fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『オオカミのお札』こぼれ話④モデル

2017年09月19日 | 自作紹介
          2巻 正次

 2巻の正次のモデルは、父です。
 太郎、次郎という双子の兄弟の弟で、兄の太郎さんは、フィリピンルソン島で戦死しています。正次は、戦時中に子どもという設定にしていますが、父達は、実際には、出征している。つまり正次の父と弟にも、お置き換えているのです。

 祖母が、次郎は太郎の宿題を写してばかりだったとか、言っていました。
 そっくりの二人なのに、太郎さんは直立不動で、父はおちゃらけて写真に写っています。

軍服姿の遺影を見ては、父とそっくりだったおじさんが生きていて、結婚し子どもが生まれていたら、従兄弟になったんだなあとか、思っていました。

 実際には、戦時中のことなどは父にはあまり聞くことなく、終わってしまいました。もっといろいろ聞いておいたらよかったです。戦地には次男である父のほうが先に行き、そして、大陸(どこだったか)を移動していたときに、偶然兄、太郎さんの隊とすれ違った。それが今生の別れだったということです。

 当時の少年達は、皆、お国のためにという教育を受けていました。俳句の会でお会いする方達にも、この時代を生き抜いてきた方がたくさんいらっしゃいます。その方達にも、句会後、いろいろお聞きしました。お国のために死にたいと思っていた。あと数ヶ月戦争が長引いていたら、自分も出征していたとおっしゃっていたKさん。空襲で自宅は丸焼けになってしまったとも。

 家で養蚕をやっていた時の話を聞かせてくださったTさん。1巻のカヨの家のことは、この方のお話が参考になっています。八王子で実際にまだ養蚕をやっているお宅にも案内していただきました。物語には反映しませんでしたが、出征したお兄様を軍に訪ねていったときのお話は、印象的でした。カッカッというお兄様の靴の音がまだ耳に残っているそうです。


 3巻には、正次がおじいさんとして出ていますが、こっちは父ではなく、舅がモデルです。(ごちゃまぜ)生涯農家として生きて、でも食道癌に倒れました。その介護のため岩手に行っていたときにあったのが、東日本大震災。私がいたのは、内陸部でしたが、親戚が沿岸にいたことで、それにまつわるいろいろを、3巻では書いています。介護中でもあり、体力もなく、ボランティアなど何もできなかったけれど、この惨状を見ておかなくてはという気持ちで、何度も訪れました。実際に被害に遭われた方にとっては、もっともっと悲惨だったというのが実態だとは思いますが、自分としては精一杯を書きました。

 オオカミについたは、また次回。

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