本ブログで度々言及する映画、『ピアノ・レッスン』(93)。
本作を特別好きな理由はいくつかあるが、たぶん公開当時に付き合っていた子からの影響もあるのだろうと思う。
彼女が特に好きだったシーンは、海のなかに沈んだエイダが浮上してくるところ。
劇場で一緒に観たときこそ声は出さなかったものの、家でビデオ鑑賞する際は、きまって「来た来た来たー!」と織田裕二ばりに叫んでいた。
愛のために、再び今生へと再生するこのシーンは、たしかに感動的。
ただそれ以上に、個人的に感銘を受けたところが・・・
声を失った、というより、自ら話すことを放棄したエイダが、自分の分身である鍵盤を使い、愛のことばを刻むシークエンス。
「Dear George, you will have my heart, Ada McGrathe」(トップ画像)
「わたしのハートは、あなたのもの」という意味だが、最後の署名は「エイダの旧姓」なのである。
未婚、ということになっている。
旦那スチュアートが激怒し、彼女の指を切断したのは、愛のことばそのものより、この署名だったのだと思われる。
それにしてもスチュアートを演じたサム・ニールは、こういう役が似合う。
アジャーニ嬢に振り回される『ポゼッション』(80)もそうであったし、『オーメン/最後の闘争』(81)では成人したダミアンを演じていた。
生まれながらにして不幸、みたいな。
父性に目覚める主人公を好演した『ジュラシック・パーク』(93)もあるけれど、上記した作品のほうがインパクト強いものね。
そうそう、きのう挙げ忘れたが、映画のなかの印象的な愛の告白でもうひとつ。
レイア姫「I love you」
ハンソロ「I know」
でしょう、やっぱり!!
さて。
自分が、「生まれて初めて、声に出して愛の告白」をしたエピソード。
それは高校1年の冬、、、であるからして、意外と? 遅い。
ただ相手の石川陽子ちゃん(たぶん、もう旧姓だ)というのは、前日に言及した「7年のあいだに3度」告白した子である。
1度目は、なんとカセットテープに録音してそれを送る形で告白をした。
これが、小学2年か3年のとき。
根性なしといわれればそれまでだが、当時はたぶん、それこそが完璧だ! と思っていたんだ。
でも、声に出してんじゃん?
そうかもしれないが、生の声じゃないので失格。
そして当然のように、そんな気持ち悪い告白の答えは「NO!」であった。
その3年後の小学6年時に、今度は恋文で告白。
江戸川乱歩の長編小説をプレゼント、目次の次ページに恋文を挟みこんでおいた。
これまた、「NO!」。
中学生になり、陽子ちゃんとは疎遠に。
(それまでだって、親密という間柄ではなかったけれど)
肥満化が顕著になった時期でもあり、性格は内向きを極める。
だから再び告白するという気も起こらなかったし、さらにいえば、同じクラスに金子真理ちゃん(たぶん旧姓)と田口果代子ちゃん(たぶん旧姓)という二大美人が出現したため陽子ちゃんのことを忘れかけていたというのもある。
その3年後、高校1年生の夏。
やばい自分、このままでは童貞のまま一生を終えることになるかもしれない!
と焦り始め、100kgを超えていた体重を70kg台にまでシェイプアップ。
そう、きっかけは、性欲だったんだ。
性欲の先に現れたのが・・・と書くと少し失礼になるが、陽子ちゃんだった。
痩せたことで自信がついた自分は、やっと「自分の声」で愛を伝えることを決意、
「―牧野と申しますが、陽子ちゃん居ますか?」
「―どちらの牧野さんですか」
電話に出た陽子ちゃんママから怪しまれたが、そうだよな、陽子ちゃんは女子高に進学したんだものな。
「七小、三中で一緒だったものです。クラス会が企画されたので…」
「あぁ、そうでしたか!」
後半は、もちろん嘘だった。
真冬に、母校・館林市立第7小学校の校庭に呼び出す。
ヒトコト「好きです!」とか、「振られているけど、やっぱり諦めきれない!」程度でよかったはずなのに・・・
根性なしなので「想いを証明するために痩せた」だとか、余計なことをベラベラと喋りつづけてしまった。
そのあいだ、陽子ちゃんはずっと俯いていた。
彼女を見て、答えを聞く前から「もうアウトだ」と思ってしまった。
思った時点で負けな気もするが、思ってしまったんだから仕方あるまい。
そして答えは、やっぱり「NO!」だった。
陽子ちゃんはやさしい子なので「いまは、勉強で精一杯」といってくれた。
そういえば陽子ちゃんは、3度とも自分の口から答えを発してくれたんだっけ。
こっちはカセットテープ、紙、そしてようやく声に出したというのに。
どれがベストというのはないのかもしれないけれど、断られたにしても、声に出したときのほうが清々しさはあった、、、ような気がします、はい。
おわり。
※当時、夢中になっていた曲
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『好き好き、大嫌い』
本作を特別好きな理由はいくつかあるが、たぶん公開当時に付き合っていた子からの影響もあるのだろうと思う。
彼女が特に好きだったシーンは、海のなかに沈んだエイダが浮上してくるところ。
劇場で一緒に観たときこそ声は出さなかったものの、家でビデオ鑑賞する際は、きまって「来た来た来たー!」と織田裕二ばりに叫んでいた。
愛のために、再び今生へと再生するこのシーンは、たしかに感動的。
ただそれ以上に、個人的に感銘を受けたところが・・・
声を失った、というより、自ら話すことを放棄したエイダが、自分の分身である鍵盤を使い、愛のことばを刻むシークエンス。
「Dear George, you will have my heart, Ada McGrathe」(トップ画像)
「わたしのハートは、あなたのもの」という意味だが、最後の署名は「エイダの旧姓」なのである。
未婚、ということになっている。
旦那スチュアートが激怒し、彼女の指を切断したのは、愛のことばそのものより、この署名だったのだと思われる。
それにしてもスチュアートを演じたサム・ニールは、こういう役が似合う。
アジャーニ嬢に振り回される『ポゼッション』(80)もそうであったし、『オーメン/最後の闘争』(81)では成人したダミアンを演じていた。
生まれながらにして不幸、みたいな。
父性に目覚める主人公を好演した『ジュラシック・パーク』(93)もあるけれど、上記した作品のほうがインパクト強いものね。
そうそう、きのう挙げ忘れたが、映画のなかの印象的な愛の告白でもうひとつ。
レイア姫「I love you」
ハンソロ「I know」
でしょう、やっぱり!!
さて。
自分が、「生まれて初めて、声に出して愛の告白」をしたエピソード。
それは高校1年の冬、、、であるからして、意外と? 遅い。
ただ相手の石川陽子ちゃん(たぶん、もう旧姓だ)というのは、前日に言及した「7年のあいだに3度」告白した子である。
1度目は、なんとカセットテープに録音してそれを送る形で告白をした。
これが、小学2年か3年のとき。
根性なしといわれればそれまでだが、当時はたぶん、それこそが完璧だ! と思っていたんだ。
でも、声に出してんじゃん?
そうかもしれないが、生の声じゃないので失格。
そして当然のように、そんな気持ち悪い告白の答えは「NO!」であった。
その3年後の小学6年時に、今度は恋文で告白。
江戸川乱歩の長編小説をプレゼント、目次の次ページに恋文を挟みこんでおいた。
これまた、「NO!」。
中学生になり、陽子ちゃんとは疎遠に。
(それまでだって、親密という間柄ではなかったけれど)
肥満化が顕著になった時期でもあり、性格は内向きを極める。
だから再び告白するという気も起こらなかったし、さらにいえば、同じクラスに金子真理ちゃん(たぶん旧姓)と田口果代子ちゃん(たぶん旧姓)という二大美人が出現したため陽子ちゃんのことを忘れかけていたというのもある。
その3年後、高校1年生の夏。
やばい自分、このままでは童貞のまま一生を終えることになるかもしれない!
と焦り始め、100kgを超えていた体重を70kg台にまでシェイプアップ。
そう、きっかけは、性欲だったんだ。
性欲の先に現れたのが・・・と書くと少し失礼になるが、陽子ちゃんだった。
痩せたことで自信がついた自分は、やっと「自分の声」で愛を伝えることを決意、
「―牧野と申しますが、陽子ちゃん居ますか?」
「―どちらの牧野さんですか」
電話に出た陽子ちゃんママから怪しまれたが、そうだよな、陽子ちゃんは女子高に進学したんだものな。
「七小、三中で一緒だったものです。クラス会が企画されたので…」
「あぁ、そうでしたか!」
後半は、もちろん嘘だった。
真冬に、母校・館林市立第7小学校の校庭に呼び出す。
ヒトコト「好きです!」とか、「振られているけど、やっぱり諦めきれない!」程度でよかったはずなのに・・・
根性なしなので「想いを証明するために痩せた」だとか、余計なことをベラベラと喋りつづけてしまった。
そのあいだ、陽子ちゃんはずっと俯いていた。
彼女を見て、答えを聞く前から「もうアウトだ」と思ってしまった。
思った時点で負けな気もするが、思ってしまったんだから仕方あるまい。
そして答えは、やっぱり「NO!」だった。
陽子ちゃんはやさしい子なので「いまは、勉強で精一杯」といってくれた。
そういえば陽子ちゃんは、3度とも自分の口から答えを発してくれたんだっけ。
こっちはカセットテープ、紙、そしてようやく声に出したというのに。
どれがベストというのはないのかもしれないけれど、断られたにしても、声に出したときのほうが清々しさはあった、、、ような気がします、はい。
おわり。
※当時、夢中になっていた曲
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明日のコラムは・・・
『好き好き、大嫌い』