うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

猛烈、もっちゃん

2019年05月04日 | 日記

えっとえっと、

今日って、土曜日でしたっけ?

 

おはようございます。

不思議なことに、この連休の記憶が、あまり無い。

昨日までの7日間、私は一体、何をしていたのだろう。

ちょっと、真剣に思い出してみよう。

 

えっとぉ・・・

 

無い!なんも無い!

 

ある意味、夢のような連休を過ごしていた昨日の夕方、

買い物を終えて家に帰ってくると、

我が家の玄関ドアの前に、1匹の猫がうずくまっていた。

ん?これは・・・夢か?

夢ではない。

小さなサビ猫だ。

近付いてみると、首輪が付いている。

逃げないけれど、怯えている。

「あんた、1階の子じゃないの?」

私が暮らすマンションには、

1階に1匹、2階に我が家4匹、4階に1匹と猫が暮らしている。

1階の猫も4階の猫も、姿を見たことはないが、

私は、サビ猫を見て、ピーンときたのだ。

 

驚かさないように、足音を忍ばせて、

上って来た階段を降り、1階のチャイムを鳴らしたが、

どうやらお留守のご様子だ。

どうしたものかと考えあぐねていると、

エントランスに4階の住人である女性も帰宅してきた。

猫を飼っている、4階さんだ。

「こんにちは。どうしたんです?」と質問してくれた。

私は、待ってましたと言わんばかりに、

「私の部屋の前に猫ちゃんがいるんですが、

多分、1階さんの子なのぉ。どしよ?」

4階さん「あらら、あらららら」と。

私と4階さんは、その時ほぼ同時に、買い物袋を地べたに置いた。

 

どこの子かが、不確かでも思い当たりがあるのなら、

放って置くわけにはいかない。

どこの子なのか分からなくても、

間違いなく飼い猫の迷子さんを、放って置くわけにはいかない。

いずれにせよ、放って置くわけにはいかないのだ。

 

私と4階さんは、ここから、なんと5時間、

このサビ猫をエントランスで見守る事となるのだ。

 

「とりあえず、保護しちゃいましょう」と軽口を叩いた私は、

キャリーケースを家から持ってきた。

「はい、猫ちゃん。ちょっと抱っこするよ~」

そう声を掛けながら、猫に手を伸ばした。

小さくて大人しそうな、お年寄りに見える猫さんだ。

ナメていた。

「ぐ~シャーーーーーー」同時に、強烈パンチ。

秒速で、3発の強烈パンチだ。

私と4階さんは、ドン引きした。

「なるほど・・・」

こうなると、1階さんが帰ってくるまで、

どこにも行かないよう、腰を据えて見守ってやろうじゃねーか!と

私達は、そう判断した。

言い方を替えれば、手も足も出せない状態、ともいう。

 

「お腹、空いてるよね?」とかつお節を皿に入れて差し出してみると、

「ぐ~ぐ~、シャー――――」と、凄い迫力でパンチして

う~う~唸りながら、猛然と食べ始めた。

「うふふふ、怒りながらも食べてる」

「しっかりした子だね~ふふふふ」

凄い剣幕で叱られているのに、笑っちゃう。

 

私は、その間、ずっと頭によぎっていた事がある。

本当に、1階さんの子じゃなかったら、どうしようという事だ。

そこで、自治会長さんも、巻き込んでやろうと企んだ。

今季の自治会長も、動物好きだからだ。

数年前まで、犬を手厚く介護しているのを知っている。

でも今は、家に動物が居ない事も知っている。

さっそく相談をしに行くと、すぐに来た。

会長は、猫を見るなり、

「おーい、お前、どうした?家に来るか~?」

でかした!

さすが、動物好きだ。話が早い。早すぎる。

万が一、1階さんの子でなくても、保護先を早くも見つけた。

「じゃ、1階さんを待って、違っていたら、連れて行くね」と伝えて、

お帰り頂いた。

小さくて可愛い子だが、実はかなりの猛者である姿を

会長に見せると、心が揺らぐかもしれないからだ。

 

ここで、私の推理を話す。

1階さんは、徒歩で出かけた。

その出かける時、猫もスルッと一緒に玄関ドアからすり抜けた。

飼い主は、その事に気づかず、出かけてしまったという訳だ。

時間帯から鑑みれば、夕食に出かけたのだろう。

そして、徒歩という事は、お酒を飲んでいるはずだ。

こりゃ、なかなか帰ってこないぞ・・・

 

そして、5時間が経過した。

私と4階さんは疲労困憊だが、猫は更に辛いだろう。

緊張の限界が来たようだ。

動き始めた。

「だめ、だめ。どこにも行ったらあかんよ」

道をふさぐと、やはり凄い剣幕で怒る。

怖いのだ。私達も、猫も。

「ごめんね、ごめんね」そう言いながら泣きたくなってきた、その時。

歩いて来る人影が見えた。

「1階さんだー」

そして「千鳥足だー」

こらーーーっと続けたい気持ちをぐっと抑えて、

「1階さん、早く来て。この子、お宅の子じゃない?」

千鳥足の足音に、う~う~唸って蹲っていた猫が、

初めて反応した。

「あれ?もっちゃん、何してるの~?」と1階さん。

私達は、顔を見合わせて

「もっちゃんって名前なんだね~」と満面の笑顔だ。

1階さんは、猫をひょいっと抱き上げる。

まるで、オモチャかぬいぐるみのように、されるがままだ。

あんなに怒っていた猫がだ。

 「よかったね~、もっちゃん。」

抱かれた猫に顔を近づけても、もう唸ったりしない。

小さな猛者は、可愛いもっちゃんに戻ることが出来たという訳だ。

めでたし、めでたし。

あっ・・・

まさか・・・

会長さん、もっちゃんを待ってるかな?

忘れてた。