うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

長い昼間と101日目

2023年06月28日 | チャー坊のこと

昨夜、

また電話が鳴った。

 

おはようございます。

最近のかずこは、電話魔だ。

「まだ電話の機能が使えるなんて、凄いねぇ」

思わず、そう母に感心するほど、認知症は進んでいる。

ただ皮肉にも、電話魔になるというのも、進行の過程でよくある症状らしい。

 

仕事中に何度も何度も電話を掛けて来ては、

「わしの車はどこ行ったんや!」

と怒り狂ってみたかと思うと、

「一緒に買い物行くか?」

と誘ってきたりと、かずこの脳内は目まぐるしい。

私は、スマホが鳴るたび動悸を起こすようになっていた。

そのくせ、電話の最後に毎度必ず、かずこが言う、

「ほんじゃな。」

の響きが好きだった。

 

ところが、ある日、

スマホが一度も鳴らない。

スマホから離れて戻るたびスマホを確認しても、かずこからの着信は無い。

その日は、やけに昼間が長いと感じた。

「母さんは、何をしているんだろう?」

私は、鳴らないスマホの液晶に表示された日時をおもむろに見て、気が付いた。

「あっ、今日は夏至か。」

やけに昼間の長い日、

私は鳴らないスマホを見つめて、かずこの「ほんじゃな。」の響きを思い起こした。

切なくて温かな響きだ。

まるで昔、恋人が

「またね。」と笑顔で手を振った時、恋の終わりを予感させた時みたいに

切なくて温かな気持ちになった。

この人とは、きっともうすぐ、会えなくなる。

ならば、素敵な最後を迎えようと心に誓った響きだ。

 

夏至の日以来、かずこからの電話はぱたりと無くなったのに、

昨夜は久々に電話が鳴った。

チャー坊を実家に保護して以来、夜は実家で過ごしている。

昨夜も実家から帰ってきて、30分もしないうちに、電話が鳴ったのだ。

そんな奇行は、かずこにしか出来ないことだ。

「はい、なに?」

そう、恐る恐る電話に出ると、相手はかずこではなく、父だった。

しかも、電話口で爆笑している。

父さんまで壊れたか?と卒倒しそうになったが、

「おぉぉ、おらぁ今、どえらい大変になっとるぞ~。

チャー坊が、おれの布団でションベンしやがった~あーっはっはっは」

という父の言葉に、私は別の意味で卒倒しそうになった。

チャー坊が、粗相した?!

これは、えらいこっちゃ。

「どうしよう?どうしよう?」

よりによって、潔癖症の父さんの布団に粗相してしまった。

私は、考えを巡らそうと、チャー坊の闘病日記を見返して気が付いた。

「あっ、今日で100日か。」

昨日は、チャー坊を保護して100日目だった。

私は、100日実家へチャー坊に会いに行ったということになる。

そして100回、

「また、明日。」と言って実家を後にしたわけだ。

私は、終わるのが怖くて、だから必ず、

「また、明日。」とチャー坊に約束をする。

これもまた、恋の終わりを予感させる響きに似ている。

 

チャー坊?

 

また明日。

って、今日も始まるぞー!

かずこ、チャー坊、待ってろよ~!!