猫は濡れる事を嫌うというが、
不思議と、風呂場を好むものが多い気がする。
おはようございます。
湯船に浸かろうと思い立った時には、
すでに風呂場でまどろむ猫が退かせない。
そのおかげで、風呂場のドアは開け放ったまま、
猫が乗っている風呂のふたを、半分だけ開けて、
できた隙間から湯の中へ体を滑り込ませた。
すると今度は、無邪気な子猫らもやってきた。
何も知らない子猫らは、
風呂に浸かる私を、
まるで、一人だけ箱に入って遊んでいると思い込んでいるような、
恨めしそうな目でじっと見ている。
私はついに居心地が悪くなり、
風呂の湯を指ではじいて雫を飛ばして見せた。
1匹は、咄嗟に、雫に向かって手を出す仕草をした。
私は、目を丸くして待ち構える、その子猫に当たらぬよう、
もう一度、指ではじいて雫を飛ばした。
すると、様子を伺っていた、もう1匹が飛び出して、
きらきら光る雫を掴んだ。
子猫は掴んだ瞬間、今度は驚いた顔で私を見た。
そして、笑う私を、不思議そうに、じっと見ていた。
その瞳は、まるで空中を舞う水の雫のようだった。
きくも、雫で遊ぶのが好きな猫だった。
子猫らと、あの時のように遊んでみたら、
貴女の美しい瞳が、もう二度と私に向けられない事を、
今さら、思い知った気がした。
あっきくさんだ!
きくさんや。
窓から帰ってきてくれたんか?
その鍋敷きに乗って、帰ってきたんか?
きく「相変わらずお前ブサイクだしこの家は騒がしいから帰る」
えぇぇ?
もう帰っちゃうの~?