画家の江頭大樹さん、アテルイをたくましく、そしてかっこよく描いてくださいました。
さて、表紙のアテルイ、そしてこのカット、どこかおかしいと思いませんか?
注目すべきは、服。
現代の感覚では、着物の袷が逆です。
実はこれは、監修をしてくださった、元多賀城跡研究所所長の白鳥良一先生のご指摘で直した状態なんです。イラストもラフの段階でチェックしていただいています。
着物の袷が現代のようになったのは、ちょうどこのアテルイの時期。でもそれは京都の貴族達の間でのこと。当時世界の最先端だった中国の流行を取り入れ、あわせを右前にしたのだそうです。なので、エミシ達はそれまでどおり、左前だったはずとのご指摘でした。
『アテルイ』は歴史物語、フィクションですが、やはり歴史的にはっきりしている部分は押さえておかないと、リアリティに欠けたものになってしまいます。
他には、アテルイ達が住んでいる家が、竪穴式住居であったことは知っていましたが、間仕切りがひとつくらいあって、男部屋女部屋と分かれているくらいの想像をして書いたのですが、それはないと。一つの部屋で寝ていたはず。とか、「冬の間、魚の骨で釣り針を作ったり」なんて書いた部分に、「この時代はすでに鉄製です」とご指摘いただいたり。本当にありがたかったです。
それでも、最近関西のほうで、偽古文書のことがニュースになっていました。この古文書で町おこしをしていた地域にとっては大打撃。そんなことが起こりえるのが、歴史の世界。アテルイ達エミシのことも、今後どんな新発見が出るかわかりません。
少し前までは、エミシとアイヌが混同されたイメージで描かれてもいました。これに関しては、今は全く別とDNA鑑定で証明されているのだそうです。
白鳥先生は、現在、『アテルイ』にも登場したアザマロが任されていた伊治城の発掘調査もなさっています。私は、多賀城、胆沢城、清水寺他あちこち、アテルイに関連した場所を訪れましたが、伊治城跡にだけは行っていません。
今度ぜひというお話をしているうちに、コロナ騒ぎ。騒ぎが収まったら、ぜひ行ってみたいです。
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