これで卒業できると思っていた。
おはようございます。
巨大病院への通院は、何かと大変だ。
気軽に、ひょいっと行ける所じゃない。
3月、かずこさんが心筋梗塞の発作を起こして以来、
巨大病院へ通院していたが、そろそろ近くの町医者へ移行できそうだと
前回聞かされていた。
昨日は、「この日で、巨大病院も卒業だ」と思っていた。
ところが、
血液検査と胸のレントゲンを撮り、診察を待っていると、
かずこさんの様子がおかしい。
俯いて固まっている。
そのくせ、装着したマスクは小刻みに絶え間なく上下していて、
壊れたロボットみたいだ。
「母さん?どうした?」
覗き込むと、かずこさんの眼は空っぽだ。
「気持ち悪いの?」
私は通りかかった看護師に助けを求めた。
車椅子に乗せ、ベッドのある処置室へ運んだ。
ところが、嘔吐もしなければ、血圧も心拍も熱も正常だ。
酸素量も問題なし。
しかし、かずこさんは、看護師が何を質問しても、何も答えられない様子で、
しきりに自分のバッグを気にしている。
私は、ふと入院した頃の母を思い出し、
「あの、これ・・・せん妄かもです。」
と、看護師に伝えた。
入院してパニックに陥った時の様子と似ていた。
「かずこさん、ここ、どこだか分かる?」
そう質問してみると、かずこさんは、
「ジジはどこに入り込んだ?あそこの隅っこにしわくちゃになっておった。」
と答えた。
あかん・・・
別世界へ、イッちゃってる・・・
こんな時、背中を撫ぜてやりたいと思うが、かずこさんは触られる事が好きではない。
自閉症傾向が強い人は、触られることを極端に嫌う。
私は、かずこさんがこの世界に戻って来られるような言葉を探した。
「ジジは、しわくちゃになっとったの?どこでぇ?」
と聞いてみると、かずこさんは、
「あそこの隅っこ。」
と呟いた。私は敢えて笑いながら、
「そりゃ、いい気味やなぁ。」
と言った。
すると、かずこさんはふふっと笑った。
でもまだ、顔はこわばっていた。
主治医は、
「とりあえず心臓の異変の兆候はないようですし、せん妄かもですね。
でも、今回の血液検査では、肝臓の数値が良くないんです。
一応、肝臓もしっかり診た方がいいですね。」
と告げた。
卒業ならずだ。
帰りの車中では、この世界での会話も交わせるまでに戻っていた。
「母さん、さっき具合悪くなったのは、覚えとる?」
どうせ、忘れただろうと思いつつ聞いてみると、かずこさんは、
「あれは、息継ぎみたいなもんや。」
と言った。
なんだか意味は分からないが、凄い名言に聞こえた。
「息継ぎね、そうね、息継ぎは必要だもんね。」
「そうや、たまには、ああやって息継ぎせんと詰まってしまうんや。」
嗚呼、なんという名言だ。
昨日、かずこさんは、病院へ着く前に怖い思いをした。
突然、息継ぎしたのは、その影響もあったからかもしれない。
昨日は、
以前、電話を掛けてきた『悪徳買い取り業者』が、訪問する日でもあったのだ。
調子のいい電話営業に、父が乗ってしまった。
昨日、実家へ行くと、父は、
「レコードも高く売れると言ったもんで。」
と、リビングにレコードと古本を沢山並べていた。
「調べたけど、その業者は悪徳だったわ。
家に入れちゃダメって、消費者センターの人も言ってた。」
そう伝えると、父は
「なら、断ってくれ」
とだけ言って、黙々とレコードを片付け始めた。
私は急いで、
「古本は私が売りに行くし、レコードも私が高値で売ったる。
だからね、父さん。レコードのリストを書き出して!」
と言った。
私は、失敗したと気付いた父を落ち込ませたくなかった。
悪いのは騙された側じゃない、騙す側なんだから。
「こんな、ぎょうさんあるぞ。全部書き出すんか?えらいこっちゃ」
父は、大げさに笑った。
そして、もうすぐ悪徳業者が訪問するというのに、
そんな予定は無かったかのように、リスト作りに没頭し始めた。
結局、玄関チャイムが鳴っても、父はレコードから目を離さない。
まるで、別世界へ飛んでいるみたいだった。
私は、悪徳業者が訪問してきたら、文句の一つでも言ってやろうと思っていたが、
父さんの様子を見て、静かに門前払いをした。
何も無かった。
なーんにも無かったかのように、父さんに
「ちょっと、父さん。このレコード高く売れそうじゃない?」
と声を掛けた。
父さん、もう大丈夫。
こっちへ戻っておいで。
願うような気持ちで笑うと、父さんじゃいつもの父さんに戻っていた。
実家は、悪徳業者の一件で、父さんが戻って来るまで異様な空気だった。
かずこさんは、それを敏感に察知して、怖かったのじゃないだろうか。
「どこかで息継ぎしないと、詰まってしまう。」
誰しも、そんな気分の時は、ある。
私は、父さんや母さんが飛んで行く別世界が、
楽しいといいなっと思った。
おい、おたま!
君も、別世界へいっちゃてる感じよね?
大丈夫か~?
戻って来いよ~。
おいおい、零れ落ちるぞ!
おたま「あれ?おじさんじゃないのかぁ。がっかりだ。」
ごめんな、おばちゃんで!
かずこさんの名言、凄くわかります!
息継ぎしなきゃ詰まりますよね!
だって生きるって大変だもの💦
かずこさん、息継ぎして詰まりが取れて良かったです。
息継ぎすればいいのに、しないでアプアプしている人のなんと多いことか!
おかっぱちゃん、このかずこさんの名言を、忘れずに生きようね。
私も絶対に忘れない!
でも健忘症だから、書いて貼っておくね。
かずこさん、おかっぱちゃん、有り難う✨
日常生活の中で絶対必要だけどそんな風に思ったことないです。
「どこかで息継ぎしないと詰まってしまう」
今朝読んでハッとしました!
かずこさんに教えられました!
でもかずこさんはそうやって息継ぎしたのでしょうけど
私自身が詰まったときはどうやって息継ぎしよう。。
プールの息継ぎは得意だけど心の息継ぎは下手だと思います
おかっぱさんもかずこさんやお父さんのことで目いっぱいでどこかで上手に息継ぎしてくださいね!
おたまちゃんはそのままでよろしい(笑)
息継ぎも必要
現代人は呼吸が浅くなってる傾向があると聞きました。
特にストレスの多い生活を送っていると、そのようになりやすいそうなので、普段から、深く呼吸をすることを意識するといいそうです。
って、そう聞いて私もよく考えたら、浅い呼吸かもと思いました。
なので、おかっぱさんも是非、時々でいいので、呼吸に意識を向けてみてください。
一時でも心が落ち着くはずです~
せん妄って解らなかったので、
ググりました。
お母様は細いメンタルをぐいっと押されて、
脱出する為に息継ぎされたのですね。
それを解ってあげられる、おかっぱさんは
素敵です。
爪の垢を煎じて飲みたい気持ちになりましたが、
今は相方共々両親は他界しているんですよねぇ。
切ない話です。
そうですか。おたまちゃんも遠くに
行ってしまう事が(^^;
うちの子達も、明後日の方向を見ながら
ジッとしている事があります。
異次元ポケットに入っているのかも知れませんね。
忘れていたって全然可笑しくないあの状況を
「あれは、息継ぎみたいなもんや。」って言えるとこ、
うちのかずえさんなんて、口から出るのは
一般論!それのみ!!
カズコさんの言葉は生きてる気がするんだよね。
うん、ちゃんと生きてるのよ。
それを受け止めてあげるおかっぱさんは
更に凄いと思うんだけどね。
私にはとてもそんな広い心が無かったから(ToT)
やっぱりさ、この親にしてこの子ありって
ことかしらねf(^^;)
父さんの尊厳を守ってあげるために
百の文句も言いたかっただろう悪徳業者を
静かに帰したとこなんて、
はぁ~(*´Д`)ってため息が出ちゃったよ。
うん、とても自分には出来そうになくて。
大病院への通院が、もう少し続くようだけど
とにかく自分の身体のことも、もう少し気にかけて
労わってあげてください。
おたまちゃんはいつも通りなのに
別世界に行ってるなんて言われちゃって~(*≧艸≦)
しっつれいなおばちゃんだねぇ(^w^)
でも許してあげてね。おばちゃん凄く
がんばってるところだから(^-^ )
ほんと、そうなんですよね~。
空気があるからって、息が詰まらないということじゃなく、
空気があるからこそ、息継ぎを忘れちゃいがちになるんですね。
苦しい~って時は、別世界へ飛んで行く勢いで、
大きな息継ぎ、しましょう!
私もかあちゃんも、やっちゃいましょうね!!
あのせん妄状態を、息継ぎと捉える、かずこさん。
そんくらい、自由な発想ができるって、
ある意味、羨ましいなって思います(笑)。
でもほんと、大事なことですね。
悲鳴をあげないまま、息継ぎしないで生きることも
出来るかも知れないけれど、
その方法があるのなら、息継ぎしてみたいですよね。
その方法は、人それぞれなのでしょうが、
きっと・・・ぶっ飛べ!ってことなのかもね(笑)
また詳しく、かずこさんに聞いてみます!
おたまは、普通なのでしょうね、あれでも(笑)
考えてみると、私は呼吸を止めてる時ある!
そっか、そうですね。
意識して深呼吸をするのは大事なことですね。
ありがとうございます。
そういえば、ここ2~3年、マスク生活ですもんね。
特にですよね。
その弊害も、そろそろ確実に社会を覆いそうで、
みんなで、深呼吸しながら乗り切っていかんとですね!
ああ、朝の冷ややかな空気を
マスク無しで大いに吸い込みたいな~。
せめて、ベランダでやってみようと思います。
調べていただき、恐縮です。
そうなんですよね。
脳が、その時の危機を乗り切るためにトラップするんでしょうね。
認知症の人はせん妄になりやすいけれど、
健康な人でも、何かの拍子になるってこと、あるんですよね。
私も、くも膜下出血の手術後、実はせん妄状態になったんです。
医師曰く、麻酔の後遺症だろうって。
だから、かずこさんの症状も、ちょっと理解できるんですよね。
いえいえ、私の爪の垢なんぞ飲んでしまうと、
ひどいスットコドッコイになっちゃから~(笑)。
猫って、ありますよね。
どうした?おい、どうした?って時(笑)
おたまは、きりっとした時が少ないように見えるんですが、
でもきりっとしている時の方が、
実は息継ぎだったりするかもです(笑)。
突如、壊れちゃったように見えた、かずこさん、
焦ったけれど、病院で良かった~(笑)。
でも介抱しながら、検査結果を見る前だったけど、
「まだ、この巨大病院と縁を繋いでおけという意味かも」と
思っていました。
かずこさんって、不思議なところがあるんですよね~。
そゆとこも、猫みたいなの(笑)。
いやいや、かずえさんの一般論のほうが、
それこそが、重要なんですよね。
かずこみたいに、ぶっ飛んでいると、
もう困っちゃうんだから~もう~(笑笑)
でも確かに、時々、かずこさんの言葉に
はっとさせられることがあります。
瑞々しい感性に、感服しちゃうんですよね。
でもだから、我ら、かずこ防衛隊、隊長である父さんが
潰れちゃ困りますからね。
父さん、あっという間にリスト作ったっで~。
さすがだね(笑)。
ありがとうございます。
ままんもね、体を大事にしてくださいね。
眼はね、ほんと大事。
弊社はドライバーさん多いでしょう?
眼を使うのね。だから眼のトラブル多いんです。
ままんも、よく眼を使うから、その分、
充分に休めて下さいね。
そして、時々、息継ぎして~。
オレも、別世界へぶっ飛んでみる~。
おたまと共に~(爆)。