「春の祭典」
LE SACRE DU PRINTEMPS
音楽イーゴリ・ストラヴィンスキー
初演1959年。センセーションを呼んだ、ベジャールの出世作です。
東バ初演は1993年4月。
題材は鹿の発情期。
冬眠から覚めて、男女の群れがそれぞれの生贄を定め、自然界の掟に従って突き動かされていく様に生命の神秘を感じさせる傑作。
前半、冬眠から覚めた雄鹿たち。生贄は、リーダーたちによって乱暴に小突かれて選出される。
今回が生贄初役の長瀬さん、今まで全くNOチェックだったダンサーですが、選ばれたときの慄き、怯え、がダイレクトに伝わってきて、胸に迫る名演でした。正直、ベテランの井脇さんの相手がこんな新人だなんて一体?くらいに思っていたのが嘘のよう。
井脇さんのHPによると、以前カラボスとその部下で共演したときには、自分は自分、でヒトの意見をきかないところがあったのが、今回は「謙虚になりました」と2人で踊るシーンの練習を自分から願い出てきたとか。
成長していたのですね、水面下で。
光の筋に導かれるように跳ねながら退場していく鹿の群れの最後をまろびつつ付いていく彼の姿にから感じられる切迫感に息を呑みました。
雌の生贄は、自ら自分が生贄になったことに気付き、かすかに戸惑い恐れを抱きつつも、雄雄しくその運命を受け入れる・・・
群れを率いる巫女のようなりりしさと純粋さを見せる井脇さん。
井脇さんの生贄は、ベジャールさんをして賞賛の言葉を引き出したほどの定評ある当り役ですが、今回はまた初心に帰って、という気持ちと、心身ともに未だかつてないほど好調で勝手に音楽にあわせて身体が動く、と自身で表現されているくらい好調なコンディションもあってのことか、作品世界と、そして音楽と一体化して見事でした。
カーテンコールでの2人、は放心状態の長瀬さんの手をギュッと握って前に出る井脇さんの笑顔、長瀬さんの手を握られてホッとした表情が印象的。
プログラムにベジャールさんと自身の思い出をダンサーが個々に語るページがあったり、東バだけのゲストなしの公演だったためか、ソリストクラスでも、プロフィールが詳しく書かれていたのですが、興味深かったのが、男性ダンサーのほとんどが、ベジャール作品に惹かれて他のダンスや体操からバレエに転向していたり、ベジャール作品を踊りたいという気持ちがきっかけで東バに入団したりしているということ。
そのせいか、いつもはこのところ平均的に美しさの増している女性ダンサー比べて、身長も容姿も見劣りする、と残念に思う男性陣が活き活きと群舞の隅々に至るまで気の入った演技をみせてくれて、緊密な舞台を堪能しました。
ダンサー個々の個性や魅力、という面では、やはりベジャール作品はベジャールバレエ団のものだなぁと思うのですが、正確無比な群舞が作り出すソリッドな造形美もまたベジャール作品の魅力。
「ベジャールバレエ団と同様にわたしの子供。」と言われていた団員がベジャールさんへの敬愛から心を一つにしてその定評ある群舞での造形的な美しさと気迫でみせてくれた好演でした・・・
LE SACRE DU PRINTEMPS
音楽イーゴリ・ストラヴィンスキー
初演1959年。センセーションを呼んだ、ベジャールの出世作です。
東バ初演は1993年4月。
題材は鹿の発情期。
冬眠から覚めて、男女の群れがそれぞれの生贄を定め、自然界の掟に従って突き動かされていく様に生命の神秘を感じさせる傑作。
前半、冬眠から覚めた雄鹿たち。生贄は、リーダーたちによって乱暴に小突かれて選出される。
今回が生贄初役の長瀬さん、今まで全くNOチェックだったダンサーですが、選ばれたときの慄き、怯え、がダイレクトに伝わってきて、胸に迫る名演でした。正直、ベテランの井脇さんの相手がこんな新人だなんて一体?くらいに思っていたのが嘘のよう。
井脇さんのHPによると、以前カラボスとその部下で共演したときには、自分は自分、でヒトの意見をきかないところがあったのが、今回は「謙虚になりました」と2人で踊るシーンの練習を自分から願い出てきたとか。
成長していたのですね、水面下で。
光の筋に導かれるように跳ねながら退場していく鹿の群れの最後をまろびつつ付いていく彼の姿にから感じられる切迫感に息を呑みました。
雌の生贄は、自ら自分が生贄になったことに気付き、かすかに戸惑い恐れを抱きつつも、雄雄しくその運命を受け入れる・・・
群れを率いる巫女のようなりりしさと純粋さを見せる井脇さん。
井脇さんの生贄は、ベジャールさんをして賞賛の言葉を引き出したほどの定評ある当り役ですが、今回はまた初心に帰って、という気持ちと、心身ともに未だかつてないほど好調で勝手に音楽にあわせて身体が動く、と自身で表現されているくらい好調なコンディションもあってのことか、作品世界と、そして音楽と一体化して見事でした。
カーテンコールでの2人、は放心状態の長瀬さんの手をギュッと握って前に出る井脇さんの笑顔、長瀬さんの手を握られてホッとした表情が印象的。
プログラムにベジャールさんと自身の思い出をダンサーが個々に語るページがあったり、東バだけのゲストなしの公演だったためか、ソリストクラスでも、プロフィールが詳しく書かれていたのですが、興味深かったのが、男性ダンサーのほとんどが、ベジャール作品に惹かれて他のダンスや体操からバレエに転向していたり、ベジャール作品を踊りたいという気持ちがきっかけで東バに入団したりしているということ。
そのせいか、いつもはこのところ平均的に美しさの増している女性ダンサー比べて、身長も容姿も見劣りする、と残念に思う男性陣が活き活きと群舞の隅々に至るまで気の入った演技をみせてくれて、緊密な舞台を堪能しました。
ダンサー個々の個性や魅力、という面では、やはりベジャール作品はベジャールバレエ団のものだなぁと思うのですが、正確無比な群舞が作り出すソリッドな造形美もまたベジャール作品の魅力。
「ベジャールバレエ団と同様にわたしの子供。」と言われていた団員がベジャールさんへの敬愛から心を一つにしてその定評ある群舞での造形的な美しさと気迫でみせてくれた好演でした・・・