昔から、動くオモチャが好きだったのは、
父さんの影響なのかもしれない。
おはようございます。
幼い頃、
テレビCMで、リカちゃんが楽しそうに暮らしているのを観て、
私は、珍しく人形をねだった。
そして、母さんも珍しく、それを買ってくれたんだ。
昔から、子供の目線に一切下がらない気高き鬼ババが
オモチャそっちのけで食い物ばかり欲しがる私にリカちゃんを買ってくれた。
ところが、「ちがーう!」とキレる私。
何が違うかといえば、「動かんやんかー!」とのことだ。
CMでは自力で動いていたリカちゃんが、
我が家では、まったく動かない訳だ。
そりゃそーだ。
あれは撮影スタッフが少しずつ動かしては撮り、動かしては撮りと
気が遠くなるような撮影の末、完成させた苦心の賜物だ。
しかし、幼い童には、そんな事知る由はなかった。
あれ以来、大人になった私は、
自力で動いているかのように見える人形をテレビで見かけると、
つい、撮影の裏側を想像してしまう癖がついた。
どうして、私はそれほどまで動くオモチャが好きなんだろう?
その謎は、大人になってから紐解かれた。
実家へ立ち寄ると、83歳の父さんが、
小さなリモコンヘリコプターを見せてきた。
「こ・これはっ!父さん、貸してくれよ。」
見るなりリモコンを奪おうとする46歳の娘に、父は
「あかん!まだ、わしも動かしてないんだ」と制する。
「じゃ、動かしてみておくれよ~はやく~」とせっつく娘。
「よし、では、飛ばすぞ」と、神妙な面持ちでリモコンを操作した父。
その瞬間、小さなヘリコプターはビュンと飛び上がり、
バチンと照明器具に当たり、ボテッと落ちた。
それ以来、ヘリコプターは二度と飛ぶことはなかった。
初フライト1.5秒後に、完膚なきまでに壊れた。
無言の父娘を前に、母さんは言った。
「だから、外でやれって言っただろ」と。
しかし、我々は諦めなかった。
「父さん?ミニドローンってのもあるぜ」とほくそ笑む私に、
「おう、買って持ってこい」と瞳の奥を光らせる父。
はい、もちろん、即日買いました。
「子供でも操作できる簡単操作のミニドローン」を。
あれから数か月経つが、私も父さんも、まだ、
まともに真っすぐ上にすら飛ばせられずにいます。
そんな訳で、
私の動くオモチャへの好奇心は、
父から受け継いだ遺伝子なのであろうと思うんです。
ということで、これを買ってきた。
あやさ~ん
いや、ちがっ。
親指じゃなの。
ゴキブリを見れ!
おったまー。
自動で動くゴキブリだぞ~
だから、親指を見るな。
これ、なんと100均で売ってる動くオモチャです。
構造は、チョロキューと同じで、
一旦バックさせて手を離すと、ぴゅーって走るんだよ~。
すごくない?
ねえ、すごく楽しくない?
ねえ?ねえ?
皆さん?
着いてきて!
では、実走です
おじさん、頼んだぞ!
ピュー
隙間に入った
ほじくる、おたま
うんこ「うんちゃん、何が楽しいか、わかんない」
なんだとー?
あや「ほんと、ちょっと引く」
引くなー!
楽しいやないかーい!!
よし、これは明日、父さんに見せよう・・・