やぁ、久しぶりだな。
皆さん、元気だったかい?
グッモーニン!
俺だよ、オレ。
おかっぱが描く「オレ」より、はるかにカッコいいオレだよ。
ある日、オレは春の足音で目が覚めたんだ。
そして、叫んだ。
「誰か、オレに気付いてくれ!
この薄暗い部屋から、オレを連れ出してくれ!」
ってさ。
そしてようやく、
俺の声に気付いたのは、おかっぱだった。
そりゃそうだ。
この部屋に居るのは、他には猫と休みボケの男しか居ねえんだからな。
じゃあ、行こうぜ、おかっぱ。
春の日差しの中に飛び込んで行こうぜ!仕事中に・・・
家を出て、1分後には、
おかっぱは、もう本気だった。
焦るなよ、おかっぱ。
まず、会社へ向かおうぜ!
こうして、生まれた、第1作目は、
「通勤途中の人々をしり目に」
久しぶりにしては、上出来だ、おかっぱ。
さぁ、会社へ行こうぜ。
「ど根性草」
うん、そうだな、ど根性だな。
早く、会社へ行け!
職場の近く行けば、菜の花畑が広がっていた。
これだぜ、俺が映したかった物は。
おかっぱ、オレのシャッターを切れ!切りまくれ!
「奥行き殺し」
おい、奥行きが、一切感じられないぞ。
もっと、さーっと広がっていただろ?
おっと、おかっぱ。
いいとこに目を付けたな。
そうそう、菜の花畑の脇の小さな花々。
これも、黄色をバックに撮ってみろ!
「凝視、禁止」
ピントはどこだ?
じっくり見ていると、めまいをもよおすぜ。
凝視はお避け下さい。
ん?おかっぱ、のっぱらに蝶を発見したのか?
姿勢はいいぞ。
脇を絞めて手振れを抑えて、蝶を追え!
「どこ?」
蝶は、どこ?
「どこなの?」
蝶は、どこなの?
おかっぱ、さすがのオレも、そろそろキレるぞ。
いいか、よく聞け。
まずオレのオートを信じろ。
さっきから、ずっとダイヤルをクルクル回しやがって。
まず、そのダイヤルから手を離せ!触んな!
触んなってーーー・・・
「ピンボケの極み」
あーあ・・・
だからぁ、今オレがぁ、ピント合わせてるからぁ、待てって。
悪戯にズームすんなって、待てって!
ちょっ待てよーーーー・・・
「お前ったら」
お前ったら、いったい何がしたいんだ!
「これじゃ、駄目なの?」
なっ、もう、これでいいじゃん?
普通に、これでいいじゃん?
「つくしの小道」
ほんとは、手前の花が撮りたかったんだろ?
図らずも、つくしの小道撮れたじゃん?
もう、勘弁してくれ。
仕事に戻れーーー!
というわけで、
今回も、オレの良さを一切引き出せない、おかっぱとの外出だった。
ん?なんだって?
猫を撮ってみればどうかって?
ふーーー・・・
「逆光の奇跡」
黒猫に見えるだろ?
こいつ、白黒なんだぜ、ほんとは。
オレは、昔、親父さんの家に居たんだ。
おかっぱが、オレをさらっていったんだ。
親父さんのとこ、帰りてーよーーー・・・・
「帰ったところで」
だな。
帰ったところで、こういうのに付き合うんだよな。
誰かーーー
オレを助けてくれーーー!