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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

7月大歌舞伎・夜の部 「夏祭浪花鑑」

2009-07-24 12:18:17 | 伝統芸能
歌舞伎座さよなら公演 七月大歌舞伎 夜の部
7月10日(金)、「夏祭浪花鑑」と「天守物語」を観て参りました。



さよなら公演になってからというものの、人気演目はとりわけチケットがとりずらく、
歌舞伎会GOLD会員の友人曰く、一般発売前日発売開始の歌舞伎会会員の更に前日から
ORDER出来るGOLD会員になってからはほとんど、希望の日で満足のいく席を入手できていたのに
このところは平日でなくては気に入る席が買えない・・・という状況だとのこと。
色々と老朽化による不便はあっても、この雰囲気は他に変えがたいものがありますね。

この日は彼女が吟味してくださった甲斐あって、4列目8番という、丁度花道から3人目くらいの
程よい角度からキメのポーズを堪能出来るBESTポジション。
存分に味わって参りました。

演目、配役のご紹介をまず。
「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」
序幕住吉鳥居前の場より 大詰長町裏の場まで
16:30~18:35

作:並木千柳、三好松洛

 団七九郎兵衛: 海老蔵
 一寸徳兵衛:   獅童
 お辰:       勘太郎
 釣舟三婦:    猿弥休場につき代役、市蔵
 玉島磯之丞:   笑也
 お梶:       笑三郎
 琴浦:       春猿
 下剃三吉:    巳之助
 三河屋義平次: 市蔵 
 おつぎ:      右之助



「夏祭浪花鑑」

◆あらすじ(歌舞伎座HPより)
泉州の魚売り団七九郎兵衛(海老蔵)は喧嘩沙汰から入牢しましたが、女房のお梶(笑三郎)の主人筋にあたる玉島兵太夫の尽力で牢から出されます。そして団七は釣舟の三婦(猿弥)との再会を喜びあい、下剃の三吉(巳之助)の世話で伸び放題の髪や髭を整えます。
 この団七の前に、玉島磯之丞(笑也)の恋人琴浦(春猿)が悪人に追われて来るので、団七は琴浦を救い出します。続いて一寸徳兵衛(獅童)が現れ、琴浦を奪い返そうとし団七と喧嘩を始めます。これをお梶が仲裁するところ、徳兵衛はお梶の顔を見て慌てます。それというのも徳兵衛はお梶に大恩があるため。やがて互いの素性を知った団七と徳兵衛は義兄弟となるのでした。
 一方、誤って人を殺害した磯之丞は、三婦の家に匿われていすが、三婦は女房のおつぎ(右之助)と共にその落ち延び先について思案しています。ここへ徳兵衛の女房お辰(勘太郎)が訪ねて来て、磯之丞を匿おうと申し出ます。美しいお辰を見て三婦は、間違いが起ってはと難色を示しますが、お辰は鉄弓を頬に当て自らの顔に傷を付けます。こうしてお辰は晴れて磯之丞を預かります。
 ところが金に目がくらむ団七の舅三河屋義平次(市蔵)は、おつぎを騙して琴浦をかどわかします。この舅の悪事を知った団七は、その後を追っていき...。
 夏の大坂を舞台にした義太夫狂言の名作を、華やかな顔ぶれで上演いたします。

猿弥さんが、休場、ということで(12日から復帰されたそうです)
市蔵さんがまさかの二役。三婦は本来大柄な方の方が決まる役ですが、さすがに
市蔵さん健闘されていました。
特に舅の義平次の憎憎しさは、殺しに至る説得力がないと厳しいこの大詰めで
活きていました。
出所直後の海老蔵は一瞬それとはわからないほど、不自然な髭(幼児が描くライオンのお面のよう^^;)の
むさくるしい姿ですが、床屋でさっぱりとして登場すると、いかにもいい男っぷりで思わず客席からタメ息が。
最後の大立ち回りも含め、舞台姿に華と切れがあり、いい役者になったなぁと思ってしまいました(評価、甘いですか?^^)
海老蔵の団七と獅童の徳兵衛との友情もなんだかこの世代が育っている実感があってうれしいことです。
春猿の色っぽさもいつもどおり。
勘太郎はこういう切れのある役どころは似合いますね。
もっと任侠系の迫力があっても良いかもしれませんが、
「うちの人がほれたのは顔じゃございません、ここでござんす」と胸を叩く台詞も爽やかでした。

大詰めは”夏の夜” ”舅殺し” ”祭”の3拍子で、一気呵成に盛り上がります。
だんじり囃子が近づくのと切羽詰った団七の焦燥。
蒸し暑い関西の夏、男たちの汗、生ぬるい闇に血の匂い・・・がするには
ちょっとさっぱりとした持ち味の海老蔵でしたが、スリルは満点。
海老蔵の関西言葉にわたくしはちょっと違和感を覚えましたが、演目としては楽しめました












表参道Napuleにて

2009-07-23 05:33:39 | GOURMET
ご紹介したことがあるようで、実はまだだったお気に入りのイタリアン、
表参道NapuleのPizzaです



7月5日の日曜日、この日初めてお会いした方とのお夕食。
Napuleは通っているItalia語学校が経営するレストランのひとつで、昔からのお気に入り。
気軽なPizzeriaですが雰囲気も良く、1Fにあるピザ専用釜で焼き上げられるPizzaは
本場Napoliの協会からも「真のビザ」としての認定(笑)を受けている本格派。
本格派のピザにもカリカリ薄めのローマ風とモチモチな食感のナポリ風の2種類がありますが、
こちらは名前の通りのナポリ風。
モチッとした弾力のある生地に基本のバジルとトマトソース、ブッフォラ(水牛)のモッツァレラが
良く合います。



こちらはお友達のオーダー。
ワインの進むちょっとピリッとしたサルシッチャやプロシュートがトッピングされて・・・。

他にアンティパスタなどでワインをいただきつつ気がつくとわたくしたち
6時に入店したにもかかわらず、なんと最後のお客様に・・・
初対面なのにどれだけおしゃべりしているのでしょうね



こちらはシチリア風のデザートプレート。
この日はお誕生日を祝うグループが2組あって賑やか・・・。
イタリア人の先生とご一緒することもありますが、お味も本格派だと彼らの太鼓判が(笑)
難点はなかなか予約が取れないことなんですよね・・・
予約の電話も忙しい時間帯だとなかなかとってもらえませんし。
(でもしつこくかけています

さて、この日ご一緒した方は・・・



Paris在住のtsubaki-hymeさん。
ご覧の通り、チャーミングなお嬢さんです
お互いいつもブログで交流があるせいか、昔から良く知っているお友達との再会のよう・・・
一時帰国中で九州、東京、名古屋、大阪と飛び回る日々のお忙しい中、
お時間をつくっていただいてありがとうございました
またお会いしましょうね







「それでも恋するバルセロナ」

2009-07-20 17:31:23 | FILM
ペネロペ・クルスのアカデミー助演女優賞受賞でも話題になった
ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」
原題: Vicky Cristina Barcelona
2008年 アメリカ・スペイン映画 96分



公開1週間後の7月4日(ようやく今月の話題に・・・)に有楽町のマリオンで見て参りました。
今でも公開中かしら・・・
そろそろ終了しそうなので、是非映画館に!とお奨めいたします

アメリカ人のヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友どおし。
ガウディをテーマに卒論を書いたヴィッキー、短篇映画を撮るクリスティーナ、ふたりとも
感受性が豊かでアートに関心があるという共通点はあるものの、恋愛観は正反対。
模範的な婚約者がいる慎重派のヴィッキーとトライ&エラー派の奔放なクリスティーナ。
そんな2人がヴィッキーの叔母夫婦の住むバルセロナでひと夏を過ごす・・・。
このあとは内容に踏み込みますので、これからご覧になる方はご注意を。



アート関係者のパーティで出あったのは危険な香りのする画家フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)。
彼の誘いに乗ったクリスティーナと付き添いのヴィッキーはオビエドに。
美しい町、ワイン、心くすぐるスパニッシュギターの夕べ・・・
積極的だったクリスティーナは訳あって失敗し、
アバンチュールは思いがけずヴィッキーに変化をもたらします。

婚約者がいる彼女とはいい思い出に、とクリスティーナと暮らし始めるフアン。
ヴィッキーはヴァカンスに合流した婚約者が着々と式の準備を始めるのに、心が揺れてしまいます。

フアンとの生活に馴染み始めたクリスティーナの前に突然嵐のように登場したのが
スペイン美女、元妻、才能と情熱に溢れた、激しい気性のマリア・エレーナ。
その激しい気性ゆえに別れた二人、トリオになった今、不思議な均衡を保った暮らしを始めます。
何もかもを受容する柔らかさを持つクリスティーナの存在ゆえに落ち着きを取り戻し、
彼女の写真を手ほどきし、時にはモデルも務めるマリア。
画家2人の仕事もはかどり、アーティストの共同体生活はこの上ない調和を見せますが・・・。



その完璧な調和を崩したのはクリスティーナ。
「望むことはわからないけど望まないことはわかる」典型的モラトリアムな彼女が
これ以上、この不思議な関係を続けていきたくなくなった、と夏の終わりに宣言。
罵倒するマリア。

ずっとあの出来事を忘れられなかったヴィッキーとフアンが再会。
ヴィッキーの様子に感づき、後悔しないで、とアレンジしたのはなんと叔母。
実は彼女も幸せそうな結婚生活に空虚さを覚えて浮気をしている、という設定。
このあたり、完璧な幸せを享受している人はいない、というアレンならではのリアリズム。
自宅のランチに誘うフアン。

そこにマリア・エレーナが登場し、事態は思わぬ収束に・・・

火の玉のようなエキセントリックなマリア・エレーナをペネロペが好演。
ちょっと抜けたところもあるチャーミングなクリスティーナを演じるスカーレットは
まるでマリリン・モンローのよう。
セクシーで可愛いけれどもどこか憎めない。
普通の女の子なのに芸術家のミューズにもなるという役どころをナチュラルに演じています。
ヴィッキーのレベッカ・ホールもしっかりとしているようで感じやすい、
揺らぎ感のある若い女性を等身大で見せていて魅力的。
ランチに誘われ、イソイソと何度も着替えるが、いずれも大差ないバナリパ風ファッション
だったりするところもまた可愛い・・・。
彼女は父親が監督母親が女優のサラブレッドなんですね。
ペネロペ・スカヨハの大スターにはさまれての主演で目立ちにくいですが
しっかりと存在感を出していました。
女優3人がそれぞれに魅力的。

ハビエル・バルデムを観たのはホモセクシュアルの詩人の物語「夜になる前に」以来でしたが、
セルジュ・ゲーンズブール風のセクシーで女好きのアーティストがピタリと嵌まっていて
驚きました。前作ではインディオ風の野性味が持ち味かと思っていたのですが
(チリ代表サッカー選手、イヴァン・サモラーノに似ていた・・と思うのはわたくしだけ?)
今回はジョージ・クルー二ーが演ってもいいような女たらしでビックリ。

キャスティングはバッチリですし、音楽のセンスもいい。
全編で流れる可愛い女性ボーカルが印象的なちょっとキッチュでキュートな
「バルセロナ」は、ウディ・アレンがバンドメンバーがホテルに忘れていったCDを
偶然耳にして・・・という新人ジュリア・イ・ロス・テラリーニ(Giulia y Los Tellarini)。
フアン・ケサダの「アストゥリアス」がくだんのスパニッシュ・ギターのシーンで
使われていたり、もちろんパコ・デ・ルシア、フアン・セラーノなどの大御所の曲も。

ガウディの建築はもちろん、美しいスペインの夏を堪能できる
「観光客目線で撮った」というウディ・アレン一流の皮肉が素直に楽しめる(笑)作品。
そういえば、ナレーションもちょっと意地が悪くてニヤリとさせられるのも彼ならでは。

監督・脚本: ウディ・アレン
製作: レッティ・アロンソン / スティーヴン・テネンバウム / ギャレス・ワイリー
製作総指揮: ハウメ・ロウレス
撮影: ハビエル・アギーレサロベ
衣装デザイン: ソニア・グランデ
プロダクションデザイン: アライン・バイネ

スペイン人スタッフなのですね。

お洒落な恋愛映画ですが、洞察は深いです。





神尾真由子 ヴァイオリンリサイタル

2009-07-19 12:46:12 | MUSIC
~高度な技術と深い音楽性~
神尾真由子 ヴァイオリン・リサイタル
 (Pf) 佐藤卓史



6月30日(火)19:00~
東京オペラシティコンサートホール

J. ブラームス: スケルツォ(F.A.E.ソナタ)
J.Brahms: Scherzo(Sonata F.A.E.)

C.サンサーンス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ニ短調 Op.75
C.Saint-Saens(eの上、ウムラート):Violin Sonata No.1 in D minor Op.75

Ⅰ-Ⅰ Allegro agitato
  Ⅱ Adagio
Ⅱ-Ⅰ Allegretto moderato
Ⅱ Allegro molto

~intermission~

F. ブゾーニ: ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ホ短調 Op.36a
F.Busoni: Violin Sonata No.2 in E minor Op.36a

Ⅰ La ngsam
Ⅱ Presto
Ⅲ Andante,piuttosto grave-Andante con moto-VariationⅠ~Ⅵ、coda

F.ワックスマン: カルメン幻想曲
F.Waxman: Carmen Fantasy

<アンコール>

パガニーニ: 24のカプリースより 第24番エルガー
マスネ: タイースの瞑想曲

2007年6月、チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で優勝、
一躍時の人となった神尾真由子。
直後のサントリーホールでの凱旋コンサートには行けませんでしたが、
TV番組などで見せる日本人離れした押し出しの強さ、堂々とした物腰、
体力勝負だからとジョギングを欠かさない、クラシックの音楽家のイメージを打ち破る個性に
興味を惹かれておりました。

今回のコンサートはクラシック通のA氏のお誘いで。(いつもありがとうございます)
演目も玄人好みの感じで楽しみです。

スケルツォはブラームス(1833~97)20歳の作品。
「自由にしかし孤独に Frei aber Einsam」をテーマとして、
友人である名ヴァイオリン奏者ヨーゼフ・ヨアヒムのために、
第1楽章をディートリヒ、第2・3楽章をシューマン、第4楽章をブラームスが作曲。
テーマに沿ってF(へ)A(イ)E(ホ)音を動機として各楽章の統一を図ったという
恩人、友人とのコラボ。
若書きながら、ブラームスらしい熱い歌心が感じられる作品。
神尾さんのストレートなパッションが伝わってきて思わず身を乗り出したくなる良い演奏。

サン=サーンス(1835~1921)の円熟期に書かれたソナタ(1885)も
構成が変化に富んでいて面白い。

ブゾー二(1866~1924)は 30分超の大作。
イタリア人名なのにドイツ的な厳格さを感じさせる作風ですが、ブゾーニは
イタリア人クラリネット奏者の父、ドイツ人ピアニストの母のもと、
生まれこそイタリアですが、活動拠点はドイツだったとか・・・。
切れ目なく演奏される重厚感溢れる曲想。
インタビューで「体力を」と語っていたのが今となってはよくわかるかも・・・(^^;)

神尾さんの演奏にはヴァイオリンの様々な音色をキッチリと響かせて
その潜在能力を極限まで引き出して見せようとするある種求道的な部分と
楽曲とがっぷり四つに組んで取り組む誠実さを強く感じました。
艶やかなビリジアングリーンのロングドレスに身を包んだ若々しい容姿とは裏腹に、
感情や情緒に流されずに真摯に取り組もうとする姿と強い視線には、
これからの伸び代を期待させる器の大きさを見たようにも思います。

そして、コンクールの予選でも演奏し、センセーショナルな話題になったという
「カルメン幻想曲」
これはハリウッドの映画音楽にも手腕を発揮したと言うワックスマン(1906~67)が
ハイフェッツに献呈したといういかにも派手やかな曲でもありますし、
尊敬するヴァイオリニストがハイフェッツという神尾さんにとっても
思い入れのある曲なのでしょう。
豊穣華麗な音色をたっぷりと聴かせてくれました。

アンコールのパガニーニのカプリースは技巧を凝らしたパッセージを
え?と思うほどのスピード感で疾走。
コンサートの最初から只ならぬテクニックでピタリと神尾さんに拮抗したピアノを聴かせてくれた
佐藤さんも素晴らしい。
ラストのタイースはゆったりと。

大満足のコンサート。
弱冠23歳の神尾さん(1986年生)はこのまま大きく成長して
そのうち女性らしいふくらみを音にこめることが出来るようになると更に大物になりそうです。
佐藤さんは1983年生で東京芸大卒後ドイツ留学中
(2001年日本音楽コンクールピアノ部門一位)という若手の日本人アーティストの実力と
ポテンシャルを嬉しく思います。
佐藤さん、世界バレフェスで弾いてくれないかしら(爆)

次の彼女のコンサートは11月のサントリーホールですが、
曲目がヴィバルディの「四季」メインとはあまり食指が動きませんxxx
個人的にはプロコフィエフやストラヴィンスキーを聴いてみたい気がします・・・

上に上げた画像が2作目のCD。
これを購入してのサイン会が終演後ロビーで開かれていましたが驚くばかりの長蛇の列。
クラシックコンサートでは異例の人気ぶり、ですね。
ちなみに下はファーストアルバムです。















 


TAKARAZUKA 宙組 「薔薇に降る雨」

2009-07-17 03:13:23 | TAKARAZUKA
バレフェス秘蔵画像上映会の6月28日(日)、
実はお昼の部で東京宝塚劇場にて宙組公演
ミュージカル・ロマン「薔薇に降る雨」とロマンチック・レビュー「Amourそれは・・・」を
見ておりました。(その後大手町へ・・・



この公演で、現TOPの2人が退団・・・。
TOPになって突然華やかな主役オーラをまとって目を見張らせた抜群の容姿を誇る(!)大和悠河ちゃんと黒木瞳に似ている・・と今回の公演を見た人から声が上がったダンサー陽月華ちゃん。
スラリとした小顔でバランスの良いプロポーションの2人は並んだときのバランスも良く、
何を着てもお似合い。 演技派、歌い手は2番手3番手にそれぞれ担う実力派を揃えて、
ひたすらに舞台中央で輝き続ける・・・というある意味古典的なスター性を発揮していた悠河ちゃんには
会社のヅカファン歴の長い同僚にも熱心なファンが多く、なんとなく愛着が湧いてきたところだっただけに
思いがけずに早い退団が惜しまれます。

今回のミュージカルの配役は以下の通り。

ミュージカルロマン
『薔薇に降る雨』

元軍人・調査会社社長 ジャスティン・バルザック :  大和 悠河
伯爵令嬢 イヴェット :  陽月 華

イヴェットの父 ジェローム : 寿 つかさ
イヴェットの母 カミーラ : 鈴奈 沙也
公爵夫人 : 彩苑 ゆき
ジャスティンのビジネスパートナー ヴィクトール男爵 : 蘭寿 とむ
コレット : 美風 舞良
ボディガード : 天羽 珠紀
イヴェットの婚約者 グザヴィエ : 悠未 ひろ
社員: 珠洲 春希
イヴェットの弟 フランシス : 北翔 海莉
警官 : 風莉 じん
ジャスティンの婚約者 ヘレン : 美羽 あさひ
エストール・ボヌー: 十輝 いりす
会計士 クリストフ : 七帆 ひかる
使用人: 大海 亜呼
秘書 モニーク : 華凜 もゆる
社員 : 美牧 冴京
ベロニカ  : 花影 アリス
ボーイ(リチャード)ボディガード: 春風 弥里
警官  : 蓮水 ゆうや
アガサ :  愛花 ちさき

作・演出/正塚晴彦

ロマンチック・レビュー
『Amour それは・・・』
作・演出/岡田敬二



お芝居は、避暑地ニースでの出会いの場面から。
スポーツカーを自分でつくるのが夢、の車好きの青年と美少女。
お互いがだれかもわからずに、夏中デートを重ねる2人。
夏の終わり、彼女は別れを告げ、初めて別荘を訪ねた彼は門構えの立派さに驚きます。
社交界の夜会が開かれるホテルで強引に駆け落ちを提案する彼。
彼女は現れません。

7年後。
戦争が終わり、戦後の混乱時の尋ね人の捜索から調査会社を起こしたジャスティン。
男爵に共同経営を依頼。
2人して夜のクラブに赴くと、意に沿わぬ結婚を前に、
酔って乱れた”社交界の薔薇”イヴェットが弟にたしなめられています。
再会。
そして思いを遂げるジャスティン。
この場面、陰でセクシャルなダンスを踊る春風弥里、大海亜呼がキレイです。

翌朝、ホテルのロビーで「大丈夫?」と尋ねるジャスティン。
そのまま出社、男爵に会い(昨夜のその後の展開を察する男爵との掛け合いあり)
依頼人に会う、というロマンチックシーンからビジネスシーンに移行することも
先の台詞もちょっと宝塚舞台的には違和感が。
昨夜のタキシードから、グレイのネクタイ、ビジネススーツ白のワイシャツという基本のスーツ姿に
出社後着替えて男爵の前に登場しますが、このリアルビジネススーツ(置きスーツ?)が
妙に現実的でかつカッコいい・・・。
まぁ、これが正塚先生ならではの愛に溺れない男の美学なのかもしれませんし、
その後婚約者へレンがお待ちです、という展開につながるのも「え、婚約者が?」と驚かされますが
身分違いを思い知らされたイヴェットの思い出は若き夏の日の夢として、
自分の人生はそれとは別に着々と進めている男性の、ある種リアリズムなのかもしれません。


この依頼人、会計士が相談してきた下請け会社の苦境から、伯爵家の没落と
裏で手を回していたイヴェットの婚約者、船舶会社経営の富豪グザヴィエの企みとの
つながりが露見。

図らずして、ジャスティンの調査会社の仕事により、伯爵家は破綻から救われ、
家を救うため、との自己犠牲的なイヴェットの婚約は解消されます。

ジャスティンと母一人子一人のヘレンは、夕食の後、その母から泊っていくの?と
聞かれるくらいの家族同然のお付き合い。
夢をかなえるためにアメリカに渡りたい、と結婚を申し込むジャスティン。
ヘレンは悩んで変化に対応できないであろう年老いた母との暮らしを選びます。

ここで、ヘレンとの婚約解消を、イヴェットとの再会と絡めないのは
変なメロドラマに陥らないためにも正解。
ただ、ヘレン役の美羽さんは落ち着いた感じの方なので、小顔でキラキラの華やかさを持つ
大和さんとの並びはちょっと不自然。お芝居はナチュラルで好感が持てましたが。

事業を男爵に任せて一人アメリカに向かうジャスティン。
港での男2人の見送りシーン。
うーん、正塚ワールド。
船の上には・・・・
で、ラストはハッピーエンドです。
着こなすのが難しそうなDiorのNewLookスタイルのふんわりミディ丈のスカートが
すらりとした陽月華ちゃんにはよく似合っていました。

2人が歌い上げて幕、ではなくふたりがともに歩いて袖にはけていくラストが
またナチュラル。
退団公演、という仰々しさがない小粋な感じ、50年代のフレンチミュージカルを意識した
パステル調の衣装・美術がこの2人にはお似合いな感じ。

ショーは、ザ・宝塚、という定番な感じで、正直印象には残りませんでしたが、
ラスト、大階段から黒タキシード隊がボレロに合わせて降りてくるナンバーはツボでした。

主役のお2人、とこの公演で退団された8人のジェンヌさんの今後のご活躍をお祈りします