とまぴーSTYLE

よく食べ、よく笑い、よく遊び♪
元気が一番!
今日も豊かな一日になりますように・・・

三千円の使いかた

2023-12-05 20:57:39 | 
原田ひ香さんのベストセラー「三千円の使いかた」です。
新聞の第一面の広告に何度も何度も掲載されていました。
私はよく見もせずに大きな勘違いをしていたのです。
てっきり「1,000円で美味しい夕食を」のような節約ご飯の指南書だと!
先日、友だちとおしゃべりしている中で、
「深夜ドラマでね、三千円の使いかたってのがあって、とても面白いのよ」と。
確かにテレビ欄で見かけ、でも夜遅くの放映だし、先にも言ったように、かつて勉強しすぎての「関心のない」物件だったのです。
するとほとんど時を同じく、姉との電話で、
「これから三千円の使いかたを読むのよ」と姉は言う。
おお!
私の身近な二人が口を揃えて「面白い」と。
だったら読むしかないでしょ。読みたい。



節約ばかりの話かと思いきや、家族の様々な出来事が展開します。
「わかる、わかる、わかるよ!」「あるある!」
自分と彼女らを知らず知らずのうちに重ねている。
次はどうなるのだろ、ページをめくる手が止まらない。

これを読む全ての世代の女性が、過去を振り返れば私もそうだった、今を思えば私もそうよ、未来を見据えると私もそう思うのだろうな、と言った感覚で身につまされると思います。
男性にも読んでほしいな。
人はお金に対し、少しの後悔、ちょっとした妬み、漠然とした不安、そうしたものをいつも抱えながら生きているのです。
お金に対してだけじゃない、人生に対しても。
人生とは理不尽なものです。
しかし、今の自分が私なのだから、他人と比べて卑屈になったり、劣等感を抱いたりしても仕方のないことです。
自分なりの感覚で日々をつつがなく生きることが重要なのですね。
さてさて、私は三千円をどう使いましょうか。

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「花が咲く頃いた君と」

2017-09-22 00:02:53 | 


豊島ミホ(著)

ひまわり、コスモス、椿、桜
四季を彩る花々と共に描く四編の短編青春小説

作家さんも若いし、
青春小説を読むには何だか気恥ずかしいし。
と思いつつ、
ページをめくれば、
そこには決して幸せとは言えないけれど、
生き生きと毎日を暮らす彼らが私を待っていました。

秀逸は、三作目の「椿の葉に雪の積もる音がする」
タイトルも何かを予感させる響きに満ちています。
これは良かった。
途中から涙が溢れて、久々涙した小説でした。

四作目の「僕と桜と五つの春」
これも好きな小説でした。

冒険するように、
タイトルに惹かれて手に取った本から、
思いの外、何かしらの輝きを受け取ったとき、
やはり読書は止められない、と思うのでした。




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「起き姫 口入れ屋の女」

2016-06-17 23:36:46 | 


杉本章子(著)

17才で金物問屋に嫁いで8年 
子宝に恵まれず肩身の狭い思いをしていた「おこう」
それがある日、夫の子だと乳飲み子を抱いて幼馴染のおけいが乗り込んで来た ! 

「起き姫」とは、起き上がり小法師。
「おきあがりこぼし」・・・小さいころから不思議な言葉だと思っていた。
「おきあがりこぶし」なのか「こぼし」なのか。
はたまた、どんな意味なのか。
だるまの形でセルロイドでできていた人形。
ころがると「コロン、コロン」と音がする。
この年にして「起き上がり小法師」と漢字で書くのを知ったよ(笑)

「口入れ屋」とは人材派遣業のこと。
時代小説を読むと、いろんなことを知ることができて楽しい。

おこうは金物問屋を離縁され、実家に帰るものの、そこで待ち受けていたのはおこうの手切れ金を当てにしていた兄夫婦。
何とも言えない人間模様。
しかし、おこうは負けない。
乳母だった「おとわ」を頼りに口入れ屋「三春屋」を継ぐ。
そこで繰り広げられる江戸庶民の喜悲こもごもの人情話。

何も持たないおこうが幸せを掴んでいく。
同じ女として、なんと嬉しいこと!
どんどん、ますます幸せになって!と願わずにはいられません。

決して転ぶことなく、何度も立ち上がる、
まさに「起き姫」そんなおこうの生き方です。
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「一路」

2016-04-30 21:52:48 | 
浅田次郎 作

小野寺一路、十九歳。
父の不虜の死を受け、御供頭を継いだ若者は、家伝の「行軍録」を唯一の手がかりに、江戸への参勤行列を差配する。
その前途には、中山道の難所、御家乗っ取りの企みなど幾多の試練が待っていた。
いざ、江戸見参の道中へ―。

すごく面白かった!
時代小説は久しぶりなので、最初は言葉遣いや参勤交代についてなど知らないことばかりで面喰いましたが、
読み進むうち、段々と慣れてきました。

主人公「小野寺一路(いちろ)」彼がとても素直な良い青年なんですね。
そして、善人には善人が寄ってくる、のを絵に描いたように話が進みます。
参勤交代の話だけかと思いきや、
悪だくみもちゃんと設定されていて、ドキドキ感も満載です。

勧善懲悪もの・・・水戸黄門のお話じゃないけれど、私はこういうの、好きなんです。

NHKで既にドラマ化されてたのですね。
知らなかった(笑)
読みながら、ドラマになったら、と、勝手に配役を考えていましたよ。

連休明けにはもう一度放映されるとかで、見過ごさないようビデオに録っておこう!



表装も面白く、三浦しおんさんの「風が強く吹いている」と同じ作家さんでしょうか。
表装を見るだけで話しの内容がわかるのも面白い。

お勧めです。
時代小説は裏がない。
真っ直ぐです。
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祝!本屋大賞

2016-04-23 14:57:22 | 
今年の本屋大賞、宮下奈津氏に決まりましたね!
よかった!
嬉しい!



私は宮下氏の大ファンです。
彼女の飾りのない文章、
見過ごされる感情を掬い取る感性、
日常の暖かさを私たちに教えてくれます。

私は受賞作をまだ読んでいません。

宮下氏との出会いは「誰かが足りない」
奇妙なタイトルですよね。
ここに登場するレストラン「ハライ」
読むだけで美味しい匂いが漂ってくる。
宮下氏もお料理が好きなのだろうな、と思わせる。
そして、誰かと一緒に食べることの豊かさを教えてくれる。

次に読んだのは「太陽のパスタ 豆のスープ」
婚約解消された主人公を助けるために、
叔母が提案した「ドリフターズリスト」(やりたいことのリスト」の作成。
それに従って生きるうちに少しずつ成長していく。
緩やかな感動に満ちた小説でした。

秀逸だと思うのは「よろこびの歌」それに続く「終わらない歌」
まるで本のページをめくるたびに、美しい歌声が流れてくるようです。
青春時代ってなんて美しいのだろう!
読み終えたら「よし!私も頑張るぞ!」と奮い立たされます。

「ふたつのしるし」
「遠くの声に耳を澄ませて」
「田舎の紳士服のモデルの妻」
「メロディフェア」
「たった、それだけ」
「スコーレNO4」
「窓の向こうのガーシュウィン」

彼女の作品ばかりを読み漁った時期がありました。
誰も興味を示さないから(ごめんなさい)いつも図書館の棚にはあるのです。
でも、本屋大賞を受賞されたから、これから数か月は一冊もないのだろうな。
三浦しおんさんの時だって「舟を編む」の受賞の日から、
彼女の本棚は、すっからかん!でしたもの。

こうして作家さんは世に知られていくのですね。
これからも私は宮下氏のファンであるし、
彼女の作品を心から楽しみにしています。
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「あの家に暮らす四人の女」

2016-03-10 22:32:04 | 


三浦しをん 作

「でも、夢見たっていいじゃない。
年取って死ぬまで、気の合う友達と楽しく暮らしました。
そんなおとぎ話があったっていいはずだ。」

個人的に三浦氏のファンなので、これはこれで良い作品だと楽しく読みました。
三浦しをんの良さ、を知らない人には、つまらなく思えるでしょう。
彼女の言葉選びの巧みさ、感情を比喩し、内面をえぐりとる繊細なまなざし。
とは言え、頑丈な文体で、女性であるにもかかわらず、男らしさも一杯。

この作品、読んでも読んでも事件が起こらない!
じれったい!
まるで井坂幸太郎の「夜の国のクーパー」みたいな感じ。
でも、読み終えたとき、「そういうことね!」と膝を打つ。
ちゃんと起承転結、となっている。

面白いです。
凄いな~と思う。
含み笑いしながら読んでください。

今日はかなり嫌な出来事が起こったけれど、
この小説の登場人物のように、
気に入った人と仲良く暮らせることは幸せなのだと諭されれば、
少々の不都合は水に流せるのかしら、とも思えてしまう。
暮らしの基盤が整ってさえすれば、
地響きにさらされようが、突風が吹き荒れようとも、
揺るがぬ日々が鎮座しているということなのか。
家族を、友を大切に思おう。
そんな当たり前のことに気付かされた今日でした。
明日には明日の風が吹く!
明日も笑顔で!

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「凍りのくじら」

2016-03-07 23:33:00 | 


辻村深月 作

とにかく長いし、分厚い(笑)
文庫本ではあるが551ページ。
我ながら根気強く読んだものだと感心する。
えらいえらい!

ドラえもんの道具がキーワードになっています。
私はドラえもんはあまり見ていません。
アンパンマンやセーラームーンを子どもと一緒に見ていました。
この小説を読むにつれ、ドラえもんは哲学書なのだと知りました。
時間があれば、ドラえもんを読んでみるのもいいのかな、などと思ったり。

小説自体は、少し拍子抜けの感あり。
しかし、ドキッとするような良い文章がたくさんあります。
さすが辻村さんです。

主人公は、どこか冷めていて周りの人間を冷静に観察しつつ、馬鹿にしている女子高生。
若さは華にもなるが、武器にもなる、毒にもなる。
若いことと未熟であることは違う。

これは、ミステリーとも違うし、ファンタジーでもないようだし。
かと言って、昨今の流行りの「喪失と再生」のような話でもないし。

とにかく、まだまだ長編が読めるんだ!と、私に自信を持たせてくれた一冊になりました(笑)
めでたし!めでたし!




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「母性」

2016-02-24 23:40:06 | 
湊 かなえ(著)



私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。
それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。

「母性」って、生まれながらに備わっているもの?
「母」という文字が示すように、母になって芽生えるもの?
だとしたら「母」ではない女性には「母性」がないってこと?
などと悶々と考えさせられる小説です。

何のために子供を宿し、何のために子供を育てるのか。

子供が将来困らないためではなくて、
そこで自分(母親)がほめられたいから、評価されたいから細々としたしつけをする、教育する・・・
なんだかこれって間違っているような気がしてならない。
どこまでいっても自分が大事だ、という親っているものなのよね。
そういった親をもった子供は、大人になっても満たされず、渇望した心を持ち続けることになる。

作中、親を選ぶか子を取るか、そんな場面が出てきます。
究極の選択を強いられ、その結果、母と娘はギクシャクした関係になる。
また、汚く意地悪でひどい人間も登場します。
世の中、いい人ばかりとは限らない、と教えてくれます。

幼児体験、という深層心理も侮れない。
いいことも悪いことも、記憶の中に封じ込められ、
時としてひょこっと顔を出したかと思うと、
実はその記憶に、ずっと無意識のまま支配され縛られて生きていた、という事実に気づく。

親って大変、娘も大変。
どう生きたって正解は見つからない。

ランダムなレヴューになってしまったが、
「女」として「娘」として「母親」として、
私さえもが3つの顔を持つ人間だから、やはり答えは出ない。
それでもその時々で、自分に正直に生きていくことしかできないのだから。
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「しかたのない水」

2016-02-13 00:32:05 | 



井上荒野(著)

東京近郊のフィットネスクラブに集まる、一癖も二癖もある男と女……。

連作短編集です。
主人公が他の作品では脇役になったり、伏線となったり。

作者の書きたいことはよくわかるし、よく書けている。
でも、とりたててフィットネスクラブじゃなくてもいいような気がする。
「フィットネスクラブ」と言う設定が、少しだけお金に余裕があって、少しだけ傲慢で、
なんだか危うい雰囲気を醸し出さなくもない。
男女を描くとしたら、書道教室とかじゃなく、やっぱりフィットネスクラブなのかしら(笑)

彼女の作品は昨年、狂ったかのように読み漁った。
女のしたたかさ、男の狡さ、しかし、重ならずにはいられないもどかしさと諦め。

作者の作品は好きです。
あまりにも真髄を語るから、そこが気持ち悪い、という人もいるけれど、
人間なんて何を考えて生きているのかわからない生き物。
だからこそ、誰かがそれを教えてくれたほうがいい。

笑顔の下の狡い企み。
涙に隠れる真実の刃。

井上氏の私が好きなところは、ご飯のシーンがとても良いから。
きちんと作って美味しく食べる、
そこはとても丁寧に描写されていて、
井上氏、ご飯が好きなんだなぁと思ってしまう。

「キャベツ炒めに捧ぐ」これはちょっとした料理本。
お料理の楽しさを教えてくれます。



mayu作、親子どんぶり。
私が掃除をしている間に、さくっと作ってくれました。


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「絶唱」

2016-01-17 18:29:38 | 
入院中、退屈だろうな、と何冊か本を用意しました。
実際は退屈などいざ知らず、
術後は苦しみながらの日々、少し良くなると毎日面会に来た孫のお相手。
それはそれで嬉しいし、かわいいから(笑)
2週間の入院生活も終わってしまえばあっという間の出来事に。

その中でもらった一冊の写真集。



365日で世界一周できる写真集。
昨年の夏に訪れたドイツ ドレスデン。
8月13日、その日はドレスデンにいました。
私はこの景色を、岸のほうから眺めました。



送り主の姪からのメッセージに
「ドレスデンのページに、すごくいいことが書いてあるよ」



「Toi toi toi!」

「きっとうまくいくよ!」「がんばってね!」

嬉しかったよ、ありがとう!
たくさんの不安の中、その言葉に一筋の光を見たような気がしました。
元気になったら近くのどこかに行きたいね!

現在療養中の身、
外出もままならず(そうした気になれないだけ)一人でいると悪いことも考えてしまう。
そんな中、友だちから本を頂いた。



読みたい本ばかり!リクエストに応えてくださった。
真田幸村は大河ドラマが面白かったから(笑)
おやかたさまがカッコいい!

まず手に取ったのがコレ。



湊かなえさんの小説。
彼女の作品は私にとっては「イヤミス」
読むのが嫌なのだけど、読んでしまう、そして嫌な気分になる、そうした「嫌なミステリー」
でもこれはそうしたことを一掃してしまう。

阪神大震災で大切な人を失った女性たちが、
「自分を取り戻す」「約束を果たす」といった理由で訪れたトンガでの日々を、四つの中編で書かれています。

この小説を「喪失と再生。これは人生の物語」とあるのなら、
この中の「太陽」と「絶唱」が読み応えがある。
毒は微塵もありません(笑)

奇しくも今日は1月17日。
阪神大震災から21年。
この小説の初版は2015年1月17日。
まさにレクイエムだ。

あの日、そしてその後に起こった大震災、
安全なところにいた私はやはり無力で、
多くの人の役に立てるようなことは何もできなかった。
あってはならぬことだけど、いつか何かが起こったら、
その時私は何ができるかを黙考しよう。


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