うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

買い初めは、謝罪の手土産だった

2022年01月03日 | 日記

私は、毎年、

初詣へは行かない。

 

おはようございます。

元日は、家で猫達と穏やかな新年を迎えたい。

という崇高な意味で、そうなっているわけでは無く、

連休の、およそ中日に当たる元日は、

だらけ過ぎて、とっくにクズみたいな人間になっているからだ。

近所の神社へさえも歩けやしない、体と精神に仕上がっている。

 

それなのにか、それだからなのか、

今年は凄まじい元日を過ごした。

朝起きて、とりあえず洗濯をしようと洗濯機を稼働させたが、

排水菅が詰まっていたらしく、気付いた頃には

床がずぶ濡れだった。

「あぁぁぁぁ~」っと叫んだと同時に、玄関チャイムが鳴った。

下の階のとっても優しいご夫婦だ。

「うちの洗面場に、上から水が漏れてるけど、大丈夫?」

ご夫婦は怒ってなどいない。

むしろ、万が一気付いていないなら教えないとっという、配慮なのだ。

以前から、そういうご夫婦なのだ。

そんな優しい人達に、

一年で最もおめでたい日の午前8時に、水をぶっ掛けてしまった。

「すみません、ごめんなさい。申し訳ありません。」

そんなわけで、

元日、私が初めて口にした言葉は、ありとあらゆる謝罪の言葉だった。

 

我が家のおじさんは、この時期は繁忙期だが、

唯一、元日は休みだ。貴重な休みだ。

しかし、この騒ぎで飛び起きる羽目になって、

そのまま顔も洗わず、反射的に床を拭き、排管掃除に取り掛かった。

おじさんは、怒ってなどいない。

むっつりともせず、むしろ慈悲深い微笑みと共に、

「おかっぱちゃん、大丈夫?」

と気遣う男だ。

私は、せめて役に立とうと、凄まじい発明をしてしまった。

テレテレッテレ~♪

『高圧洗浄ホース ~オグリチャップ号~』

これは、ペットボトルに水を入れ、

ガムテープで繋がれたホースを排水口へ突っ込んだ状態で、

力の限り、ペットボトルを押し、その圧から吹き出す水流で、

排水管の詰まりを一気に突破させるという、画期的な発明品である。

 

やっと出来上がったオグリキャップ号を手に振り返ってみれば、

床はきれいに拭き取られ、洗濯機は移動されており、

しかも詰まりも開通していた。

おじさん「これで、大丈夫だと思うんだけど。」

おかっぱ「ん?そなの?」

 

おじさん「それは何ですか?その、えっと、それ何ですか?」

おかっぱ「ん?ん?別に。」

私は、一滴の水も噴射させることなく、オグリ号をそっと置いた。

 

おじさん「よし、いいかな?これで大丈夫かな?」

おかっぱ「ん?ん?なんだこれは?」

 

おじさん「どうしましたか?」

おかっぱ「この状況の中、おたまは、どうして、こんなに寛げるんだ?」

 

おたま「ん?ん?なにがだ?」

私は、呑気なおたまと朝日に照らされるオグリ号を見て思った。

 

おじさんが休みで良かった。

たまたま、この日で良かった。

 

「ねえ、おじさん。あたし、思ったの。

こんな日にどうして?って思ったけど、違う!

詰まるのは昨日でも明日でもおかしくなかった。

でも、昨日や明日だったら、貴方は仕事で居ない。

そう思うと、今日で良かった~って、あたし、ツイいてる~って、

こいつぁ、今年は幸先いいぞ~ってことよね。うふふふふふ。」

私は、どうしようもなく感激して、自然と笑いが込み上げた。

すると、おじさんも微笑んだ。

死んだ魚みたいな目をして、微笑みながら

「そ、そうですね。良かったんです・・・よね。」

と闇雲の中、何かを探るように言った。

 

そして、私とおじさんは、

元日から営業しているスーパーへ、小走りで向かいながら

「あけまして、おめでとうございます」と言い合った。