fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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師とは有難きものー彫刻家峯田敏郎先生

2012年12月12日 | 日記

               

 「記念撮影-遠い日の風音・私の母と-」2011年峯田敏郎展図録より

 尊敬している方はたくさんいますが、実は尊敬している先生(学校という場での)は、数人です。その数少ない一人が峯田敏郎先生。峯田先生は、秋田大学在学中にお世話になりました。現代日本を代表する彫刻家でもあります。

 卒業後はしばらく年賀状をお出ししたり、銀座でやってらっしゃる個展を訪ねたり、上野の国展を観に行くくらいはしていましたが、ここのところは随分とご無沙汰をしていました。私は教え子だったと言えるほどでもなく、その辺は微妙なのですが、私が直でお世話になっていた先生は別にいて、峯田先生は私の友人の直の先生でした。でもそのお人柄と卓越した芸術家としての魅力に、勝手に何かにつけ、友人にくっついて先生のお話を伺いに行っていたのです。ホント、そういう図々しいところは、他の場面でも結構あります。引っ込み思案なんですが、ここっていうところは頑張るんです。

 そして、その図々しさがまた出てきて。最近、先生にぜひともお願いしたいことができ、勝手ながらお手紙を差し上げました。するともうその日に投函してくださったなというくらいのすぐに、お返事をくださり、お願いに対しては快諾! その上、この作品集を同封してくださいました。涙が出そうになるほど有難いことでした。そして作品集がすばらしくって!! あらためて、すごい! と思いました。

   「芝居は終わった」(作品集より)

 作品集には、新聞などに寄稿した文章も載っていました。これがまた感動もの。その中のものをご紹介したいと思います。

 「私は芸術家になるわけではありませんので、ほどほどにお願いします。専門家のような実技の勉強より、子どもの気持ちを理解でき、楽しく美術を指導できる幅広い知識を身に付けた、立派な教師になりたいのです」「そう、それならまず本格的にやりなさい。たとえ作品が立派にできなくとも、一つのことをとことん追求する、その姿勢を身につけなさい。美術教育は実践する具体的な行為の中にあり、抽象的な理論の中にはないのだから」

 かつて先生と学生との間に交わされた会話です。まさに峯田先生は一つのことをとことん追求されていることで、教育者としての姿を示されている方でした。そういう先生の姿に感動はしていたけれど、実践できなかったという悔いはあります。が、まだ人生は終わっていないと、思うわけです。

 他にも、宮沢賢治の詩を引用していた文章があり、私は今年賢治と再会したともいえたので、感無量でした。

 その詩がこちら

…みんなが町で暮らしたり一日あそんでいるときに

 おまえはひとりであの石原の草を刈る

 そのさびしさでおまえは音をつくるのだ

 多くの侮辱や窮乏のそれらを嚙んで歌うのだ

 もしも楽器がなかったら

 いいかおまえはおれの弟子なのだ

 ちからのかぎり

 そらいっぱいの 

 光でできたパイプオルガンを弾くがいい

 http://www.kokugakai.com/cyoukokubu/ryakureki/minetatoshirou.html

 で、先生の作品の写真が数枚見られます。