宮部みゆき(著)
サスペンス、だという。
事件の展開はかなりグロい。
しかし犯人を探すより、犯行の背景を探る小説である。
犯行に及ぶ動機だとか、背景だとかを事細かに書き出してある。
推理小説と呼ぶより、人物小説のような。
登場人物の誰もが、被害者でありながら、実は加害者であり、
そして加害者も実のところ被害者なのである。
登場人物に限らず、この世の中はそういうことなのかもしれない。
私だって、彼女だって彼だって。
読んでいながら、
「仕方ないよね」「仕方なかったんだよね」と何度もつぶやく。
こうやって誰をも許し、誰もが許されるのだろうか。
悪いことをしても「彼の過去がそうだったから」と許して良いことなんだろうか。
読み終えて、この世は不条理なことが多いと思った。
メビウスの輪の如く、どこまで行こうが結論は出ないのだ。
だから、主人公を私は応援する。
不条理な世の中だからこそ、逃げてはいけない。
私も頑張る。