急に寒くなってきたからか、
最近、風呂が人気なのである。
おはようございます。
たれ蔵は、ぐいぐい甘えて来る猫じゃない。
けれど、撫ぜられるのは大好きで、
撫ぜてやると、どれだけ撫ぜてやっても、飽きることが無いようだ。
そこで、たれ蔵は考えた。
どうしたら、たくさん撫ぜてもらえるだろうか。
母ちゃんの隙間時間は、どこだろうか。
そうして見つけたのが、母ちゃんのバスタイムだ。
決して隙間時間ではない。
どっちかというと、母ちゃんのバスタイムは慌ただしい烏の行水だが、
健気に風呂で待つたれ蔵を見て、母ちゃんは決めた。
「よし、頑張ろう」
それ以来、母ちゃんのバスタイムは、たれ蔵を撫ぜる時間になった。
風呂なのに濡れないように気を付けて、たれ蔵を撫ぜていると、
今度は、それをジトーっと見ている、おたまに気付いた。
たれ蔵にライバル心を持っている、おたまは思った。
「おら、悔しい」と。
おたまは、そんなに撫ぜられるのが好きじゃないくせに、そう思った。
「おら、悔しい」
そんなわけで、母ちゃんのバスタイムは、
結局、慌ただしい時間であることには、変わりはなかった。
風呂という癒し時間に、猫を撫ぜるという癒し行為を、
思いのほか、真顔で撫ぜてしまう、シチュエーション!
当然、おじさんの癒しタイムも
こうである。
がしかし、おじさんは大喜びで長風呂を決め込むので、
たれ蔵も、長風呂に付き合っているらしい。
たれ蔵「ぼくは、まだ出ないもん」
うんうん、おじさん頑張れ~!
おたま「おらは、のぼせただ」
お風呂対決は、たれ蔵の勝ちだな。