魔女の宅急便”でいうところの、パン屋さんみたいなものだな」
鈴木:「なるほど。それは分かりやすい」
エレーナ:「もっとも、キキみたいに行き当たりばったりで住み込んだわけじゃないんだが……」
鈴木:「その魔法具屋っての、見てみたい」
エレーナ:「ああ?フツーの人間が見たって、ただのガラクタだぜ?」
鈴木:「いいよいいよ。エレーナがどんなのを欲しがるのか見てみたい」
エレーナ:「うーん……。まあ、いいか。どうせ魔法使いのセンスなんて、ただの人間には分からないぜ」
鈴木:「是非!」
エレーナ:「分かったから、ここの支払いもよろしくだぜ」
鈴木:「了解!」
鈴木はエレーナの分のステーキ代もしっかり支払った。
鈴木:「この近くなの?」
エレーナ:「ああ。とんだ『灯台下暗し』だぜ」
本当に徒歩数分の御近所さんであった。
店の佇まいは、よくあるリサイクルショップである。
昔は古道具屋とか古着屋とか言ったものだ。
エレーナ:「ちぃーっス!」
店長:「あら、エレーナちゃん。いつも御贔屓にね」
エレーナ:「こいつが魔法具を見たいって言ってるもんで、フツーの人間でも分かるものでも見せてくれだぜ」
店長:「あら?エレーナちゃんが男の子を連れて来るなんて、きっと明日は雪が降るわね」
エレーナ:「うるせーよw」
鈴木:「ど、どうも……」
まるでエレーナを老婆にしたかのような、高齢の店長であった。
この店長自身が、まるで魔法使いのお婆さん的な……。
エレーナ:「せっかく来たんだ。何か掘り出し物でもあったら紹介してくれだぜ」
店長:「『飴玉婆さんの飴の材料』とかどう?」
エレーナ:「鈴木にはインパクト強過ぎだぜ。次!」
鈴木:「え?なになに?」
店長:「『逆さ女のぶら下がり健康器』とか」
エレーナ:「マニアック過ぎだぜ」
鈴木:「見た目はただのぶら下がり健康器だけどねぇ……」
エレーナ:「水晶球とか、タロットとか無いのか?」
店長:「『悪魔の二対のトランプ』が最近入ったわよ?」
エレーナ:「ギャンブル好きの男子高校生には売るなよ?……でも、少し興味があるな」
鈴木:「見た目はただのトランプ……うわっ!」
鈴木がトランプを手に取って絵柄を見てみた。
そこにあったのは、顔が半分ドクロになっている女の絵柄であった。
もう一対のトランプを見ると、そちらは顔が半分ドクロになっている男の絵柄。
物凄く不気味である。
ただ、ドクロになっていない人間の顔を見ると、女の方はギャル系、男の方はギャル男といった感じだった。
鈴木:(AVに出て来そうな男女の顔だなぁ……)
エレーナ:「鈴木、悪いこと言わないから、オマエはどれにも手を付けない方がいいぜ。あくまで、見るだけだ」
鈴木:「分かったよ」
エレーナ:「でも私はこのトランプ、買いだぜ」
店長:「毎度あり。どっちにする?」
エレーナ:「そりゃ、魔女としては男の方だぜ」
店長:「さすがエレーナちゃん、目が高いねぇ」
鈴木:「あ、あの、支払いなら俺が……」
エレーナ:「ああ、これはいいぜ。これはあくまでも、魔女の買い物だ。人間は引っ込んでくれだぜ」
『悪魔のトランプ』だけはエレーナが自腹で購入した。
エレーナ:「あれの『女の方』を手にしたヤツの地獄絵図が楽しみだぜ」
鈴木:「一体、何なんだい?そのトランプは?」
するとエレーナはズイッと顔を鈴木に近づけた。
あと数センチでキスしそうな勢いだ。
エレーナ:「死にたくなかったら、これ以上手を突っ込むのはやめておけ」
鈴木:「う、うん……分かった……」
エレーナの緑色の瞳に見据えられ、鈴木は頷かざるを得なかった。
店長:「手じゃなくて首ね。あ、そうそう、エレーナちゃん。新情報を手に入れたんだけど聞く?」
エレーナ:「何かあるのか?」
店長:「さっき『飴玉婆さん』を出したでしょう?」
エレーナ:「正体はうちの先輩のキャサリンだぜ。それがどうした?」
店長:「また最近、東京中央学園に現れてるみたいよ?それで、うちも材料を仕入れてみたんだけどねぇ……」
エレーナ:「ほお……?シマ荒らしか?」
店長:「エレーナちゃんの知り合いで、『飴玉婆さん』を始めた人がいないのであれば、そうなるわね」
エレーナ:「分かった。ちょっとだけ調査してみるぜ」
2人はここから近い東京中央学園上野高校に行ってみることにした。
鈴木:「ここは稲生先輩の母校じゃないか」
エレーナ:「昔は怪奇現象のイオンモールみたいな学校だったんだぜ?」
鈴木:「どんな学校だよ!よくそんな所に先輩通ったな!」
エレーナ:「『飴玉婆さん』も、その怪奇現象の1つだ。もっとも、その正体は私の先輩だったんだがな」
鈴木:「それって……?」
エレーナ:「前に言わなかったか?私達は怪奇現象を『起こす側』だって。怖くなったら先に帰っていいぜ?」
鈴木:「いや、乗り掛かったバスだ。最後まで行ってみるさ」
エレーナ:「乗り掛かった舟だろ?まあ、いいや」
鈴木:「で、どうするの?」
エレーナ:「どうもこうもないさ。『婆さん』は学校の中には入らない。学校から出て来る生徒を狙って、飴玉を渡すんだ。そこを現行犯で捕えるしかない。……って、こりゃ時間掛かりそうだな」
鈴木:「そう簡単に尻尾を出すような『婆さん』でも無いんだろ?まずはあの店長の情報が本当なのかどうか、調べてからでもいいんじゃないか?」
エレーナ:「で、どうするんだ?私はもうホテルに戻らないといけない」
鈴木:「だから、ホテルに戻るんだよ」
エレーナ:「は?」
鈴木:「ホテルに併設しているレストランの店長さんって、エレーナの先輩だろ?」
エレーナ:「あっ、そういうことか!」
エレーナはポンと手を叩いた。
エレーナ:「そういうことなら、早いとこ戻ろうぜ」
鈴木:「あ、何かもう一泊したくなってきた」
エレーナ:「おあいにく様、今日は満室だぜ」
鈴木:「ちっ。……儲かりまっか?」
エレーナ:「ぼちぼちでんな。って、何だこのやり取りw」
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