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『あしたも、さんかくー毎日が落語日和』(講談社児童文学新人賞佳作)に続く、安田夏菜さんの新刊です。
カイトは、鼻の穴が大きくて、太っていて、いつもヨシキに鼻の穴に指をつっこまれたり、ルカちゃんにお腹をつままれたりしています。運動神経もにぶくて、体育の時間には、ひとりだけカエル足打ちができません。
カイトは、ケロポンというカエルのペットを亡くし、とうとうひとりになってしまいます。学校へも行けなくなったカイトのところに現れたのは、ケロポンと、半年前にやっぱり「じゅみょう」で死んでしまったネコのマリニャンヌが合体した「ケロニャンヌ」! 二匹は残り命を合わせることで、少しの時間生き返り、カイトに会いにきたのでした。
なんとも楽しく、温かい物語。安田さんは、落語が大好きとのこと。その精神が見事に物語に活きているのだと思います。ケロニャンヌがヨシキとルカちゃんをぎゃふんと言わせる場面、合体したからこその特徴。どれも痛快で楽しい。でも、ずっと一緒にいるわけにはいかない。その後半の展開も自然で、じんと心に残ります。生きものには一人一人、そして一匹一匹に限られた命があるのだという大きなテーマが流れている物語なのでした。
それが、ケロニャンの口から語られるとすんなり心に染みてくるのです。
いろいろな場面で「さすが」と感心する描写があり、それが大きなテーマをしっかりと支えています。
たくさんの子どもたちに読んでもらいたい作品です。
*写真の画像、まがっていてすみません。