去年の暮れ、
長い間掛けていた、生命保険が満期を迎えて以来、
我が家には、生保レディーが、たまにやってくる。
おはようございます。
以前、お越しになったお姉さんは、
無類の猫好きだった。
いや、ムツゴロウさんレベルに動物を飼っていた。
もちろん、猫もだが、
うさぎ・サル・フェレット・犬・鳥・トカゲ・・・・もう覚えられない。
とにかく、保険の話など、そっちのけだった。
2時間近く、盛り上がったなぁ、動物の話で。
そしてまた昨日、保険会社からのオファーの電話が来た。
残念ながら、ムツゴロウお姉さんからでは無かった。
「今から伺ってよろしいでしょうか?」と。
電話越しの、その声は、
声だけでも、みなぎるヤル気が、伝わって来る。
こわい・・・
もちろん、保険は掛けておくに越した事はないのだろうが、
今は、まだ、入る気になれないのだ。
しかし、今から来る生保レディーは、ちょっと違う。
おそらく、ベテランでやり手のレディーだろう。
勝てるか、おかっぱ?
あれこれと思いを巡らせていると、
ついに玄関のチャイムが鳴った。
濃い!濃すぎる!
勝てる気がしねー
こうして、ベテランお姉さんの、弾丸セールスが始まる。
もう、相づちを打つ隙さえ、見当たらない。
助けて。
誰かー誰か助けてーーーお母さ~ん!
そう思っていると・・・
うんこが、参戦。
どうやら、
お姉さんが持っているパンフレットが気になって仕方ないようだ。
パンフレットを咬もうとする、うんこに、
一歩も引かない、お姉さん。
さすが、ベテランお姉さんだ。
やっぱりダメかと諦めかけた、その時・・・
ん?うふふふ?
やっと隙を見せたお姉さんに、
「猫、大丈夫ですか?」と聞いてみると、
お姉さんは、話し出した。
大好きよ。
この子くらい、大きな子だったの。
去年、見送ったわ。
急だったものだから、本当に落ち込んじゃってね。
あっそうそう。
昔は、真っ白な猫も飼っていたの。
21歳まで、頑張ってくれたのよ。
本当に、猫が大好きなんです。
でもね、もう飼えないわ。
あの子を最後にって決めていたから。
こう見えて、
私ね、お婆ちゃんなのよ。
その後は、ご想像通り。
おたまを抱いて、猫の思い出話で盛り上がり、
ご自分のお歳まで耳元で囁いて下さり、
私は、のけ反ったりもした。
そして
図らずも、
勝った・・・
君たちよ、ありがとうありがとう。
うんこ「でも、おやつもくれないのよ、ケチ母さんは」
おたま「ほんとに、ケチだ」
うんこ・おたま「ケチだ~、ケチケチ、腹黒・・・ブサイク・・・」
ふっ、なんとでも、言うがいい!