fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『おおなわ跳びません』赤羽じゅんこ作・マコカワイ絵(静山社)

2024年10月17日 | 本の紹介

          

 赤羽じゅんこさんの新刊です。

 まずタイトルが好き! 大繩跳び・・ません! ですから。

 足にハンディのある双葉は、自分が大縄跳びに出ると他のクラスに勝つことができない、「おおなわ大会は出ません」と宣言します。でも、はい、そうですか。というわけにはいきません。何しろ大縄跳び自体が、みんなで気持ちを一つにして的な競技なのですから。

 自分がひっかかるとそこで止まってしまう。これ、考えただけでもプレッシャーです。私は子どもの頃、運動神経はいい方だったし、縄跳びも得意でした。それでも嫌。やりたくない。普段はよくても、本番になると緊張してつっかえる場合もあるでしょう(物語でもそういう場面あり)。まして双葉のように足にハンディがあった場合、どれほどのプレッシャーか。

 そんな双葉をとりまくクラスメート6人+双葉の7人の視点で、物語が語られます。それぞれの気持ち、考えが交差し、どうしたらいいのかわからなくなり、双葉は学校に来なくなってしまうし・・。

 今多様性多様性と叫ばれている時代で、運動会も順位をつけなかったり? 団体生活の中で戸惑うことが多いのではないでしょうか。

 双葉はカウント係になったらいいのか、それとも・・。

 一人一人の気持ちをきいていくと、おおなわ跳びが嫌なのは双葉だけではないこともわかります。

 読んでいて、わー、これどう着地させるんだろう。難しいなあと思いました。

 そこ、さすがベテラン作家です。ぜひ、読んでください。この本、子ども達が話し合う、考える、自分の意見を見つめるなど、子どもによっていろんな気づきができるものだと思います。

 本の装丁も、すごく好き。岡本歌織さんというデザイナーさん、今後も要チェックです。


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