16日、楽日のジゼル。
東京文化会館4列目センターブロックという、会員席の中でもかなり好位置での鑑賞・・・。
追加公演の先行予約、頑張って良かった
後の席に歌舞伎好きのお友達をバレエ界に引きずり込もうと目論んでいるらしき男の子がいて、始まる前とか幕間に一生懸命解説をしているのが面白かったのですが、それはさておき。
小出さんのジゼルは2回目のこの日、第一幕はラブラブモードの純愛マラーホフとの時よりも、手練手管の恋の駆け引き慣れした風情のアロガントな貴公子ルグリの手の中でやや物堅い感じ。
パートナーによって印象が変わるのは当然ですが、いつもの柔らかで音楽にのった流麗な踊りの印象からすると、少し緊張しているのかあるいは慎重になっているのかも・・・・と思わないでもありませんでしたが、勿論そつなく小鳥のようなジゼルを表現して。

ルグリ先生のアルブレヒトは衣装も明るい茶系にお袖だけトリコロールの色が入ったオペラ座バージョン。
ジゼルにはとことん甘くスマートに接するが、従者やジゼルの母には思いがけず冷たい顔も見せる落差が。
ドアをノックしてすぐに姿を隠し、ジゼルがウキウキと飛び出して彼を探しまわるサマをみて楽しみ、背後からフッと耳元に息を吹きかけたり、ベンチにスカートをふわりと広げて座るジゼルを促して半分場所を開けさせて掛けるや否やすぐに腰に腕を回して引き寄せようとしたり、家に帰るジゼルの腕を取ってエスコートしながらドアの前で一瞬腕をとって引き寄せたり・・・のフレンチな恋愛作法が、ジゼルならずともこんな貴公子にそうされたら陥落せざると得ないでしょう、と思わせるのがさすが。
村人に囲まれてのパ・ド・ドゥではここからそんなにとばして大丈夫ですか?と思うほど脚を高くあげて大きな踊りを見せるルグリ。いつもより短髪のヘアスタイルがローマの将軍のような男らしさとスポーティな若々しさを見せていて今なら「スパルタクス」のクラッススなんかも似合いそう・・・と勝手な妄想が頭をよぎる。
40をとうに超えたエトワールとは到底思えないほど演技には若さが漲っています。
ヒラリオンの木村さんはこの役を極めているだけに、演技が細やか。
登場してジゼルの家の戸をノックしようとしてそっと自分のその手を押さえ、いやいや今日はこのまま帰ろう。狩りの獲物を入り口のポーチにそっと置き、帽子にかざった白いマーガレットを捧げようとして、また逡巡、さりげなく窓辺のプランターの花に紛れ込ませる辺り、控えめな愛情表現が却って押さえた想いの熱さを感じさせる。(ちなみに初日の後藤ヒラリオンは獲物をドア脇のフックに掛け、帽子のお花に音をたててキッスしてからその獲物の飾りにして家に向かって投げキッスをして意気揚々と去る、という陽性のヒラリオンでした)
パ・ド・ユィット、ペザントの踊りは、この日は若手が中心。その中では西村さんの踊りが抜きん出てキレイ。
つい彼女だけを観てしまいます。

狩猟を楽しむ貴族の一行。
バチルド姫の井脇さんが踊りがない役どころなのに存在感と演技力で、観ているとつい台詞をアテレコしたくなります。高雅で美しい姫ですが、どこか包容力のある性格。
アルブレヒトの父である公爵が姫をとても大切にしている感じから、きっと近隣でも名君主として名を馳せている父領主と公爵は親友どおしで姫はそのお嬢さん、という関係。で、是非にと請われてお嫁入りの運びになっているのかも・・・などと妄想が(笑)
このメンバーが絡む、一幕の最後、コトが露見してジゼルが壊れる狂乱の場はそれぞれの濃い存在感が炸裂。
はい、観ていて忙しかったです(笑)
公爵と姫はジゼル家で一休み、他の貴族と従者は一時解散、集合は角笛で、という一時、広場にまた村の若人が集いジゼルとアルブレヒトが楽しく踊っている最中、2人の間にアルブレヒトが隠していた剣の柄を振り下ろすヒラリオン。
伯爵様失礼を、と仰々しく挨拶。
何をするのと驚くジゼルに憤るアルブレヒト。
角笛を吹くヒラリオン。
貴族に囲まれ、お前はこんななりでどうしたのだ?といぶかる公爵にいや、ちょっとした余興ですよと余裕で応え、あら、いらしたのね、と嫣然と微笑むバチルド姫の手を取って何事もなかったかのようにとっさに振舞うアルブレヒト。
突然の展開に我を忘れ、私の彼に何をするの!と2人の間に割ってはいるジゼルに、先ほどわたくし婚約しているとお話したでしょう、彼が婚約者なのよとバチルド姫。
そんな・・・!
あまりのことに心が壊れていくジゼル。
全てを見て取り、あなた何をなさったのかおわかり?とジッとアルブレヒトを非難のまなざしで見つめ、一歩も引かない姫。
花占いの様子を思い出して再現するジゼルに涙する村人たち。
突如、剣をつかんだり右往左往するジゼルに抱きとめようとするアルブレヒトとヒラリオン。
でももうジゼルの目には誰も見えてはおらず、彼らに駆け寄りつつもその腕をすりぬけ、虚空を見つめます。
その視線の先を追って同じようにうろたえるアルブレヒト。
すりぬけられた我が腕をジッとみて凍りつくヒラリオン。
姫をこの愁嘆場に巻きこむまいとそっと肩を抱いて背を向けさせる公爵・・・。
普通、狂乱のジゼル一人に視線が集中するシーンですが、この日は結構忙しかったです(笑)
東京文化会館4列目センターブロックという、会員席の中でもかなり好位置での鑑賞・・・。
追加公演の先行予約、頑張って良かった

後の席に歌舞伎好きのお友達をバレエ界に引きずり込もうと目論んでいるらしき男の子がいて、始まる前とか幕間に一生懸命解説をしているのが面白かったのですが、それはさておき。
小出さんのジゼルは2回目のこの日、第一幕はラブラブモードの純愛マラーホフとの時よりも、手練手管の恋の駆け引き慣れした風情のアロガントな貴公子ルグリの手の中でやや物堅い感じ。
パートナーによって印象が変わるのは当然ですが、いつもの柔らかで音楽にのった流麗な踊りの印象からすると、少し緊張しているのかあるいは慎重になっているのかも・・・・と思わないでもありませんでしたが、勿論そつなく小鳥のようなジゼルを表現して。

ルグリ先生のアルブレヒトは衣装も明るい茶系にお袖だけトリコロールの色が入ったオペラ座バージョン。
ジゼルにはとことん甘くスマートに接するが、従者やジゼルの母には思いがけず冷たい顔も見せる落差が。
ドアをノックしてすぐに姿を隠し、ジゼルがウキウキと飛び出して彼を探しまわるサマをみて楽しみ、背後からフッと耳元に息を吹きかけたり、ベンチにスカートをふわりと広げて座るジゼルを促して半分場所を開けさせて掛けるや否やすぐに腰に腕を回して引き寄せようとしたり、家に帰るジゼルの腕を取ってエスコートしながらドアの前で一瞬腕をとって引き寄せたり・・・のフレンチな恋愛作法が、ジゼルならずともこんな貴公子にそうされたら陥落せざると得ないでしょう、と思わせるのがさすが。
村人に囲まれてのパ・ド・ドゥではここからそんなにとばして大丈夫ですか?と思うほど脚を高くあげて大きな踊りを見せるルグリ。いつもより短髪のヘアスタイルがローマの将軍のような男らしさとスポーティな若々しさを見せていて今なら「スパルタクス」のクラッススなんかも似合いそう・・・と勝手な妄想が頭をよぎる。
40をとうに超えたエトワールとは到底思えないほど演技には若さが漲っています。
ヒラリオンの木村さんはこの役を極めているだけに、演技が細やか。
登場してジゼルの家の戸をノックしようとしてそっと自分のその手を押さえ、いやいや今日はこのまま帰ろう。狩りの獲物を入り口のポーチにそっと置き、帽子にかざった白いマーガレットを捧げようとして、また逡巡、さりげなく窓辺のプランターの花に紛れ込ませる辺り、控えめな愛情表現が却って押さえた想いの熱さを感じさせる。(ちなみに初日の後藤ヒラリオンは獲物をドア脇のフックに掛け、帽子のお花に音をたててキッスしてからその獲物の飾りにして家に向かって投げキッスをして意気揚々と去る、という陽性のヒラリオンでした)
パ・ド・ユィット、ペザントの踊りは、この日は若手が中心。その中では西村さんの踊りが抜きん出てキレイ。
つい彼女だけを観てしまいます。

狩猟を楽しむ貴族の一行。
バチルド姫の井脇さんが踊りがない役どころなのに存在感と演技力で、観ているとつい台詞をアテレコしたくなります。高雅で美しい姫ですが、どこか包容力のある性格。
アルブレヒトの父である公爵が姫をとても大切にしている感じから、きっと近隣でも名君主として名を馳せている父領主と公爵は親友どおしで姫はそのお嬢さん、という関係。で、是非にと請われてお嫁入りの運びになっているのかも・・・などと妄想が(笑)
このメンバーが絡む、一幕の最後、コトが露見してジゼルが壊れる狂乱の場はそれぞれの濃い存在感が炸裂。
はい、観ていて忙しかったです(笑)
公爵と姫はジゼル家で一休み、他の貴族と従者は一時解散、集合は角笛で、という一時、広場にまた村の若人が集いジゼルとアルブレヒトが楽しく踊っている最中、2人の間にアルブレヒトが隠していた剣の柄を振り下ろすヒラリオン。
伯爵様失礼を、と仰々しく挨拶。
何をするのと驚くジゼルに憤るアルブレヒト。
角笛を吹くヒラリオン。
貴族に囲まれ、お前はこんななりでどうしたのだ?といぶかる公爵にいや、ちょっとした余興ですよと余裕で応え、あら、いらしたのね、と嫣然と微笑むバチルド姫の手を取って何事もなかったかのようにとっさに振舞うアルブレヒト。
突然の展開に我を忘れ、私の彼に何をするの!と2人の間に割ってはいるジゼルに、先ほどわたくし婚約しているとお話したでしょう、彼が婚約者なのよとバチルド姫。
そんな・・・!
あまりのことに心が壊れていくジゼル。
全てを見て取り、あなた何をなさったのかおわかり?とジッとアルブレヒトを非難のまなざしで見つめ、一歩も引かない姫。
花占いの様子を思い出して再現するジゼルに涙する村人たち。
突如、剣をつかんだり右往左往するジゼルに抱きとめようとするアルブレヒトとヒラリオン。
でももうジゼルの目には誰も見えてはおらず、彼らに駆け寄りつつもその腕をすりぬけ、虚空を見つめます。
その視線の先を追って同じようにうろたえるアルブレヒト。
すりぬけられた我が腕をジッとみて凍りつくヒラリオン。
姫をこの愁嘆場に巻きこむまいとそっと肩を抱いて背を向けさせる公爵・・・。
普通、狂乱のジゼル一人に視線が集中するシーンですが、この日は結構忙しかったです(笑)