伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

いま韓国すごい!!! ソウル市視察記 Part4

2017-08-12 10:10:47 | 政治
7月27日は国会議員会館で正義党のユン・ソハ議員から経済特区に絡んだ問題点を詳しく伺った。

国会議事堂をバックに



保健医療労組の話は、経済自由区域法という法律が作られ、医療の民営化の反対運動の話だったが、ユン・ソハ議員の話は、今後の展開も含めての話だった。

日本での経済特区の問題も、森友、加計問題なんか比じゃない、
私たちの生活を直撃する問題であることを実感。

さらに、奈須りえ大田区議からは「国家戦略特区法が改正されサンドボックスが作られようとしている」という話が出た。
企業にその地域での規制を自由に改正や廃止できる権限を与えるのではないか、と報道されているとか。

サンドボックス??
調べたら内閣府の資料が出てきました。
国家戦略特区における「⽇本版レギュラトリー・サンドボックス」制度の導⼊

今まで時間がかかっていた近未来技術の実験場にしよう、とか、医薬品の認証までを短くしよう、とか、外国人の就労に簡単にビザを下ろそう、とか、保育現場・人材の規制緩和を進めようなどなど、国家戦略特区法の改正がすでに行われ、来年度実施らしい。

ちょっと待って!!
国民の健康権を大事にして、安心、安全のため臨床試験をしっかりするのではなく臨床期間を短くするなど言語道断ではないか!!
今でさえ子宮頸がんワクチンで被害が続出しているのに、これ以上国民の健康をないがしろにするとしたら、許せない。

横断幕には
国家戦略特区「規制フリーゾーン」韓日各国規制緩和政策の現況と問題
「日本地方議員団訪問 政策懇談会」主催 ユン・ソハ 正義党
とあるそうです。



ユン・ソハ議員から

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経済特区は新自由主義の流れを拡大していくものである。

悪い政策ほど微妙にいい名称がついている。日本では国家戦略特別法。

韓国では経済自由区域は200か所、産業クラスター特区は172か所が指定されている
しかし、2003年に導入された経済自由特区は10年たった2015年段階で未開発地域が43.1%もある。
政府は2014年までに42兆ウォン投資したが、外国人直接投資は6兆ウォンで14.4%にしかなっていない。
外国人投資を口実にした国内大企業の誘致にすぎないことが判明。

ここにきて、経済自由特別法の取り消しを自治体が申し出ている、ということが起こっている。
理由は、法律ができて10年たったが43%しか土地利用がされず、地域発展を期待したが何も進まないまま10年が経過したというわけである。

規制フリーゾーン法。
未来を見越した第4次産業革命に備えるという名分で、
全国14の市、道で27の戦略産業を指定し、規制をなくして自由な企業活動を保障していく内容。

企業の活発な投資を導くために、規制緩和のみならず、
法制度の改変を含めた各種インフラを中央、地方政府が支援する内容も含まれている。
政府は企業が出した新技術に対して規制を緩和して、新技術を市場に出すことを助け、必要な税制措置、金融の優遇措置を行い、親企業的な政策を進める。

正義党としては、企業に対する無分別な規制緩和、農業、環境、教育、経済的弱者の保護の立場から、
あるいは個人情報保護等公共の性格を持つ領域に対する過度の民営化による公共性の破壊に対して反対している。

企業に対する無制限の規制緩和、横暴を許すことは国民の未来がかかっていると考える。

このフリーゾーン法が出されたときは語感が良いことから、国民は問題点を知らなかったが、
パククネ政権下で廃案となった。

サムソンやヒュンダイの大企業の意向を受けて、サービス産業発展法が進められた。
当時の野党はもちろん国民的反対、特に医療分野で反対が大きかった。

きっかけは、パククネの弾劾を求めた、ロウソク集会の力。
大企業がフリーゾーン法やサービス発展法を制定させるため、ロビー活動を行い、金を直接渡したことが、ロウソク集会の中で次々と暴露されていった。その怒りが法案廃棄の方向につながった。

(サービス産業発展法とは、医療法人の子会社設立に対する規制緩和で、子会社設立形態を株式会社まで拡大許容する、つまり営利病院の推進である)

国民の命と安全にかかわる問題であり、
保健医療労組や健康保険組合などが民営化阻止運動本部を作って署名運動を長年行ってきたその結果である。

しかし今、新自由主義に対して批判を持ちながら、地域開発ではむしろ外国資本、大資本の導入の方向に流れている。
パククネ政権の19代国会では廃案になったが、現在の20代国会では、当初反対していた「国民の党」、保守党から分かれた「正しい政党」等も、地方自治体の首長の意向を受けて賛成に回っている。

ムン・ジェイン政権においてもう上がってこないと思っていた法案だが、財政の問題で法人税アップをうちだしたため、野党、財界の反発を抑えるために全く対応しないわけではないと今日の新聞に出ていた。
このニュースを見て、国会においては正義党として、民間においては保健医療の分野において、緊張感をもって戦線を整えていかなければならないと覚悟を決めた。

(おや~? 昨日保健医療労組の会談では
「ムンジェイン大統領は最近、国民の健康を脅かす医療民営化には反対である。
ソンドの営利病院の導入は廃案にする計画を打ち出した。」と聞いたばかりであった。
が・・・・)

成田市の会津市議からは
成田市は医療特区とエアポート特区の二つがある。
医療問題として日本医療福祉大学の問題が出ているが、国際展示場を作ってカジノも併設される恐れがある。
との爆弾質問が!!

ユン・ソハ議員からは
大変怒りを覚える。
韓国の炭鉱地帯が斜陽になり閉山となって、カジノを作った。地域発展のためという事だったが、現在はギャンブルで廃人のような町になってしまった。

また全羅北道は民主党の知事だが、地元からは貴重な干潟を埋め立て100のゴルフコースとカジノを作るためにフリーソーン法を進めてほしい、と議員14人から要望が出ている。
また、LGグループは水耕栽培の農場をすると言っている。
250万人の農民人口がいるが、農業にまで手を伸ばそうとしている。

営農法人は所有できる土地登記を投機の対象としようとしている。
年1回耕作することを条件としている。

特区となると外国人労働者の治外法権となるだろう。

税制優遇措置、農地規制緩和、と部分部分で特区地域で行われ、フリーゾーンは最終仕上げとなる。
大田(テジョン)水道民営化の話は全市民反対運動でつぶれた。

最後に、地域のことはグローバルのことである。
地方自治は日本が進んでいるので、ぜひ視察に行きたい、と言っていただいた。

果たしてそういえるのだろうか?



国会の正門を出たところで一人デモをやっていました。


道を挟んだ向こうでは記者会見。
集会が禁止されているそうで、「1人デモ」「記者会見」だったらOKと聞きました。




いま韓国すごい!!! ソウル市視察記 Part3

2017-08-10 09:34:30 | 政治
7月26日の最終は、仁川にある保健医療労組インプッチョン本部。

保険医療労組は「お金より生命」を最重要項目に掲げて活動を行っている。

10年に及ぶ民営化病院を阻止した運動にかかわった中心人物たちに一堂に集まっていただき、驚くとともに、感激した。
このパワーが営利病院を阻止させたんだな。

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2008年、イミョンバク政権下で韓米FTAのため、アメリカ牛肉の全面輸入が始まった。

BSEの危険性が伴うアメリカ牛肉が入ってくるということで、ロウソク集会の原型ともいえる抗議集会が始まった。

医師の団体、政党、保健医療労組、労働団体、市民団体がアメリカ産牛肉を病院の給食に使わないという共同宣言運動を始め、各病院を回って院長面談を行い、大規模な講演会を行って市民と一緒に広めていった。

仁川地域の保育園の入り口にアメリカ産牛肉を使わないという看板を掲げる運動は、健康医療に対する関心を固める契機になった。

そんな中、仁川市の新型インフルエンザ対応のまずさが起こり、記者会見を通して市民の不安に安心感を与える運動をおこなった。

イミョンバク政権下で医療民営化問題が起こったため、1000万人署名運動を展開。
頭にリボンをつけて、楽しく、かわいく街頭署名をおこなったとか。



当時、労働組合は政府の弾圧を受け苦しい状態にあったが、市民団体から労組も積極的に取り組まなければならないんじゃないかという声が起こり、応援に入り、毎週一回、グループを作って署名活動を展開していった。

2010年の統一地方選では、唯一仁川では、市長、区長、議員に野党連合として統一候補を立てられた。
そのため、仁川市長も野党共闘で誕生させることができた。
議会も野党候補が2/3を占め、仁川議会も全体で反対する雰囲気となり、
市長が市民の前で、営利病院を一方的に推進しないことを明言。

営利病院が来ると土地の値段が上がる、という思惑があったが、市長は経済的活性化につながらないのでは、というスタンスを明確化。

それでもインミョンバク政権は任期末期になっても推進しようとしていた。
そのため、経済自由区域を統括する長官に対し、市庁舎前での座り込みも決行。

この格好。時代劇で罪人の拷問に使われる板ですよね。
毎日、市役所前での座り込みに使ったので、市役所の警備員さんが内緒で保管してくれたそうです。
警備員さんも病院民営化に反対していました。



さらに300人を集める記者会見を年末に行い、「仁川には営利病院は作らせない」というデモンストレーション行った。

一連の活動が認められ(社)仁川市民運動支援基金の「草の根共同体賞」を労働組合として初めて受賞。

パククネ政権にバトンタッチされたが、幸いなことにパククネ大統領はこの仁川の営利病院には関心がなかった。

その間市民キャンペーンとして無料健康相談を行い、好評を得た。

毎年国際マラソンが仁川ソンド地区で行われるので、200人が営利病院反対のTシャツを着て、黄色い風船をもって参加している。

パククネ政権が弾劾され、ムンジェイン政府が始まった。
ムンジェイン大統領は最近、国民の健康を脅かす医療民営化には反対である。
ソンドの営利病院の導入は廃案にする計画を打ち出した。

仁川に営利病院ができてしまうと、全国の経済自由地域に導入されることになっていたので、全国からも注目されていた。

保健医療組合は個人的な利益だけでなく、社会公共性、医療公共性を組合員の利益と結びつけてきた。
営利病院ができる事は「健康権」のみならず労働者にとっては「生存権」の問題であることを訴え、組織化を図ってきた。

10年間の闘争は楽しくなければ続かなかった。
市民たちと行えるいろいろな企画を行い、営利病院の弊害を共有していったことが勝因だと思う。
残念なことは、戦略特区の話そのものが始まったとき、弊害も知らなかったし、関心も少なかったこと。
最初から阻止できたらよかったと思う。

(これは現在の日本でも同じだと思う。)





















いま韓国すごい!!! ソウル市視察記 Part2

2017-08-08 22:32:00 | 政治
7月26日 午前中のマニュフェスト実践本部を後にして、
午後は保健医療団体連合のウ・ソッキョン政策委員長、
そのあとは保健医療労組のインプッチョン本部を訪ね10年にわたる営利病院反対の市民運動の話を伺いました。

保険医療団体連合のウ・ソッキョン医師は赤ひげ先生のような活動的なお医者さん。
日本の「国家戦略特区」の韓国版「経済自由特区」について、
先行した韓国の事例をわかりやすく話していただきました。

日本では、この視察団では大田区、成田市の議員から自分の自治体の例を出して質問がありました。
特に、成田市は国際医療福祉大学が本年4月にオープン。
成田市は130億円も財政負担したということ(7/28号週刊金曜日によると)。
また、カジノもオープンさせる思惑もあるとか。

他人事ではない?!

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韓国では、2007年に「経済自由区域法」が制定されました。
特別法なので、他の法律に優先するということで、「教育、医療、環境、労働権」を例外規定にしたのです。

国会で法律改正をする必要がなく、行政命令で「告示」を出せばいいのです。

当初は3か所(仁川、釜山、光陽)だったのに、ノムヒョン、イミョンバク、パククネ政権の間に8か所に広げて、
ソウル市を除くすべての道(県)に設置してしまったのです。

当初の対象は外国人対象の教育機関、医療機関で、100%外国人が投資し、外国人の医者が外国人を対象に治療する。
つまり、外国企業の駐在員のための施設と説明されていたのですが、最終的には出資も50%でよい、医者も10%が外国人だったら良いと規制緩和されて行きました。

韓国では非営利病院でなければ設立許可が下りないのを、特区で医療法の例外措置として営利病院を認め、
当初は外国人相手だからよい、としたのが、最終的に国民を相手に金もうけをしてもいい病院が全国で10箇所許可されました。
(しかし、一つもできていません)

韓米FTA(新自由経済貿易法)によると、
保健医療の分野は韓国政府が決めるのですが、経済自由区域法、済州自治法では例外となります。
韓国政府が自由貿易地域に病院設立を許可した後に、やはり取り消そうとしたら、韓米FTA違反になってしまいます。
後戻りできない、つまりラチェット条項があります。

FTAもTPPも投資と貿易を結びつける事が目的です。
一国が協定を破った場合、報復を受けることになります。ISD条項です。

自由貿易区域に外国人が病院を設立すると、彼らは投資家となります。
投資家を優遇するのがFTAでありTPPです。
次に政権が変わって営利病院を廃止したくても、ラチェット条項に引っかかって、後戻りできません。

仁川に営利病院を作る話が10年前から起こっていました。
しかし市民運動の反対を受けて、一つも外国資本の病院はできていません。
電気、ガス、鉄道も2002年に民営化の試みがあって一部の民営化は行われたけれど、これもいまだ国営企業のままです。

国民に草の根運動で 民営化は良くないという世論を作り上げたからです。
その時、人々を納得させる例としてあげるのが、米国の医療制度。
悪いことは多くの人が知っています。

そして日本のJR.
運賃が高く、地下鉄との乗り入れが良くない、というと、観光で日本を訪れた人が多いので、共感を得るそうです。















 

いま韓国がすごい!!!ソウル市視察記7/25~29 Part1

2017-08-06 14:34:17 | 政治
大統領選挙後の韓国を実際に見てこようという視察に参加しました。
弾丸ソウル視察はハードな中身だったが、大変充実していました。
企画した奈須りえさん、コーディネートの白石孝さん、通訳の鈴木明さんに感謝。

ローカルのホテルに泊まって、毎朝、朝食をまちの食堂に食べに行く、
電車、地下鉄、バスを使っての視察で、地図が読めない、ハングルがわからない、方向音痴の私としては、迷子にならないよう必死でついて歩いた5日間でした。

全国から集まった市議、県議、国会議員が中心だったので、いつもはゆっくりと話ができないので今回情報交換することができ、貴重な機会となりました。

さて、パク・ウォンスン ソウル市長の元、労働政策が大変うまくいっています。
その政策を作った韓国労働社会研究所のキム・ジョンジンさんから参議院会館で2月に話を聞いていましたが、
政治の力で社会が変わる事を実感したいと思ってました。
その後、大統領選挙があり、そこで同じ「ともに民主党」のムン・ジェイン大統領の労働政策が評価されたとのこと。

パク・クネ前大統領の弾劾につながったチェ・スンシル事件で国民の怒りに火が付いたように、韓国の雇用問題も大変深刻ということを聞いていました。

まずは7/26 マニュフェスト実践本部。
イ・カンエ事務局長から話を聞きました。

日本のマニュフェスト運動から学んだことは、文民政府というのは国民がコントロールするものだということ。
それを基調にしてやってきた。

現在、韓国社会においてもマニュフェスト実践本部の運動が大きく影響しているようです。

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パク・クネ前大統領への弾劾によって国民も大きな傷を負ったが、大統領選挙は韓国社会へ治癒としての効果があった。

パク・クネ大統領の公約には文化の育成というのは大きな比重を占めていなかったのに、チェ・スンシルによって文化育成が大きく取り上げられた。
マニュフェスト運動として、文化活動に力を入れるのはよいことではないかと間違った判断をしてしてしまった、
チェ・スンシルが国政に介入することに、マニュフェスト運動としてしっかり対応できなかった。
だから、マニュフェスト運動としては政権引き継ぎの過程からしっかり見ていこうと考えている。

マニュフェスト運動は、公約に対して「よい」「悪い」あるいは「財政的に可能かどうか」を判断するのではなく、社会的議論を起こしてもらうということに焦点を当ててきた。

選挙にあたってはマニュフェスト運動から主要な候補に質問書を送り、100%答えてくれた。
マスコミもマニュフェスト運動の質問書ということで取り上げてくれ、公約の実現可能性などについて社会的議論を起こすことができた。
そういう意味では成功した。

今後、国会で公約1年後の履行状態を公開することを法律で定めようという動きがあるので、そうなるだろう。

日本との違いは、インターネット活動が無制限に保障されていることがあげられる。

実践本部が運営しているインターネットサイト(公約情報センター)では大統領から自治体議員までの公約82,000件がHPで見ることができる。
それとは別に、選挙管理委員会でも、選挙公約を公開するHPがある。

違いは、公約情報センターは大統領、自治体の首長の公約については1年ごとに点検し、履行度を公開している。

新大統領とは5年間の雇用契約である。
202の公約は契約事項。
5年後、再任するか、それを待たずに解雇、弾劾するか。

日本のマニュフェスト運動は内閣制なので、履行率を出している。
韓国は任期が決まっている大統領制で、民主共和国を謳っていることから、
履行率と国民とともにどれだけ行ったかということを指数化し成績表を出している。
100%の公約の実現は難しいが、その公約を大切に扱うというところを見たいと考えている。

2000年に入ってから、新公共管理論という行政の効率性を求める論理が台頭。
公共部門における投資、利潤率を求める理論、
これがあまりに過ぎると民主主義にそぐわないということで、評価の仕方を変えている。

マニュフェスト運動は、民主主義を成熟させるための取り組みと考えている。9月にマニュフェスト研究所を開設する。

マニュフェスト実践本部の認知度は3割程度だが、国民がマニュフェスト運動を必要だという声は92%。
この運動を始めるにあたって、運動の方向性をしっかり設定した結果と考える。

マニュフェストは議員を縛るものではなく、これまでの経験から有権者とともに行うという立場で、政治家の創意、想像を削ぐものではないことは確認されている。




初日の元気あふれる面々。




マニュフェスト実践本部のイ・カンエ事務局長



国会議事堂近くのマニュフェスト実践本部の入っている建物へ。
地下鉄の国会議事堂前駅は快速が止まらない。
なぜ?と聞いたら、国会議事堂前に止まると議員優先ととられるからって。ほんと?