Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(282)林隆三

2015-06-10 05:52:55 | コラム
43年9月29日生まれ・2014年6月4日死去、享年70歳。
東京出身。

70年代症候群を患う自分は、暇を見つけてはこの時代に創られた映画に触れています。

『タクシードライバー』(76)1本だけの話ではなく、
『キャリー』も『ロッキー』も『愛のコリーダ』も76年産、
『太陽を盗んだ男』と『復讐するは我にあり』は79年産、
『仁義なき戦い』は73年産、
そして自分が誕生した74年には、橋本忍が10年の歳月を経て完成に漕ぎ着けた『砂の器』が生まれています。

沸点ぎりぎりの熱さを保った作品ばかりで、いつ観ても精神的に汗だくになります。

これらの映画に関わったすべてのひとが、自分にとってはヒーローです。
監督至上主義の自分ではあるけれど、俳優陣はもちろん、助監督や美術スタッフ、スクリプターのみんなを尊敬しています。
映画は総合芸術ですからね、誰かひとり欠けただけでダメなんです。


70年代といえば、にっかつ/日活が踏ん張っていた時代でもあります。
ポルノ/非ポルノにかかわらず、みんな熱い。

みんな熱いから、みんな好き。
えぇ、たとえそれが駄作であっても。

自分のなかには、そんな時代に対する強い、強い憧れがあるのだと思います。

日活を支えたひとりが藤田敏八監督で、このひとの『妹』(74)に主演したのが本日の主役・林隆三(はやし・りゅうぞう)さん。



秋吉久美子が全面に押し出されていますが、いやいや、それでも主演は林さんなんです。

まぁ物語そのものも、妹・秋吉に翻弄される兄、、、という感じなのですけれど。。。




<経歴>

少年時代に仙台で暮らしていたことがあり、3.11後は東北への支援を積極的におこなっていました。

高校の同級生に、関口宏。
高校中退後、俳優座の俳優養成所に入り基礎を学ぶ。

テレビドラマの端役でキャリアをスタートさせ、70年の『俄』(TBS)で主演を務める。

映画俳優デビュー作は、前述した『妹』。
(繰り返しになりますが)秋吉久美子のインパクトを前にして、やや分が悪い役回りではあるものの、林さんは好演していたと思います。

77年、新藤兼人に口説かれて『竹山ひとり旅』に主演。
津軽三味線の名手といわれる高橋竹山を熱演しています。

新藤監督は、ピアノなど様々な楽器を演奏出来る林さんに「どうしても」出てほしかった―と、講演で仰っていましたね。

以降も『日本の仁義』(77)、『地獄』(79)、『積木くずし』(83)、『友よ、静かに瞑れ』(85)、『早春物語』(85)などに出演するも、日本映画の斜陽と評される80年代は、テレビドラマでの活躍のほうが目立ちます。
自分の青春時代はこの80年代だったものだから、余計に70年代の熱さに魅かれているのかもしれません。

その他の作品に・・・
『三たびの海峡』(95)、『霧の子午線』(96)、『時雨の記』(98)、
『郡上一揆』(2000)、『解夏』(2004)、『男たちの大和/YAMATO』(2005)、『魂萌え!』(2007)、『北辰斜にさすところ』(2007)、『ホームカミング』(2011)。


2014年、5月28日―。
ライブを終えた直後に倒れ、病院に搬送。

6月4日、腎不全のため死去。
享年70歳。

映画の遺作は、2011年の『エクレール・お菓子放浪記』。


怒るとおっかなそう、でもちょっと愛嬌もあって・・・こういうおじさんに、なりたいものです。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(283)原田大二郎』

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TSUBAKI

2015-06-09 05:40:04 | コラム
「―俺の名前は、、、椿。 椿、三十郎。もうすぐ四十郎だがな」


花の名前を知らなくとも、椿くらいは知っている。

椿を指して「これは椿」といえるのは、『椿三十郎』(62)のおかげだけど。

そうかそうか、三十郎は38~9歳くらいなのね。
いまの自分より、ちょっと後輩ということか。
実際に会って、ああいう態度を取られたら、こっちが敬語使ってしまいそうだが。

黒澤は『椿三十郎』をカラーで撮りたがっていた―というのは有名な話。
椿を、鮮やかな色で捉えたかったから。
しかし。
キューブリックやタルコフスキーと同様に完璧主義の黒澤にとって、技術陣が提供するカラー映像に納得が出来なかった。

ほかの監督であったら後年、ディレクターズ・カットとして「その部分」だけ撮り直していたかもしれない。
その代わり黒澤は翌年、『天国と地獄』(63)のワンショットにパートカラーを取り入れている。

あの、有名な煙ね。



この手法は、黒澤を敬愛するスピルバーグも使用している。



・・・って、いやいや、きょうは映画の話ではなく。

よくする会話で、狙ってもいないのに「必ず」笑われることがある。

「えっ、髪の毛シャンプーで洗ってんの?」
「そうだよ」
「坊主なのに?」
「なのにって、なによ?」
「ボディシャンプーとか、石鹸とかでいいんじゃないの」
「いやいや、よくない。しかも二度洗いだよ」

大抵、ここで一度目の笑いが起こる。

「なんで二度洗い?」
「一度目は、泡立ちにくい。短過ぎるんだろうね」
「ほらやっぱり、ボディシャンプーでいいんだよ」
「いやいや、自分の頭にしっくりくるのはTSUBAKIなんだよ」

ここで二度目の笑いが起こる。

「TSUBAKI使ってんの!?」
「うん、セグレタとかマシェリも試したけど、やっぱりTSUBAKIだね」




「でもあれ、日本の女性は美しいと謳っているわけだし、坊主の中年用に開発されたわけじゃないんだよ」


んなこと、分かっているがな。
いろいろ試して辿り着いたのがTSUBAKIだったんだから、それでいいじゃないか。


とはいっても。
夏が近づいてきたので、そろそろスースーするシーブリーズに変えようかと思っている。

もちろん、シーブリーズも身体用と髪の毛用の2種類を用意する・・・といったら、やっぱり同じように笑いが起こる。
「だから、ボディシャンプーで頭もやっちゃえばいいじゃん」って。

いかにも無粋だなぁ!!
身体をボディシャンプーで洗っても、チン毛だけはシャンプーで洗う自分だよ、たとえ短くとも毛は「毛、専用。」で洗わないと。


1日10笑いを目標に掲げている自分なので、笑ってもらえるのはうれしい。
しかし本意ではないところで笑われるのは、なんかちがうんだよなぁ。。。





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『にっぽん男優列伝(282)林隆三』

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シネマしりとり「薀蓄篇」(124)

2015-06-08 05:50:27 | コラム
たーと「る」→「る」いあーむすとろんぐ(ルイ・アームストロング)

「まっき~、その歌、よく口ずさんでいるよね。好きなん?」
「うん、CMで聞いただけだから、この部分しか知らないんだけどね」
「曲名、知ってる?」
「…恥ずかしいことに、それも知らない」
「『この素晴らしき世界』、有名な曲だよ」

中学2年のころだったと思う、もうなんのCMかも覚えていないが、サッチモの代表曲『この素晴らしき世界』が流れていて、ほとんど毎日のように口ずさんでいた。
曲名を教えてくれたのは、音楽通の吉岡くんだったと記憶する。

よし、来月の小遣いでレコード―そう、まだレコードだった―を買おう、、、そう思っていたのだが、その数週間後に斉藤由貴のアルバムが出たものだから、結局は買わずじまい。

その1~2年後に自分は映画小僧を名乗るようになり、『この素晴らしき世界』と(何度も何度も)再会することになる。

最初は『グッドモーニング、ベトナム』(87)だったと思う。
「これしかない」というシーンで「これしかない」という選曲、物語は忘れても、そのシーンだけは未だワンショット「ごと」完全に覚えている。

この曲を流した、技あり! な映画の筆頭といえば、『12モンキーズ』(95)なのではないか。

※このころのマデリーン・ストー、ほんとうに美しい




終末的な物語ゆえ、エンドクレジットで流れたときは打たれるものがあった。

中盤にオリジナル、エンディングにカバーを流したのは、マイケル・ムーアの『ボウリング・フォー・コロンバイン』(2002)。





オリジナルは、ルイ・アームストロングによるもの。
口に特徴があるひとで、サッチモという愛称は「satchel mouth」(がま口みたいな口)からきたという説や、「such a mouth!」(なんて口だ!)からきたという説などなど、正確な由来は分からないらしい。

1920年代にデビューを果たし、数々のヒット曲を生み出す。

スポーツ選手もそうだが、このころの黒人の生きざまは、そのまま人種差別の重い歴史とも重なっていく。
いくらステージで喝采を浴びようとも、宿泊先や劇場の出入り口まで(同行する)白人たちとは別々で、サッチモはどんな思いで日々を暮らしていたのかなって想像する。

『この素晴らしき世界』のほかに、代表曲として『キッス・オブ・ファイア』『ハロー・ドーリー!』など。

また、『グレン・ミラー物語』(54)や『上流社会』(56)、『5つの銅貨』(59)では俳優にも挑戦、演技は上手とはいえないが、愛嬌があって悪くない感じ。

71年7月6日に死去、享年は69歳。


音楽サイトにジャンプしたほうが詳しいキャリアを知ることが出来ると思うので、細かいキャリアは割愛。

ただ古典の凄みというか、偉大さというか、歳を取るごとにそういうものを強く感じるようになった自分が居るなぁ、、、と。

10年前はそうではなかったけれど、いまは、この曲が流れてきただけで、涙腺がうるうるしてきてしまうのだもの。
そこまで思い入れがある曲というわけではないのに、あの歌声と、歌詞に、やられているのだと思う。


※最後に、サラ・ブライトマンのバージョンで





次回のしりとりは・・・
るいあーむすとろん「ぐ」→「ぐ」らんぶるー。

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『TSUBAKI』

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シネマしりとり「薀蓄篇」(123)

2015-06-07 05:52:14 | コラム
たーみねー「たー」→「たー」とる(タートル)

オオカミ
タカ
ライオン
クジャク
イヌ

・・・じっくり考えたわけではないので、あすには変わっていそうだが、好きな動物5傑を挙げてみた。

イヌは小型犬というより大型を指しているので、この5傑でいうと、自分は可愛らしさよりも格好よさに魅かれていることが分かる。
(とかいって、次点はカピバラさんとかウォンバットなんだけど!)

そしてクジャクを除き、みんな移動の速度が速い。
彼ら彼女らが本気を出せば、ヒトなんて追いつけない。

「その逆」とされているのが、「カメさん」だろう。

※英語だと「海がめ」をturtle、「陸がめ」をtortoiseというが、分けると面倒なので、すべてのカメさんをタートルといっちゃいましょう。
本サイトは辞書ではなく、あくまでもブログだからね。


『ウサギとカメ』や『浦島太郎』に登場するカメさんは、派手さはないが「とてもいいヤツ」として描かれている。

見た目があんなだしね、たしかに和むし、なんか応援したくなる。





しかし。
じつは恐竜は「それほど速く移動出来なかった」らしいが、その逆にカメさんは「我々が想像する以上には」速く動けるらしく。
そのへんを突いた映画タイトルが、日本の『亀は意外と速く泳ぐ』(2005)であった。


映画に登場するカメさんの、個人的3傑を挙げてみよう。

ロバート・ロドリゲスの、ひょっとしたら最高傑作かもしれない『エル・マリアッチ』(92)。

冒頭で主人公とともに歩くカメさん、顔をちょっと隠すしぐさを見せるのだが、それがものすごくキュートだった。

『ビバリーヒルズ・コップ2』(87)では、アクセル(エディ・マーフィー)の影響ですっかりキャラ変わりしてしまったローズウッド(ジャッジ・ラインホルド)の自宅で飼っているカメさんが登場。

「これは?」
「ビッグアルだ。この家では古株だよ」
「カメだろう、これは。オス?」
「そうだよ」
「疑問だったんだ、カメのちんちんってどこなんだ?」
「(怒るローズウッド)」

わはは笑


最後に、映画の出来としてはどうかな? とは思うが、インパクトという点で外せないのが『ミュータント・タートルズ』のシリーズ(90~)だろう。



基本は子ども向け、では大人の鑑賞に堪えられないかというと、そんなこともない・・・が、この見た目なので、個人的にはどうしても真面目に向き合えない困った作品ではある。

しかし去年からスタートした新シリーズも大人気ということで、現在パート2が制作されている。


なにがヒットするか、ほんとうに分からない世の中である。


※上野樹里ちゃんって、ふつうの女子キャラを演じたほうがぜんぜん魅力的なんだけどな





あすのしりとりは・・・
たーと「る」→「る」いあーむすとろんぐ。

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『シネマしりとり「薀蓄篇」(124)』

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年に1度の、生MMA

2015-06-06 05:40:52 | コラム
今年は「ないかも…」と思っていた北米のMMA団体イベント、『UFC』の日本大会が9月に開催される―その第一報を聞いた瞬間、飛び上がりながら奇声を上げてしまったよ。

足首、ちょっと痛めていたというのに。
深夜2時だったというのに。

近隣住民さん、ごめんなさいでした。

※日本では未だ「総合格闘技」とされているが、世界的には「MMA=Mixed Martial Arts」と呼ばれているので、本サイトではそう表記することにする。


『UFCジャパン』が開催される度に書いている気がするが、日本のMMAファンは「生観戦」に飢えている。
小さな興行ならいくつかあるが、「有明」や「さいたま」の客席が埋まる規模の「日本単体」興行はゼロなのだった。

また昔のことを持ち出すが、年に何回も開催されていたPRIDEを経験してきてしまったものだから、現在の状況に耐えられないのである。

ボクシング業界は活況を取り戻しているが、MMAに関していえば、未だ冬の時代。
だから「いつまで洋モノに頼らなければいけないんだよ」と嘆きながらも、今年も開催されるというニュースを聞けば、やっぱり歓喜してしまうのであった。

現時点で決定しているのは、ジョシュ・バーネットの参戦のみ。



日本を愛する、「青い瞳のケンシロウ」といわれるベテランである。


その国に馴染みの深いファイターを揃えてくれるのが、UFCのよいところであり、層の厚さを感じさせてくれるところ。
新星の堀口恭司はもちろん、
怪我が治ればKIDも出るだろうし、ラストチャンスかもしれない五味も参戦することだろう。


ともあれ。
これで、夏~秋のスケジュールがなんとなく決まってきた。

8月は音楽フェス、サマーソニック。(15日、16日)
9月はUFCジャパン。(27日)
そして10月は、東京国際映画祭。

あぁ金が飛ぶ、金が飛ぶ。

もっと働けということだろう。

はい、がんばります。


※「日本単体」で、ビッグイベントが開催出来る日を信じて・・・




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『シネマしりとり「薀蓄篇」(123)』

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