表紙の絵や中の挿絵を、中川学さんにお願いするというのも、割と早い時期に、決めていただいていました。
和であり、かつモダンな、それまでの中川さんのお仕事を拝見し、わくわく。
そして、ラフをいただいたのですが、動きがあるんですね。これは嬉しいと思いました。
その時点で、私の文章を直したことがありました。
まず、編集者さんから中川さんへ、どのページをどんな感じにというお願いを私も共有したのですが、1巻のナツが柱にしがみついているシーンについて、「コミカルに」というご指示があったんです。それを読んで、なるほどと。(笑) 全体的に重いテーマの中、ここは息を抜けるシーンでもあるのだなと。そこで、私は文章に、「どこか滑稽だ」というのを入れさせていただきました。
また2巻では、正次が木の枝を拾って、日本兵が銃を構えるまねをするのですが、実は、短銃をイメージして書いていたのです。ところがラフで来たのは長い銃でした。これも、ああそうだ、こっちの方が「絵になる」と感じ、自分のほうをなおしました。
本当にありがたいことでした。
そしてそして、色のついたものが来ました。
表紙の絵、開くとこんな感じです。
閉じた状態では、大きなオオカミの顔としかわかりませんが、開くと、これが木なのだとわかります。ダブルイメージなんですね。大好き! そして、正次。
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美咲
と、背景の村が、江戸時代から現代にと変わっているのがわかります。
1巻の田は、稲が実っていて、秋の空。2巻は青田、そして夏の入道雲。3巻は、雲のないすかっとした空です。いいなあ。
中の挿絵も、3巻の津波跡の茫漠たる感じ。
ラストの煙がオオカミになる様子。
月にオオカミがいる姿。
確かに、私が書いた文章を絵にしてくださっています。
いろいろ書きすぎるとネタバレになってしまいますね。でも、大丈夫。(と思う)
中川学さんは、京都瑞泉寺のご住職でもいらしゃいます。豊臣秀吉の弟、秀次の菩提寺なのだそうです。お忙しい中、こんなすばらしい絵をたくさん描いてくださって、本当にありがとうございました。