Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ヘンクツ映画小僧版「午前十時の映画祭:日本篇」(前)

2013-07-04 01:30:00 | コラム
本コラムで度々記しているが、
映画史的に無視するわけにはいかない名作たち―それらを「朝1回」「2週間」ずつリバイバル公開していく企画、『午前十時の映画祭』が好評である。

自分も「ほぼ毎回」足を運んでいるが、若いひとが少ないのがもったいない! と強く思う。

「新作を追いかけるだけで精一杯」なのは分かるけれど、メガトン級の傑作なわけですよ、やっぱりそういうのはスクリーンで対峙したい。

残念なのは今回、通常であれば50作揃えなければならないところ、25作しか用意出来なかったこと。

候補作は沢山あった。
あり過ぎるくらいにあったのだが、前回まではフィルムのニュープリント上映、今回からはデジタル上映というちがいがあって、
つまりフィルムのデジタル化が「そこそこ高額」なため、予算が足りなかったというのである。

難しくてややこしい権利の問題により、デジタル化への費用は作品によってちがう。

ざっくりいえば、今回デジタル化された作品は恵まれた映画、見送られた作品は恵まれていない映画、、、そういうことである。

うーん、厳しいぜ。


さて。
これらの映画を選出するのは、品田雄吉や戸田奈津子など、いわゆる大御所たちである。

もし自分が選ぶ側になったら、どんな50本が並ぶのか―それをやってみようと思うのだが、まずは二日に分けて日本映画から試してみたい。


いつもの「偏愛」を可能なかぎり殺し、

(1)映画史的に重要であること
(2)人気作、野心作を交互に選出すること、

そして、

(3)黒澤映画だらけになってしまうため、監督ひとりにつき一作のみとすること

・・・というルールを決めて、悩みに悩みに悩んで以下のようなリストが出来上がった。


(1)黒澤明、『用心棒』(61)

「敢えて」これを。

(2)小津安二郎、『晩春』(49)

黒澤に同じ。

(3)川島雄三、『幕末太陽伝』(57)

このエネルギー、羨ましい。

(4)今井正、『また逢う日まで』(50)

いま観てもキュンとくる。

(5)長谷川和彦、『太陽を盗んだ男』(79)

毒を、喰らおう。

(6)山田洋次、『家族』(70)

自分にとっては「寅さん」より、こっち。

(7)宮崎駿、『魔女の宅急便』(89)

とにかく、早く『風立ちぬ』が観たい。

(8)岡本喜八、『肉弾』(68)

こういう映画を大スクリーンで観る機会、少な過ぎると思う。

(9)寺山修司、『田園に死す』(74)

10代のうちに観ておきたい。

(10)大森一樹、『ヒポクラテスたち』(80)

俳優みんなが輝いている。

(11)大島渚、『絞死刑』(68)

クスッと笑えて、ズドンとやられる。

(12)篠田正浩、『心中天網島』(69…トップ画像)

ハッとする美しさ。

(13)橋本忍、『私は貝になりたい』(59)

脚本のひとだが、監督やっても満点。

(14)勅使河原宏、『砂の女』(64)

文学への挑戦。負けているのかもしれないが、かなりの接戦だと思う。

(15)森田芳光、『家族ゲーム』(83)

何度観ても腹抱えて笑える。

(16)鈴木清順、『けんかえれじい』(66)

馬鹿馬鹿しさは、徹底すると清々しい。

(17)浦山桐郎、『キューポラのある街』(62)

元気をもらえる。自分の世代でもそうだから、下の世代に試してほしい。

(18)小林正樹、『切腹』(62)

仲代の眼光、その迫力。

(19)小栗康平、『泥の河』(81)

インディーズの雄、その堂々たるデビュー作。

(20)溝口健二、『近松物語』(54)

様式美、これはスクリーンで拝みたい。

(21)今村昌平、『豚と軍艦』(60…文末動画参照)

大きなスクリーンで、しけた若者たちの生態を覗くのも悪くない。

(22)新藤兼人、『裸の島』(60)

岩石じいさんのすごさが、これ一本で分かるかと。

(23)野村芳太郎、『砂の器』(74)

遍路シーンは、テレビの画面じゃ物足りない。

(24)市川崑、『おとうと』(60)

映像の力。これに関しては自分、映画のほうが(小説に)勝っていると思う。

(25)木下恵介、『カルメン故郷に帰る』(51)

底抜けに明るい。


※映画史への深い愛憎と皮肉をこめて、小津とイマヘイ映画の同時上映とか面白そう。





あすは、26~50本目を。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『ヘンクツ映画小僧版「午前十時の映画祭:日本篇」(後)』

コメント (3)
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