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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「ロシュフォールの恋人たち」デジタルリマスター版

2009-03-02 01:06:32 | FILM
ジャック・ドゥミの名作、ミュージカル映画の草分け、「シェルブールの雨傘」と「ロシュフォールの恋人たち」のデジタル・リマスター版が、渋谷のシネセゾンで公開されています。
シェルブール後45周年企画と言うことですが、実は何を隠そうわたくしの生涯BEST10映画に不動の地位を築いているのは「ロシュフォールの恋人たち Les Demoiselles de Roshefort」



ドヌーブがダンサー、姉フランソワーズ・ドルレアックが作曲家として大成する夢を持つ双子の美人姉妹。
それぞれが運命の恋人と出会うまでをフランス西南部の港町、ロシュフォールの広場でのお祭りの日を中心に週末3日間の出来事として群像劇で見せていきます。

唐突に歌い、踊りだす、ミュージカルの作り物っぽさも、町全体をパステルカラーにペイントしてしまったベルナール・エヴァン、白やカーキに美しいパステルカラーを散りばめた衣装のジャクリーヌ・モローの仕事ぶりで別世界として納得。このお2人はドゥミ監督の美術学校時代の同級生らしいです。
劇中のミシェル・ピコリ扮する楽器店主と世界的ピアニスト、アンディ(ジーン・ケリー)もコンセルヴァトワールの同級生という設定でしたし、なんとなく同級生つながりの信頼感がイイ感じ?
シェルブールのヒットで潤沢になった予算を使って(笑)、クレーンを使った移動撮影で屋外のダンスシーンはダイナミック、かつ滑らか。ダイナミックと言えば冒頭の、ジョージ・チャキリスらイベント屋ご一行街に到着のシーンは俯瞰を取り入れたカメラワークがカッコいいの一言です。
踊りは群舞とかのクオリティ云々よりも、ジョージ・チャキリス、ジーン・ケリーら豪華出演者の、そして双子姉妹のチャーミングなことにとにかく!魅惑されます。
ミシェル・ルグランの憧れに満ちたロマンチックで華麗な音楽が全編を彩っているのがまた素晴らしい。



一番好きなナンバーはお祭りの日に双子が歌い踊るシーン。
女王様の衣装よ、とドヌーブが用意するのは真っ赤な総ラメ、深いスリットがセクシーなロングドレス。
隣の舞台では彼女たちが経営するバレエ学校の生徒たちが踊っているのですが、誰一人としてそちらに眼を向ける観客がいないのが笑えます・・・がそれも納得の吸引力!
え~っと、一応、日曜日の昼間、街の中央広場の特設野外ステージなんですけど・・・(^^;)
こういう突っ込みどころは全編満載で・・・。

お祭りのために街を訪れたイベント屋、チャキリスと相棒がドヌーブと初めて出会うシーンで「美人だね」というのに対して「皆がそういうわ」(直訳では:オリジナルではないわね)といなすのも、ドルレアックが運命の恋人と出会ったとき、互いの眼と眼に燃え上がる恋心・・・の直後彼の口から発するのは「マドモワゼル、下着(コンビネゾン)が見えてますよ」だったりするのも思わずニヤリ。
でも設定として一番「それって・・・(;;)」と思わせるのは2人の母親、きれいなガラス張りの明るいカフェを経営するイヴォンヌ(名女優ダニエル・ダリュー)が下の男の子を授かったのにお相手(ミシェル・ピコリ)と別れた理由がこっけいな苗字(マダム・ダム、なんて・・・!)が嫌だったからxxx
あと、チャキリスと相棒のそれぞれのガールフレンドであるダンサー2人が水兵と恋に落ちたから、と本番前日に仕事を放り出して去るシーンで「あなたは魅力的だけれど青い目じゃないから・・」という女性に「嫉妬を覚えるよ」と熱く引き止めるダンスナンバーも・・・責任感はないのか!?などと野暮なことは言わないフランス流で・・・好きです(笑)

という、一筋縄ではいかないところ(?)がアメリカンミュージカルとは一線を画するところでしょうか。
美人姉妹と母、3人のそれぞれの恋とすれ違いに加えて、バラバラ猟奇殺人、政情不安と兵役などちょっぴりダークな隠し味もまた生命と恋を歌い上げる本作品のテーマをいやがうえにも盛り上げます。

何度もVIDEOなどで観てはいますが、きれいな映像と大画面の劇場上映はまた格別。
シネセゾン渋谷の他、銀座テアトルシネマでも。