たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

実にあっけなかった出川源頭岩峰群

2011年07月10日 | 足尾の山
◎2011年7月9日(土)―with Mr.ハイトス

 当初は、同じ足尾の山でも、別のところに行く予定でいた。ところが、金曜日にどういうわけか、季節外れの痔になってしまい、長距離歩行は出来ないなと落胆しつつ、とりあえずは4時起きで、行けるところまで行ってみようという算段でいた。寝る前のメールのチェック、これで情況が変わった。ハイトスさんからの嘆きメールが届いていた。懸案の出川源頭岩峰群に一緒に行きたかったが、天気が崩れそうなのであきらめたと記されていた。今の自分の尻具合では、長距離は無理だろう。渡りに舟とばかりに、良かったら行きましょう。雨の心配は無用でしょうと返信した。出川源頭岩峰群は以前から、機会があれば歩いてみたいと思ってもいたし、ハイトスさんから誘われてもいた。ただ、ネット情報は極めて少なく、掲載された写真を見る限りは険峻なガレ場やらザレ続きの歩きになっている。これでは、尻込みもする。まさに機会があればの対象だった。ハイトスさんからどんな答えが返って来るか待っているわけにもいかず、そのまま寝て、4時に起きた。メールを確認したら、ハイトスさんから、やはり行きましょう。ついては、舟石駐車場で8時でとあった。もう一度寝る。

 ボラギノールを尻に突っ込み、家を出たのは6時。まだ時間はたっぷりとあるが、グズグズしたら犬の散歩が待っている。さっさと出る。沢入トンネルの脇に車を止め、意味のない偵察。二子山の取り付きを今さらまた見ても仕方がないが時間つぶし。かじか荘の先の駐車場には5台くらい駐まっている。この暑いのに大変だね。庚申山好きとはいえ、この時期に歩く気にはなれない。舟石の駐車場には7時半に着いた。岩峰群の取り付きは、ここから歩くとかなり遠い。また偵察。本山側から、林道通行には相応しくない高級車が上がって来た。見れば、ハイトスさん。赤の四駆のおKさん号ではなかった。そのままUターンも出来ないし、ハイトスさんには先に行っていただき、偵察を続ける。この辺からだろうと直感し、駐車場に戻ることにする。方向転換をしていたら、強烈に咳き込む。のどにタンがからんでいた。同時に、焼けるような痛みが「先の副将軍」に走った。大丈夫かねえ。新たな爆弾だな。

(岩峰群への取り付き)


 ハイトスさんも、同じように、時間つぶしで、足尾トンネルで二子山、そして舟石林道で岩峰群の取り付きを偵察していたそうだ。引き続き、今日のメニューを説明していただく。1、2、3、4峰を登って下って、その足で沢を登って備前楯。岩峰巡りがいくら短時間で済むとはいえ、これはちとしんどいんじゃないですか。気温もグングン上がっている。この方、ネット記事を拝見している限り、一日一山では満足できない方らしい。この場では、特に不安はぶつけなかった。別案は1251mピーク経由の舟石新道。まっ、こんなものだろうな。状況次第ということで、結論はうやむやにして出発。ハイトスさんの本音のところは、本山神社からややこしい曲線を描く尾根に上がり岩峰へということだったらしいが、岩場が苦手なオレにご配慮いただいた次第。さて、先ずはオレのボロ車で取り付きに下る。歩けば20分近くといったところか。取り付きに関しては、両者の意見が一致していた。空きスペースに車を置き、ちょっと下る。8時15分取り付き。昨年、この辺にテントを張って、岩峰群を歩かれた方のブログを拝見したが、石がごろごろして、テン場にはふさわしいとは思えない。さぞ、身体も痛かったろう。いきなりヤブめいている。ダム跡か、正面の石塁は左に巻く。沢は倒木もあって荒れてはいるが、よく見ると、鹿道ではない、踏み跡が付いている。これは、1251mピークまでしっかりと確認できた。ネットでは、情報もほとんどないのに、意外に好き者に歩かれている気配。自分らも同類。小尾根に取り付く。早速、汗が流れ出す。

(第1峰)

(備前楯山)

(第1峰直下)


 ガレ場が続く。この区間、浮き石も多い。大きめの石すら、つかむと動くし、亀裂の入った石がほとんどだ。振り向くと、備前楯山。これが、どんどん大きくなってくる。何だか、暑くて身体が重く感じる。早速、水を飲む。ハイトスさんも汗かきらしく、しきりにタオルで顔を拭いている。いつもより早く、メガネのレンズに汗が落ちてきた。ジリジリと暑くなっている。我慢できず、帽子をかぶる。これをかぶると、頭が余計に暑くなって嫌なんだが仕方ない。熱中症になったのではかなわない。やせたガレ尾根とはいっても、両サイドがスパッと切れているわけではなく、それほどの危険は感じない。鉄索が固まりで放置されている。伐採地になるほどの木はない。やがて第1峰の山頂が眼前になり、網を巡らした柵が現れる。中は植林計画だろうか、幼木を育てている。8時52分、第1峰。男体山、社山、大平山。中倉山も間近に見える。ここでようやく、2峰、3峰の全容をつかめた。本山神社から岩峰への尾根はえらく長く見える。今日向きではないな。風があって気持ちがいい。

(第2峰と中倉山)

(第2峰へ)

(第3峰。中寄りの小突起が第4峰。奥は1251mピーク。さらに右端が中倉山)


 小休止後に第2峰へ。鞍部からの登り返しが危険に感じるが、実際に歩いてみると、ここもさほど危険な箇所とも思えない。ただ、今はほとんど無風の状態だ。強い風があったら、かなり危ない思いをするかもしれないし、雪が付いていたら尚更。これは、第3峰までの共通したところ。浮き石が少なくなり、ほっとした。ということは、強風で飛ばされているということか。第2峰9時17分。トンボが飛んでいる。今年の初見だ。仁田元沢が眼下に見える。この2峰から3峰にかけて、中倉山の眺めがよく、石塔尾根を端から端まで歩かれたハイトスさんにいろいろと説明していただいた。石塔尾根の名称由来?の大岩も見える。第3峰の先に、第4峰と1251mピークが見えた。

(振り返ると、典型的な足尾の山風景)


 今日はダラダラと休んでばかりいるが、どうせくそ暑いし、この程度の歩きがちょうどいい。風も気まぐれで、無風だとジリジリと暑くなる。雲が多くなり、黒くなってもいる。男体山も隠れてしまったみたいだ。第3峰への蟻の戸渡り風情は、遠目では危険極まりなしだが、いざ歩くと、股間がすくむこともない。ただし、これも、今日の状況ではの話だ。つまり、ここを歩くには、最高の天候状態なのかもしれない。第3峰9時44分。若干の風。横場山(1016.8m)から中倉山への尾根が一望。ハイトスさんは、よくあんなガレ場を歩かれたものだ。改めて感心する。自分には、およそ縁がない。そういうところが好きでなきゃ、こんな岩峰群も選ばないだろう。

(テープの目印)

(第4峰からの備前楯山。なかなか立派な山容)


 ここから、第4峰までは、一旦、灌木帯の中をやや下り、登り返す。灌木の中でも踏み跡はしっかり付いていて、まばらながらも初めてテープも出てきた。1251mピークに行かない場合は、3と4の間の鞍部から、適当に林道に下る予定。覗くと、やや急に見えるが、すぐに平坦になっていた。ガレ場になって第4峰。10時29分。またしばらく休憩。1からこの4峰の中では、眺望といったレベルでは、ここは良くない。1251mピークへの尾根が正面の視界をふさぐ形になっている。これまでの1から3峰はよく見える。山頂から1251mピークを望む。ここも一筋縄では行けそうもない。一旦、ヤブを下り、密林の中を稜線に出る。今までの踏み跡が、引き続きあるようには見えない。ここでも長い休憩。確かに休まないと持たないし、休む度に、水もガブガブ飲む。ハイトスさんは、いつも思うのだが、準備がいい。今日も氷を入れた、冷たい水を飲んでいるし、冷凍したジュースをいただいた。荷物は、自分のよりも4~5キロは重かった。ザイルも有りだ。なかなか真似できない。さて、今日は、休憩時の腰掛けに気をつけている。変なところに座ってしまっては、痛みも出るし、適当なところがなければ、尾てい骨を中心にして、背をもたせ気味に座っている。

(沢入山方面)

(中倉山に続く尾根)

(問題のスリットダム)


 取りあえず行ってみましょうと踏み出す。やはり、好き者の痕跡は続いていた。好き者の道楽。ここまで来たなら、先まで行く。ここから鞍部に戻って下るのはあまりいないと見受けられる。ヤブの間に樹林に続く踏み跡があり、樹林の中は外からは感じられない疎林で、しっかりとした踏み跡がなおも稜線に続いていた。なぜか青ペンキも一か所。手強そうな林の中も、上を見れば、すぐに切れ、あっという間に稜線に出た。すこぶる調子が狂った。この稜線から、ようやく仁田元沢のスリットダムが先に見えた。排水口は高く、水も流れている。あれではやはり、右から巻くしかないか。実は、自分の本日の当初のメニューはあれだった。しかし、あのダムの先、左の尾根への傾斜を見ると、自分には無理みたいだな。長いし急だ。現場に行っても、そう感じるだろうか。ここから見る中倉山への道のりも、決して緩やかなものではない。自分が間違って登った直登の尾根すら、ここからは急なものに見える。複雑な心境だ。いずれにせよ、この暑さでは早々に退散といったところだろう。結論、この時期は無理。5月、6月とのんびりとし過ぎた。失敗。

(1251mピーク)


 1251mピークはすぐそこ。11時27分着。去年、舟石新道を求めて、このピークに迷い込んだが、どうも雰囲気が違う。もっと岩場だったような。それもそのはず。地形図をよく見ると、台地状になっている。後で考えると、このピークには三角点があったはず。今日も、前回もまた確認を怠ってしまった。普通は気づくが、標石は草に埋もれていたのだろうか。ここで、ザックに括りつけた温度計を確認する。さっきまで30℃だったのが40℃を指している。2人で、壊れているんじゃないの、おかしいよといった話になったが、あながち、その気温だったかもしれない。直射日光がもろにあたっている。ちょっと歩いて、見覚えのある景色。自分がUターンした場所はピークの少し先だった。11月の時は、枯れ草、枯れ木で、むしろ明るかったが、今や周辺の緑が生い茂り、視界も狭く、うす暗くなっている。別物といった感がある。ここからの尾根を南下。あっという間に舟石新道のブリキマークに出くわした。12時ちょうど。

(舟石新道)

(舟石峠の駐車場から岩峰群)


 ここまで来れば、もう帰路となる。舟石新道は、ある意味、エスケープルートにもなる。延々と歩く気にはもうなれないが、知っていて損はない。しばらく目印に合わせて歩く。そのうちに消える。そしてまた出会う。もうここまで来れば、ハイトスさんにも自分にも見慣れた風景。最近、どなたか歩かれたような気配。迷うことなく林道に着いた。同時に雨がぱらついたがそれで終わってしまった。舟石峠の駐車場12時30分。随分とゆっくりした歩きだった。携帯電話の歩数計を見ると、わずか8000歩。日常の歩き程度のものだ。駐車場には車がなかった。備前楯に登る人もいなかったようだ。オレの車を回収に行く。どうも、運転手付きの高級車は落ち着かない。登山靴のままでは気がひける。

 汗を流したく、かじか荘の風呂に向かう。駐車場の車は10台以上に増えていた。かじか荘には、週末ゆえか客は多かったが、風呂は空いていた。まず、成分表を確認。あった。弱アルカリで効用の項目に痔がある。しばらくしたら、ハイトスさんがいきなりいなくなった。着替えもそのままに、どこに行ったのだろう。トイレにしては長い。脱衣所にだれもいないことをいいことに、ここでボラギを入れておきたかったが、車の中に忘れて来ていた。階段下に露天があるのには気づかなかった。今日はアブがいなくて良かったと、露天からハイトスさんが上がって来た。前にここに泊まった時は露天なんかなかったような気がする。そのためか、露天を考慮すらしなかった。損をした感じだ。

 梅雨明けの夏場にしては、なかなかいい岩峰歩きを体験させていただいた。ハイトスさんにはこの場で、礼を申す次第。スリルを求めたハイトスさんには多少のがっかりがあったようだが、自分には面白い歩きだった。しかし、暑かった。

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6 コメント

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出川源頭岩峰群 (ハイトス)
2011-07-10 23:33:37
こんばんは。
何はともあれ今回は同行いただき有り難うございました。
結構あっけなかった感もありますが面白い稜線歩きでしたね。
暑かったけれども結構満足しております。
先ほどようやく自分のHPのUp完了です。
文章が苦手なのでたそがれさんのようにサッサと的確でかつ面白みのある文章が書ける人がうらやましい。
誰か神社から1029m峰への情報をくださると良いのですが。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-07-11 08:43:04
おはようございます。ハイトスさんの記事アップを待っておりましたが、深夜版はつらく、出がけに確認いたしました。
的確で面白味は全然ありません。いつも、精神的にドタバタの歩きを続けているだけのことですよ。
本山神社からの情報を待っていたのでははじまりません。歩いている人はいないと思いますよ。今回の件で、何となく現地の地形鑑もつかめました。今度はいつ、神社スタートで歩きましょうか。その節は余裕をもってお声かけ願います。
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Unknown (ぶなじろう)
2011-07-11 23:09:18
今晩は。
「出川源頭岩峰群」は全くの初耳です。
読んでいるときは、備前楯山へのバリエーションルートかとおもっていましたが、とうとう備前楯山は現れなかった。
「出川源頭岩峰群」でお二人はメールのやりとりが通じちゃウっての凄いこってす。
ハイトスさんの記事を読み、ようやく位置関係がわかりました。地図をあらためて見たら、岩記号だらけで、とても恐ろしげに見えました。
素人には、チョット手が出ませんです。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-07-12 05:31:40
出川源頭岩峰群ですが、私の他の方の記事を拝見する限り、左右がスパッと切れているようなところが続くようで、まさに恐ろしげに見えましたが、実際、歩いてみると、そういう所でありませんでした。余裕で歩けました。
中倉山手前のガレ尾根を体験されているハイトスさんでなくとも、素人の方でも問題ありません。強風の時はかなり恐いかもしれませんが。

ハイトスさんのHPの掲示板を見ていたら、例のロックンローラー氏からコンタクトがあったようですね。ハイトスさんから、本山神社からのルートのお誘いがそのうちにあるでしょう。ぶなじろうさんもいかがですか?
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Unknown (ぶなじろう)
2011-07-12 21:37:35
今晩は。
たそがれさんとハイトスさんのコラボとなれば、それこそ恐ろしげで遠慮申し上げます!

RR氏とのコンタクト?
まずいですねぇ~。おいらが出会ったRR氏であれば、勝手にそんなネーミングをしてしまって・・・。まずいです。あせりますです。
しかしながら、今後の展開が楽しみではありますが。

それと、ボラギノールに食いつかず、申し訳ありませんでした。病の方は心配ですが・・・。して、ボラギノールはお嬢さんが購入してくれていたりして。

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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-07-12 22:32:06
RR氏に関してはそういうことではないようです。ハイトス氏が神社ルートからの情報を募ったところ、RR氏から、早速、提供があったとのことです。ハイトス氏が、提供していただいた方を、ぶなじろうさんブログのRR氏と特定されたのでしょう。

ハイトスメモによれば、RR氏は親水公園の尾根末端から入り、今回の岩峰群を経由し、庚申山に至ったとか。すごいですね。スリットダムから茶を濁そうとしている我が身が恥ずかしく感じました。

ボラギノールの件、ありがとうございます。自分で買いました。20代の頃、痔になった時は恥も外聞もあったものですが、今は平気ですね。ためらいも何もない。して、今日で1箱使いましたが、どうも効き目が芳しくなく、メンソレのリシーナなる薬に変えました。これは、スースーして、明日にも全治しそうな感じです。お気遣いありがとうございます。

ぶなじろうさんは、明日と明後日、お休みですよね。南岸尾根以来の山行記事をお待ちしています。
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