maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚月組 「ロミオとジュリエット」 東京宝塚劇場

2012-09-17 10:27:06 | TAKARAZUKA
もう、次の花組が開幕したというのに・・・^^;
遅ればせながらの月組ロミジュリ語りです。



ジェラール・プレスギュルヴィック版、小池修一郎潤色の「ロミオとジュリエット」
宝塚版としては3度目の、外部を入れれば4度目の上演で、全てを観ているわたくしとしては、
今回の月組版も見逃せず・・・はい、勿論^^行って参りました!

とはいえ、前半はバレフェス、そして9月には宙の大劇場でのお披露目もあり、8月後半に固めて3回観るにとどまりましたが・・・。今回の目玉であるロミオとティボルトの役変わりも堪能し、小池先生の版を重ねるごとに良い修正の入った宝塚らしい舞台を楽しみました。

衣装や雰囲気は、初演の星組に近い感じ、でしょうか。
モンタギューは青、キャピュレットは赤という基本はそのままに、フリルや刺繍を多用した、甘い雰囲気のディテールデザインが、タカラヅカ版らしくて、演者に似合って華やいだ舞台の一助となっていたかと思います。
(雪組版は男役はシンプルでちょっとエスニック風味、娘役はクラシカルな感じで、やや地味な印象でしたので)

大筋や展開は変わらないのですが、演出的には、銀橋と本舞台の使い方がこなれてきたといいますか。
梅田芸術劇場や博多座のスペースでちょうど良かった星組版に比べて大劇場がスカスカに見えてしまった時もあった雪組でしたが、今回は、盆を回しての舞台転換、銀橋と本舞台で、出会う前のロミオとジュリエットがそれぞれまだ見ぬ恋人との出会いを夢見て歌うデュエットをシンクロさせたり・・・・と小池演出の進化ゆえか安定した舞台でした。

役名毎に感想を一言ずつ・・・

■ ロミオ・龍真咲

可愛いロミオでした。歌も上手く、華奢でスラリとした容姿はヴェローナ中のジュリエットを泣かせてきたんじゃないのか、と神父様に言われるのもむべなるかな。
アイドル的な美形で、少女たちに人気を博していたのであろうかと^^
ただ、とにかく幼くて喜びも不安も、子供のそれのようでした。
ジュリエットへの恋はまっしぐらで、目がキラキラ光る、少女マンガの主人公そのもの。
良くも悪くも”タカラヅカのロミオ”としての芝居を感じさせられました。
ジュリエット役のちゃぴちゃん(愛希れいか)との並びは愛らしい小顔で中性的なスラリとした長身通しで良くお似合い。

■ ロミオ・明日海りお

小柄ながらも芯のしっかりとしたみりおちゃん(明日海)にロミオは適役だろうなと想像した通り、イメージにピッタリのロミオっぷり。考え深そうな繊細な美少年ロミオでした。
彼女の押さえた丁寧な役作りが、プレスギュルヴィック版のロミオの漠とした不安を大きな闇や人知の及ばない運命の力の予感にまで拡大し、恋愛要素も純な誠実さの中に後の悲劇を予感させ、全体に、シェークスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」の主役、というイメージで作ってきたなと。

悪役もこなしてきた2番手どころからTOP就任の龍さんと、3番手としておだやかな役どころが多かった明日海さんのイメージからすると、逆とも言える、龍=陽、明日海=陰のロミオで、それぞれに観ごたえがあり、似合っていたのが今回のHITの要因でしょうか。
両方のバージョンを見ないと・・・と想わせるなんて、劇団の思うつぼだわ、と思いながらも、やはり両方観てこそ・・・の今回の月組版かも。


■ ティボルト・龍真咲

華やかなティボルトでした。
ロングのドレッド?ウェーブヘアを前髪のところをちょっと小さなポンパドール風にひねってとめるスタイルがお似合い。
女ったらし、といいますか・・・15歳で初体験以来、女性遍歴を重ねてきた・・ソングも違和感なし。
若者ゆえの上っ滑り感や理由なくキレてしまう青春期の自己制御力のなさも、嫌みなく出ていました。
歴代のティボでBESTかというと、そこはやはり星組時代の凰稀さんの独特な色気は貴重なものだったのだなと改めて(贔屓目)
死に導かれて、蘇ったまさきティボルトとマーキューシオ(美弥るりか)がみりおロミオをセンターにして踊るシーンの美形3人揃い踏みの図は、忘れがたいものがありました・・・^^眼福。

ただ、ティボルトの日も、フィナーレ・ショーでジュリエットと踊るのは龍さんなので、黒塗りのままのデュエットダンスがちょっとホスト風味で・・・^^;微妙な味わいがありました^^;
珍しいものを見せていただいたなと^^;

■ ティボルト・明日海りお

こわいティボルトでした(笑)
いや、まさかここまで厳つく作ってくるとは・・・!
本気で強そう。「こんなに荒々しい青年になるなんて・・・」のキャピュレット夫人の言葉に大きくうなづくわたくし。ただ、その夫人を怪しい関係・・・って、え~っそうなの?!という感じですし、あれであらゆる種類の女を・・・というならば、どれだけキャピュレット陣営の女性は肉食で強気な女子揃いなの?と思ってしまいました^^;。
並みの優しい女の子なら、怖くて近寄れないオーラがありますし、大体女なんて、と最初っから相手にしていない風情も。強いだけでなく、思いも深そうで悩みも深刻。
こんなティボルトに絡むなんて、マーキューシオったら、どれだけ命知らず?
身長が同じくらいだから、大丈夫と思ったのかしら(笑)

明日海さんの身長が低いのは、持ち味ですし、それが魅力を損ねているとは思いませんが、あの靴はちょっとお気の毒です。ヒールが高いだけでなく歩きにくそうなのが気になります。
ロミオとしてのモンタギューチームの群舞でも、星組のダンサー柚希さんと比べるのは酷ですが、あまりに踊っていなくて残念。
長身のジュリエットとのバランスを考えたのかもしれませんが、フィナーレ・ショーで、スニーカー姿で若手を率いて軽快に踊る明日海さんを見るにつけ、本編でも低めのヒ―ルで伸び伸びと躍動して欲しかったな、と思ってしまいました。


■ ジュリエット・愛希れいか

ちゃぴちゃんのジュリエットはとても良かったです!
もと男役で、娘役に転向して間もない・・・という違和感ゼロ。
金髪パッツン前髪ロングの鬘もお似合いですし、スラリとした長身と愛らしい小顔が少女らしさ満点。
高音も安定した歌声や、はつらつとしたダンス、意志を感じさせる演技もハマっていて、お披露目でこの役は本当に彼女にピッタリ。
公演毎に、タイプの違う相手とのお芝居も大変だったかと思いますが、そんな苦労を感じさせない双方に向ける笑顔が天使のよう。
ただ、父親にパリスとの結婚を強要されはむかった後に、裏切った乳母に小さく呪いの言葉を向ける真顔にふと生な表情が覗いて、それもまた一興。
サイドにちょっと編み込みをあしらっただけで作り込みすぎないヘアスタイルなどもジュリエットであるという記号はおさえつつも大芝居的にならない現代的なアレンジが彼女らしくて好感を持ちました。


■ マーキューシオ・美弥るりか

みやるりファンとしては、星組から月組への異動から、役づき発表までが期待しつつ待つ→マーキューシオ役(通常3番手の役どころ)との発表!!→感涙→公演を楽しみに待つ→まさかの銀橋歌手(通常2番手のお仕事)→更に感涙

というわけで、観る前にテンション上がり切っている状態での観劇。

星組時代は、こんなに可愛くて実力も破綻ないのに、長身下級生に押されてなかなか役づきが上がらないことを歯がゆく思っていましたが、さて、身長の低さがさほどハンデとならない月組に来ると・・・あれ?みやちゃんってもっと歌が上手かったような気が・・・それって星組マジックだったのかしら(失礼)
お芝居は突出はしていなかったものの、丁寧な役作りでちゃんとこなすべき役割をこなしていましたし、同期のみりおちゃんとは勿論、龍さんとも並びが自然でお芝居のコミュニケーションも出来ていて、思った以上に月組サンに馴染んで見えました。
銀橋の歌手は・・・下手からセリ上がった時点で大コーフン!
え~と歌いながら渡るところは、もう、大劇場を経て、東京公演も何日も経ってからの観劇でしたし、言い訳はできません^^;もっと上手かと思っていたので・・・がんばって!るりかちゃん!(檄)
でも、キレやすくてお調子者で女ったらしのマーキューシオが死に際にロミオに「ジュリエットを愛し抜け」と励ますところなどは心情が良く出ていて、らしい演技だなと。
今度の全国ツアーでは、なんと、「愛するには短すぎる」で、凰稀さんの役!2番手どころのアンソニーを!!
もう、本当に楽しみです。実力派の月組で、底力120%出して頑張ってほしいと思います


■ ベンヴォーリオ・星条海斗

星の涼さんが金髪ベリーショートの王子様LOOKでロミオ大好きベンを演じ、雪の未涼さんがリサイタルか!と見まごう歌「どうやって伝えよう」で大劇場の空間を席巻したのを思い出しながらのマギー(星条)さん。
かわいらしいキャラクターのモンタギュー3人組の中、1人上級生で長身・大人キャラなのにどうかしら?と危惧しましたが、仲間感があってショートカットの落ち着いた少年風味で溶け込んでいました。 豊かな声量が有名なお歌も上手くコントロールされていたかと思います。
ただ、それだけに、彼女の個性をアピールする局面がなく、ちょっと埋もれてしまったかしら・・・。
マーキューシオとティボルトの一騎打ちの場面の群舞などではキレの良い動きが綺麗だったりところどころに流石感はあるのですが、その場面では普通、マキュ・ティボ・ロミオにしか目が行きませんしね・・・。


■ ジュリエットの乳母・美穂圭子

ここしばらく宙組へのご出演が続いて、お世話になってきておりました専科の美穂お姉さま。
乳母役は、星組のヒロイン2番手ポジの白華れみちゃんが、肉襦袢ドレスなのに、清楚な娘役顔で、切々とジュリエットへの母性的な愛を歌うのに、ボロボロ泣かされ・・・。
雪組は打って変って男役のこまちゃん(沙央くらま)がコミカルにおてもやんメイクで演じ、さて、高貴な妃や妖精の女王などのお役が多いクールな専科の歌姫はどうくるか・・・と思ったら、雪組バージョンのまさかの道化役。
ピエロメイクに肉布団。で、歌声は・・・一級品。
でも、泣けないんですよ~。急にマジメになって切々と美しく 若い恋を応援されてもこちらの気持ちが付いていかなくて。
あの星のれみちゃん乳母はタカラヅカマジックだったなぁと。そう言えば外部でも優等生タカラヅカOGハマコさん(未来優希)が乳母で朗々と歌い上げたけど泣けなかったわ。

■ ロレンス神父・英真なおき

星組のロレンス神父、ヘアスタイルがちょっと変わってパーマヘアになりましたが、変わらぬ存在感。
小さなころからロミオを可愛がってきた絆、2人の突然の恋に、驚きつつも、これがベローナを蝕み続けてきた両家の紛争を収める糸口になるのではないかと天啓を受けたと思う宗教者の顔、運命のいたずらに翻弄される様、年配者通しで乳母と2人の若者応援歌デュエット。
全ての局面での意味を明確に打ち出し、舞台に深みを与えています。
正直星組時代には、組長とTOPという、柚希さんとのリアルでの仲の良さが舞台にも良い影響を与えているのね、止まりの評価になりがちでしたが、こうして、他組での活躍を見ると、この持ち味は彼女ならではの才能なのだなと、改めて感じました。
専科さんになってくださって良かった!これからもご活躍を期待しています。


■パリス・紫門ゆりや

月組でロミジュリを、と聞いたときにいいかも!パリスはゆりやくんがいるし!と
月組通でもないわたくしが真っ先に思い浮かべたCASTING.
勿論、思い浮かべていたのは「アリスの恋人」のキザで可愛い帽子屋さんです。
期待通り、想像通りのパリスで、金髪、白いキラキラ衣装程よい場違い加減の良いパリスでした。
「気どり屋の間抜け」呼ばわりされる彼ですが、ちゃんとティボルトのおくやみに来てくれるし、キャピュレット卿から式を急ごうと言われると、一応ティボルトの喪中なのにいいのですか?と聞く常識も持ち合わせていて、結婚したらよい夫になりそうです。
舞踏会のシーンでも、一目惚れの相手がモンタギューのロミオと聞いて茫然自失のジュリエットが乾杯の杯を取り落として逃げ去っても、すぐに気を取り直して、とりなすキャピュレットの人々と上機嫌で杯を交わす様も明るい性格のようで・・・付き合ってみたら?とおススメしたくなります^^;


■ キャピュレット卿

星・雪とも重厚な専科の一樹千尋さんが演じられた役ですが、これもまた、月組にいるじゃない!と
すぐに思い浮かんだ色気のある叔父様キャラと言えばこの人、の越乃リュウ組長。
こちらも期待通り。

■ キャピュレット夫人・憧花ゆりの

仮面夫婦のもう一方・・・が誰かしら?と思っていたら、演技派の憧花ゆりのさん。
甥のティボルトを誘惑する色気のある毒婦。歌の見せ場も多い役です。
星では歌姫音花ゆりちゃん、雪ではVISUAL的にもばっちりな歌手晴華みどりさん、外部では美魔女とはこの人!な涼風真世さんで、文句なし!という歴代甲乙つけがたいキャスティングが行われてきただけに、どうかと思いましたがさすがに華やかなVISUALに作り込んでこられました。
ティボルトに絡む場面もスマートにこなして、好印象。

■ ヴェローナ大公・輝月ゆうま

大抜擢ですね。ちゃぴちゃんと同期とはいえ、研4で、両家を収める役どころとは。
冒頭で大曲「ヴェロ―ナ」もありますし。
月では珍しい177cmの長身ですが、所謂路線の役どころというよりは若くして叔父様的な脇で使われている模様。
ですので、今回も大変堂々と両家をいさめておりました。
パレードのときは、学年順ですので、大公殿下のお顔のままで、若手(って同期ですが)と一緒にニコニコ端っこでシャンシャンを振っている姿が妙に可愛らしかったです^^


■ 愛・煌月爽矢 と 死・珠城りょう

ともに若手路線男役。煌月さんは169cm珠城さんは172cmで若干差はありますが、同じような体格の2人が拮抗するような愛と死、でこれは両方の力が引きあって運命をつかさどっているという解釈なのでしょうか。
完全に2人とも背景になっていました。雪組の時の印象とほぼ同じかも。

愛と死は、思い返せば星組の 初抜擢でこの子だれ?と話題になった礼真琴くんがその曲線的でまろやかな風貌としなやかなダンスで愛を、すでにスターの真風涼帆が水さんトートそっくりのメイクと風貌で死を演じ、5cmの身長差だけではないくっきりとしたコントラストで強い磁場を作っていたことを考えるとどうにも物足りないのですが、これはこのときの星組のキャスティングが贅沢だったと解釈すべきなのでしょうね。


とにかく体当たりで、若い未熟さもまた役としての魅力に変えてしまうロミオとジュリエットがまぶしい舞台でした。
新・TOPお披露目で2度、上演されていますが、今後も各組で再演されるに足る伝家の宝刀的名作がまた一つ増えましたね







最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (miwa)
2012-09-20 18:03:39
mariaちゃん

こんにちは。
長文、お疲れ様。^^
いつもながらの記憶、観察力に脱帽です。私、mariaちゃんの観劇回数×○倍観てますが、
あらためて、へぇ~とか。。思ったり(笑)

龍ロミオは回を重ねる毎に、カワイイ(幼いともいう?)に突き進んだ気がします。
でもそれも好きでした。

ジュリエットは、予想以上の演技、歌で、今までの中で(私は)一番好きです(贔屓目^^)

歌が多い舞台で、全体としてそこに破綻がなかったのも良かったですよね~。
私も、「あれ。。みやちゃん、歌が、、{汗}」って思いましたが、
とくにフィナーレは緊張の日々だったようですので、そのせいもあるかも。
公演後半には、銀橋のキメのポーズでウィンク飛ばしていた時には、感動(大げさ)しました。

続きはお会いしてから~{ラブ}

返信する
Unknown (maria-pon)
2012-09-21 05:55:58
miwaちゃん、おはようございます{ラブ}

長文でしょ(笑)
でも、舞台を観ての観察、というよりは、
過去の上演作品との比較、自分の記憶との対比、という部分で
長くなってしまったような気が致しますわ^^;

龍ロミオ、神父様とのやり取りなんて、
子供か!と突っ込みたくなるくらい、手足をバタバタさせて・・・可愛かったですよね^^v

ちゃぴちゃんのジュリエットは評判が良いですね。
わたくしの知る限り、悪く言うヒトはいませんでした。
新TOPコンビのお披露目としては大成功だったのではないかしら{クラッカー}

みやちゃんは・・・ホント、もっとできる子のはずなのに~と焦りましたよ^^;
まぁ、”銀橋の歌手”なんて、何段階背伸びしちゃったの~というくらい、
本人にとっても挑戦だったかと・・・
その、決めてウインク・・・の星組らしい熱さにちょっと花男っぽい
キザりのエッセンスが入るのが彼女ならではの本来のクォリティなので、
今後ともよろしくお願い致します{笑}({レフト}まさに、”あなた贔屓の何なのよ”)
返信する

コメントを投稿