Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(184)

2016-07-26 04:55:55 | コラム
先日の朝日新聞社会面に、万引きの罪に問われたひとが「認知症」だった、、、という記事が載っていた。

「前頭側頭型認知症」という。

なるほど、そういうこともあるかもしれない。

きのうはきのうで、『3年目の浮気』がヒットした「ヒロシ&キーボー」のキーボー(59)が、化粧品を万引きして現行犯逮捕されたというニュースが。

自分の世代では、すぐにウィノナ・ライダーや「ロス疑惑」三浦和義を想起してしまうが、やっぱり、なるほど、そういうこともあるかもしれない・・・と思った。


自分のなかで、この世界には精通している―と自信を持っていえるのは、映画全般と格闘技の一部(MMA)、AV全般くらいだが、
「かじっていたから、専門的なことも多少はいえる」と思っているのは、猟奇的な犯罪史と、軽犯罪の事例の数々である。

後者は、とくに盗撮と万引き。

それを取り締まる私服の保安員をやっていたから、だが、万引きに関しては自分自身もガキのころ「病的な」加害者でもあった。

それでも。
誤解を恐れずにいえば、10代のころの万引きは(一部のガキにとっては)通過儀礼みたいなところがあり、成人後に盗っ人になってしまう可能性は「かなり」低い。

『リリイ・シュシュのすべて』(2001…トップ画像)が描くように、さほど悪くもないヤツでさえやってしまうのが万引きという「お手軽犯罪」で。
(もちろん、やらないにこしたことはないよ)


ただ中年~老年の万引きというのは一筋縄ではいかず、保安員を悩ませる厄介な事案がひじょうに多かった。

そのことについては度々書いてきたが、今回あらためて「初めての保安業」として綴ってみたい。


万引きの現場を確認し犯人を捕えて事務所に連行、警察が到着するまでのあいだ説教、のようなもの(=説諭)をする―これが保安員の主な仕事だが、よほどの鈍感でもないかぎり万引き犯は見つけられるもの、この仕事のなにが難しいかって、説諭に尽きると思う。

依頼店の事務所は、その店の従業員たちの休憩室でもある。
そのなかで、相手に頭を下げさせなければいけない。

高圧的になり過ぎて泣かせても事務所の空気を悪くするし、かといって、相手になめられてもいけないし。

自分?

まぁ、悪くなかったと思うよ。

店長さんに「グッドジョブ!!」と褒められることも、多かったし。

ただやっぱり、自分の親と同年もしくはそれより上のひとに説諭するのはしんどかった。

本気で叱れないよ、仕事と割り切ったとしても、自分だってろくでもない人生歩んでいるのにさ、「あんた、いいトシこいてみっともないよ」なんていえない。

調子に乗りまくっているガキを捕まえて脅したほうが、性にあっている・・・そう思っていたのは自分だけではないようで、新人保安員が辞めていく理由の1番こそ「年配者への説諭」だったのだ。


さて。
店長は「見せしめ」として警察送りにすることだけでなく、プラスアルファを望んでいることが多い。

捕まえたものの3割くらいが常習犯だから、余罪を吐かせ、その被害額を算出し弁償させる、、、とか。
(ほんとうは、保安員は「そこまで」やっちゃいけない)

本人はもちろん、その家族にも出入り禁止を命じる、、、とか。
(罪のない弟を呼び、彼にサインさせたときは可哀想だったなぁ)


このあいだ店長は、自分と万引き犯のやりとりを後ろのほうで腕組みして見ていることが多い。

しかしある日の事案では、店長が自分を押し退けて万引き犯に殴りかかったことがあった。

と、いうのも・・・。


つづく。


※保安員のドラマといえば、やっぱり木の実ナナかな。

よい曲ですなぁ。




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『初体験 リッジモント・ハイ(185)』
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いつかギラギラする日

2016-07-25 00:10:00 | コラム
きょうは、かーちゃんの命日。

死んだ日は、とっても暑かったので、深作映画からタイトルを拝借してみた―そう、覚えているのは、かーちゃんの死に顔や悲しむ近所のひとたちの顔ではなく、ひたすらギラギラしていたことだけ。


トップ画像は、たぶん高2の夏休み。
汐留で開催されていた「ハリウッド映画村」に家族3人で行ったときの写真かと。


※中3のころ



※ねーちゃんと行ったのであろう、フラワーパークでの1枚




ここ数日、かーちゃんの夢ばかり見る。

先日は「振り込め詐欺」に引っかかった夢、一昨日はクマに遭遇して大パニック! みたいな夢。

最近起こったニュースに、あのころのまま歳を取らないかーちゃんが紛れ込むっていう設定だが、共通しているのはハッピーではないということ。

寝起きはサイアクだ、ときに泣いていることもあるし。

それでも、ねーちゃんは「ぜんぜん夢を見ない私よりマシ」という。


※死んで数週間後、父親とスナックに行ったときの1枚・・・だと思う




実際の話、夢は自分の脳内で作り出したものであろうから、自分だけの問題なのだろうが、

「かーちゃんが心配して、やってきてくれた」

などと、ひとは都合よく解釈しがちだ。


まぁそれもよいだろう、
死者はいつだって、生きているものに都合よく扱われる、だから命日っていうのは、その罪滅ぼしに充てられるべきものなんだ―完全に間違っているのだろうが、自分はそんな風に認識し、きょうを迎えた。

かーちゃん、朝になるまで待っていてください。
沢山の供え物をして、黙祷しますんで。

とりあえず、合掌。

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明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(184)』
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からっ風野郎

2016-07-24 00:10:00 | コラム
いまの住処に越してきて数ヶ月後、エアコンを取り付けた。

業者のおじさん曰く「両方の窓を開けてりゃ、かなり涼しいねぇ。エアコン必要ないんじゃ?」。

たしかにそうなんだが、自分は基本、昼夜逆転の生活をしており。
しかも隣りは小学校だ、夏はプール教室があり、先生は拡声器を使って喋るし・・・って、まぁそれらすべてがイイワケだ、日本で最も暑い地域―館林―に生まれた割には暑さには弱い、だからエアコンは必要なんだべさ。

現時点(7.23、16時)では、エアコンはつけていない。
風通しがよく、とっても心地いい。

風。
そして群馬といえば、からっ風である。

しかし館林は東京寄りのため、山からは遠く、よく「からっ風だよね」と他県のひとにいわれるけど、「えぇ、まぁ…」という中途半端な返ししか出来ない。

からっ風を受けたことが、いちども・・・ってことはないかな、しかしほとんど受けたことがないため、よく分からないのである。

映画小僧にとっての「からっ風」とは、上州名物ではなく、三島が主演した珍作『からっ風野郎』(60)のほうだよと。




というわけできょうは、映画のなかで描かれた「印象的な風」10傑を展開してみたい。


(1)『ミラーズ・クロッシング』(90…トップ画像)

風に舞う帽子は、もはや語り草か。

サウンドトラックとして、ところどころのシーンに「風の音」が紛れ込んでいるところに注目。

(2)『羅生門』(50)

あの風さえ吹かなければ・・・。

(3)『恐怖の報酬』(53)

爆風のあとに、爆発音―核爆発の恐怖を、端的に表現している。

(4)『風立ちぬ』(2013)

沢山のひとがカバーしているが、あややのバージョンで。




(5)『用心棒』(61)

ゴーストタウンと化した宿場に、強風。

(6)『アメリカン・ビューティー』(99)

風に舞うビニール袋。




(7)『ヘイトフルエイト』(2015)

猛吹雪が、このクセモノたちを呼び寄せた。

(8)『台風クラブ』(85)

10代の不安定さを台風の上陸とからめて出色。

相米監督の、最高傑作かと。

(9)『八月の狂詩曲』(91)

もちろん、突風の吹くラストシーン。

あらためて黒澤は、「悪天候描写の天才」だと思った。

(10)『フェイス/オフ』(97)

アクションの様式美を追究するジョン・ウーの映画では、風になびくコートでさえ美しい。

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『いつかギラギラする日』
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階段

2016-07-23 05:01:53 | コラム
先日―。
郵便屋さんが「ゆうパック」を届けに、自分の住む5階までやってきて、少しぜぃぜぃいいながら・・・

「そこに置いてある自転車は、牧野さんのものなんですか」

と、問うてきた。

チャリ好きの郵便屋さんかな。

「えぇそうですよ」
「すごいですね、ここはエレベーターないのに、5階まで抱えて」
「いえいえ、ロードバイクはママチャリとちがって、えれー軽いですから」
「そうはいっても、幅もありますし~」

なるほど。
見ない顔なので、初めてこの団地の配達をしているっぽい。

階段の上り下りを繰り返し、ちょいとイヤになっての会話だったのかも。

郵便屋さん、おつかれさんでした。


その1週間ほど前―。

宅配ピザを、クレジットカードで注文。

届けてくれたのは30代真ん中くらいの女子で、やっぱりぜぃぜぃいっていた。

「お待たせしました、すいません、ちょっと息切れしちゃって」
「(苦笑)いえいえ、おつかれさんです」

「―以上で、ご注文の品はお揃いですよね」
「・・・あれ、ポテトとサラダがないかもね」
「・・・あっ!!」
「だよね?」
「申し訳ありません! すぐにお持ちします! すぐに!!」
「(笑う)いや、ゆっくりでいいからね、ゆっくりで。階段も、走って上がらなくていいから」

20分後―。

「すいませんでした、こちらお詫びです」

と、沢山のドリンクをつけてくれた。

「いえいえ、クレジット払いじゃなかったら、その場でキャンセルしちゃったんだけどね、こっちこそ、ごめんなさい」


団地族になって10年が経過。

越してきたころは「階段がどうした?」であったのに、

30代が40代になったわけでね、
それからイイワケのように付け加えれば、膝に爆弾を抱える身であるし、

今まで見向きもしなかった「手すり」を使うことが多くなった。


生粋のチャリダーを自称している自分だってしんどいときがあるのだ、宅配業者さんは大変だよねと。

そういえばデリヘル嬢を呼んだときも、「辿り着かないと思った」といわれたっけ。

面白かったな、あの子。
元気しているだろうか。


歳を取るごとに「手すり」のありがたみを実感する―きょうは、そんな話である。

ん?

ジジイかよ!! って?

まだそんな歳じゃないだろうって?


もうそんな歳だよバカヤロウ、膝がピキピキ鳴るんだからしょうがないじゃないか。

こりゃまずいと思って膝中心の筋トレを始めたが、残った半月板がさらに欠けているのかもしれないなぁ、そんな痛みなんだ。(10年ほど前に事故で欠け、主治医に「キミの半月板は、成人男性の3分の1くらいしか残ってない」といわれた)

ほんとうはMRI撮ってもらったほうがいいのだろうけれども、あれ高いんだよね、しばらくは筋トレで様子見しておこうと思う。


※映画のなかの階段といえば・・・
たぶん一般的には『戦艦ポチョムキン』(25)や『アンタッチャブル』(87)、『蒲田行進曲』(82)になるのだろうが、
個人的には『エクソシスト』(73)の階段も印象的だった。

トップ画像のほかに、こんなのもあったしね。




そして音楽では、やっぱりこれでしょう




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『からっ風野郎』
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にっぽん男優列伝(334)本木雅弘

2016-07-22 00:10:00 | コラム
65年12月21日生まれ、50歳。
埼玉出身。

公式プロフィール


ヘアヌード写真集を出したり、紅白でコンドーム遊びをしてみたり、

※ちゃんとした意図があったようですが




「シブがき隊」のなかのエキセントリック担当になっていくのか・・・と思われた本木雅弘(もとき・まさひろ)さん、ですが、ふと気づいたら正統派の中堅俳優に。

もう50歳というのもオドロキですが、映画小僧として「モックン、抜けたな」と感心したのは、95年の『GONIN』からでした。

代表作はオスカーにも輝いた『おくりびと』(2008)、、、ということに「なっている」のでしょうけれど、
滝田監督の映画ではもっと優れているものがあるし、モックンだってこれ以上の演技を披露している作品もあります、だからこれをきっかけにほかの出演作を観るひとが増えたらなぁ・・・と思います。

※最新主演作、とっても面白そう。原作もぜひ!




<経歴>

夫人は、内田裕也と樹木希林を親に持つ内田也哉子。

元「シブがき隊」メンバー。

ちなみに・・・
「たのきん」ならマッチ、
「少年隊」ならニッキ、
「シブがき」ならヤックン派でしたかね、自分は。


81年に芸能界入りし、『2年B組仙八先生』(81~82、TBS)で俳優デビューを飾る。

「金八」に比べると弱いのでしょうが、悪くなかったですよ、毎週欠かさず観ていましたもの。

このときに同じ「2B」の生徒役として出演していた薬丸裕英、布川敏和とシブがき隊を結成し、82年に『NAI・NAI 16』で歌手デビューを果たす。
(解散ではなく解「隊」は、88年)


映画俳優デビュー作は82年の『ボーイズ & ガールズ』で、これは「シブがき隊のメンバー」としての出演です。
そのあとの『ヘッドフォン・ララバイ』(83)、『バロー・ギャングBC』(85)も同様。

このころにモックンを「俳優」として認識していたひとは、ファンにも居なかったのではないでしょうか。

俳優としての躍進は、解「隊」後に訪れました。

ソロになった翌年の89年だけでも、『226』、『ラッフルズホテル』、『ファンシイダンス』に連続出演。

とくに、坊さんの世界を周防監督が軽妙に描いた『ファンシイダンス』は高評価を受け、多くの映画ファンは「あれ、3人のなかで最も映画向きなのかも」と、その可能性に期待を寄せ始めます。

『陽炎』(91)、『遊びの時間は終らない』(91)、
再び周防監督と組んだ『シコふんじゃった。』(92)、
『魚からダイオキシン!!』(92)、
浮いた感じがちょっと厳しい『ラストソング』(94)、
明智小五郎を演じる『RAMPO』(94)、前述した『GONIN』、
96年の『トキワ荘の青春』では寺田ヒロオを誠実に演じ、このころには、モックンの肩書きを「元アイドル」とするひとは、ほとんど居なくなったのでした。

98年、三池崇史の快作『中国の鳥人』に主演、
99年、塚本晋也の『双生児』(99)で2役に挑戦、



『スパイ・ゾルゲ』(2003)では尾崎秀実を演じ、
そして2008年に自ら企画を売り込み、『おくりびと』に主演する。

個人的にはモックンの好演より、ヒロスエの艶っぽさに参ってしまったクチです苦笑


『天空の蜂』(2015)、
さらに『日本のいちばん長い日』(2015)では、昭和天皇(トップ画像)を演じる。

最新作は、西川美和の『永い言い訳』(2016)。


本数はそれほど多くはないですが、順調なキャリアを築き上げていますね。

おそらく、きっちり脚本を読み込んで、どれに出るべきかを吟味するタイプなんだと思います。


次回のにっぽん男優列伝は、森繁久彌さんから。

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明日のコラムは・・・

『階段』
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