伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

9/2 「福島原発事故の真実~国会事故調報告書を受けて」Part2

2012-09-13 17:10:24 | 原発問題
9月2日 日弁連主催 パネルディスカッション「福島原発事故の真実~国会事故調報告書を受けて」では



パネルディスカッション
アーニー・ガンダーセン氏、田中三彦氏(国会事故調査委員会委員)、田原牧氏(東京新聞特別報道部デスク)と、コーディネーター 海渡雄一弁護士

20120902 UPLAN 「福島原発事故の真実-国会事故調報告書を受けて」
1時間26分ごろからスタート

田中三彦さんより

津波だけが原因ではなく、地震によって重要な施設は損傷していなかっただろうかという点で調査をした。
そうであれば、他の原発に今後の対応につなげていかなければならない。

1号機は津波到達前に、すでに止まっていた。

ディーゼル発電も喪失して全電源喪失状態になった原発内は、真っ暗闇でたいへん静かな中、SR弁作動の音だけがズドーンズドーンと聞こえていた。
SR弁とは格納容器の圧力が上がるとSR弁が開き、下がると閉じる弁で、2号機、3号機では、爆発まで数十回聞こえていたが、1号機では一度もしなかった。
たぶん、地震でひび割れが拡大して、圧力が上がり、どこからかガスが抜けていったのだろう。

女川原発も同じマークⅠだが、同様の音が聞こえていた。

1号機4階では作業員が大きな出水があり、一斉に逃げた。
東電も認めて、5階の燃料プールの水が揺れて換気口に入り出たのだろうと言っているが、ほかの原因かもしれない。
しかし、東電はこの水について報告書に一切触れていない。

田原牧さん

国会事故調の提言、電気事業者の監視、規制当局への国会の監視等画期的だった。
しかし7項目の提言が宙ぶらりんのまま、大飯原発を再稼働させた国会の機能不全をあきらめず、国会事故調の積み上げた精神を生かしていかなければならない。

ガンダーセンさん

1号機は津波の到達する前に、地震で何かが起こっていたと思う。
放射能レベルが上がっていた。

国会事故調の報告書の中に日本の文化の特異性と書かれていた。
米国メディアはそこに注目して、アメリカでは起こらないと言っているが、それは正しくない。
米国も日本同様、事業者と規制当局は近しい関係にある。

4号機について、なるべく早く使用済み燃料プールから核燃料を取り出すべきである。
東電は2013年から燃料の取り出しを行うとしている。
完了は数年後と言っている。
4年も待てない。
もっと早く対応できる代替手段を用いるべきである。
小さく軽いキャスクを作ればいいと提案したが、東電からは無視された。
想像力に欠けている。

田中三彦さん

2号機の爆発は圧力を下げることで注水することで、爆発から回避できたと考えている。
作業員は圧力を保つことを考えていたが、早く下げて注水すべきだった。

2号機はベントできないことと、圧力容器の損傷具合から横方向に核物質が抜けていったのではないだろうか。
上昇管を経て横方向に噴出したのでは。

田原牧さん

国会事故調では人災であると明確にしている。

しかし、事故でバタバタしている5月連休のころすでに東電をつぶさないことを決めてしまった。
東電は反省なく、去年の夏計画停電恫喝をやった。

事故当事者の刑事責任を取らせなければならない。
原子力をどうするかを決めることは人間が決めること。

海渡弁護士

日弁連は告訴団を作って活動を始めている。

ガンダーセンさん

大きな問題があることを認識しなければならないが、日本政府はまだ認識していない。
第一原発施設の除染、福島の除染費用は0.5兆ドルを超える。
全体像をキチンを見ている人は誰もいないし、どれだけコストがかかるか認識されていない。
政府はPRと健康の問題を混同している。

福島県の人から掃除機で吸い取ったほこりを送ってもらったら1kgあたり3万ベクレルも10万ベクレルもあった。
家の中の清掃、拭き掃除を奨励すべきである。
除染は難しいが家の中から放射能を取り除くことは可能である。









9/2 「福島原発事故の真実」アーニー・ガンダーセン氏

2012-09-09 19:58:36 | 原発問題
9月2日に日弁連主催シンポジウム「福島原発事故の真実」
アーニー・ガンダーセン氏の講演から



20120902 UPLAN 「福島原発事故の真実-国会事故調報告書を受けて」

ガンダーセンさんがこの事故を知ったのは6時間後。
しかしすぐにメルトダウンが進行中であると考えた。
アメリカ政府はスリーマイル島事故を米国人に対して隠ぺいしてきた。
と同様に日本政府も、福島第一原発事故がどれほど深刻かということを過小評価すると考えた。

まず、地震、津波が真夜中に起こっていたら、メルトダウンが3基では済まなかった。
福島第一、第二の作業員2000人の懸命な努力のおかげで、10基のメルトダウンは避けられた。
感謝しています、という言葉から始まった。

冷却機能の喪失で、緊急時の冷却ができない状態になった。
津波がディーゼルを破壊したのが原因とされているが、たとえディーゼルが30メートルの高さにあったとしてもメルトダウンは起こっただろう。
ディーゼルエンジンは常に冷却させなければならないが、ディーゼルの冷却機能を津波が破壊した。
女川原発の2台、東海原発は1台のディーゼル発電機も破壊された。
海岸沿いにあった冷却ポンプが破壊されたため機能しなかった。

津波が大飯原発を襲っても同じことが起こるし、冷却ポンプが濡れても同じことが起こる。

福島原発のマークⅠ型原発の問題点からもっと悪くなる可能性があった。
1972年には格納容器が小さすぎる、また、水素の発生もわかっていた。
爆発につながることもわかっていた。
それで使用中止を考えず、あろうことか、格納容器に穴をあけてベントを行おうと決めた。
ということは放射能を拡散することが前提となっていた。

福島原発事故は1号機から3号機はベントの不全で起こった。

1号機 3号機はガスがひび割れから漏れ出して、建屋に充満して爆発が起こった。
2号機は爆発は格納容器の中で起こりひび割れを起こした。

ガンダーセンさんは、次にもし原発事故が起こるとしたらマークⅠで起こるだろうということは予測していた。
残念ながらそれが現実となってしまったのだが。

原子炉の炉心は4m×4mという小さなスペースで300万馬力が働いている。
少量のウランから力を得られるが、一度事故が起こると小さな空間に大きな力が働きそれをコントロールしなければならない。
40年間安全に運用しても一日事故が起こればそれでおしまいになるのが過酷な原発事故。

マークⅠの設計には欠格があることを35年間技術者は知っていた。

また、使用済み核燃料が格納容器の中にないことも問題。
ウラン原子の放出される熱は95%。
残り5%の熱を持ち続け5年間冷やし続けなければならない。
その間、蒸気を出し続けている。
もし使用済み核燃料のプールの水が抜けてしまったらどうなるか?

事故直後、米国政府は米国人に避難を呼びかけたが、それは使用済み核燃料の発火の可能性があったからである。
米国では事故3週間前にちょうど発火の実験を行ったところだった。

1500本以上の使用済み核燃料が4号機核燃料プールにある。

8月31日東京電力に核燃料から発火したらどうするのかとガンダーセンさんが質問したが、
「核燃料プールには燃えるものはない」という答えだった。

今でも地震が起こったら同じ状況になる。
4号機はただ眠っているだけ。

また、3号機の爆発は、だれにもどうして起こったかわからない。
音速よりも速かった、ということが分かっており大きな破壊力があった。

これに耐えうる格納容器はないし、なぜ起こったかわからない。
しかし、中国では新しい原発が作られようとしているし、日本国内でも既存の原発も稼働させようとしている。

35年の間に原発事故は5件起った。
メルトダウンの起こる確率は実際は7年に一度。

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3基のメルトダウンと1基の使用済み核燃料の爆発で済んだことが、幸運だったとは。
映像を見てもらうと、実際にディーゼルエンジンの冷却ポンプが破損して止まった状況の図が出てくる。
薄氷を踏む状況とは、こういうことだろう。

また、3号機の爆発の状況も。
ぜひ映像をご覧ください。

 

縦型風車 佐倉にもありました。

2012-09-08 20:37:03 | 再生可能エネルギー問題
市民ネットワーク北海道から、「佐倉市に縦型風車があるので、ぜひ写真を撮って」という依頼が入った。
なんと佐倉市にあるとは。
ということで、さっそくカメラに収めました。



この風車を作ったのは、元エンジニアの方。

現在は蓄電器が老朽化したので、発電利用はしていないものの、12年間データを取り続けていらっしゃいました。

風力発電の歴史は長く、100年間も研究されている分野だそうです。
三枚羽根の水平型風車の羽根などは大がかりな工場でなければ作れない特殊なものですが、この風車の羽根は発泡スチロール製です。
梱包用より密度の高いもので、ニクロム線を熱して成型するということです。
軽いので万が一破損して飛んでいっても、危険ではないのが長所。
短所は石油製品であること。
設置してから12年経過しているが、羽根の寿命は長く、簡単には壊れないそうです。

実験用なので出力1kw。
風速3mで回りだすそうです。
羽根は回転しながら、風をキャッチするように動くが、強風の時は逃げるようになっているので台風でも大丈夫です。

水平型は風が強すぎると、止めてしまいますが、この縦型風車は大丈夫でした。

太陽光発電より安くできるそうですし、もちろん水平型よりずっと経済的です。

また、すべて今まである部品でできるし、何より羽根が発泡スチロール製。
風切音もしないし、低周波も出ないといいことずくめです。

今まで、外国からの視察もあったそうですし、日本国内からもいろいろと話を聞きに来たそうです。
やっぱり、水田や畑に設置しても耕作地はそのまま使えるし、水平型より仰々しくないですね。
畑や水田は風の通りがいいので、ぜひ農地で使ってほしいとおっしゃっていました。
独自の設計ですので、これが脚光を浴びるといいですね。

ドイツが脱原発を決めた本当の理由

2012-09-03 23:03:59 | 原発問題
議会質問でまちづくりから考えるエネルギー政策について質問したが、この記事は大変参考になった。
国の法整備はもちろん必要だが、地方自治体もいち早くこのグリーンエネルギーの価値に気が付いて、積極的に取り入れるべき。
なかなか理解されなかったが、めげずに発信していきます。

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環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞く
2011/11/11
山根小雪[日経ビジネス編集]
 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、世界の原発に多大な影響を及ぼした。
なかでも、ドイツの動きは世界に驚きを与えた。
メルケル首相は事故発生からわずか3日後、老朽化した原発7基を3カ月停止し、全原発の安全検査を徹底するように命じた。
さらにドイツ政府は、2020年の脱原発を決めたのだ。

 ただし、ドイツが事故を受けて脱原発を決めたのかといえば、そうではない。
緑の党と社会民主党との連立政権は2000年に脱原発を決め、2022~23年を脱原発の期限に定めた。
だが、2009年秋にキリスト教民主・社会同盟と自由民主党政権の連立政権が発足し、脱原発ムードが減退。
2010年には、脱原発の期限を12年延長した経緯がある。

 こうしたなか、福島第1原発事故が発生。ドイツ政府は高まる世論をくみとって、再び脱原発の期限を早めたわけだ。
ドイツの脱原発をめぐる国民議論の蓄積は、既に10年を超える。

 なぜ、ドイツ政府は脱原発を選択したのか。脱原発が産業界に、どのような影響を及ぼしているのか。
ドイツ銀行で金融アナリストとしての経験を積んだ後、環境NGO「グリーンピース」に移ったトーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞いた。

――結局のところ、なぜドイツは脱原発を決めたのですか。

ブリュアー 
原発がリスクの高い技術だからです。
ドイツ政府は原発をどうするべきか、倫理委員会に諮りました。
そこで委員会が出した結論は、「原発の賛否は別にして、原発はリスクの高い技術。
一方の再生可能エネルギーはリスクが低い。
ならば原発は廃止すべきだ」と政府に勧告したのです。
後述しますが、産業政策の側面も大きかった。

ドイツの脱原発議論の特徴は、「原発に賛成か反対か」という話とは別なのです。

――欧州の電力網はつながっており、電力市場は自由化されています。
国境をまたいだ電力の売買も当たり前です。
ドイツが脱原発しても、不足した電力を原発大国のフランスから輸入することになり、結果的に原発による電力は減らないという指摘もあります。


ブリュアー 
それは間違った認識です。
確かに、ドイツとフランスの間では電力の輸出入が行われています。
原発は発電量を変動させずに運転するのが最も効率が良い。
このため、原発比率が8割弱と非常に高いフランスは、電力需要の変動に対応するために、原発による電力を安価で他国に売っているのです。
脱原発いかんにかかわらず、ドイツはフランスから電力を購入してきたわけです。

 ただ、フランスから購入している量は、ドイツ全体の需要のごく一部に過ぎません。
むしろ10年以上前から、ドイツは電力輸出国なのです。
原発停止後は他国へ輸出する余裕は減ってしまいます。
ですが、原発以外の発電設備に余裕があるため、輸入が大幅に増えることはないでしょう。

 ちなみに、2010年のドイツの総発電量に占める原子力の割合は24%。
福島第1原発事故後に7基停止してからは、14%まで落ち込みました。
電力の輸出量は減少していますが、輸入量は変わっていません。

 ドイツ政府は再生可能エネルギーの導入量を増やすことによって、エネルギー自給率を高める目標を掲げています。
2020年を目途に原発を全基停止してどうなるのかは不透明な部分も残りますが、大きく輸入が増えることはないと見ています。

――脱原発によって原子力産業の雇用が減少する懸念はないのですか。

ブリュワー 
現在、原子力産業は約3万5000人を雇用しています。
2020年に原発を止めても、この雇用が減るのはもっと先の話です。
というのも、廃炉を完了させるには、膨大なプロセスを経る必要があります。
長期間にわたり、相当の人員が必要です。

 一方で、再生可能エネルギーの導入促進は、原子力を上回る雇用を生みだします。
ドイツ政府によると、2004年に16万人だった再生可能エネルギーによる雇用は、2010年に37万人へと急拡大しました。
原発の雇用は発電所の立地地域などに集中しがち。
ところが、分散電源である再生可能エネルギーは、ドイツ国内に分散して雇用を生み出す利点もあります。

 現在、ドイツ政府が掲げている再生可能エネルギーの導入目標は、2020年に35%というもの。
その先も、2030年に50%、2040年に65%、2050年には80%まで高めるとしています。
さらに、ドイツ議会の専門委員会は2010年、「2050年に100%再生可能エネルギーにすることも可能」だと表明しました。

 脱原発を実現して原子力産業での雇用が失われても、再生可能エネルギーの導入で大量の雇用が発生します。
雇用面の心配はしていません。

再生可能エネルギーには経済的なメリットも

――再生可能エネルギーの発電コストは、火力発電などと比較して高いと言われます。
また、日本では、原子力のコストが適正に評価されていないという指摘があります。


ブリュワー 
ドイツでは、再生可能エネルギーの導入は経済的なメリットが大きいという試算が広く知られています。
単なる発電コストの比較ではありません。
再生可能エネルギーの導入にまつわるコスト増よりも、石油や天然ガス、ウランなどの燃料を使わないで済んだことによるコスト削減や、酸性雨や健康被害などの対策コストの削減、新規に生まれる雇用や、企業の競争力工場などのメリットの方が大きいというわけです。

 原子力のコストの不透明さはドイツも同様です。
1950年から現在までに原子力産業に政府が投入した補助金などの総額は、24兆4200億円に上ります。
核廃棄物の処理費用などは部分的にしか含まれていませんので、国費の投入はさらに増えるでしょう。

 問題は、原子力産業のコスト削減努力が不十分であることです。
これだけの国費がなければ立ちゆかないのだから、原子力産業が自立しているとは言い難い。
今後もさらに原子力産業にカネを投じ続けることには、疑問符が付きます。

――再生可能エネルギーが本当に経済的なメリットがあるなら、なぜ産業界は脱原発に反対するのですか。

ブリュワー 
ドイツ産業界にも、様々なポジションの企業が存在します。
脱原発の声を発しているのは、電力や化学、重工業、自動車などの大企業。
これが産業界の総意であるとは考えていません。

 というのも、再生可能エネルギーの導入を、ビジネスチャンスと捉える企業が増え始めているためです。
象徴的なのが、アルミ精錬のトップ企業が政府の判断を歓迎していることです。

 アルミ精錬といえば、電力多消費産業の代表格。
電力料金の高い地域ではビジネスが立ちゆかなくなることもある業種です。
そのアルミ精錬企業の歓迎が意味していることは、「再生可能エネルギーは儲かる」ということに尽きます。

 これまで彼らの最大の顧客は自動車メーカーでした。
ですが、自動車メーカーは値下げ圧力が強い。
値下げばかり求めてくる自動車メーカーよりも、彼らにとっては、風車メーカーの方が優良顧客になったのです。

再生可能エネルギーは成長著しい産業

――再生可能エネルギーの導入が、新産業として確立しつつあるのですね。

ブリュワー 
その通りです。
雇用創出効果は数値となって現れています。
産業界の声の大きなプレイヤーの影で、ビジネスをシフトさせる動きが顕在化しています。

 再生可能エネルギー市場は、右肩上がりで目覚しい成長を続けています。
これほどの成長力を持った産業は、ほかに見当たりません。

 だからこそ、日本に言いたいことがあります。
原発に賛成か反対かという議論にとどまらず、将来の産業について議論すべきではないでしょうか。

 日本企業が再生可能エネルギー市場で存在感を発揮したいと考えるなら、日本政府は早急にエネルギー政策の方針転換をすべきです。
一刻も早く、国内市場を立ち上げなければ、手遅れになる。
もうギリギリのタイミングです。
既に日本は相当、遅れを取っているのです。

 ドイツに参考になる例があります。
かつてドイツの鉄道会社は、新幹線のような高速鉄道を新興国に売り込もうとして失敗しました。
その理由は、国内での導入実績がなかったためです。
新興国からしてみれば、「そんなに良い技術ならば、なぜ自国でやらないの?」と信頼を得られませんでした。

 日本の再生可能エネルギーの導入量は、世界的に見ても少なすぎます。
国内市場はあまりに脆弱です。
日本には、技術開発に長けた企業が多く存在します。
再生可能エネルギーに本気で取り組めば、世界で高い競争力を発揮できるはずです。

 政府が本気で国内市場を立ち上げることを決断するかどうか。
ここに、日本企業の将来が委ねられています。



内部被曝通信 福島・浜通りから~検査した方が情報源

2012-09-02 08:11:27 | 放射能問題
朝日新聞のアスパラクラブ医療サイトの記事
「内部被曝通信」から

「福島第一原発から23キロにある総合病院で働く血液内科医。
住民と共に内部被曝について考える」
と題して、南相馬市立総合病院非常勤医 坪倉医師が、貴重な現場の声を届けてくれている。
ホールボディカウンターで体内の放射能が高い値で検出された原因を、検証。

内部被曝通信 福島・浜通りから~検査した方が情報源*****************

第22回のこのブログ( http://medg.jp/mt/2012/08/vol564.html )にて、セシウム134と137の合計で20000Bq/bodyほど検出された方のことをご紹介しました。

ご夫婦共々値が高く、奥様も10000Bq/body程度検出されていました。
近場で採取してきたニラ、タケノコ、干し柿、ニンニクなど毎日食べているということでしたので、持ってきてもらい、実際に計測してみました。
以下はゲルマニウム検出器で検査した結果です。

1. 白米      ND
2. かやの実    1,001 Bq/kg 
3. くり     790 Bq/kg 
4. むきぐり   220 Bq/kg 
5. 干し柿    72 Bq/kg 
6. ワラビ    376 Bq/kg 
7. 玄米    10 Bq/kg 
8. 干しシイタケ 142,134 Bq/kg 

値はそれぞれセシウム134と137の合計の数値です。
干し椎茸は14万ベクレルを超えていました。空間線量の高い地域から原木を直接持ってきて、それで椎茸を栽培して
いたとのことです。

変な風評被害を広めたくありませんが、流石に見たことが無かった値でビックリしました。

当院などで行っている内部被曝検査の限界を感じていました。

前回のブログでも紹介しましたが、現在の検査体制だと、全く気にしていない方に対してアプローチすることができません。
現在の流通品を消費している方々の中で、体内のセシウム量が検査ごとに増えてきている状況ではありません。
主に1)非流通品で、2)以前値が高いと報告されていたもので、3)「未検査」のもの、のみにリスクが集中しています。

今回、20000Bq/bodyを超えた方々については、WBCで検査してもらうことよりも、食品の検査方法や継続的に検査しなければならないことなど、もっと基本的な知識の普及がまだまだ必要なことを感じています。

食べ物の検査をする際に、「空間線量計を直接野菜に近づけて、線量が変わらないから問題ないと思っていた。」という話や、原木を高線量地域から持ってきて椎茸を栽培されていたという話を聞くと、リスクコミュニケーションではなくて、こういう話を地道にみんなに知ってもらうことの方が大事だということが身にしみます。
(イヤミではないです。)

ただ、食べ物の検査も、どの程度の頻度と範囲で検査をやるのが妥当なのか、情報が足らないと思っています。
(秋には出ると思いますが)去年の値と今年の値の変動はいかほどなのか、隣の畑で検査した値がxxxだったときに、自分の家の同じ作物の値は変わらないのか、農業を行う際に必要な実用的な情報が少ない、伝わっていないのが現状です。

今回の方も、「少し離れた同じ市町村で検査した食べ物は低かったので、大丈夫と思っていた。」と答えています。

なぜ同じ市町村内で値がそんなに変わったのか?という質問の答えは、原木を別の場所から持ってきていたから、ということになります。

検査をしている立場からすると、値が高かった方から教えてもらうことは本当に多いです。
そのような情報の蓄積がノウハウとして溜まって行くのだろうと思っています。

おわり***********************************

消費者庁貸出の放射能測定器は結果を公表することが条件です。
情報を共有することで、自分の近辺での情報が分かります。

安心して食べる、わかって食べる、これは私たちの権利だと思うのですが。

8/6毎日新聞社説「太陽光発電 再生エネの先導役に」 

2012-09-01 09:42:32 | 再生可能エネルギー問題
8月6日 毎日新聞社説から*****************

 7月に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、今年度の導入見込み量が最も多いのが太陽光発電だ。
経済産業省資源エネルギー庁の推計では計200万キロワット(出力ベース)で、既存の太陽光発電設備(約480万キロワット)の4割に達する。
再生エネの先導役として活用し、地域活性化や災害対策にもつながる取り組みを広めたい。

 群馬県太田市は制度の開始に合わせ、自治体単独では全国初となるメガソーラー発電事業に乗り出した。
出力は1500キロワットで、市内の工業団地の一角に太陽電池パネル約1万枚(約1万3000平方メートル)を敷き詰めた。
年間1800万〜1400万円の利益が出る見通しだ。
市民が太陽光発電を導入する際の補助金などに活用する予定で、エネルギーの地産地消を進め、財源としても生かすねらいがある。

 太田市に隣接する栃木県足利市は、学校や体育館など市内の公共施設約70カ所の屋上を太陽光発電用に貸し出すことにした。対象事業者は市内に本社を置く法人とし、災害などによる停電時は、公共施設に電気を供給することが条件だ。

 こうした試みは、再生エネに関する住民の理解を深め、導入促進にもつながるはずだ。
再生エネ発電に参入する事業者が相次ぐが、自治体の役割も極めて大きいと言える。

 太陽光発電は工期が短く、日射がある所なら設置場所を問わない。規模も自由に決められる。
当面は風力や地熱より導入が早く進むだろう。
政府のエネルギー・環境に関する選択肢案では、太陽光発電量を2030年に10年比で15〜20倍近くに増やすシナリオを描くが、耕作放棄地や売れ残った工業団地の利用を進めたい。
建物の屋根や壁面への設置は他の土地利用との競合を避けられる。
日本の戸建て住宅は約2700万戸だが、太陽光発電を設置済みはまだ100万戸余りだ。
住宅の耐震性を考慮しても、拡大の余地は大きい。

 発電効率や品質など太陽電池に関する日本企業の技術力は世界トップレベルにある。
コスト競争力のある中国企業などの台頭で世界シェアを落としたが、国内で太陽光発電が普及し、コスト削減も進めば、海外展開力も増すはずだ。

 再生エネ発電の買い取り費用は電気料金に転嫁される。
太陽光発電は導入量が多い分、買い取り価格の設定には特段の配慮が必要だ。
高ければ消費者の負担が増えるし、低ければ導入が停滞する。
さじ加減が難しい。
政府には、事業者の採算やコスト削減を見定め、適切に買い取り価格を見直すことが求められる。

おわり************************************

 ドイツの緑の党と会談した際、太陽光エネルギーの買い取り価格問題について、
「買い取り価格が高く、電気料金に跳ね上がって問題になり、下げる動きがあると聞いたが」という質問には、
「太陽光パネルそのものが量産されれば価格が下がるので、そのうちなくなるかもしれない」という返答で、別に問題視している風でもなかった。

当初は太陽光発電は取り入れやすいだろうが、そればかりに偏っているわけではなく、太陽光発電より太陽熱利用のほうがずっと効率的だし、いろいろな自然エネルギーを模索しながら組み合わせているのが、先進国の現状だった。

風車の羽根を輸出して失業率を下げたデンマーク ロラン市は、工場の撤退後は風車のメンテナンス技術者養成して世界中に派遣している。
また、藻からエネルギーや高価値の物質を取り出す研究をしていたし、再生可能エネルギーの組み合わせと水素電池での蓄電どころか水素での発電装置を家庭に設置する段階まで行っていた。

目先の太陽光パネル産業にこだわっていると、また今の家電業界と同じになってしまう。