最近、
また我が家は、ちょっとバタついている。
おはようございます。
我が家のおじさんは、
月曜日から木曜日まで、地獄のシフトで働いている。
朝5時に出勤し、夜11時までの勤務だ。
理由は、パートの匠が忌引きで休んでいるからだが、
その穴は、店長である我が家のおじさんが埋めるしかない。
がんばれ、おじさん!
そして、かずこもちょっと大変だ。
いやかずこ本人は、そうでもない様子だけれど。
朝、実家へ行ってみると、
「なんかよぉ、足が痛いんやけど、なんでやろ?」
と、かずこが右足を痛がっていた。
「どれどれ、どこよ?」
と見てみると、
「あらら、こりゃ・・・折れてるっぽい」
ということで、急いで病院へ連れて行った。
「歩ける?」
と聞くと、かずこは
「歩けるわい。ほれ、つつーっと歩ける。」
と笑いながら、歩いて行くではないか。
画像で見るより、実際はかなり腫れている。
おそらく、足の先っぽを何かにぶつけたのだろう。
何にどうやっては、永遠の謎だ。
認知症のかずこにとっては、永遠の謎というより、
「わしは、昔っからこういう足なんや」だったり、
「今、そこらへんで、ぶつけた」になる。
診察室で医師に診せると、
「うわ~、この腫れ方は普通の打撲じゃないねぇ。
かずこさん、ここ押さえると痛い?」
と、優しく問いかけられた。
かずこは、その問いに、きっぱり答える。
「へい、どっこも痛くありましぇん!」
そう断言しながら、押さえられた足をさっと引く。
猫は痛い悪い個所を隠す習性があると聞くが、
渡り鳥とかずこも、その習性を持っている。
「とりあえず、レントゲン撮ってみようね。」
ここまでは順調だった。
ここからが、大変だったのだ。
かずこは、どうもお腹の具合がよくなかった。
最近は、失禁や便を漏らす頻度が高くなってきた。
認知症が進行してくると、もれなく漏れる。
レントゲン室から出てきた、かずこは
「わし、トイレ行きたい。」
と平静を装って言ったが、私にはピンときた。
漏らしたな・・・。
かずこをトイレに入れてから、私は看護師さんを捕まえた。
「たぶん、母が漏らしてしまっているので、
紙おむつが欲しいのですが。」
看護師さんは、もはや反射的に
「ちょっと、お待ちくださいね。すぐ持ってきます。」
と動いてくださる。
やったぜ、病院なう!
しかし、かたや便器は凄惨を極めていた。
不思議なことに、
履いていたオムツや衣服は、それほど汚れていないのに、
便器は、どうしようもなく汚れていた。
「ほら、綺麗な紙パンツに履き替えて。」
と促すが、
「まんだ、いい。」
と断固拒否だ。
「こんな場所で脱ぐなんて恥ずかしいやろ」
と、私を変態を見るかのような怪訝な表情だ。
「そりゃそうだ。」
どっちかというと、恥ずかしがるかずこの方が、悔しいが正常だ。
私は、手洗い場に置かれた消毒液を紙に含ませ、一応に拭き取り、
そのことを看護師に伝えて待合に戻った。
「かずこさん、骨折はしてないみたい。
良かったねぇ。
ただ、画像には見えてないけど、
やっぱり、この腫れは打撲じゃないと思うんだ。
たぶん、小さなヒビが入ってるね。」
ということで、医師からの診断は『どっかにヒビ』と下された。
「痛み止め薬、出しておこうか?
かずこさん、そんなに痛がってはいないみたいだけどね。」
へい、この人は、どっこも痛くありましぇんもんねっと思いきや、
かずこが、困った風に
「へえ、痛いんですわぁ。尻が痛くて座りにくい。」
と言うもんだから、医師は
「かずこさん、お尻もぶつけたんだね?」
と驚く。
いや違う。
かずこの尻は、ぶつけた痛みじゃない。
おそらく、排便による切れ痔だ。
私はすかさず、
「いえ、痔です。たぶん。」
と言い、かずこに退室を促した。
「お前の尻を、診てもらわなあかんやろ?痔で来たんやろ?」
と、いつしか、主訴が痔、しかも私が痔になったとすり替えられている。
私は、どこでだってパンツを脱ぐのは平気だが、
痔になるのは恥ずかしいと感じるタイプの羞恥心を持っている。
そんな、どえらい勘違いをするかずこの腕を引っ張りながら
赤面して病院を後にした。
短期記憶が消えると、こういう事態によくなるのだ。
さて、
あやさんは、最近つまらなそうだね。
あや「いないと、つまんないのよね」
ああ、おじさんいないからね。
あや「からかう相手がいないから。」
いるじゃん、背後にも。