10年前のちょうど今頃、
荒れ狂う嵐の日に、
ネコと、大きなキャットタワーを車に積み込み、
それまでの暮らしに、別れを告げました。
3匹のネコと、定職を持たぬ女がようやく見つけた部屋は、
ちょっと傾いたボロアパートの、小さな一室だった。
外観を遠くで目測できるほど、本当にちょっと傾いていた。
おはようございます。
私は、当時離婚したてで、未来への不安を
かき消すために、ポジティブ日記を付けていたのです。
その日記帳が、先日ひょんな事で見つかりました。
今日は、そこに書かれていた事を思い出してみようと思うのです。
●おかっぱ、入居1日目
「なんのこれしき。へっちゃらよ。
私達の新天地。
輝く明日が待ってるわ。
希望の窓は、きっと開くはず、信じる心のお勉強。」
・・・思い出した。
まずもって、部屋の窓が開かないという事実を知り、
不屈の精神で、窓を揺する事を始めた、日。
●おかっぱ、窓と悪戦苦闘を続けた、3日目
「窓が開いた、その瞬間に、私の心の重りも取れた。
そんな気がした。」
・・・思い出した。
毎日、フッ、フッと力任せに窓へ負荷をかけ続けた結果、
窓が開いた、その振動で、網戸が落ちた、日。
●おかっぱ、クローゼットを開けてみた。
「さあ、お入り。
ここは、きくのお部屋にしましょう。」
・・・思い出した。
閉めていた扉の一辺が、傾きを支えていた模様。
開けたら最後、扉が開いた状態で、こんりんざい締まらず、
ネコ入り浸り決定せざるを得ないと諦めた、日。
●おかっぱ、ちょっぴり孤独を感じる
「綺麗に並ぶ、アリさん達も、私の大事な家族なのだと、微笑んでみた。」
・・・思い出した。
部屋に侵入してネコの置き餌に集る蟻へ微笑むという、
ポチジティブをはき違え出した、日。
●おかっぱ、仕事でいろいろ思う
「パートの〇さんが、毎日、持ってきてくれるお漬物のおかげで、
私は、芋虫になったんだ。
きっと、もうすぐ、蝶になるんだ。」
・・・思い出した。
お裾分けの漬物を、美味しいと絶賛したばかりに、
その後毎日、ピクニック仕様のタッパで漬物を貰う。
数日後、漬物が底をついたと言った〇さんは、
次の日からは塩をぶっかけた野菜をくれる。
食べきれん分は家に持ち帰り、
これなら明日のタッパが無かろうと安堵したのも束の間、
次の日、別の大きなタッパに入った塩ぶっかけ野菜を貰う。
その日以降、空のタッパと引き換えに、ぶっかけ野菜を貰う。
これが数か月続く。
この一連を、芋虫から蝶へと例えるほど、追い詰められていた、日。
●おかっぱ、恋に悩む
「怒ったっていいじゃない。
叫んだっていいじゃない。
笑え、おかっぱ!」
・・・思い出せんが、どうした、おかっぱ?!
●おかっぱ、ハロウィンでの失敗に嘆く
「かぼちゃ男爵、お前のせいだ!」
・・・くり貫いた南瓜への言いがかりが、続く。
「全然、顔に見えないし」
・・・猟奇的に、くり貫かれた南瓜への言いがかり、まだ続く。
「そもそも、君は、青臭い!」
・・・そこは言ってやるな、おかっぱよ。
「でも、これも思い出の箱に入れておく、かぼちゃ男爵さん。」
・・・やれやれ、一件落着だ。
ただ、南瓜に男爵の称号を与えた訳は、今も思い出せぬまま。
●おかっぱ、部屋の一部の床の異変に気付く
「この部屋の、洗面場だけがクッションフロアになっていることに、
私は、今まで気づかなかった。
私達を受け入れてくれた、大家さんに・・・感謝。」
・・・目を覚ませ、当時のおかっぱよ。
日に日に、どんどん白アリが床板を食っていたから、
床がフワフワするようになったのだ。
寸でのところで、床をぶち破る事態だったのだぞ!
こうして、ページをめくり続け、最後のページにたどり着く。
そこには、こう書かれていた。
「あばら、折った」
その後、住み家が変わり、
ほんのちょっと広くもなった・・・ハズ
うんこ:「かーさん せまいよ」
自業自得だと思うぞ!
かーさんなんて、足、座禅状態だぞ!
コタツ、入れんし!
きく:「そろそろ こたつを かたづけろ めすぶたマントヒヒめ!」
いやいや、まだ肌寒いから、コタツ入りたいから、
そこ、退いてもらえませんか?
ところで、メス豚マントヒヒって、なんですか?
こんなイメージですか?
コタツに入れん、退いてくれ!