10年以上前の話である―。
ある映画の先行オールナイト上映を観るために、行列に並んでいたときのこと。
後ろのカップルが口喧嘩を始めたな、厄介だな面倒くさいな・・・と思っていたら、男のほうが彼女の頬を叩き、さらに膝あたりを蹴り始めた。
最初はジョークかと思っていたが、その打撃はなかなかに強い。
彼女のほうは、いまにでも泣き出しそうである。
こんなに「あけっぴろげ」にDVやるヤツも居るのかと呆れたが、あまりにもひどいので傍観者でいるわけにはいかないだろう、
止めるにはどうすべきか、最初から腕力を行使していいのか、それとも口で注意か。
しかし、こんな男に届くことばなんてあるのか。
・・・と、いろいろ考えていたら、暴力は収まった。
ふぅ、焦らせんなよ。
それから3分くらい経ったろうか、ごく自然な感じで後ろを確認してみると、ふたりは抱き合っていたのである。
チュー、までしている。
へ?
さっきのパンチや蹴りは、なんだったの!?
居るんだ、こういうことを繰り返すカップルが。
ある種のプレイか、あるいは「いつも、そういう男を好いてしまう女の図」か。
結局、行動しなくて正解だった―ってこと?
このときはそうだったのかもしれないけれど、べつのときは分からないよねぇ。
理想の喧嘩・・・なんてものがあるのか疑問だが、いいなぁと思ったのは、スコセッシ初期の佳作『アリスの恋』(74…トップ画像)。
しがないウェイトレスと「その客」による丁々発止の口喧嘩は、いつまでも観ていたくなるほど痛快で気持ちよかった。
口喧嘩ではなく議論だが、『十二人の怒れる男』(57)や『日本の夜と霧』(60)の、自分のイキザマを賭けたような「やりあい」も素晴らしい。
しかし、これらはもちろん、脚本家による考え抜かれた「台本あり」の口喧嘩である。
スコセッシは「アドリブ大歓迎」だったらしいが、それでも俳優は「これから口喧嘩のシーンが始まる」と意識して撮影に臨んでいる。
現実には、そうはいかない。
「あした、口喧嘩するぞ」と入念な準備をすることなどない・・・う~ん、場合によっては「ある」かもしれないが、それは稀なケースで。
日常生活における口喧嘩は、なんとなく始まり、ちょっとずつ火がついて、、、という流れだろう。
だから丁々発止とはいかないし、独特の間が生まれる。
その間に耐えられなくなったほうが、「ごめん」と謝ったり。
さて、自分が異性と初めて口喧嘩したときの話。
前回書いたとおり、少年時代は同性と口喧嘩さえ出来なかった。
女子ともなればナオサラで、そもそも、目を見て話せるようになったのも18歳以降だったのである。
だ、だせぇ。
チョーだせぇ。
そんなダサいヤツだから、どうしようもないことで口喧嘩をした。
19歳のころ―随分と淡白? な女子と付き合った。
すぐ別れてしまったけれど、ともかく男と女の仲にはなった。
淡白? な子だから、1日を過ごしたとしてもエッチは1回しか許してくれない。
対する自分は病的に濃厚であり、1回なんかじゃ満足出来っこない。
しかし何度頭を下げても土下座をしても「美味しい店、連れて行くから」といっても「勘弁して」と、つれない。
そこで自分は彼女が寝入ったあと、全裸になり、彼女をも「なんとか」全裸にし、アレヤコレヤ楽しみながら自慰をすることにした。
基本が早漏だから、3分もすれば果てる。
その果てる直前に、彼女が目を覚ましたのである。
「なに、これ!!」
「あぅ、あぅぅぅう」と、声にならない自分。
「サイテー!!」
ふだんなら「ごめんね、ごめんね」と必死に謝るところだが、果てるところまでいかなかったことから怒りを覚え、いい返すことにした。
「させてくれないからじゃん!」
「だから、疲れちゃうんだって!」
「だったら、寝てるだけでいいから!」
「なにそれ、あたしをダッチワイフと思ってるわけ?」
「そんなこと、あるか! ほんとうなら、ふたりで楽しみたいんだよ!」
「でも、あなたのクドさについていけないの!!」
午前4時である。
阿呆も極まった感があるが、このあと1時間くらい「きみはアッサリし過ぎている」「いやいや、あなたがクドいのよ」と、やりあった。
で、朝を迎えて―。
彼女は口喧嘩にさえ疲れてしまい、「いい、もう寝る」といって、暖かいのに「いろいろ着込んで」ベッドに入ってしまった。
「もう触らないで」という意味である。
なぜ付き合ってんだ? と思うかもしれないが、
回想してみると、自分、しょっちゅう「やろ、ねぇ、やろう。いいでしょう?」とお願いしていたような気がする。
たぶん、自分が悪いんだね。
ひとり残された自分は、というと・・・。
じつをいうと、口喧嘩をしている最中も、ずっと勃起していた。
仕方がないので、着込みに着込んで肥満体のようになった彼女の寝姿を見て、おとなしく? 自慰をしましたさ。
サイテーだが、彼女を好いていたことだけは分かってもらえるんじゃないだろうか、そんなにまでして自慰をしたのだから。
おわり。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『ヒーロー願望はありますか』
ある映画の先行オールナイト上映を観るために、行列に並んでいたときのこと。
後ろのカップルが口喧嘩を始めたな、厄介だな面倒くさいな・・・と思っていたら、男のほうが彼女の頬を叩き、さらに膝あたりを蹴り始めた。
最初はジョークかと思っていたが、その打撃はなかなかに強い。
彼女のほうは、いまにでも泣き出しそうである。
こんなに「あけっぴろげ」にDVやるヤツも居るのかと呆れたが、あまりにもひどいので傍観者でいるわけにはいかないだろう、
止めるにはどうすべきか、最初から腕力を行使していいのか、それとも口で注意か。
しかし、こんな男に届くことばなんてあるのか。
・・・と、いろいろ考えていたら、暴力は収まった。
ふぅ、焦らせんなよ。
それから3分くらい経ったろうか、ごく自然な感じで後ろを確認してみると、ふたりは抱き合っていたのである。
チュー、までしている。
へ?
さっきのパンチや蹴りは、なんだったの!?
居るんだ、こういうことを繰り返すカップルが。
ある種のプレイか、あるいは「いつも、そういう男を好いてしまう女の図」か。
結局、行動しなくて正解だった―ってこと?
このときはそうだったのかもしれないけれど、べつのときは分からないよねぇ。
理想の喧嘩・・・なんてものがあるのか疑問だが、いいなぁと思ったのは、スコセッシ初期の佳作『アリスの恋』(74…トップ画像)。
しがないウェイトレスと「その客」による丁々発止の口喧嘩は、いつまでも観ていたくなるほど痛快で気持ちよかった。
口喧嘩ではなく議論だが、『十二人の怒れる男』(57)や『日本の夜と霧』(60)の、自分のイキザマを賭けたような「やりあい」も素晴らしい。
しかし、これらはもちろん、脚本家による考え抜かれた「台本あり」の口喧嘩である。
スコセッシは「アドリブ大歓迎」だったらしいが、それでも俳優は「これから口喧嘩のシーンが始まる」と意識して撮影に臨んでいる。
現実には、そうはいかない。
「あした、口喧嘩するぞ」と入念な準備をすることなどない・・・う~ん、場合によっては「ある」かもしれないが、それは稀なケースで。
日常生活における口喧嘩は、なんとなく始まり、ちょっとずつ火がついて、、、という流れだろう。
だから丁々発止とはいかないし、独特の間が生まれる。
その間に耐えられなくなったほうが、「ごめん」と謝ったり。
さて、自分が異性と初めて口喧嘩したときの話。
前回書いたとおり、少年時代は同性と口喧嘩さえ出来なかった。
女子ともなればナオサラで、そもそも、目を見て話せるようになったのも18歳以降だったのである。
だ、だせぇ。
チョーだせぇ。
そんなダサいヤツだから、どうしようもないことで口喧嘩をした。
19歳のころ―随分と淡白? な女子と付き合った。
すぐ別れてしまったけれど、ともかく男と女の仲にはなった。
淡白? な子だから、1日を過ごしたとしてもエッチは1回しか許してくれない。
対する自分は病的に濃厚であり、1回なんかじゃ満足出来っこない。
しかし何度頭を下げても土下座をしても「美味しい店、連れて行くから」といっても「勘弁して」と、つれない。
そこで自分は彼女が寝入ったあと、全裸になり、彼女をも「なんとか」全裸にし、アレヤコレヤ楽しみながら自慰をすることにした。
基本が早漏だから、3分もすれば果てる。
その果てる直前に、彼女が目を覚ましたのである。
「なに、これ!!」
「あぅ、あぅぅぅう」と、声にならない自分。
「サイテー!!」
ふだんなら「ごめんね、ごめんね」と必死に謝るところだが、果てるところまでいかなかったことから怒りを覚え、いい返すことにした。
「させてくれないからじゃん!」
「だから、疲れちゃうんだって!」
「だったら、寝てるだけでいいから!」
「なにそれ、あたしをダッチワイフと思ってるわけ?」
「そんなこと、あるか! ほんとうなら、ふたりで楽しみたいんだよ!」
「でも、あなたのクドさについていけないの!!」
午前4時である。
阿呆も極まった感があるが、このあと1時間くらい「きみはアッサリし過ぎている」「いやいや、あなたがクドいのよ」と、やりあった。
で、朝を迎えて―。
彼女は口喧嘩にさえ疲れてしまい、「いい、もう寝る」といって、暖かいのに「いろいろ着込んで」ベッドに入ってしまった。
「もう触らないで」という意味である。
なぜ付き合ってんだ? と思うかもしれないが、
回想してみると、自分、しょっちゅう「やろ、ねぇ、やろう。いいでしょう?」とお願いしていたような気がする。
たぶん、自分が悪いんだね。
ひとり残された自分は、というと・・・。
じつをいうと、口喧嘩をしている最中も、ずっと勃起していた。
仕方がないので、着込みに着込んで肥満体のようになった彼女の寝姿を見て、おとなしく? 自慰をしましたさ。
サイテーだが、彼女を好いていたことだけは分かってもらえるんじゃないだろうか、そんなにまでして自慰をしたのだから。
おわり。
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明日のコラムは・・・
『ヒーロー願望はありますか』