2012年11月9日(金)19:00~
東京文化会館にて
2回のバレフェスで「ワンダー・ボーイ」と旋風を巻き起こした、ABTのダニール・シムキンくんの名を冠した座長公演、NBSの企画、「ダニール・シムキンのすべて」の一環としての、全幕バレエ「くるみ割り人形」を見て参りました。
NBSの企画する座長公演としては「ルグリと輝ける仲間たち」「マラーホフの贈り物」の2大公演が、人脈・企画力・スター性に優れたダンサーを座長に得て、長年確固たる存在感を示してきましたが、スターの現役~芸術監督へのシフトに伴い、新たなるスターを・・・と「コジョカルのすべて」そして今回のシムキンくん、と色々世代交代を図っている模様。
彼自身はその若さに似ず、ロシアのバレエ・ファミリー出身だったこともあり、テクニック表現力・舞台マナーと全てにおいて穴のない期待の星ではあるのですが、コジョカル同様、チケットセールスは今の日本ではやや苦戦?しているみたいで、1F席前方では感じませんでしたが、満場を埋めるとまではいかなかったようです。。。
「くるみ割り人形」(全2幕) ワイノ―ネン版
◆主な配役◆
クララ:小出領子
くるみ割り王子:ダニール・シムキン

【第1幕】
クララの父: 森川茉央
クララの母: 高木綾
兄フリッツ: 乾友子
くるみ割り人形: 氷室友
ドロッセルマイヤー: 木村和夫
ピエロ: 長瀬直義
コロンビーヌ: 岸本夏未
ムーア人: 小笠原亮
ねずみの王様: 梅澤紘貴
【第2幕】
スペイン: 田中結子-後藤晴雄
アラビア: 西村真由美-柄本弾
中国: 佐伯知香-氷室友
ロシア: 乾友子-宮本祐宜
フランス: 高村順子-吉川留衣-長瀬直義
花のワルツ(ソリスト):
渡辺理恵、矢島まい、川島麻実子、二階堂由依
梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、松野乃知
指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー
◆上演時間◆
【第1幕】 19:00 ~ 19:55 (休憩 20分) 【第2幕】 20:15 ~ 21:05

東京バレエ団の「くるみ割り人形」と言えば、ベジャール版に親しみがありますが、
今回はオーソドックスなワイノ―ネン版。
子供のクララと金平糖の精が別のバレリーナで踊り分けるバージョンではなく、一貫して同じバレリーナがクララとして踊り、クリスマスの夜、ネズミの王様の襲撃から助けたくるみ割り人形=王子とおとぎの国を旅して、最後2人で王子と王女として踊り、翌朝クララはその夢を思い出す・・・という流れです。
一幕はシュタールバウム家のクリスマスから雪の王国まで。
雪道を家族やカップルたち、ゲストがシュタールバウム家のクリスマスパーティを目指してポワントで向う様子が微笑ましい。
大人たち、少女たち、少年たち、が楽しいクリスマスの夜を過ごしています。
母役が高木綾さん。主要な役を踊る、ソリストクラスの東バの3人娘、田中さん、奈良さん、高木さんとSETで記憶していましたが、高木さんが確かに一番しっとりと落ち着いたムードを持っていますが、この役はちょっと意外でした。
でも、配役で一番驚いたのは、クララの兄、少年フリッツ!
なんと!乾友子さんが演じているのですが、もう、大変な美少年!!
「銀河英雄伝説@TAKARZUKA」の伶美うららちゃんのユリアンといい、乾さんのフリッツといい、美少女転じて美少年の配役にHITが続いていますね(極私的観劇記録内にて^^;)
乾さん以外の少年仲間も、皆、美しい若手女性ダンサーが扮しているので、実に可愛らしくて眼福です^^
ドロッセルマイヤ―おじさんは木村さん。子供たちに人形芝居を見せ、その後等身大のピエロ・コロンビ―ヌ・ムーア人の等身大の人形も登場して子供たち大喜び。
この3人の人形は、その夜のネズミvsおもちゃの兵隊の闘いで、くるみ割り人形とクララチームの応援団としても活躍するのですが、長瀬くんのピエロとは贅沢な配役。小笠原さんのムーア人は身体能力の高さをいかんなく発揮して。コロンビ―ヌの岸本さんも良かったです。
このムーア人とコロンビ―ヌの衣装はあのバレリュスの名作「ぺトル―シュカ」のときのものでは?
イレールがマラーホフの代役として奇跡の来日。芸術的過ぎる舞台を見せてくれた感動で勢い余って西宮公演まで追いかけてしまった記憶がうっすらと蘇りました^^;
ドロッセルマイヤ―にもらったくるみ割り人形。美しくはないけれど、心惹かれる・・・。フリッツが乱暴に扱って壊れてしまいクララは悲しみますがその夜、ツリーの飾られた広間に降りると、ツリーが大きくなって、ねずみが王様を戴いて襲撃に現れます。対戦するのはくるみ割り人形率いるおもちゃの兵隊。くるみ割り人形のピンチにクララがスリッパを投げたことで戦況一変。
美しい王子に変身したくるみ割り人形に導かれて、雪の王国に・・・。
やはりチャイコフスキーの「くるみ割り人形」は名曲ですね
2幕はディベルティスマン。各国の踊り。
どのペアもハマり役でした。
■スペイン:田中結子-後藤晴雄
キリリと端正な田中さんのスペインはお似合いですが、驚いたのが後藤さんのパッション。
奥様である小出さんの全幕主役を盛り上げるべく・・・の気合でしょうか?
ベテランながらも若々しくキレがある踊りで見直しました^^
■ アラビア:西村真由美-柄本弾
西村さんと言えば、アラビア。ベジャール版でもしなやかな柔軟性を存分に発揮されていましたが。
柄本さんは翌日のALL東バキャストで王子役ですね。
甘い容姿に実力が追いついてきた、ということでしょうか。観られませんが楽しみです。
■ 中国:佐伯知香-氷室友
そしてALL東バCASTでは佐伯さんがクララ。氷室さんが中国雑技団よろしく、さりげなく正確な技術を凝らした演技を開陳している傍らでチャーミングな笑顔。翌日がんばってくださいv
■ ロシア:乾友子-宮本祐宜
フリッツ乾さんがロシア。初役。あれ?ロシアってこんなに華やかなパートだったっけ?と。
乾さん、宮本さんともに踊りが大きく広がりが出てきたような・・・
■ フランス:高村順子-吉川留衣-長瀬直義
きれいな並びのトロワですね。高村さんの変わらぬ可愛らしくてはつらつとした笑顔、長瀬さんのちょっと和物の若衆っぽいはんなりとした優雅さ、吉川さんのほっそりとした理想のバレリーナ体型。
■花のワルツ(ソリスト):
渡辺理恵、矢島まい、川島麻実子、二階堂由依
梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、松野乃知
女性は4人ともきれいでした。
ずば抜けて長身の二階堂さんがモデルのよう。割と表情に素がのぞくタイプのようで、ソリストで観てみたいですね。
男性で目を惹いたのは松野乃知くん。ちょっとウィーンの木本全優さんと柄本弾くんを足して2で割って優雅にしたみたいな感じで肩から首にかけてのラインがノーブル。
彼は今、東バが若手に主役経験をさせるために?力を入れているらしきシリーズ”子供のためのバレエ”で眠りのデジレ王子をすでに務めているのですね。ライジング・スターという感じ?
と、昨今の東バ状況をざっと確認。
あ、いつもいるのにいない人が・・・ふと気になって東バのブログを覗いたらなんと!
松下裕次さんと高橋竜太さんがオネーギンを最後に退団されていたとわかってショック!!
松下さんは、ルグリの公開レッスンで吉川さんとともに指導を受けると同時にめきめき良くなるのが目に見えたのが印象的な、テクニックと力強さを兼ね備えた円熟期に差し掛かろうとしている若手。
高橋さんはベジャールのくるみのビムなど、彼ならではの飄々とした都会的な持ち味のある個性的な役どころが上手い中堅。
お2人とも、この時期に同時に、ってなぜ??という感じではありますし心技伴った実力派なので、抜けるのは正直痛い。とはいえ、きっと志あっての転身でしょうし、今後の御活躍をお祈りします。。。
ちょっと脱線しましたが、ラスト、いよいよグラン・パ・ド・ドゥ!
シムキンくんのこともなげに驚くばかりのテクニックを盛り込んだパートにはもう、拍手する暇もなく・・・。
どこまでも安定の連続フェッテ、爽快な疾風のようなマネージュ。小柄さを感じさせない均整のとれたプロポーションが同じ美質を持つ小出さんのクララと良く似合っていますね。
小出さんも安定した彼女らしい演技を見せてくれましたが、微妙にシムキンくんのスピードと彼女の速度が合わないかな?と感じるところがありましたが、サポートが丁寧で、特にリフトした空中姿勢で女性がきれいにポージング出来るために手を添える速さと位置取りに熟練のプロの技を見せてくれました。
クリスマス前の定番、「くるみ割り人形」としてはとても楽しくて夢々しくて満足の舞台でした。
コンテンポラリーなど意欲的な演目も散りばめたガラ公演「インテンシオ」が22日に控えているので、そちらも楽しみです
東京文化会館にて
2回のバレフェスで「ワンダー・ボーイ」と旋風を巻き起こした、ABTのダニール・シムキンくんの名を冠した座長公演、NBSの企画、「ダニール・シムキンのすべて」の一環としての、全幕バレエ「くるみ割り人形」を見て参りました。
NBSの企画する座長公演としては「ルグリと輝ける仲間たち」「マラーホフの贈り物」の2大公演が、人脈・企画力・スター性に優れたダンサーを座長に得て、長年確固たる存在感を示してきましたが、スターの現役~芸術監督へのシフトに伴い、新たなるスターを・・・と「コジョカルのすべて」そして今回のシムキンくん、と色々世代交代を図っている模様。
彼自身はその若さに似ず、ロシアのバレエ・ファミリー出身だったこともあり、テクニック表現力・舞台マナーと全てにおいて穴のない期待の星ではあるのですが、コジョカル同様、チケットセールスは今の日本ではやや苦戦?しているみたいで、1F席前方では感じませんでしたが、満場を埋めるとまではいかなかったようです。。。
「くるみ割り人形」(全2幕) ワイノ―ネン版
◆主な配役◆
クララ:小出領子
くるみ割り王子:ダニール・シムキン

【第1幕】
クララの父: 森川茉央
クララの母: 高木綾
兄フリッツ: 乾友子
くるみ割り人形: 氷室友
ドロッセルマイヤー: 木村和夫
ピエロ: 長瀬直義
コロンビーヌ: 岸本夏未
ムーア人: 小笠原亮
ねずみの王様: 梅澤紘貴
【第2幕】
スペイン: 田中結子-後藤晴雄
アラビア: 西村真由美-柄本弾
中国: 佐伯知香-氷室友
ロシア: 乾友子-宮本祐宜
フランス: 高村順子-吉川留衣-長瀬直義
花のワルツ(ソリスト):
渡辺理恵、矢島まい、川島麻実子、二階堂由依
梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、松野乃知
指揮:井田勝大
演奏:シアターオーケストラトーキョー
◆上演時間◆
【第1幕】 19:00 ~ 19:55 (休憩 20分) 【第2幕】 20:15 ~ 21:05

東京バレエ団の「くるみ割り人形」と言えば、ベジャール版に親しみがありますが、
今回はオーソドックスなワイノ―ネン版。
子供のクララと金平糖の精が別のバレリーナで踊り分けるバージョンではなく、一貫して同じバレリーナがクララとして踊り、クリスマスの夜、ネズミの王様の襲撃から助けたくるみ割り人形=王子とおとぎの国を旅して、最後2人で王子と王女として踊り、翌朝クララはその夢を思い出す・・・という流れです。
一幕はシュタールバウム家のクリスマスから雪の王国まで。
雪道を家族やカップルたち、ゲストがシュタールバウム家のクリスマスパーティを目指してポワントで向う様子が微笑ましい。
大人たち、少女たち、少年たち、が楽しいクリスマスの夜を過ごしています。
母役が高木綾さん。主要な役を踊る、ソリストクラスの東バの3人娘、田中さん、奈良さん、高木さんとSETで記憶していましたが、高木さんが確かに一番しっとりと落ち着いたムードを持っていますが、この役はちょっと意外でした。
でも、配役で一番驚いたのは、クララの兄、少年フリッツ!
なんと!乾友子さんが演じているのですが、もう、大変な美少年!!
「銀河英雄伝説@TAKARZUKA」の伶美うららちゃんのユリアンといい、乾さんのフリッツといい、美少女転じて美少年の配役にHITが続いていますね(極私的観劇記録内にて^^;)
乾さん以外の少年仲間も、皆、美しい若手女性ダンサーが扮しているので、実に可愛らしくて眼福です^^
ドロッセルマイヤ―おじさんは木村さん。子供たちに人形芝居を見せ、その後等身大のピエロ・コロンビ―ヌ・ムーア人の等身大の人形も登場して子供たち大喜び。
この3人の人形は、その夜のネズミvsおもちゃの兵隊の闘いで、くるみ割り人形とクララチームの応援団としても活躍するのですが、長瀬くんのピエロとは贅沢な配役。小笠原さんのムーア人は身体能力の高さをいかんなく発揮して。コロンビ―ヌの岸本さんも良かったです。
このムーア人とコロンビ―ヌの衣装はあのバレリュスの名作「ぺトル―シュカ」のときのものでは?
イレールがマラーホフの代役として奇跡の来日。芸術的過ぎる舞台を見せてくれた感動で勢い余って西宮公演まで追いかけてしまった記憶がうっすらと蘇りました^^;
ドロッセルマイヤ―にもらったくるみ割り人形。美しくはないけれど、心惹かれる・・・。フリッツが乱暴に扱って壊れてしまいクララは悲しみますがその夜、ツリーの飾られた広間に降りると、ツリーが大きくなって、ねずみが王様を戴いて襲撃に現れます。対戦するのはくるみ割り人形率いるおもちゃの兵隊。くるみ割り人形のピンチにクララがスリッパを投げたことで戦況一変。
美しい王子に変身したくるみ割り人形に導かれて、雪の王国に・・・。
やはりチャイコフスキーの「くるみ割り人形」は名曲ですね

2幕はディベルティスマン。各国の踊り。
どのペアもハマり役でした。
■スペイン:田中結子-後藤晴雄
キリリと端正な田中さんのスペインはお似合いですが、驚いたのが後藤さんのパッション。
奥様である小出さんの全幕主役を盛り上げるべく・・・の気合でしょうか?
ベテランながらも若々しくキレがある踊りで見直しました^^
■ アラビア:西村真由美-柄本弾
西村さんと言えば、アラビア。ベジャール版でもしなやかな柔軟性を存分に発揮されていましたが。
柄本さんは翌日のALL東バキャストで王子役ですね。
甘い容姿に実力が追いついてきた、ということでしょうか。観られませんが楽しみです。
■ 中国:佐伯知香-氷室友
そしてALL東バCASTでは佐伯さんがクララ。氷室さんが中国雑技団よろしく、さりげなく正確な技術を凝らした演技を開陳している傍らでチャーミングな笑顔。翌日がんばってくださいv
■ ロシア:乾友子-宮本祐宜
フリッツ乾さんがロシア。初役。あれ?ロシアってこんなに華やかなパートだったっけ?と。
乾さん、宮本さんともに踊りが大きく広がりが出てきたような・・・
■ フランス:高村順子-吉川留衣-長瀬直義
きれいな並びのトロワですね。高村さんの変わらぬ可愛らしくてはつらつとした笑顔、長瀬さんのちょっと和物の若衆っぽいはんなりとした優雅さ、吉川さんのほっそりとした理想のバレリーナ体型。
■花のワルツ(ソリスト):
渡辺理恵、矢島まい、川島麻実子、二階堂由依
梅澤紘貴、森川茉央、安田峻介、松野乃知
女性は4人ともきれいでした。
ずば抜けて長身の二階堂さんがモデルのよう。割と表情に素がのぞくタイプのようで、ソリストで観てみたいですね。
男性で目を惹いたのは松野乃知くん。ちょっとウィーンの木本全優さんと柄本弾くんを足して2で割って優雅にしたみたいな感じで肩から首にかけてのラインがノーブル。
彼は今、東バが若手に主役経験をさせるために?力を入れているらしきシリーズ”子供のためのバレエ”で眠りのデジレ王子をすでに務めているのですね。ライジング・スターという感じ?
と、昨今の東バ状況をざっと確認。
あ、いつもいるのにいない人が・・・ふと気になって東バのブログを覗いたらなんと!
松下裕次さんと高橋竜太さんがオネーギンを最後に退団されていたとわかってショック!!
松下さんは、ルグリの公開レッスンで吉川さんとともに指導を受けると同時にめきめき良くなるのが目に見えたのが印象的な、テクニックと力強さを兼ね備えた円熟期に差し掛かろうとしている若手。
高橋さんはベジャールのくるみのビムなど、彼ならではの飄々とした都会的な持ち味のある個性的な役どころが上手い中堅。
お2人とも、この時期に同時に、ってなぜ??という感じではありますし心技伴った実力派なので、抜けるのは正直痛い。とはいえ、きっと志あっての転身でしょうし、今後の御活躍をお祈りします。。。
ちょっと脱線しましたが、ラスト、いよいよグラン・パ・ド・ドゥ!
シムキンくんのこともなげに驚くばかりのテクニックを盛り込んだパートにはもう、拍手する暇もなく・・・。
どこまでも安定の連続フェッテ、爽快な疾風のようなマネージュ。小柄さを感じさせない均整のとれたプロポーションが同じ美質を持つ小出さんのクララと良く似合っていますね。
小出さんも安定した彼女らしい演技を見せてくれましたが、微妙にシムキンくんのスピードと彼女の速度が合わないかな?と感じるところがありましたが、サポートが丁寧で、特にリフトした空中姿勢で女性がきれいにポージング出来るために手を添える速さと位置取りに熟練のプロの技を見せてくれました。
クリスマス前の定番、「くるみ割り人形」としてはとても楽しくて夢々しくて満足の舞台でした。
コンテンポラリーなど意欲的な演目も散りばめたガラ公演「インテンシオ」が22日に控えているので、そちらも楽しみです
