高学年~大人向け
友人の児童向けノンフィクション作家池田まき子さんが、新刊を出されました。
アメリカの20ドル紙幣に、黒人女性として初めて肖像が取り上げられることがきまった、ハリエット・タブマン。アメリカでは小さな子どもでも知っているという女性なのだそうですが、日本の児童書にはまだなったことがありません。私も知りませんでした。
小学校のころ、『アンクルトムズケビン』を読みました。内容で覚えているのは、とにかく黒人が奴隷としてひどい扱いをされていたこと。棉花の畑で酷使されていたことくらいです。大人になって『ルーツ』というドラマがありました。
でも今『アンクルトムズケビン』は本屋さんには見かけないし、『ルーツ』も放映されていません。子ども達には新しい本が必要なのだと、改めて思いました。
ハリエット・タブマンは子どものころは、ミンティという名前でした。黒人の両親の元に生まれたミンティは、わずか6歳で両親から離され、労働力として売られます。その過酷な暮らしは、読むのが辛いほどです。こうして売られ、心身がむしばまれ、命を落とした人がどれだけいたのでしょうか。でもミンティはたくましく生き抜き、自由を求め、そして、同じ黒人を解放するための活動に一生を捧げました。
南北戦争が起こったのが、日本では江戸末期。でもわずか200年程度前のことです。歴史の過ちを繰り返さないように、私達は伝えていかなくてはなりません。もちろん、きちんと調べしっかり把握した上で伝えなくてはならないのですが、それを待っていてはこちらの命がつきることもあります。知っていることを伝える。まずはそれでいいのではないでしょうか。この本を読みながら、そんなことも考えました。
児童向けに書かれたものなので、大人にとっても、とても読みやすいと思います。ぜひ、お読みください。
池田さん、すばらしい本のご出版、おめでとうございます。