原発事故が起こってから一貫して議会質問で放射能対策を取り上げてきた。
おしどりマコさんではないけれど、脱被バク、子どもたちを放射能被害から守る一点を貫いてきた。
その集大成ともいえる議会質問を昨年12月にしているので、振り返ってみたい。
2012年11月佐倉市議会一般質問より「放射能対策について」************
チェルノブイリ事故から判明した「食品放射能10ベクレル/kgは健康被害の境界線」に対応するため
伊藤 チェルノブイリ原発事故後26年が経過し、世代も3世代に渡っています。
9月26日に放映されたNHK「ETV特集 汚染地帯からの報告 第2回ウクライナは訴える」では、昨年4月ウクライナ政府が公表した「未来のための安全」と題する政府報告書が訴える健康被害の実態を特集しました。
被ばくと健康状態との関係を236万人のデータから検討したもので、被ばくした人から生まれた子どもたち32万人の調査結果もあります。
事故から6年後には被曝した人から生まれた健康な子どもは22%しかいませんでした。
その6年後はさらに減り6%になっています。
慢性疾患のある子どもは20%から78%に増加しています。
甲状腺などの内分泌系疾患、脊椎の曲がるなどの筋骨格系疾患、消化器系疾患、高血圧、脳こうそく、心臓病などの循環器系疾患が軒並み増加しており、一人の子どもが複数の疾患を抱えています。
汚染度の高い第2級汚染地域の学校の取材では、体力のない生徒が増加しており、生徒485人中正規の体育の授業を受けられるのはわずか14人、ほかの生徒は軽い運動しかできません。
救急車は多い時で日に3回も呼ぶこともあるということで、ウクライナでは国の対策で、汚染地帯すべての学校で低学年では10分間、高学年では5分間授業を短縮することを決めました。
また8年生までは試験勉強で具合が悪くなる生徒が続出したため、学力試験を取りやめています。
ガンは事故前10万人あたり200人が現在は10万人当たり310人。
原発事故後子どもたちが発症した甲状腺ガンは増え続け、事故から26年たった現在は子どものときの被曝による大人の発症数が汚染地域の全域で増え続けています。
原発近くからの避難民の死因のうち、ガンなど腫瘍以外の89%が心臓や血管の病気である循環器系疾患で占められています。
「NPO法人食品と暮らしの安全基金」では今年3度ウクライナ調査を行い、報告書を出しました。
調査は、移住できる権利のある「第3種汚染地域」と「非汚染地域」の学校ですが、線量は時間当たり0.13~0.08μSv程度です。佐倉でもざらにある放射線量の所です。
そこで暮らす子どもたちの7割が足のどこかが痛かったり、頭痛やのどが痛かったり、またその複数の症状がありました。
ウクライナでは村の周りの森からきのこやベリー類をとってきて、加工し、貯蔵して食べます。
報告書では、キノコの食事量に占める割合から平均10ベクレルの食事で健康障害が出ていると推測しています。
食品による放射能の内部被ばくを極力避けなければ、日本でも同様のことが起こるでしょう。
私たちは、チェルノブイリ原発事故の教訓から日本の子どもたちの健康被害を推測し、防がなければなりません。
現在の測定体制では、検出限界値が10ベクレル以上のため、セシウム134、137併せて20ベクレル以上になってしまいます。
次の段階としてどうすればいいのか、検討する必要があります。
それには、高い精度の検査がこれからのカギです。
精度の高い食品放射能測定器の購入が望まれます。ご見解を伺います。
環境部長 現在厚生労働省が設定した食品中の放射性セシウムの基準値は、一般食品で1キログラム当たり100ベクレル、乳児用食品、牛乳で1キログラム当たり50ベクレルです。
給食食材及び市内産農産物の安全性を確認するために、食品中の放射性セシウムスクリーニング法に準じた放射能測定を行っています。
現有する食品放射能測定システムで十分目的を達成できているものと考えております。
今後新たな指針が示されましたら、測定時間を延長するなど現有機器を有効に活用し、対応してまいりたいと考えております。
伊藤 保護者からは使っている食材の測定なので、安心できるという声が寄せられているということです。
原発事故から1年8ヶ月が経ち、放射能の値の出そうなもの、出ないものの傾向が分かってきました。
ハウス栽培のきゅうりやトマト、工場生産のもやしなどは、測らなくてもいいグループになると思います。
また、ただ測ればいいというものではなく、心配なものの確認作業としての位置づけになるよう、情報を共有していただきたいと思います。
どのように指導されていますか。
教育長 現在学校給食用食材の放射能検査は、1日2校、1校当たり2検体の計4検体について給食当日の朝にその日に使用する食材と同じものを測定しております。
各学校の協力のもと11月末までに580検体を測定してまいりました。
今までの方法により今後も慎重に対応してまいります。
伊藤 今まではかったものを見ましたら、キュウリとかトマトとかもやしとか、これはもう出ないのではないかという、そのようなものまで測定をしているのです。
ただ測ればいいというものではなく、やはり精査しながら測っていただきたい。
それには教育委員会、健康こども部のほうからも保育園関係に、放射能に関する情報を提供していただきたいと思います。
厚労省が放射能検査結果を発表しており、佐倉市教育委員会では以前から参考にしていたということでした。
そこから判明した気を付けるべき食材は、現在はキノコ、サツマイモ、レンコン、クリ、ミカン、小麦、大豆、水産物です。
そのような食材の放射能測定を強化する必要があります。
今後どのように取り組んでいきますか。
教育長 佐倉市教育委員会では栄養士が中心になりましてこの放射能検査についての検討を行っています。
各学校で季節のものを使う場合にはその時期に合ったものを選定しながら検査を実施しております。
伊藤 季節に合ったものをというと、柑橘系が出てきます。
柑橘系に対して十分時間をかけた測定というのが可能になるのかと思います。
まず、怪しいものを時間をかけながら測定をしていく。
ある程度のことがわかっているから、その次の段階としてどうするか。
戦略を立ててやっていかなければいけないと私は考えて提案をしております。
原発事故以前は核実験の影響でセシウム137の一日の摂取量は0.05ベクレルだったというデータもあります。
そこまでは無理としても1食あたり0.2ベクレルを目標にすると、事前調査で数値が出た食品は使えないことになります。
チェルノブイリ原発事故で健康被害に苦しんでいるウクライナの例を見るまでもなく、事前調査で数値の出た食品は使わないという方針取り組んでいただきたいと思います。
健康子ども部長 保育園の給食食材で申しますと、これまで事前調査で放射能が数値として検出されてはおりませんが、事前調査で数値の出ました場合には園児の安全を第一に優先し、慎重に対応をしてまいります。
教育長 学校給食における食材につきましてはこれまでの給食当日朝の検査で放射能が数値として検出されたことはございません。
また、千葉県の事業として本年7月に千葉県学校給食モニタリング事業が西志津小学校の給食で実施されました。
この事業は、1人の児童が食する1週間分の給食をまとめてゲルマニウム半導体測定装置により精密測定を行ったものでございます。
その結果、検出下限値0.5ベクレル精度の測定においてもセシウム134、セシウム137ともに不検出でございました。
教育委員会といたしましては、常に児童・生徒への安全を第一に優先して慎重に対応し、安心できる学校給食を実施してまいりたいと考えております。
伊藤 丸ごと給食測定ですが、サンプルとしてやられたと思うのです。
これからどう取り組んでいくか。
後付けですが、1週間分をまとめたものを0.5ベクレルという定量下限値で測定することは、傾向としてもわかると思います。
本来やはり事前測定が望ましいのですが、それができないのであれば、どう位置づけていくか、検討していただきたいと思います。
教育長 丸ごと食材の測定は、県の事業で、佐倉市で積極的に手を挙げてやっていただいたものです。
今後いろいろ県からの情報も吸収しながら考えてまいりたいと思います。
伊藤 ぜひお願いしたいと思います
先ほど食品放射能の基準値が100ベクレルということでおっしゃられていました。
基準値、大人1キロ当たり100ベクレルというのは非常に高い値だと思います。
これ廃棄物として再利用できる基準として環境省が定めています原子炉等規制法のクリアランスレベルと同じということなのです。
食品の安全基準が原発事故後は廃棄物のリサイクル用の基準値と同じということは、それはもう理由にはならないと思います。
やはりできるだけ詳細な測定ができる体制をこれからとっていただきたいと思いますし、新しい機械を買うことができないのであれば、今の機械を使ってできるだけ詳細な測定ができる体制を組んでいただく。
時間をかければ何とか10ベクレルぐらいまで下げることができるというふうにご答弁もいただいているのですけれども、それでしたら怪しいものからはかる。
お米とか事前にはかれるもの、小麦粉などそういうものを事前にはかる、時間をかけてはかるというようなことをやっていただく、そのような工夫をぜひお願いしたいと思います。
それから測定品の中には輸入食材も入っています。
参考値としては必要かもしれませんが、オーストラリア産のものとか、なぜこれが入ってきたのかとちょっと首をかしげるような状況も測定結果の中にはあります。
そのようなことも含めまして検査体制の見直しを要望したいと思います。
環境部長 輸入食品も含めて食品の流通というものは広範囲なものでございまして、出荷、流通の段階で国や県による一時的な検査が行われております。
市の検査は、子供たちの給食において2次的な検査をして、安全性を高めるものと認識しております。
基本的には広域で流通する食品等につきましては、食品衛生法に基づいてまず県と国がしっかりした責任を持って検査の実施を
していただきたいというふうに考えております。
伊藤 今せっかくいい感じでご答弁が来たなと思ったら、何か最後が国や県でという、それはないと思います。
やはり一番子供たちのことがわかっている佐倉市としてどうするのか、先進的な取り組みをぜひやっていただきたいと思います。
総務部長 検査体制の強化という意味でお答えをいたしますと、市におきましては12月1日付の人事異動によりまして放射能の測定の担当に管理栄養士を1名配置をしております。
学校給食等を含めてよく内容を知っている職員でございますので、その職員も活用しながら体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
伊藤 体制を強化されたということですので、同じようなものが、キュウリ、トマト、そういうものが測定されているのではもったいないと思いますので、ぜひ情報共有もお願いいたします。
学校給食の産地公表の取組について
伊藤 保護者の方から、ぜひ当日の給食の産地公表をしてほしいという要望が寄せられています。
教育長 各学校の献立表には、一部ではございますが、地場産物について産地の記載をしております。
日ごろから各学校では当日朝の食材の納入時にそれぞれの生産地などの情報を検収簿に記録しており、これまでも個別のお問い合わせには対応してまいりました。
それぞれの学校の事情により対応の方法等は異なるかもしれませんが、保護者の方のご要望がございましたら各学校へご相談いただければと考えております。
伊藤 要望があったらというのではなく、先取りとして、ホームページに載せるだけでいいのです。
朝入ってきた段階ですぐにわかると思います。
そんなに手間ではないとは思いますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
全体で取り組んでいただいたほうがより効果的かと思いますので、お願いいたします。
教職員、保育士、幼稚園教諭への放射能安全対策研修について
伊藤 放射能による健康被害は避けて通ることはできません。校庭、園庭にも放射能があり、除染したとしても原発事故以前の状況ではありません。
学校、幼稚園では放射能の正しい知識の研修を行っているという事です。
保育園でも放射能の研修が必要と考えます。
健康子ども部長 子育て支援課では、園児が受ける放射線量を低く抑えるための生活上の留意点など、保育現場における注意事項などについて施設長会議等を通じ、各園長に指導をしております。
各園長は、職員会議等を通じて放射能について職員が正しく共通理解して対応できるよう周知に努めております。
また、園児の健康を守るための研修は必要ですので、放射能につきまして保護者についての研修も含め、適時実施をしてまいります。
伊藤 保育園の子どもさんたちが本当に土と一緒に遊んでいるという状況を、運動会とか見学させていただいて思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
保育園、幼稚園園庭の土壌の放射能測定の実施状況について伺います。
環境部長 佐倉市では、放射性物質対策を進めるに当たり、対策目標値を国の示す基準である1時間当たり0.23マイクロシーベルトよりも厳しい0.223マイクロシーベルトと定め、空間放射線量率測定の結果、目標値を上回った施設において放射線量低減対策を行ってまいりました。
ご質問の保育園、幼稚園園庭の土壌につきましては、地上50センチメートルで対策目標値を上回ったものは既に除去工事を完了しておりますことから、土壌の放射能測定は行っておりません。
伊藤 放射能測定というのはベクレルではかるわけです。実際のところ3,000ベクレルの干しシイタケがあったとして、それに放射線どれぐらいかと思って測定しても本当に出てこないのです。
バックグラウンドのほうからの数値のほうが上がりまして、そういう意味でここに3,000の塊があったとしてもそれは測定できないわけです。
そういう意味で放射能測定をしていただきたいと思います。
特に子供たち、保育園、幼稚園の子どもたちというのは、土と一緒に、砂と一緒に遊ぶ。
その安全性の確認のためにもぜひお願いしたいと思います。
環境部長 平成23年度4月19日付の文部科学省から福島県内の学校等の給食、校庭等の利用判断における暫定的な考え方の中で、子供たちいろいろ土遊びやりますので、土や砂が口に入った場合はよくうがいするなど留意事項が示されております。
学校、保育園、幼稚園は、これに基づき適切な対応をされていると考えております。
伊藤 他市のホームページを見ていただいてもわかるのですが、土壌測定はやっているのです。何でそれほど佐倉市は土壌測定を嫌がるのかちょっと疑問に思うところです。
12月1日号の「こうほう佐倉」2面から4面にかけまして放射性物質特集を行っていました。非常に詳細に出ておりまして、今までの測定結果が出ていましたけれども、空間線量測定器の貸し出し測定結果によりますと臼井地区で最大値0.5マイクロシーベルト、志津地区で最大値0.257マイクロシーベルトと出ておりました。この高い値に驚いたのですが、その対応をどのようにしましたか伺います。
環境部長 12月1日号で載せております空間放射線量測定機器貸し出し状況につきましては、代表的な値を議会のほうで出してほしいということで、今回個人情報に気をつけながら、このような形で地区ごとに出させていただきました。
そのような中で、臼井地区については0.500と高い値が示されております。また、志津地区については0.257ですか。
このような中で、周辺より1マイクロシーベルト高くなりますと文科省の関係も出てきますけれども、それとは別としましても0.500、高い値でございますので、既に現場で確認しているものもございますし、今後もこのような状況を確認すべくこちらのほうで検査をしてまいりたいというふうに考えております。
伊藤 私が聞きたかったのは、これ0.5が出たらその測った方はこれをどうしましょうと相談されたと思うのです。
どのように対応したのかということですが。
環境部長 こちらの0.5が出ている分につきましては、ことしの3月ごろにはかったものということで聞いております。
そのときの職員とのやりとり、またその相談の状況等ちょっと今つかんでおりません。
またそちらのほうもしっかり調べてまいりたいと思います。
伊藤 除染は公共施設の部分は大体終わったということですが、やはりこういうふうにスポット的に残っているところは多々あると思います。
これからは私有地に対してどういうふうにやっていくのかという対策をとっていかなければならないと思います。