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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第12回世界バレエフェスティバル開催記念 秘蔵記録映像上映会 ③

2009-07-14 12:34:39 | BALLET
一つ前の記事でこれからUPする予定、としてご紹介した内容に加えて
◇7月大歌舞伎「天守物語」「夏祭浪花鑑」
◇大地真央主演MUSICAL「シャネル」、
◇タカラヅカ星組「エリザベート」(これは今日これから観る予定です)
そして
◇デンマーク・ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」(うっかり忘れていました^^;)
が加わります。
今月末からはバレフェス特別全幕プロが始まってしまいますので、なんとかそれまでには・・・
・・・できるのかしら?自分

さて、上映会の感想、続きです♪

◆『失われた時を求めて』 ドミニク・カルフー二、デニス・ガニオ
 音楽: サン=サーンス 振付: R.プティ (第4回・1985年)

最近オペラ座で再演された演目、現エトワール、マチュー・ガニオのご両親の映像。
2人の硬質な美貌と大人っぽい雰囲気は是非ナマで観てみたかった・・と思わせてくれます。
この映像、全幕ではリリースされていないんですよね・・・クスン

◆『グラン・パ・クラシック』 シルヴィ・ギエム、 マニュエル・ルグリ
 音楽: オベール、 振付:V.グソフスキー (第5回・1988年)

この2人の偉大なダンサーの若き日のレアな共演映像・・・ですが、この映像で見る限りでは
この頃のシルヴィはまだ初々しく、ルグリは若くてスノッブでちょっと鼻持ちならない(あくまでイメージですよ~)あまり好みではない(この当時は!)ダンサーだったなぁ~とそういえば、と思い出したりして。
その後の成長、そして今の2人の堂々たる円熟振りを思って、逆に驚きと感動をおぼえてしまいました。

◆特別プログラム『白鳥の湖』全幕 
 音楽: チャイコフスキー(第5回・1988年)

ペーター・シャウフス、パトリック・デュポン、アニー・マイエ、ヤナ・ク-ロワ
イルジ・ホラック、エヴァ・エフドキモワ、デヴィッド・ニクソン、シルヴィ・ギエム
マニュエル・ルグリ、カルラ・フラッチ、ウラジーミル・デレヴィヤンコ
シリル・アタナソフ、マリシア・ハイデ、リチャード・クラガン他

なんて豪華な!次々と主役が入れ替わっての全幕。もちろん抜粋ですが配役の豪華さに息を呑む。
デュポンが道化で場をさらいます。もう・・笑っちゃうほどスゴイ!
高速フェッテで手を上げ下げしてって初めて見たかも。
デュポンってこうしてみると本当に人を惹きつける大スターだったんだなぁとしみじみ。
映像なのに客席から拍手が出ました。
白鳥は2幕がエフドキモワ、4幕がハイデ。
2人とも美しい・・・たおやかなエフドキモワと情感あふれるハイデに釘付け。
今は白鳥といえばロパートキナ、だけれどもエフドキモワの全幕を見たかったな・・と今更のように思います。
ギエムは黒鳥。珍しいのがカルラ・フラッチのロシア。
印象的なのがシリル・アタナソフのドラマチックなロットバルト。
全幕プロ、も、ただゲストに主役を踊らせるだけではなくこういうフェスならではの趣向が
もっとあっても良いのに!

◆『ライモンダ』 ニーナ・アナ二アシヴィリ、アンドリエス・リエパ
 音楽: グラズノフ、 振付: Y.グリゴローヴィチ(第6回 1991年)

今年引退のニーナ。今も昔も変わらぬ、白い大輪の花のような華やかで明るい存在感。
リエパも麗しい騎士でした。

◆『椅子』 マリシア・ハイデ、ジョン・ノイマイヤー
 音楽: ワーグナー、 振付: M.ベジャール(第7回・1994年)

なんと!今や大御所の振付家、ジョン・ノイマイヤーのダンサー時代の貴重な映像。
さすがの存在感。

◆『パリの炎』 フェルナンダ・タバレス=ディアス、ホアン・ボアダ
 音楽: アサフィエフ、 振付:V.ワイノーネン(第8回・1997年)

超絶技巧もの。この演目ってガラで結構踊られるのですが、物語の文脈も見えてこないし、
特別美しい何かを表現しているわけでもないので、印象に残りづらい。
踊るダンサーにはいつも少し気の毒な気がしてしまう、そんな演目です・・・。

◆『エスメラルダ』 アニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルティネス
 音楽: ブーニ 振付: M.プティパ (第8回・1997年)

この2人のほっそりとしたエレガントな佇まいにはいつもうっとりとさせられます・・・
10年前も今も変わらぬシルエットではありますが、この頃はさらに若々しく細くしなる枝のようなジョゼと若くしてエレガンスを身につけていたアニエスに改めてステキなダンサーだな再認識。

◆『マノン』より ”寝室のパ・ド・ドゥ” アレッサンドラ・フェリ、ウラジーミル・マラーホフ
 音楽: マスネ、 振付: K.マクミラン (第9回・2000年)

ふたりとも耽溺型のアーティストなので短い抜粋のガラでも、すっかり親密な世界がそこに。
ただ、わたくし自身の好みとしては、マクミランの振付にはどこか振りを厳格に守っているほうが
そのダイナミズムが面白く感じられるので、これこそが最高の演技、とは言えないのですが・・・
でも、やっぱり女優バレリーナ、フェリの姿をこういう形でも見られるのは喜びです。

◆『アダージェット』 ジル・ロマン
 音楽: マーラー、 振付:M.ベジャール (第10回・2003年)

ベジャールさんの後を継いだベジャールバレエの顔、ジル・ロマンの十八番。
実は、本当にジルのアダージェットで涙したのは2006年のバレフェスでの演技。
でもこのときが素晴らしくなかったわけでは別にないのですが・・・。
同じ作品を踊り続けていて尚且つ未だ進化できる、ダンサーという存在の深さを思います。

◆『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』 アリーナ・コジョカル、アンヘル・コレーラ
 音楽: チャイコフスキー、 振付: G.バランシン (第10回・2003年)

2人ともテクニシャンだけれども、技術力よりも可憐さや明るい存在感といったチャームが
先に感じられるタイプで小柄で可愛くお似合いのペア。
音に合わせて、というよりも音を先に取って踊りで音をリードするような印象のコジョカルと、
とにかくスピード感のスゴイコレーラのふたりなので、ちょっと個性的な・・・春のつむじ風のようなチャイコ。

◆『優しい嘘』 シルヴィー・ギエム、二コラ・ド・リッシュ
 音楽: C.モンテベルディ、C.ジェズアルド、グレゴリオ聖歌、 振付: J.キリアン
 (第10回・2003年)

あぁ、これを上映してくれるとは・・・
感涙。これだけでも、今日来て良かった、と思いました。
初めて見たときの衝撃たるや!こういう演目こそ、バレフェスならでは、ですよね。
闇に浮ぶギエムの四肢がゆっくりと伸び、そして収縮する・・・。
ギエムの持つしなやかな力強さとスタイリッシュな側面が存分に生かされた作品。

◆『椿姫』より第3幕のパ・ド・ドゥ ジョエル・ブーローニュ、アレクサンドル・リアブコ
 音楽: ショパン、 振付: J.ノイマイヤー (第11回・2006年)

これも名演でした。(遠い目)
2人ともノイマイヤーが目指していたものはこれか!としっかりとわからせてくれる情感溢れる
素晴らしい演技。
それまで、何回も名ダンサーたちがなぜ、女性を高々とリフトするとスカートで男性の顔がかくれてしまうようなこのつまらない演目をあえてガラで演じたがるのだろうかと謎に思っていたのですが、
リアブコの素晴らしい身体能力と知的で繊細な演技がそんな先入観を払拭。
大人の女の儚い美しさを渾身の演技から滲ませるブーローニュともども、当時は無名といってもいいダンサーでしたが、この一作で通なバレエファンには知られた存在に。
今年の春のバレエ団の来日公演での全幕は更に素晴らしかったそう・・・(見逃しています)

◆『扉は必ず・・・』 オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ
 音楽: ハウブリッヒ(クープランの「プレリュード」を基に) 振付: J.キリアン
 (第11回・2006年)

このブログでも詳しくご紹介していますが、これも名演。
作品そのものが面白いのもあるのだけれども、古典的な女優美女のオレリーが、意外と
ユーモアやウィットに富んだ斬新なアイデアのモダン作品にマッチする、というのが
なんでもこなせるルグリと並んで光ったパフォーマンス。

後日、モダンが似合いそうなエレオノーラ・アバニャートがルグリと踊ったのも観ましたが、
この時のオレリーの美しい無表情が却って2人の関係性のスリルや可笑みを
増幅させてくれていたのだなぁと、再認識させてくれる結果となりました。 

◆『TWO』 シルヴィー・ギエム
 音楽: カウトン、 振付: R.マリファント (第11回・2006年)

確かに、この作品は、格闘技かマトリックスかという研ぎ澄まされたスタイリッシュな美学が
貫かれていて、当日会場では大うけしていました。
が、映像にすると暗すぎてその面白さが伝わらない・・・・。
ギエム3演目、も、ちょっとバランスが悪いと思いました。

◆『ロミオとジュリエット』より″バルコニーのパ・ド・ドゥ″
 ポリーナ・セミオノワ、フリーデマン・フォーゲル
 音楽: プロコフィエフ、 振付: J.クランコ (第11回・2006年)

若い2人が素のままで爽やかに初恋を踊る・・・。
どこが悪い、というわけでは全くないのですが、ポリーナならあの力強い視線で化けた黒鳥、
フォーゲルなら、あの話題作「太陽が降り注ぐ雪のように」とか、もっと他に面白い作品があるのに!
逆にロミジュリなら、フェリとかもっと大御所の殿堂入り的な名演のほうが・・・と
今ひとつこのセレクトには納得がいきませんxxx

◆『ジュエルズ』より”ダイヤモンド” ディアナ・ヴィシニョーワ、ウラジーミル・マラーホフ
 音楽: チャイコフスキー、 振付: G.バランシン (第11回・2006年)

これも良く覚えている。
アニエスとジョゼのOPERA座カップルが同じ演目を青空にフワリと白い雲の浮くバックで
純白の衣装で煌くダイヤモンドを踊ったのに対し、この2人のロシア人は、アイボリーベージュに
大きなラインストーンが鈍い輝きを放つ衣装で、音楽のメランコリックな側面を強調するような
マッタリとしたエキゾチックな世界を独自に作り上げていたのですから・・・。
ヴィシニョーワと踊るのが嬉しくてたまらない、というマラーホフは今回(2009年)も
彼女と組む予定。
今から楽しみです♪

それにしても、どなたが思いついたか知らないが素晴らしい企画。
こんな映像があって、DVD発売が権利の関係で難しいとしても、
こういった上映会なら許されるのであれば、日経ホールの杮落とし記念、だけでなく
月々の定例会にしていただけないものかしら?

そうしてもっと一つ一つの演目をジックリと・・・観ることが出来れば、と夢想するのでした