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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組 「ダンサ・セレナ―タ」 東京宝塚劇場

2012-08-05 07:32:54 | TAKARAZUKA
今日は東京公演千秋楽ですね。

今日から、ようやく世界バレエフェスティバルAプロに参戦(笑)しますので、
千秋楽には行けませんが、今回の星組は3回観劇して、観れば見るほど好きになるという・・・。
芝居もどんどん深まっていったように思いますし、ショーも最初は微妙に思えたお衣装も、
ヘアスタイルやメイクのアレンジもこなれてきたせいか、どんどん着こなしてステキになってきた気がします^^
(根っからの星組好きなので、贔屓目大いに入っています、きっと



「ダンサ・セレナ―タ」 作・演出 正塚晴彦

正塚作品・・・と言えば。
名作「愛するには短すぎる」を除けば、
・ 中南米のどこかの国。旧宗主国と植民地の政治的な対立が背景。
・ ゲリラ、地下活動、独立運動
・ 秘密警察、公安、スパイなど
・ タンゴ
・ オトコ二人のモノローグ
・ 恋愛度は薄め。
・ 娘役のタメ口。(「~だよ」)
・ 男役のカラースーツ
・ 暗い照明
・・・というイメージです(笑)。
今回の作品も全て網羅されていましたが、
やや恋愛色もあり?そして、主人公がショーダンサー兼振付家という設定ゆえ、
ダンスチームが充実している分、組子の皆さんのお顔も観られ、ダンス場面が多くて華やか。

バウ作品か!?と酷評されていた「ロジェ」や「マリポ―サの花」に比べると、
大劇場仕様になっていましたし、もともと正塚芝居やその世界観が嫌いじゃないわたくしにとっては
寧ろ心地よく、今回は星組子たちの熱演もあって、観て楽しめる舞台に(特に東京公演後半)なっていたのでは?と思います。

主人公イサアク(柚希礼音)に絡むヒロインが2人。

彼の回想(髭をつけて、廃墟となった昔のショークラブを訪れる)から
10年前の思い出が蘇る・・・というプロローグ。

ダンスショーが売り物の高級クラブ ルナ・アズ―ル。
新作を発表してからも決して満足することのないダンスの虫、イサアクのダンス・パートナー、アンジェリ―タは元恋人。ダンスと自分しか愛せないイサアクに見切りをつけつつも彼の才能を認めているアンジェリ―タ姐さん(白華れみ)がまずヒロインその1。

新作のショーのためのオーディションに、友達リタ(早乙女わかば)の付き添いで来た黒塗りの美女モニカ(夢咲ねね)。彼女の才能を見抜き、抜擢するイサアク。
アンジェリ―タが怪我をして、急遽見事に代役を務めたモニカ。
その後もモニカをパートナーに、ますます良い作品を生み出すイサアク。
モニカはヒロインその2にしてミューズですね。

しかし、彼女には独立運動のために、植民地で脱獄、宗主国に渡って活動を続ける兄アンジェロ(十輝いりす)が。
酒場で兄との密談中、兵士たちに絡まれているのをイサアクに助けられる、という前振りもありますが、兄が秘密警察に捉えられたあと続けて拘束されたことをリタから聞かされたイサアクは、自分だけしか愛せないオトコだったはずなのに、モニカのために奔走します。

軍部と裏取引をしてアンジェロを奪還、モニカをマルセイユの友人に託すべく港に向かうと、
そこには酒場での出会いから、一方的に親しみの情を示して絡んでくる秘密警察の男ホアキン(紅ゆずる)が。
しかし、その直前にクーデターが成功していて自身の行動が無意味であることを知るホアキンは銃を手にするも、あえて的を外す。

・・・そして10年後、で冒頭に戻るラスト。
怪我をしたアンジェリ―タを陰で支えていた物静かなバーテン、ジョゼ(涼紫央)がひそかに2人にルナ・アズ―ルの取り壊しを知らせる手紙を出して、再会をお膳立て。
その場にいた管理人の老人が手紙を見て事情を説明。彼とアンジェリ―タが結婚したということも匂わせる。
父の農場を手伝って、時折1人で踊ることもある、というモニカ。
これからは2人で踊ろう・・・とダンスで幕。

というのが主となるストーリー。
ちょっと軽い笑いを取る弟分的な2番手ダンサー ルイス(真風涼帆)の駆け落ち騒動のサブストーリーもあって、そこは3番手スターの見どころを作らねばという正塚先生の配慮と、それに応えて客席を沸かせる真風のスター性を再確認。クールなイサアクにいっぱいいっぱいで説明をするところや、戻ってきてダンサー復帰できるかの不安を団員たちにいじられるところなど、ちょっとへタレキャラな持ち味が活きていました。
そして真風の駆け落ち相手、貴族令嬢カロリーナに綺咲愛里ちゃん。バウ公演「天使のはしご」では2番手格の夢乃聖夏ちゃんの相手役、そしてここ大劇場でも3番手真風の相手役と、着実に良い役づきを得ていますね。

人間関係の絡み的には、イサアクが、超人的に個人主義で、過去があって腕っぷしも強くリーダーシップも取れる、というスキのないキャラクターの割に、独立運動にも関心が薄く、かといってダンスに全てを賭けている割にその後の活躍も描かれていないので、色々と物足りない部分がありますが、
男役・娘役ともに濃い、星組スターの個性と、ダンスシーンの華やかさが全ての不満を凌駕して、あぁ良い作品だった・・・と思わされてしまう・・・星組マジックでしょうか??

あとは個別に感想を。


■イサアク(柚希礼音)
主人公。
先にも書きましたが、クール過ぎて、周りにあまり関与していない人。
ダンスについては始終そのことを考えていて、彼にとっては「生きること=踊ること」、それが
本能に染みついているという人間像なのかな?と。
彼女のことを知りたい、という質問も「どこで踊りを習った?」ですからね^^;
モニカとの恋愛シーンも、何を語るでもなくいきなり「俺と踊れ」=察してくれ的な・・・。
それはそれで舞台らしい洗練させた恋愛表現で良いのですけど。

小さいころからタップを仕込まれて旅芸人一座で育った苦労人。
両親を亡くして更なる苦労。マルセイユで人を殺して流れてきた・・・という設定。
舞台は多分スペインあたり?
髭の叔父様風味がお似合いでした。
そういえば、礼音くんって2番手時代、若いころの方が、こういう大人で悪くて強い役をすんなり演じていた気がします。
ロミジュリ以来、若くてまっすぐでカワイイ役が増えましたから忘れていましたけど^^;
ダンスシーンでもれなくレミちゃんかねねちゃんを相手にガンガン踊ってくれるの姿は流石の一言。
特にねねちゃんのCUTEな表情と呼応する笑顔が絶品。
力強くて陽性のスターさんがセンターを務めるのってやっぱり安定感があっていいな、と思いました。

■モニカ(夢咲ねね)
父は宗主国の出でプランテーション経営の植民地の上流階級出身。
バレエを習っていた。裕福な暮らしをしていた感じ。
父から、社会情勢がきな臭くなってきたので、ロンドンにでも留学なさいと言われて、父親の故郷を観ておくのも良いかな、と引っ越してきたお嬢様。
兄はがっつり独立運動の志士、という感じでしたけど妹はノンポリですね。
ダンスも才能がある!と言われても、責任感で努めてはいるが彼女自身の覚醒があったわけでもなく・・・。
でも、帰国してからも思い出して踊っていた、というのは、やっぱり素質はあるのですね
そんなライトなお嬢様にも関わらず、しっかりとヒロインに見えるのは、
夢咲ねねちゃん本人のスタイルの良さ、黒塗りの似合うエキゾチックな美貌(ちょっと意外でした。カワイイタイプのお顔なので、黒塗り??って。でもお似合いで美女度もUP)ゆえ。
正塚作品にありがちな難しいクラシカルワンピースを着こなすセンス(螢光黄緑のレース長袖の膝丈シャツドレス、なんて、普通ならムリ)も素晴らしい。
ショーのタンゴっぽい臙脂のシンプルなストラップドレスも普通なら地味になりそうなのに・・・・をことごとく美脚と美貌で、魅せ切ってくれました。

■アンジェリータ(白華れみ)
今回で退団なのですよね・・・涙
ねねちゃんと同期で娘役1、2を務めてきた人。
このところ、はじけたカッコよさを表現できるようになってきて、スタイル抜群のねねちゃんともども、
添え物的になりがちな娘役だけのシーンを格段にPOWER UPしてくれていて、星組の熱さをいい形で後押ししてくれる貴重な存在だったのに・・・。
ルナ・アズ―ルのTOPスター。リーダーシップも自覚もバッチリ。
イサアクの元カノですが、実生活のパートナーとしては見限っているものの、彼のダンスの才能は認めているという。
モニカのうっかりが原因で怪我をした時も、変にひがんだりモニカを糾弾するのではなくて、厳しいけど気風の良い姐御肌の女性。
怪我から復帰してモニカの穴を埋めるルナ・アズ―ルラストのショーで円陣を組んで、ダンスチームを引っ張るところも、オーシャンズのクイーン・ダイアナを人間的に成長させたような人物で。
親切なジョゼにも容赦なく、付け入る隙を与えないようでいて・・・
車椅子で登場するシーンでは、秘密警察に連行されたモニカについて無責任なことを言うマネージャーを烈火のごとく糾弾するとともに、車椅子を1人で爆走させるのが、凄かった。
アンジェリ―タの一本気なところと真っすぐな気性の激しさが良く出ていたと思います。
れみちゃんの芝居はちょっとやり過ぎなくらい熱いのが持ち味で・・・。
星組初登場の「リラ壁」では紅君の車椅子をしずしずと押している貞淑な看護婦さん。
まだネコかぶってました(笑)
その紅君初バウ主演の「メイちゃんの執事」では、執事真風を従えて車椅子で君臨する学園の女王ルチア様。
若手中心のバウ公演でマンガ原作のファンタジーに確かな芝居とオ―ラで世界観を支えていたなぁと。
宝塚一の車椅子女優れみちゃんFOREVER.

■アンジェロ(十輝いりす)
我が(笑)宙組からの組替・・・ということで、星でどう見えるのか、馴染むのか浮くのか・・・
大変気になっていたのがまさこさま(十輝)。
モニカのお兄さん。
独立運動のリーダー。上流階級の若者にありがちな^^;
ホアキンに目をつけられて、彼の計画自体はつかまって頓挫した上に拷問されて。。。
でも、その拷問にも耐えて、結局は独立を成し遂げた祖国でしっかりとリーダーシップを取っているらしきその後も 妹の口から明かされて。
混乱の時代に流されず、一番しっかりと信じた道を歩む人物設定ですね。
もっとイサアクと絡むところがあれば、2番手しても良いお役かも。
植民地からの活動家で黒塗りと聞いて・・との黒髪のパーマヘアがエキゾチックな美貌に映えてお似合い。
もっと言うなら、黒塗りねねちゃんとのスラリとした兄妹っぷりのバランスが完璧。
なんて綺麗な兄妹なんでしょう!
そういえば、宙組を見始めた頃、たくさんいるらしき路線の中ではまさこさまが美しいと思う、と発言して宙ファンの失笑を買ったことを思い出しましたが(色々と芸達者さんが多い中、おっとりキャラの彼女は出来ないコ認定だったらしい^^;)体格の良い人も多い星組にあって頭一つ高く、首が長くてスタイルが良く、端正な目元にワイルドな口元のラインの彼女は、やっぱりカッコイイですね。リアル外人男性、な感じです。
星組に来てくれてありがとう!(そして宙担としてはちょっと惜しまれますね・・・><)

■ホアキン(紅ゆずる)
秘密警察の上級職。
大人な役どころです。
「それが仕事だ」と反論を封じるが、自分自身の信念はまた別、という大人の事情を抱えているらしき二ヒルなオトコかと。自分の夢や信念に向けて突き進む、アンジェロやルイスと言った若者たちと対立する酸いも甘いも噛み分けた大人な役どころ。
そこが、イサアクに「われわれは意外と似ているのかもしれんな」とたびたび示す、一匹狼で周囲から距離を置くイサアクへの共感につながるのかも。
と、作品の中でのこの役を分析してみましたが、紅さんから受ける印象はまた別で^^;
ちょっとイサアクに興味を持ってやや粘着気味に主人公に絡む、長いものに撒かれる自分を持て余す迷えるエリートという感じでしょうか。
三つ揃えの背広を脱いでのイサアクとの格闘?シーンではあっさりと素のイサアクに負けてしまい可哀そうでした^^;
しかし、今回の立ち回りはゆるゆるでしたね。
ネコパンチ、と言われていたとか^^;
レオンくんとの立ち回りと言えば、「愛と青春の旅立ち」のフォーリー軍曹(凰稀かなめ)を思い出しますが、あの時は格闘の専門家がついて御指導があったとか・・。今回の御指導は正塚センセイですしね^^;


■ジョゼ(涼)
ルナ・アズ―ルのバーテン。
バ―テンと言えば、バーテンチーム4人が並ぶときに一番下手にいる夏樹れいちゃんが前髪降ろしてとっても可愛いのですけど(毎回ガン見)。
密かにアンジェリータのことが好き。チャンスをうかがうけど、ほとんどキツクあしらわれてしまっている。
彼女が怪我をして、でも責任感から意地をはるところだけは、強く彼女をいさめて男気を感じさせる。
他にも、モニカの窮地で皆が混乱する中、冷静に助言をしたり、大人で物分かり良く、包容力もある男性・・・ということで、優しく品の良い「良い涼サン」でしたが、ちょっと比重が軽くて、同じく退団公演になるれみちゃんとも差があってちょっとかわいそうでした。

■ルイス(真風涼帆)
イサアクのダンスチームの2番手ダンサー。
本筋と全く関係なく、コメディ担当のような感じのエピソードとともに登場。
この恋に賭ける!的なまわりが見えていない若者で、イサアクはそれも全てわかっていてはいはい、と受け流してる感じ。
身分違いの恋で駆け落ちまでするが、お嬢様に耐性がなく、破綻。
事情を話して離脱したチームに舞い戻り、言い訳を考えるところ、衣装をつけて、と団員に言われて
俺の居場所があるの?と喜ぶも、ドアマンよ、といなされて、オタオタするところなど、しっかりと笑いを取ります。
間の取り方も上手い。こういう持ち味があるのか・・・とこのところ演出家陣がこぞってへタレキャラを振るせいか、そのベクトルへの適応っぷりがもう職人芸的に上手くなってきたので、今度は普通にカッコいい役も振ってあげてください(笑)

■リタ(早乙女わかば)
モニカのルームメイト。空気の読めない美少女。
いつもいっぱいいっぱいで、一生懸命だけどなんとなく空回りしてしまう女の子。
落ち着いて大人っぽいヒロインモニカの引き立て役ですが、元気いっぱいに演じていて、笑いも取れて憎めない可愛さのある役でした。
次にはわかばちゃんが2番手娘役として、ねねちゃんの隣に来るのでしょうね。スタイルはねねちゃん>わかばちゃんですが、今でこそTOP娘役オ―ラのすごいねねちゃんも、、可愛いだけで大丈夫??な時代がありましたから、わかばちゃんも持ち味を活かして伸びて行ってほしいデス


正塚芝居なので、きら星のごとく・・・の星組自慢の若手スターたちは、イサアク・ダンス・チームに見事に吸収されてしまっていました。
あ、あとアンジェロの革命家の仲間とか。
でも、その分ダンスシーンが豪華でしたね。
しーらん(壱城あずさ)もレンタくん(如月蓮)もがっつり踊っていて、この2人は、アンジェリ―タの受難時、男パート、女パート、そしてカップルでのフィナーレ、という流れのショーで、相手役が来ず、慌てて2人で組んでやり過ごす。。。というところをキッチリと慌てながらも乗り切る演技、で見せてくれました。
このところ、歌に踊りに大車輪で使われていたおきにいりの礼真琴くんはダンスチームでは学年相応の後ろの方で踊っていて残念。
その分、アンジェロ兄妹に絡む兵士たちが、礼君、十碧れいやちゃん、ひろ香祐くんと個性派揃いで^^
個人的な見どころでした^^
ひろ香くんはコメディと力持ち役。
十碧れいやちゃんは勿体ない感じもしますが、認識してもらえる場面に出してもらえるだけ美味しいと見るべきか。
礼くんは、もとから眠そうな大きな目が特色なので、眠そうな酔っ払い演技のお顔がナチュラルでした^^
こういうどうでもいい場面で楽しめるのが贔屓組公演の楽しさでもあります・・・









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