環境ジャーナリスト 青木泰さんより
「ガレキの広域化広がる疑惑」
宮城県では、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の震災がれきについては、鹿島JVに委託し、民間ベースで中間処理、最終処分を進めようとしていました。
北九州と同様東京都には、もって来るがれきはなくなっていたのに、なぜ東京に運んできたのか?
宮城県、東京都の怪しい連携の背景
宮城県の奇妙な資料―石巻市、女川町は、2重にブロック区分****************
3)東京都は宮城県の裏事情をしっていたか?
これらの経過を事実に基づき、もう一度まとめてみる。
宮城県のがれきは、2011年9月16日、石巻ブロック<石巻市、女川町、東松島市>から受託していた全量を鹿島JVに委託していた。
民間ベースでの処理を決定していた。
その時点で、国の予算上の裏づけのない東京都や他の自治体への広域処理分を別枠で積み残し保管することは考えられない。
宮城県が鹿島JVに委託した段階で、宮城県の石巻市や女川町から広域化政策の下にがれきを他の自治体で処理する必要は無くなったはずである。
その後東京都が女川町のがれきの受入れに手を上げ、2011年11月24日に宮城県、東京都、東京都環境整備公社が、「災害廃棄物の処理費本協定」を結んでいる。
そして東京都環境整備公社と東京都清掃一部事務組合が、試験焼却について委託契約を同年12月1日に結び、2012年2月23日本格焼却契約を締結する。
東京都が宮城県の女川町のがれきを受入れ、試験焼却から本格焼却へと進む経過は、以上の通りであり、東京都が受入れのための基本協定や試験焼却の準備を進めていたときには、民間ベースでの処理契約も終わっており、受入れの必要性がなくなっていたことは明らかである。
東京都とのやり取りの中で、宮城県の石巻ブロックには、鹿島JVに依頼した以外に石巻市には6万トン、女川町には10万トン別枠でがれきが保管されていたという形をとっているが、宮城県は、次の疑問に答える必要がある。
① 鹿島JVに685万トンものがれきの処理を委託しているのに、その2%でしかない16万トンを、広域化のために別枠でなぜ保管する必要があったのか?
② 広域化による処理委託費が高額に上ることを考えた時、この別枠処理は、国の交付金を使った処理として適切だったのか?
それは宮城県が主導した処理策だったのか?
環境省の指導の下で行ってきたのか?
③ そしてそれらのがれきは、本当に別枠として保管していたのか?
鹿島JVとの委託契約の時には、まだ行く先も見えなかった東京のために、先行して別枠で確保できたのはなぜか?
④ 北九州に試験焼却で送った石巻の分は、鹿島JVが確保していた分から送ったということだが、なぜ東京の分は、別枠にしたのか?
⑤ もし鹿島JVが確保していた分から東京に送っていたということになれば、同じがれきの処理を鹿島JVと東京に委託するという2重契約になり、詐欺行為になる。
鹿島JVもこのことは了解済みだったのか?
⑥ 東京都は、それらの事情を知っていたのか?
知っていたとすれば、宮城県の詐欺行為の共同正犯となるが?
東京都は宮城県の詐取行為に加担していたのか?
4)求められているのは、「がれきから人へ」
① がれきの総量の見直しと石巻ブロックの見直し
今年の最初、政府の総がかりの「絆キャンペーン」の下に、がれきの広域化が進められてきた。
インターネット、週刊誌メディア、新聞、TVとがれきの広域化が、列島を汚染する政策でしかないことが、徐々に広まった。
また全国での住民の戦いや広域化のおかしさに抵抗し、公然と批判を投げかける自治体が増加した。
そうした全国の声を受け、環境省との326交渉が行われ、そのころから環境省の広域化は、破たん局面に入った。
環境省が環境監視省でなく、環境汚染省として振る舞ってゆくというおかしさが、チェックされた。
その象徴的な出来事が、宮城県が当初環境省がカウントしていたがれきの総量の見直しを行い、宮城県の市町村の発生量として全体で約420万トン、約1/4のがれきが下方修正されたということである。
またそれに伴い、宮城県の受託分だけで言うと石巻ブロックは、685万トンから、312万トンに減ったことが報告された。
発生量OR受託量 見直し前 見直し後 差し引き<万トン>
宮城県全体 1572,9 1153,7 419,2
石巻ブロック 685 312 373
東京都の問題に却って、石巻ブロックのがれきは、全量鹿島JVに委託されていたが、それに加え、現状はそのがれきの量が、半減している。
何処から考えても高い処理費をかける東京に宮城県から運ぶ必要はない。
鹿島JVの請負は、地元での雇用を数千人作り出すとされていた。
石巻のがれきのわずか1.5%のがれきを東京都に持ってくる理由は、もう無くなった。
東京都は、宮城県のがれき処理から手を引くべきである。
② がれきの総量の再見直しをー岩手県の増加に異議
今回宮城県のがれきの総量が大幅に下方修正されたのは、環境省のがれきの推定が、住宅地図に基づき計算され、海に流される量を計算に入れていなかったという初歩的な失敗によるといわれている。
同様の計算方法でがれき量を推計した岩手県の場合も、もちろん下方修正が妥当である。
ところが岩手県は、全体で約1割、50万トン増えたといわれている。
岩手県も下方修正されていれば、がれきの広域化は、その時点で収束されていたと考える。
ところが岩手県は、土砂が泥が付着して量が増えたという。
宮城県が大幅に下方修正された理由、海に流されたを考えても、なぜ岩手県は、海に流されなかったのか?疑問が残る。
海に流される分を考えれば、岩手県も下方修正されてよいはずが、逆に増えている。
しかもデータを詳細に見てゆくと、被災市町村で増減があるが、陸前高田市は、これまでの約100万トンから約150万トンに50万トン、5割も増加している。
その他の市町村の増減でプラマイゼロであり、陸前高田市の分が、岩手県の増加分なっている。しかし土砂が付着して5割も増えることは在り得ない。
要するに岩手県が増えたという話は、もう一度検証する必要がある。
今回の東京都のがれき受入れ問題、どこまで石原都知事が知っていたのか?気になるところだ。
東京都が受け入れの発表をしたとき、石原知事の声は心なしかかすれていた。
その上で出てきたのは、「黙れといえばよい」という悪代官並みの発言だったのだ。民間ベースで進んでいたことを知っての発言だったとしたら責任を問われる事態になる。
大阪の橋下市長や今も全国で受入れを検討している首長は、がれき受け入れで利権に係わるのか?と言った疑念を持たれることは止めた方がいい。
がれきの広域化の破綻は、隠しようがない。
がれきの広域化は、先が見えてきたが、がれきなどの放射能汚染廃棄物の問題は、被災地を始め汚染地域で続く。
そして非汚染地域では、がれきの受入れではなく、避難者の受入れが今後本格的な課題になる。
「がれきより人を」である。
まだまだ福島原発の爆発の後処理すらできていない。
後世代に汚染とDNA異変を引き継いでゆくことはできない。
引用おわり************************************
5月、衆議院会館であった集会で、岩手県のガレキ量見直しは津波堆積物と海中から引き揚げたガレキで増加したものと説明していた。
説明した環境省職員へ、広域化処理は可燃ガレキについてという当初の要請とは違うのではと問題点を指摘したが、見なおしたばかりなのでこれ以上の見直しはない、と説明にならない事を言っていた。
つじつま合わせもしない国の姿勢に、広域化ありきで突き進む意図を感じた。
「ガレキの広域化広がる疑惑」
宮城県では、石巻ブロック(石巻市、女川町、東松島市)の震災がれきについては、鹿島JVに委託し、民間ベースで中間処理、最終処分を進めようとしていました。
北九州と同様東京都には、もって来るがれきはなくなっていたのに、なぜ東京に運んできたのか?
宮城県、東京都の怪しい連携の背景
宮城県の奇妙な資料―石巻市、女川町は、2重にブロック区分****************
3)東京都は宮城県の裏事情をしっていたか?
これらの経過を事実に基づき、もう一度まとめてみる。
宮城県のがれきは、2011年9月16日、石巻ブロック<石巻市、女川町、東松島市>から受託していた全量を鹿島JVに委託していた。
民間ベースでの処理を決定していた。
その時点で、国の予算上の裏づけのない東京都や他の自治体への広域処理分を別枠で積み残し保管することは考えられない。
宮城県が鹿島JVに委託した段階で、宮城県の石巻市や女川町から広域化政策の下にがれきを他の自治体で処理する必要は無くなったはずである。
その後東京都が女川町のがれきの受入れに手を上げ、2011年11月24日に宮城県、東京都、東京都環境整備公社が、「災害廃棄物の処理費本協定」を結んでいる。
そして東京都環境整備公社と東京都清掃一部事務組合が、試験焼却について委託契約を同年12月1日に結び、2012年2月23日本格焼却契約を締結する。
東京都が宮城県の女川町のがれきを受入れ、試験焼却から本格焼却へと進む経過は、以上の通りであり、東京都が受入れのための基本協定や試験焼却の準備を進めていたときには、民間ベースでの処理契約も終わっており、受入れの必要性がなくなっていたことは明らかである。
東京都とのやり取りの中で、宮城県の石巻ブロックには、鹿島JVに依頼した以外に石巻市には6万トン、女川町には10万トン別枠でがれきが保管されていたという形をとっているが、宮城県は、次の疑問に答える必要がある。
① 鹿島JVに685万トンものがれきの処理を委託しているのに、その2%でしかない16万トンを、広域化のために別枠でなぜ保管する必要があったのか?
② 広域化による処理委託費が高額に上ることを考えた時、この別枠処理は、国の交付金を使った処理として適切だったのか?
それは宮城県が主導した処理策だったのか?
環境省の指導の下で行ってきたのか?
③ そしてそれらのがれきは、本当に別枠として保管していたのか?
鹿島JVとの委託契約の時には、まだ行く先も見えなかった東京のために、先行して別枠で確保できたのはなぜか?
④ 北九州に試験焼却で送った石巻の分は、鹿島JVが確保していた分から送ったということだが、なぜ東京の分は、別枠にしたのか?
⑤ もし鹿島JVが確保していた分から東京に送っていたということになれば、同じがれきの処理を鹿島JVと東京に委託するという2重契約になり、詐欺行為になる。
鹿島JVもこのことは了解済みだったのか?
⑥ 東京都は、それらの事情を知っていたのか?
知っていたとすれば、宮城県の詐欺行為の共同正犯となるが?
東京都は宮城県の詐取行為に加担していたのか?
4)求められているのは、「がれきから人へ」
① がれきの総量の見直しと石巻ブロックの見直し
今年の最初、政府の総がかりの「絆キャンペーン」の下に、がれきの広域化が進められてきた。
インターネット、週刊誌メディア、新聞、TVとがれきの広域化が、列島を汚染する政策でしかないことが、徐々に広まった。
また全国での住民の戦いや広域化のおかしさに抵抗し、公然と批判を投げかける自治体が増加した。
そうした全国の声を受け、環境省との326交渉が行われ、そのころから環境省の広域化は、破たん局面に入った。
環境省が環境監視省でなく、環境汚染省として振る舞ってゆくというおかしさが、チェックされた。
その象徴的な出来事が、宮城県が当初環境省がカウントしていたがれきの総量の見直しを行い、宮城県の市町村の発生量として全体で約420万トン、約1/4のがれきが下方修正されたということである。
またそれに伴い、宮城県の受託分だけで言うと石巻ブロックは、685万トンから、312万トンに減ったことが報告された。
発生量OR受託量 見直し前 見直し後 差し引き<万トン>
宮城県全体 1572,9 1153,7 419,2
石巻ブロック 685 312 373
東京都の問題に却って、石巻ブロックのがれきは、全量鹿島JVに委託されていたが、それに加え、現状はそのがれきの量が、半減している。
何処から考えても高い処理費をかける東京に宮城県から運ぶ必要はない。
鹿島JVの請負は、地元での雇用を数千人作り出すとされていた。
石巻のがれきのわずか1.5%のがれきを東京都に持ってくる理由は、もう無くなった。
東京都は、宮城県のがれき処理から手を引くべきである。
② がれきの総量の再見直しをー岩手県の増加に異議
今回宮城県のがれきの総量が大幅に下方修正されたのは、環境省のがれきの推定が、住宅地図に基づき計算され、海に流される量を計算に入れていなかったという初歩的な失敗によるといわれている。
同様の計算方法でがれき量を推計した岩手県の場合も、もちろん下方修正が妥当である。
ところが岩手県は、全体で約1割、50万トン増えたといわれている。
岩手県も下方修正されていれば、がれきの広域化は、その時点で収束されていたと考える。
ところが岩手県は、土砂が泥が付着して量が増えたという。
宮城県が大幅に下方修正された理由、海に流されたを考えても、なぜ岩手県は、海に流されなかったのか?疑問が残る。
海に流される分を考えれば、岩手県も下方修正されてよいはずが、逆に増えている。
しかもデータを詳細に見てゆくと、被災市町村で増減があるが、陸前高田市は、これまでの約100万トンから約150万トンに50万トン、5割も増加している。
その他の市町村の増減でプラマイゼロであり、陸前高田市の分が、岩手県の増加分なっている。しかし土砂が付着して5割も増えることは在り得ない。
要するに岩手県が増えたという話は、もう一度検証する必要がある。
今回の東京都のがれき受入れ問題、どこまで石原都知事が知っていたのか?気になるところだ。
東京都が受け入れの発表をしたとき、石原知事の声は心なしかかすれていた。
その上で出てきたのは、「黙れといえばよい」という悪代官並みの発言だったのだ。民間ベースで進んでいたことを知っての発言だったとしたら責任を問われる事態になる。
大阪の橋下市長や今も全国で受入れを検討している首長は、がれき受け入れで利権に係わるのか?と言った疑念を持たれることは止めた方がいい。
がれきの広域化の破綻は、隠しようがない。
がれきの広域化は、先が見えてきたが、がれきなどの放射能汚染廃棄物の問題は、被災地を始め汚染地域で続く。
そして非汚染地域では、がれきの受入れではなく、避難者の受入れが今後本格的な課題になる。
「がれきより人を」である。
まだまだ福島原発の爆発の後処理すらできていない。
後世代に汚染とDNA異変を引き継いでゆくことはできない。
引用おわり************************************
5月、衆議院会館であった集会で、岩手県のガレキ量見直しは津波堆積物と海中から引き揚げたガレキで増加したものと説明していた。
説明した環境省職員へ、広域化処理は可燃ガレキについてという当初の要請とは違うのではと問題点を指摘したが、見なおしたばかりなのでこれ以上の見直しはない、と説明にならない事を言っていた。
つじつま合わせもしない国の姿勢に、広域化ありきで突き進む意図を感じた。