今年まだ10日ありますが……。あくまで「おもしろかった」「よかった!」と思った本です。順不同。
・『下町ロケット』(池井戸潤)小学館 今さら言うまでもないですね。おもしろかったです。
・『K』(三木 卓) 文藝春秋 この方は詩人でもあり、児童文学者でもあるのです。『イトウくん』(福音館)という幼年童話は、(失礼ながら)かなりのご年配の方が書かれたとは思えない現代的な子どもと家族を描いていて、おもしろかったです。『ばけたらふうせん』は永遠の名作! 『K』は、亡くなられた奥様とのことを書かれた私小説。光太郎と智恵子のような二人。
・『八月の光』(朽木 祥) 偕成社 3編の短編連作集ですが、とくに最初の『雛の顔』がすばらしいです。被爆二世の作者ならではの作品ですが、原爆の恐ろしさを伝え、なおかつ文学として昇華された深く心に染みてくる作品です。
・『光の朝』 (村田喜代子) 文藝春秋 とくに3・11以降「光」が、原爆や核をも象徴してしまっているようです。村田喜代子さんの作品には、ほとんど子どもが登場しません。そして変な男女間のゴタゴタのない大人の世界を描ける方だなあと思います。ご本人も3・11後に癌告知され、放射線治療を受けられたとか。放射線治療を受けながら、テレビで原発事故の報道を見ているという現実を描くことで、放射能という見えないものの現代でのあり様をじわじわと感じさせてくれます。
・『ソルハ』 (箒木蓬生) あかね書房 アフガニスタンの少女の物語。イスラムの世界は、どこか遠くにあるのですが、現実に今の地球で、このように生きている子がいるのだと知らせてくれる物語です。児童書なので、子どもの視点で描かれていて、わかりやすかったです。
・『お父さん、牛になる』 (晴居彗星) 福音館書店 ある日、朝起きると、お父さんが牛になっていました。という言ってみれば、カフカの「変身」の児童書版です。「変身」を読んだのがもう何十年も前なので、細部は覚えていないのですが、悲しい話でした。『お父さん、牛になる』なんて、ある意味二番煎じだし、ある意味、「食べて寝たら牛になる」から来た話だし、なんですが、なんでしょう、このリアリティ。ちょっと泣いてしまいました。
ほかにも読んでおもしろかった本、メモっていたのですが、そのメモが見あたりません。(←しょっちゅう)忘れているものもあるような気がしますが、しかたないですね。思い出せるのはこんなところ。来年は携帯にメモるようにしてみようかな。
寒いところに立っていた頭の寒そうな小坊主