Bプロ2回目にして千秋楽です。(まだSpecial GALAがありますが^^)
第13回世界バレエフェスティバル <プログラムB>
8月14日(火)18:00開演 会場:東京文化会館
平日の18時始まりなのにもかかわらず、「大入」札が出ていました。
このところ、バレエ公演で「大入」が出るのは日曜日くらいで、連日NBS公演ならではの「大入」札を
エントランスで観ると気分が上がります^^
前回とAプロは今にして思うと、やはり悪夢の客席だったのかも・・・。
なぜか幕間まで待てず、おしゃべりに興じる人々、フェッテでの手拍子など、どこの素人かと思う感じで(いや、素人なんですけど^^;)、パフォーマンスに対する拍手も、コンテに冷たく、華やかなテクニックを披露する古典に篤いという・・・
バレエを真剣に愛する目の肥えた日本人ファン、の評判(らしい)を覆す反応に正直とまどいを覚えておりましたが、
今日は!バヤデ―ルの日もそうでしたが、やっぱり平日夜に敢えて駆けつけるファンこそが真のバレエファンなのでしょうか?いつものバレエ会場でした。
しんと静まり返った客席で、ダンサーも演技に集中しやすかったのでは?
あと、4日連続の最終日ということで、慣れてきたということもあったのか、押し並べて、実力をいかんなく発揮できていたと思います。
ですので、今、改めて日曜日の自分の感想を観てみると、これは気の毒なことを書いてしまった・・・と反省する部分も。
ダンサーのパフォーマンスの向上、客席の正当な評価の相乗効果で、
コンテ系にも拍手が多く、明らかにカーテンコールでのダンサーの表情が晴れやかで、ホッとしました。
《第1部》 18:00~18:55
◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
2人ともとても良くなっていました!
リフトから降ろす時にちょっと目測を誤った感もあったフォーゲル君のサポートがグッと安定。
もともと個々のパフォーマンスが良かったところに加えて、2人の息が合ってきて、本当に爽やかで若々しい2人による、軽快で伸びやかな演技を心行くまで楽しみました。
◆「パルジファル」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン
安定の演技。影絵のように背景に大きな影を映し出す演出ですし、ワーグナーの荘厳な音楽でドラマチックなシーンなので、お昼の明るいうちに観るよりも、夜の公演の方が、違和感なく見えますね。素敵でした。
◆「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング
今回も音楽と踊りの融合を楽しみました。
上野さんはやはりプティ作品が似合いますね。
クラシックはあの「白鳥」全幕のトラウマがあるせいかあまり気が乗りませんが^^;ネオ・クラシックでもちょっときつい・・・
コンテンポラリーが合う人材なのだと思います。
◆「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー
今回は、ジョニー・キャッシュの歌声を、音だけでなく、歌詞を交えて意識して観るようにしてみたら・・・
面白かったです。
マラインは、常に全力でこの作品に取り組んでおり、チャーミングなパフォーマンスでした。
なぜ、あんなに退屈に感じたのでしょう?(無責任^^;)
ただ、バレエというのは言葉の解釈なしに、世界中の共通言語である音と動きだけで全てを理解させることが出来るというグローバルな芸術である、という前提を考えると、こういう歌詞に味のある曲選びがまずもって反則?
試みとしてはありですが、観る側に、ちょっと事前に心構えが必要だったかも、と思いました。
◆ 「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
素晴らしかった!
この2人のパフォーマンスの精度もさることながら、ともにクール・ビューティを意識した、表情の作り方にゾクゾクしました。
・・・衣装が似合わないって大したことじゃないんだな、と思いました(小声)
<休憩15分>
《第2部》 19:10~20:05
◆「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
アリーナのロミオを見つけるまでの表情の変化がとにかく素晴らしいですね。
いえ、見つけてから・・・のPDDも良いのですけど。
ただ、息のぴったりあった2人のはずで、実際の視線の絡ませ方などはさすが、なのですが、アリーナの音取り(いつも早め)とコボーのそれ(やや遅め)のズレのせいか、流れるような振りつけのはずが、時折アリーナが待っているように感じられる部分があり・・・それが、圧倒的な感動(お手本はフェリ)とまではならない理由なのかしら・・・と、
感動の涙を流しながらも分析してしまいました^^;
◆「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
やはり、良い作品でした。
春の陽だまりの中、双葉をつけた植物の芽がすくすくと成長しているような・・・
サラファーノフは勿論、ノヴィコワも、古典の基礎がしっかりしているだけに、大技もなめらかで、しかも細部まで行き届いた演技がとても自然で美しかったです。
◆「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン
今日の方が数倍良かったです。
特にアニエスが自然で入り込んでいて物語の世界が広がりました。
これで、パリ・オペラ座来日公演が楽しみになってきました^^
あ、ビュリョンくん美肌説は、初来日のときの印象から来る刷り込みで、実際に今回間近で見ると、それほどではなかったかも(爆)
◆「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団
24人のシルフィード・・・とは、オブラスツォーワを入れて・・・のカウントで、コールド20人、ソリスト3人、そしてシルフ、です。
マチューの踊りが空間を大きく使った演技で、なおかつ、細かい足技も丁寧にしていて感心感心・・・と観惚れていたら、同じように感じた方?からの拍手が入りましたが、そこで、力尽きたか、ちょっと雑・・ではないのですが、省略形になってしまったのがマチューらしいといえばらしいかも^^;
そしてオブラスツォーワの・・・軽やかな踊りもさりげなくクォリティは高いとはいえ、あの観客の圧倒的な支持を得ているのは誰しもが、今、自分に向かって微笑み掛けた!と思いこむ、直接ハ―トに届くあの天真爛漫な笑顔ですよね。・・・武器だと思います。
超絶技巧なくしても、とても美しい男の子ととても可愛らしい女の子のペアは幸福感を届けてくれますね。
<休憩15分>
《第3部》 20:20~21:20
◆「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット"
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
改めて、作品としても美しく、堪能しました。
ともに淡くグレイを帯びた白いシンプルな衣装。ボァディンはタイツに、上はサイドが開いて首元が詰まった、ゼッケンを大きくしたような?貫頭衣のようなもの、ブシェは短いスカートに真っすぐな胸元のシンプルなドレス。
ブシェの脚はやはり雄弁ですね。
NBSでハンブルグバレエを呼んでくれないかしら?
前回の来日全幕は民音・・でしたっけ?馴染みのあるプロモーターではないので出遅れているうちに終わってしまい^^;
今更のように後悔しています・・・。
◆「シェエラザード」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
ポリーナちゃんのシェエラザードは若々しいゾベイダで、今まで観たベテランの妖艶だったり神秘的だったりする役作りとは違っていましたが、わたくしには許容範囲でした。
それよりも、ゼレンスキーの重厚な存在感にはやはり圧倒されますね。
二つのバレエ団の芸監を兼任されつつもこのパフォーマンスが出来る肉体を維持しているというだけでも素晴らしいのに、表現力に深みを増してる分観ごたえがありました。
◆「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト
これからのオレリーはジョシュアと組むのかしら。
端正な踊りをする彼は、自在で艶やかな演技のオレリーをしっかりと支えてくれるでしょうし、彼女のパフォーマンスに良い影響を受けて、彼自身、懐の広い表現力がついてくると良いなぁと、楽しみに思いました。
長いけれども、退屈させない、ショパンの音楽とたわむれるように踊るオレリーが魅力的で・・・
あ、ピアノの高橋氏も、この日はコンディションを整えていらしたみたいで、気持ち良く観賞できました^^
◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ
ワシ―リエフの力一杯の演技が凄い・・・。
もう、最初から手抜き一切なし!
ひとつひとつのパを自分の限界に挑戦!とばかりにMAXまで出してきました。
オシポワもメドゥーラの姫らしさを意識しつつも、技巧を強調するアレンジを入れてきて・・・
とはいえ、「海賊」は音楽的にあまり内容をいじることのできない演目ですから、ガラでの「ドンキホーテ」で
どこまで彼らが見せ場を作ってくるか・・・楽しみにしたいと思います。
<休憩15分>
《第4部》 21:35~22:30
◆「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
ヴィシニョ―ワの、自分の中の深いところからの「女」を出し切った演技と、そんな彼女を愛しく思い、共感しつつ歩むマラーホフ・・・というパートナーシップが、響き合う演技。
モーツァルトの音楽の表層的でない部分をこのクライマックスに持ってきたプレルジョカ―ジュはすごい、と改めて。
2人の関係性、ダンサーの持っている資質が如実に現れるシーンで、この2人の互いへの揺るぎない信頼を改めて感じる作品でした。
◆「コール・ペルドゥート」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
衣装のプリントはペーズリーでなく、ベージュと煉瓦色の細かいムラ染めのような感じでした^^;
この重厚な第4部にあって、この作品選びはどうだったのか?と検証。
これぞ、ザハロワ、これぞボリショイ、という演目ではありませんでしたが、息をも付かせず、恵まれた美しいラインの脚を大きく蹴り上げ長い手脚を素早く回転させ、流れる水のようにとどまり淀むことのない、素晴らしくスピーディでキレのあるザハロワと、それとがっぷり組んで動ずることのないメルクリエフの安定したパートナーシップが生みだした奇跡のような時間ではありました。
それを敢えて、人間臭い音楽で緩和するあたりがドゥアトの味かと。
第2部や第3部ではこの演目もあり、かもしれませんが、ここでは、所謂大作系で真っ向勝負してくださってもよかったかも?です。
◆「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス
観ていて震えがきますね。
ロパートキナの、クラシック・バレエを、形からではなく、高い精神性の発露として磨き抜いた作品が、彼女のバレエなのだとしたら、この抽象的な「ダイヤモンド」という作品は、まさに、彼女のバレエに対する姿勢と、音楽を踊りで表現するためにそぎ落としながらバランシンが作り上げたものとの運命的な融合ではないのか・・などとつらつら考えてしまいました。
ゴメスはこのロパートキナ神殿に仕える神官のように、彼女を仰ぎ見て、全身全霊で稀少な壊れやすい細工物を扱うようにデリケートなタッチで支えていました。
Aプロで自由自在なパフォーマンスで観客を大喜びさせたゴメスとは別人のようですが、彼の異なる2面を楽しみ、また、全幕プロのバヤデ―ルではその豊かな両面をともに味わうことができて、ファンとしては今回のフェスは大満足です^^
あ、もともと好きなダンサーでしたが、今回ファンになりました^^(宣言)
◆「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ
手紙を読んで、心の動揺を隠せないタチアナ、何度かシルエットで走り出て行きつ戻りつ・・・そして、舞台中央、タチアナの前に姿を現すオネーギン=ルグリ。
観客の心をグッとつかんで引きこむ吸引力と場を作り出す力技がベテランの2人ならでは。
あとは怒涛の感情の爆発とぶつかりあい・・・愛情の相克。
嫌が応にもそのウィットネスとして、固唾をのんで見守るしか・・・。
ガラ演目の(この2人にとっては)定番ではありますが、これはやはり、全幕を通して何度も演じたことのあるダンサーだけが作り上げることのできる、凝縮された場面なのだなぁと。
比べるのも気の毒ですが、Aプロのフォーゲルくんが、これから、この域に達するまでの道程の長さをふと思ってしまいました。いや、フォーゲルくんは今やダンサーとしての全盛期に差し掛かっているので、未熟であるということは全くないのですが・・・。
それでも、まだ先に取っておいた方が良い、と思える、こんな作品があること自体がダンサーにとっても、観客にとっても幸せなことなのかもしれない・・と思いました。
◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
晴れやかで華やか、やっぱり〆のドンキはいいですね!
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:髙橋 望 (「椿姫」「アザー・ダンス」「ル・パルク」)
第13回世界バレエフェスティバル <プログラムB>
8月14日(火)18:00開演 会場:東京文化会館
平日の18時始まりなのにもかかわらず、「大入」札が出ていました。
このところ、バレエ公演で「大入」が出るのは日曜日くらいで、連日NBS公演ならではの「大入」札を
エントランスで観ると気分が上がります^^
前回とAプロは今にして思うと、やはり悪夢の客席だったのかも・・・。
なぜか幕間まで待てず、おしゃべりに興じる人々、フェッテでの手拍子など、どこの素人かと思う感じで(いや、素人なんですけど^^;)、パフォーマンスに対する拍手も、コンテに冷たく、華やかなテクニックを披露する古典に篤いという・・・
バレエを真剣に愛する目の肥えた日本人ファン、の評判(らしい)を覆す反応に正直とまどいを覚えておりましたが、
今日は!バヤデ―ルの日もそうでしたが、やっぱり平日夜に敢えて駆けつけるファンこそが真のバレエファンなのでしょうか?いつものバレエ会場でした。
しんと静まり返った客席で、ダンサーも演技に集中しやすかったのでは?
あと、4日連続の最終日ということで、慣れてきたということもあったのか、押し並べて、実力をいかんなく発揮できていたと思います。
ですので、今、改めて日曜日の自分の感想を観てみると、これは気の毒なことを書いてしまった・・・と反省する部分も。
ダンサーのパフォーマンスの向上、客席の正当な評価の相乗効果で、
コンテ系にも拍手が多く、明らかにカーテンコールでのダンサーの表情が晴れやかで、ホッとしました。
《第1部》 18:00~18:55
◆「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル
2人ともとても良くなっていました!
リフトから降ろす時にちょっと目測を誤った感もあったフォーゲル君のサポートがグッと安定。
もともと個々のパフォーマンスが良かったところに加えて、2人の息が合ってきて、本当に爽やかで若々しい2人による、軽快で伸びやかな演技を心行くまで楽しみました。
◆「パルジファル」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン
安定の演技。影絵のように背景に大きな影を映し出す演出ですし、ワーグナーの荘厳な音楽でドラマチックなシーンなので、お昼の明るいうちに観るよりも、夜の公演の方が、違和感なく見えますね。素敵でした。
◆「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング
今回も音楽と踊りの融合を楽しみました。
上野さんはやはりプティ作品が似合いますね。
クラシックはあの「白鳥」全幕のトラウマがあるせいかあまり気が乗りませんが^^;ネオ・クラシックでもちょっときつい・・・
コンテンポラリーが合う人材なのだと思います。
◆「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー
今回は、ジョニー・キャッシュの歌声を、音だけでなく、歌詞を交えて意識して観るようにしてみたら・・・
面白かったです。
マラインは、常に全力でこの作品に取り組んでおり、チャーミングなパフォーマンスでした。
なぜ、あんなに退屈に感じたのでしょう?(無責任^^;)
ただ、バレエというのは言葉の解釈なしに、世界中の共通言語である音と動きだけで全てを理解させることが出来るというグローバルな芸術である、という前提を考えると、こういう歌詞に味のある曲選びがまずもって反則?
試みとしてはありですが、観る側に、ちょっと事前に心構えが必要だったかも、と思いました。
◆ 「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
素晴らしかった!
この2人のパフォーマンスの精度もさることながら、ともにクール・ビューティを意識した、表情の作り方にゾクゾクしました。
・・・衣装が似合わないって大したことじゃないんだな、と思いました(小声)
<休憩15分>
《第2部》 19:10~20:05
◆「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
アリーナのロミオを見つけるまでの表情の変化がとにかく素晴らしいですね。
いえ、見つけてから・・・のPDDも良いのですけど。
ただ、息のぴったりあった2人のはずで、実際の視線の絡ませ方などはさすが、なのですが、アリーナの音取り(いつも早め)とコボーのそれ(やや遅め)のズレのせいか、流れるような振りつけのはずが、時折アリーナが待っているように感じられる部分があり・・・それが、圧倒的な感動(お手本はフェリ)とまではならない理由なのかしら・・・と、
感動の涙を流しながらも分析してしまいました^^;
◆「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ
やはり、良い作品でした。
春の陽だまりの中、双葉をつけた植物の芽がすくすくと成長しているような・・・
サラファーノフは勿論、ノヴィコワも、古典の基礎がしっかりしているだけに、大技もなめらかで、しかも細部まで行き届いた演技がとても自然で美しかったです。
◆「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン
今日の方が数倍良かったです。
特にアニエスが自然で入り込んでいて物語の世界が広がりました。
これで、パリ・オペラ座来日公演が楽しみになってきました^^
あ、ビュリョンくん美肌説は、初来日のときの印象から来る刷り込みで、実際に今回間近で見ると、それほどではなかったかも(爆)
◆「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団
24人のシルフィード・・・とは、オブラスツォーワを入れて・・・のカウントで、コールド20人、ソリスト3人、そしてシルフ、です。
マチューの踊りが空間を大きく使った演技で、なおかつ、細かい足技も丁寧にしていて感心感心・・・と観惚れていたら、同じように感じた方?からの拍手が入りましたが、そこで、力尽きたか、ちょっと雑・・ではないのですが、省略形になってしまったのがマチューらしいといえばらしいかも^^;
そしてオブラスツォーワの・・・軽やかな踊りもさりげなくクォリティは高いとはいえ、あの観客の圧倒的な支持を得ているのは誰しもが、今、自分に向かって微笑み掛けた!と思いこむ、直接ハ―トに届くあの天真爛漫な笑顔ですよね。・・・武器だと思います。
超絶技巧なくしても、とても美しい男の子ととても可愛らしい女の子のペアは幸福感を届けてくれますね。
<休憩15分>
《第3部》 20:20~21:20
◆「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット"
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン
改めて、作品としても美しく、堪能しました。
ともに淡くグレイを帯びた白いシンプルな衣装。ボァディンはタイツに、上はサイドが開いて首元が詰まった、ゼッケンを大きくしたような?貫頭衣のようなもの、ブシェは短いスカートに真っすぐな胸元のシンプルなドレス。
ブシェの脚はやはり雄弁ですね。
NBSでハンブルグバレエを呼んでくれないかしら?
前回の来日全幕は民音・・でしたっけ?馴染みのあるプロモーターではないので出遅れているうちに終わってしまい^^;
今更のように後悔しています・・・。
◆「シェエラザード」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
ポリーナちゃんのシェエラザードは若々しいゾベイダで、今まで観たベテランの妖艶だったり神秘的だったりする役作りとは違っていましたが、わたくしには許容範囲でした。
それよりも、ゼレンスキーの重厚な存在感にはやはり圧倒されますね。
二つのバレエ団の芸監を兼任されつつもこのパフォーマンスが出来る肉体を維持しているというだけでも素晴らしいのに、表現力に深みを増してる分観ごたえがありました。
◆「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト
これからのオレリーはジョシュアと組むのかしら。
端正な踊りをする彼は、自在で艶やかな演技のオレリーをしっかりと支えてくれるでしょうし、彼女のパフォーマンスに良い影響を受けて、彼自身、懐の広い表現力がついてくると良いなぁと、楽しみに思いました。
長いけれども、退屈させない、ショパンの音楽とたわむれるように踊るオレリーが魅力的で・・・
あ、ピアノの高橋氏も、この日はコンディションを整えていらしたみたいで、気持ち良く観賞できました^^
◆「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ
ワシ―リエフの力一杯の演技が凄い・・・。
もう、最初から手抜き一切なし!
ひとつひとつのパを自分の限界に挑戦!とばかりにMAXまで出してきました。
オシポワもメドゥーラの姫らしさを意識しつつも、技巧を強調するアレンジを入れてきて・・・
とはいえ、「海賊」は音楽的にあまり内容をいじることのできない演目ですから、ガラでの「ドンキホーテ」で
どこまで彼らが見せ場を作ってくるか・・・楽しみにしたいと思います。
<休憩15分>
《第4部》 21:35~22:30
◆「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
ヴィシニョ―ワの、自分の中の深いところからの「女」を出し切った演技と、そんな彼女を愛しく思い、共感しつつ歩むマラーホフ・・・というパートナーシップが、響き合う演技。
モーツァルトの音楽の表層的でない部分をこのクライマックスに持ってきたプレルジョカ―ジュはすごい、と改めて。
2人の関係性、ダンサーの持っている資質が如実に現れるシーンで、この2人の互いへの揺るぎない信頼を改めて感じる作品でした。
◆「コール・ペルドゥート」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ
衣装のプリントはペーズリーでなく、ベージュと煉瓦色の細かいムラ染めのような感じでした^^;
この重厚な第4部にあって、この作品選びはどうだったのか?と検証。
これぞ、ザハロワ、これぞボリショイ、という演目ではありませんでしたが、息をも付かせず、恵まれた美しいラインの脚を大きく蹴り上げ長い手脚を素早く回転させ、流れる水のようにとどまり淀むことのない、素晴らしくスピーディでキレのあるザハロワと、それとがっぷり組んで動ずることのないメルクリエフの安定したパートナーシップが生みだした奇跡のような時間ではありました。
それを敢えて、人間臭い音楽で緩和するあたりがドゥアトの味かと。
第2部や第3部ではこの演目もあり、かもしれませんが、ここでは、所謂大作系で真っ向勝負してくださってもよかったかも?です。
◆「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス
観ていて震えがきますね。
ロパートキナの、クラシック・バレエを、形からではなく、高い精神性の発露として磨き抜いた作品が、彼女のバレエなのだとしたら、この抽象的な「ダイヤモンド」という作品は、まさに、彼女のバレエに対する姿勢と、音楽を踊りで表現するためにそぎ落としながらバランシンが作り上げたものとの運命的な融合ではないのか・・などとつらつら考えてしまいました。
ゴメスはこのロパートキナ神殿に仕える神官のように、彼女を仰ぎ見て、全身全霊で稀少な壊れやすい細工物を扱うようにデリケートなタッチで支えていました。
Aプロで自由自在なパフォーマンスで観客を大喜びさせたゴメスとは別人のようですが、彼の異なる2面を楽しみ、また、全幕プロのバヤデ―ルではその豊かな両面をともに味わうことができて、ファンとしては今回のフェスは大満足です^^
あ、もともと好きなダンサーでしたが、今回ファンになりました^^(宣言)
◆「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ
手紙を読んで、心の動揺を隠せないタチアナ、何度かシルエットで走り出て行きつ戻りつ・・・そして、舞台中央、タチアナの前に姿を現すオネーギン=ルグリ。
観客の心をグッとつかんで引きこむ吸引力と場を作り出す力技がベテランの2人ならでは。
あとは怒涛の感情の爆発とぶつかりあい・・・愛情の相克。
嫌が応にもそのウィットネスとして、固唾をのんで見守るしか・・・。
ガラ演目の(この2人にとっては)定番ではありますが、これはやはり、全幕を通して何度も演じたことのあるダンサーだけが作り上げることのできる、凝縮された場面なのだなぁと。
比べるのも気の毒ですが、Aプロのフォーゲルくんが、これから、この域に達するまでの道程の長さをふと思ってしまいました。いや、フォーゲルくんは今やダンサーとしての全盛期に差し掛かっているので、未熟であるということは全くないのですが・・・。
それでも、まだ先に取っておいた方が良い、と思える、こんな作品があること自体がダンサーにとっても、観客にとっても幸せなことなのかもしれない・・と思いました。
◆「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
晴れやかで華やか、やっぱり〆のドンキはいいですね!
指揮:ワレリー・オブジャニコフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:髙橋 望 (「椿姫」「アザー・ダンス」「ル・パルク」)
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