佐野洋子(著)
母さんはもう忘れてしまっているけれど、
黒いビロードの支那服に高いハイヒールをはいて、
夜、父さんとどこかに行ったね
私は母さんが世界で一番きれいな人だと思った
私はハイヒールをはいて、
よそ行きの洋服を着て父さんとどこかに行く母さんを見るのが嬉しくて仕方なかった
あの時、私は母さんがいつかおばあさんになるなんて思いもしなかった
若い人が読んだらどう思うだろう。
母と娘の関係が、絵に描いたように良好である人が読んだらどうだろう。
介護に疲れ果て、母を見送った人が読んだらどうだろう。
早い時期に母を失った人が読んだらどうだろう。
なんと言うのかな、
母と娘の関係って、簡単でもあるし難しくもある。
痴呆の進んだ母との葛藤を描いたエッセイです。
横暴ともいえる強さ(と権力)を持った母が、
どんどん年老いて、 弱く小さく、かわいらしくなっていく。
エッセイだから読みやすい反面、
ちぐはぐでつじつまが合っているのかいないのか、よくわからん。
別の意味、読むのに疲れた(笑)
「地獄の沙汰も金次第」
「私は、自分の負い目の分だけ(母の入る施設に)高いお金を払った。」
ああ、
年を取るにも、
ボケてしまってもお金がいる、ってことですか(笑)
後半にかけて、胸に迫るものがあります。
そしてこの私も、これとよく似た道をたどるのかもしれないし・・・
悟りのエッセイ、として読むのがいいですね(笑)