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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「マニュエル・ルグリの新しき世界III」Aプロ

2013-04-18 07:09:38 | BALLET
星組台湾公演ライブビューイングの六本木から急遽五反田へ・・・
間に合いました!

2013年4月17日(水)6:30 p.m. / 会場:ゆうぽうとホール

《マニュエル・ルグリの新しき世界III》Aプロ


◆「カルメン」 より
振付:ダヴィデ・ボンバナ 音楽:ジョルジュ・ビゼーほか
ニーナ・ポラコワ、キリル・クルラーエフ

金髪薄口の美丈夫クルラ―エフの端正なホセと、黒髪長身美女のポラコワ。
基本クラシックメソッドで踊っているクルラ―エフと、姿勢も背を丸めたり、どちらかというとモダン寄りのポラコワの踊りのタイプの違いが丁度ホセとカルメンのキャラクターに合っているような気がしないでもなかったのですが・・・。
「カルメン」と言えばローラン・プティの粋な振付でフェリとイレールが踊った奇跡のドラマや、妖艶そのもののシアラヴォラの真っ白な美脚が基本になってしまっているので、なんだか薄口な「カルメン」だと思ってしまいました。
とはいえ、ウィーンのダンサーたちは美しいですね^^


◆「ウィンド・アンド・クラウド」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
パトリック・ド・バナ

タトゥーの入った上半身をむき出しに、オ―ガンジーを重ねたようなブルー~グリーングラデのプリーツロングスカートの衣装で、エキゾチックな音楽に合わせてド・バナさんの旋回舞踊が・・・・
・・・・寝落ちしてしまいました。
悪かったのではなく、暗い照明、瞑想的な音楽、旋回するスパイラルの残像のコンビネーションで、安らいでしまったかと思われます^^;
前から5列目センターブロックの観客として失礼極まりないことと反省


◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マリア・ヤコヴレワ、デニス・チェリェヴィチコ

ヤコブレワは可愛らしくも美しく、チェリェヴィチコも・・・いや、わたくしは彼の良さがあまり分からず^^;
体幹にみっちりと筋肉のついている手足の小さい体型がダメなのかもしれませんが・・・。
パートナリングが今一つで、おっとアブナイ的な瞬間が多かったように思います。
今回は、確か、デヴィッド・ホールバーグが踊るはずが故障が治らず急遽の代役だったという事情を加味して仕方がないのかなとは思いますが・・・。
頭上にリフトされたヤコヴレワがリフトされた体制ですでに起き上がり始めてしまっているタイミングのズレが気にかかって仕方なく・・・最後のリフトしたまま掃けるところ、ヤコヴレワがずり落ちそうになっていました。
とはいえ、チェリェヴィチコもソロでのフェッテの安定感は抜群で、別人のよう。
もしかすると、この二人は普段は組んでいないのかもしれませんね。
あと、この演目はバレフェスの定番なので、今までにみたダンサーが、ルグリ先生を始め、マラーホフ、コレ―ラ、コボーなど錚々たる面々だったというのが邪魔しているのかもしれません^^;



◆「スプリング・アンド・フォール」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アントニン・ドヴォルザーク
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ
小出領子、後藤晴雄、東京バレエ団

東バは小出さんに貫録が出てきたな・・・というのと、こういう場面の群舞で芯を取るのがちょっと前なら松下さんや長瀬くんなど安定した実力者が固めていたはずなのに、今は宮本さんや梅澤さん、森川さんクラスなんだ・・とテンションが下がりました。以前の緊張感や統一された美しさがなく、振りを覚えたばかりです、という感じが漂っていたのは残念。
それだけに、リアブコ・アッツォー二の素晴らしさが
もう、別次元の出来事のように光り輝いていました。
特にリアブコ!彼を初めてバレフェスで観た時の驚きと感動が今そのまま蘇る若々しさで・・・。
彼ももう30代のベテランですが、その揺るぎないムーブメントとノイマイヤー作品の理解度の高さは変わらず。
一挙手一投足にも詩情が香り立つような、豊かさを湛えた踊りに心から感動し、あぁ、今日はこのリアブコを観た、というだけで、この場にいる意味がある、とまで思ったことでした。
アッツォー二もたゆたうような踊りと情緒豊かな表現で、素晴らしいパートナーシップを見せてくれました。
観終わった後も、何日もドヴォルザークの「弦楽セレナード」が脳裏によみがえり、切ないまでに美しい舞台を思いおこさせてくれました。
ノイマイヤー作品をノイマイヤーダンサーが踊る、ということの意味をしっかりと見せてくれた彼らが、今回このガラに参加してくれたことを感謝します。


◆「こうもり」 より
振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・シュトラウス2世
マリア・ヤコヴレワ、マニュエル・ルグリ
矢島まい



そして、なんてチャーミングなルグリ!
オペレッタ「こうもり」の、地味な奥様べラを誘いに来たウルリックのくどきに負けて、控え目な白のロングワンピから、美脚を見せつけるような黒のコルセットドレスにフワリと黒マントをまとって、さぁ、夜の社交場にいざ繰り出さん!という場面。
小顔で楚々としたヤコヴレワが妖艶でコケティッシュな変身を遂げるのと、くるくる変わる表情のCUTEさにも心躍りましたがなんといっても口髭タキシードで軽妙に粋に踊るルグリ先生の魅力的なことといったら!!
いや~王子様は無理としても、こういう年齢に合ったダンディな役を見つけて、まだまだ踊り続けていただきたいものです。
前回の来日時には、最上のお席をNBSさんから割り振っていただいたにも関わらず(祭典会員)、仕事で行かれなくなり、泣く泣く友人にプレゼントした・・・というわけで、「こうもり」のルグリ先生を観たのが初見だったのですが、一層全幕を見逃したことが惜しまれます^^;



【 休 憩 】


◆「トリアーナ」
振付:ヘレナ・マーティン 音楽:イサーク・アルベニス
ヘレナ・マーティン

フラメンコダンサー、ヘレナ・マーティンの貫録の舞。
黒いストレッチのピッタリとしたシ―スル―ニットを脱いで、アイボリーベージュのレオタードにアシンメトリーにフリルのあしらわれたスリット入りのレースのマーメイドドレスの衣装で自在に踊る彼女は確か前回のルグリの新しき世界公演でも出演されていたような・・・。
常連組ですね。


◆「バッハ組曲第3番」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

ヤコヴレワとクルラ―エフによるノイマイヤー。足首までのユニタード姿の2人、とても長身で美しく、ウィーンの女性は髪をまとめるときに端正な夜会巻きにするアレンジが多く、それも整った容姿の彼女たちによく似合っていると思います。


◆「赤い涙」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード
秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ、パトリック・ド・バナ

赤と青のグラデーション衣装の3人。あまり馴染みのないメンバーですが、ここでもわたくしの緊張が解けてしまい・・・。伸び伸びとしたダンスでしたが、彼らのダンスの方向性がわたくしが舞台に求めるものと異なるのだと思います。


◆「ハムレット」 より
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:マイケル・ティペット
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

これはバレフェスで観たことのある、三つ編みの少女オフィーリアに別れを告げに来る、スーツケースを下げた少年ハムレット、という場面ですね。
バタバタとあわただしく登場するハムレットはチルデンセーターの下のシャツが半分外に出てしまっている慌てっぷりで、急なことに驚き別れを惜しむオフィーリアと、心動かされつつも出立の時に心急くハムレット・・・という感じで、表現力たっぷりの2人に、一度全幕で観てみたいものだと思う反面、GALAでの限られた出演作なら、この2人で観たい演目は他にありそうだなと^^;
ちょっともったいない気がしてしまうのでした・・・。


◆「ルートヴィヒ2世‐白鳥の王」
振付:パトリック・ド・バナ 音楽:リヒャルト・ワーグナー
マリア・ヤコヴレワ、ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ

これも以前、見たことのある演目。
跳ねた口髭センターパーツの髪で、ルートヴィヒ2世を演じる簡素な白の衣装のルグリを巡り、彼を心配するエリザベートを演じるヤコヴレワは重厚な臙脂系のドレス、一方王座に腰掛け、彼を誘って翻弄し、異次元に連れ出す「湖の貴婦人」役のポラコワは白のユニタード。クラシカルなヤコヴレワ、モダンよりのポラコワ、それぞれの持ち味に合った配役・・なのかもしれませんが、どうも、ルートヴィヒというとヴィスコンティの映画の印象が刷り込まれているせいか、エリザベートにもっと独立自尊の精神と言うか自由な風を感じたいと思ってしまい、ちょっと優しげで気遣いのあるヤコヴレワの役作りが歯がゆく思えてしまいます。
ルグリ先生は心揺れる、精神世界に惹かれてあちらに行ってしまいそうな王を的確に演じていらっしゃるとは思うのですが・・・彼の踊りの素晴らしさを堪能するにはもっと適した演目があるのではないかとこれまた歯がゆい感じがしてしまいました。
ド・バナさんと初めて組まれたときには、それまでソロと言えば「エンジェル」一辺倒だったルグリ先生にあたらしいレパートリーが!と、とても新鮮に感じて歓迎していたのですが、今となっては、また、他のGALA向けのソロを考えていただきたいという・・・。
ファンとは欲深いものですね^^;


ピアノ:髙橋 望(「トリアーナ」)

※音楽は特別録音による音源を使用します。(「トリアーナ」のみピアノ伴奏)



◇上演時間◇

第1部 18:30 - 19:50 <休憩 20分> 第2部 20:10 - 21:20

予定されていたデヴィッド・ホールバーグが足の指?の骨折で休演。
急遽デニス・チェリェヴィチコが入ったり、ルグリの新作が間に合わず、AプロとBプロで作品を入れ替えたり・・の
変更はありましたが、なんといってもハンブルグの2人!リアブコとアッツォー二の次元の違うパフォーマンスが素晴らしく・・・・・。
それだけで来た甲斐のあるGALAでした。

個々の感想はまた改めて・・・(4月21日、UPしました





宝塚星組台湾公演ライブ・ビューイング

2013-04-18 05:35:21 | TAKARAZUKA
2013年星組による、タカラヅカの海外ツアーが先日幕を閉じました。
国立中正文化中心 台北国家戯劇院公演、ということで、台北のオペラハウス級の一番の格のある劇場での公演であった・・・とのこと。

公演期間は4月6日(土)~4月14日(日)の9日間で、
日本からツアーで駆けつけたファンも大勢いましたが、地元の集客も良く、チケットは完売、台湾仕様の演目や歌も好評で、客席からは毎公演拍手と大歓声の盛りあがった公演であった・・・とか。

同じ内容を事前に中日劇場で上演していたので、観に行きたかったのですが果たせず、
17日14:30~六本木ヒルズシネマでのライブ・ビューイングにて観賞して参りました



ちなみに台湾での座席料金は SS席4,500台湾ドル、S席3,800台湾ドル、A席3,200台湾ドル、B席2,500台湾ドル、 C席1,800台湾ドル、D席1,200台湾ドルとのこと。
1ドル=3・28円ですから、1・3~5倍くらいの感覚でしょうか。

演目自体は3本立ての大劇場公演の2番目のお芝居を台湾で親しまれている物語に変更したほかは、和洋それぞれのショーは基本変わらず、ショーのフィナーレに台湾の歌を入れ、デュエットダンスのお衣装と振付を変更した・・というところ。

あとは、半分のメンバーが「南太平洋」組にまわったので、若干配役に変更が生じているのもチェックポイント。

舞踊ファンタジー
『宝塚ジャポニズム ~序破急~』

作・演出/植田紳爾  

[解 説]
 日本の芸能の原点、能楽の基礎の概念を取り入れ構成した日本物ショー。「和」の心、「祈り」の心、「抒」の心をテーマとし、華やかに、躍動的に、また幻想的に日本舞踊に乗せて表現します。
 特別出演・・・(専科)松本悠里
真風くんポジはしーらん(壱城あずさ)が入っていました。

ミュージカル
『怪盗楚留香(そりゅうこう)外伝-花盗人(はなぬすびと)-』
古龍作「楚留香新傳」風雲時代出版社刊より
脚本・演出/小柳奈穂子
 
[解 説]
 酒と女をこよなく愛し、冒険と正義のために盗みを働いては現場に香の匂いを留めて去る洒脱な怪盗、楚留香(そりゅうこう)。2007年にはF4のケン・チュウ主演でドラマ化され、“台湾のアルセーヌ・ルパン”とも言われる人気キャラクターの活躍を、宝塚歌劇ならではの華やかな演出でお届けします。

楚留香(そりゅうこう) 怪盗。粋人。                     柚希 礼音
左明珠(さめいしゅ) 左家の娘。薛斌と密かに恋仲。勇ましい。    夢咲 ねね
*~*~*
花金弓(かきんきゅう) 薛斌の婚約者の母                万里 柚美
梁媽(りゃんま) 楚留香の部下                       毬乃 ゆい
薛衣人(せついじん) 武芸で鳴らす薛家の当主。薛斌の父。     十輝 いりす
蘇蓉蓉(そようよう) 楚留香の部下                     音花 ゆり
左軽候(さけいこう) 薛家と対立する左家の当主。左明珠の父。   鶴美 舞夕
薛斌(せつひん) 薛家の跡取り息子。優しい。左明珠とは恋仲。   紅 ゆずる
神鷹(しんよう) ルパン3世の銭形警部ポジ。                壱城 あずさ
杜殺(とさつ)  薛家の用心棒                         海 隼人
葉盛蘭(ようせいらん) 歌舞伎の人気女形役者。小珠と密かに恋仲。 汐月 しゅう
李紅袖(りこうしゅう)?                               音波 みのり
小珠(しょうじゅ)花金弓の娘。薛斌の婚約者。               優香 りこ
張簡斎(ちょうかんさい) 名医。 薛家に仕えていたが花家に移る。   瀬稀 ゆりと
施茵(しいん)?                                    夢妃 杏瑠
倚剣(いけん) 石繍雲の姉とともに薛斌に仕える。石姉妹とは幼馴染。  十碧 れいや
宋甜児(そうてんじ) 楚留香の部下。3枚目キャラ。              早乙女 わかば
大牛(たいぎゅう) 神鷹の部下                          漣 レイラ
石繍雲(せきしゅううん)姉の敵討のため薛斌を狙い楚留香と出会う娘。 礼 真琴
白猫(しろねこ)神鷹の部下                             紫藤 りゅう

優男ロミオとお転婆ジュリエットのたくらみを怪盗ルパンが解き明かし、ついでに姉の敵討と思いこんだお嬢さんに心惹かれつつも粋にすべての恋の絡み合った糸をほぐして大団円に持ち込む・・・というお話。
見どころその1は 勘違い敵討お嬢さんの礼真琴くんの娘役姿とアクロバティックな舞と歌声。
その2は 左明珠ねねちゃんが楚留香柚希さんと繰り広げるダイナミックな殺陣。
その3は 常に粋に、包容力を持って、快刀乱麻に2組のカップルの家の確執故の恋の障害を取り除き、なぞ解きをしつつも女性に優しい楚留香のカッコ良さ。
あとは、意外なコメディエンヌ振りを見せる早乙女わかばちゃんと期待通りの3枚目を演じる壱城さん。
意外と言えば、無骨な役の多い汐月しゅうくんがまさかの優男役者役でちらりと出たのには後で配役を知ってびっくり。誰だかわからなかったです^^;
3本立てで時間の制約が大きかったせいか、「あなたは対立するXX家から来た00の娘!」のような説明台詞が多かったのと、物語のKEYとなる礼真琴ちゃんの役の娘がやたらと察しが良く、相手が何も言っていないのに自分を思っているという前提でどんどん台詞をすすめるのが可笑しかったり・・・^^;
役者と役柄が合っていて楽しいお話しなので、是非2本立ての枠で再演してみていただきたい作品だなと思いました

グランド・レビュー
『Étoile de TAKARAZUKA(エトワール ド タカラヅカ)』
作・演出/藤井大介  

[解 説]
 Étoileとは、フランス語で“星”。夜空を染め上げる、悠久の美しい星の数々、その星たちが織り成し形作る星座の神話から受けたイメージをレビューで表現。美しく輝かしいキラ星たちが奏でる、美しくゴージャスなレビュー作品です。

これはほぼ大劇場公演を踏襲。
銀橋はないものの、20段の大階段が設置されて雰囲気は充分。
真風くんポジは鶴美さんや壱城さんで担当。
麻央侑希くん、礼真琴くん、十碧れいやくんの若手3人が黄色のお衣装で3カップルで歌い継ぐシーンは、2カップルに変更。礼君わかばちゃん、十碧れいやくん音羽みのりちゃんペアが新鮮。

最後は台湾の曲を歌い継ぎ、ここは観客の反応がとても良かった様子。
デュエットダンス、大劇場で赤いラメ衣装だったのが、紫のドレスと銀のタキシードに紫のフリルブラウスに代わっていて大人っぽくゴージャス感が増していました。

台湾での観客の熱狂ぶりとそれに応えてしっかりと魅力を放っている星組メンバーが頼もしく、この公演が文化交流として続くとよいな、と思ったことでした