全国青少年課題図書コンクールに選定された本の紹介第二弾。
* 中学年から
『チョコレートと青い空』(そうえん社)。作者は、宮城県角田市で農業兼酪農(牛を150頭も)を営みながら、児童文学を書いてらっしゃるどじょうさんこと、堀米薫さんです。この作品は、本年の児童文芸家協会新人賞も受賞しました。どじょうさんは、実際のご自身の暮らしから生まれる物語を書き続けています。この『チョコレートと青い空』も物語ですが、限りなくノンフィクションに近いものです。これまで何人もの外国人を研究生として自宅でお世話して日本の農業を伝えているのだそうで、この物語に出てくるエリックさんのモデルとなったのも、そのお一人。
ガーナの子どもたちは、カカオを採る仕事をしていながらチョコレートを食べたことがない。主人公の周二は、エリックさんからその事実を知らされます。牛に関するエピソードは何といっても本物ですから、そんじょそこいらの人では書けないものです。「フェアネス(公正であること)」「無関心は最大の敵」など、いろいろなメッセージがこめられた作品です。
この作品、実は私自身が強い思い入れも勝手に持っているものでもあります。まだ後藤竜二さんがお元気だったころの「季節風」大会で読ませていただいたものでした。本になる前の原稿を持ち寄っての合評会ですから、どんなプロの方の作品でも、もっとよくなる、と思えばどしどし言い合います。そのときは『メダワセエリックさん』というタイトルでしたが、私は「いい話すぎる」なんてことを言ったものです。「いい話すぎる」って、どんな評よって感じですね。ホントいい話なんです。(どじょうさん、ごめんなさい)
どじょうさんのHPは、 http://www.ne.jp/asahi/hori/gome/。盛りだくさんです。実物のエリックさんの写真も。
そうえん社のサイトhttp://www.soensha.co.jp/img/info/chocolate_message.pdf では、作者からのメッセージを読むことができます。「無関心は最大の敵」! はいっ。
『牛太郎、ぼくもやったるぜ!』(佼正出版) *中学年向け 堀米さんのデビュー作。主人公は、家で生まれたメスの仔牛に「牛太郎」と名付け、世話をすることになります。挿絵の岡本順さんには、堀米さんのお宅の牛を世話するご家族の写真を送って書いていただいたとか。
『ぼくらは闘牛小学生!』(佼正出版) *中学年から こちらはノンフィクションです。中部地震から復興をとげた新潟県小千谷市に「牛太郎」という牛がいる。しかも小学生がその牛を引いて闘牛に出場している。堀米さんはその事実を知り、実際の牛太郎と子供たちに会いに出かけました。そして小学生たちが、牛と触れ合い、闘牛に挑戦していく姿を牛飼いならではの視点で書いてくれました。表紙の写真は堀米さんが撮影したものだそうです。子どもたちの表情がほんとにいい!
東日本大震災のときは、大変な思いもされました。藁の問題で牛の出荷もストップ状態になり、どじょうさん、なんと10キロもやせてしまって……。そういう問題に対しても雑誌に書いて訴えています。
牛や家のまわりに出没する動物たちの絵本を書いてほしいなというのが、私の願い。
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東京、暑っ。植木が倒れてましたよ。