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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

MET 「ラ・ボエーム」2011年東京初日

2011-06-10 05:11:14 | OPERA
6月8日(水)19:00から、
メトロポリタン・オペラの2011Japan Tour、東京初日公演を観に、NHKホールへ行って参りました。

プッチーニ「ラ・ボエーム」
全4幕

指揮: ファビオ:ルイジ
演出・美術: フランコ・ゼフィレッリ
衣装: ピーター・J・ホール
照明: ギル・ウェクスラー
舞台監督: J.ナイテン・スミット

マルチェッロ: マリウシュ・クヴィエチェン
ロドルフォ: ピョートル・ぺチャワ
コッリ―ネ: ジョン・レリエ
ショナ―ル: エドワード・パークス
べノワ: ポール・プリシュカ
ミミ: バルバラ・フリットリ
パルピニョ―ル: ダニエル・クラーク・スミス
アルチンドロ: ポ-ル・プリシュカ
ムゼッタ: スザンナ・フィリップス
巡査部長: ジェイソン・ヘンドリックス
税関の役人: リチャード・ピアソン

児童合唱: TOKYO FM少年合唱団

上演時間(約3時間) 
第1幕40分(転換5分) 第2幕20分 (休憩25分) 第3幕25分 (休憩25分) 第4幕30分

今回のMETは震災&原発事故の影響が直前になって現れ=出演者の怒涛のキャンセル、どうなることかとハラハラしましたが、多分大変な努力と調整の結果として、この日の舞台、ミミ役のアンナ・ネトレプコのキャンセルを、「ドン・カルロ」のヒロイン エリザべッタ役のバルバラ・フリットリを持ってくることによって、このプロダクションの呼びものであるスターの格を落とすことなく調整できた、という力技。
開演前に異例のMET総裁の挨拶が。
震災のお見舞いと、出演者変更のお詫びと、こんなときにこそ芸術で心を癒してほしいという使命を帯びて今回の公演に臨んだ・・・という内容。

わたくしは、この「ラ・ボエーム」、ご多分にもれず、①アンナ・ネトレプコを観たい、というモチベーションがまずあっての観賞でしたが、他に②「ラ・ボエーム」というオペラ自体が好きだから③ゼフィレッリの演出なら、その世界に存分に浸れるであろうという信頼感 も理由で。

結果としては、とてもよい舞台で、もう、一幕のロドルフォとミミの自己紹介アリアでもう、涙ボロボロ・・・
フリットリのミミ、持ち役だけあって 透明感のある声、繊細な表現の出来る彼女の歌唱に役柄が合っていて、本当に美しくも悲しいミミでした。
くせのない正統派美人の彼女、ネトレプコよりもミミらしいミミかも。
とはいえ、お針子というよりは王妃様のほうがお似合いな感じですが・・・^^;
ネトレプコは同じ美人でも、華やかな妖艶系なのでムゼッタのほうが似合いそうですものね^^;

詩人ロドルフォのぺチャワ、わたくしはこの人、初見でしたが、伸びやかな良く通る声のテノールで、大変聴いていて心地よい。演技も上手い。
親友である画家のマルチェッロのクヴィエチェンとは、事前のインタビューでポーランド系どうしなので気持ちが通じる、舞台が楽しみ、と言っていた通り、とても芝居の間や掛け合いの呼吸が良くて、さすが、でした。

マルチェッロの恋人、派手で気の強い、でも心根の優しいイイ女ムゼッタのスザンナ・フィリップス、若いアメリカ人ですが、活き活きと演技も可愛らしくて役にあっていたと思いますもうひと癖あってもいいかな?若いので今後に期待。

哲学者コッリ―ネ、ジョン・レリエは背が高くがっしりとしたハンサムですが、バスのアリア、脇役では唯一のソロ曲「古い外套よ」を、深い慈愛と地の底から響くような本当に低い声で歌い上げて圧巻。

最初と最後の、パリの屋根裏部屋での貧しさの中、希望を持った若者たちの青春群像、第2幕の舞台の上下にぎっしり人を詰めたクリスマスの夜の喧噪、第3幕、病を知り、別れ話を切り出すミミとロドルフォのしっとりとした小雪のちらつく公園の場面の美しさ・・・
ゼフィレッリの演出はやはり、安心して観られますね。



プッチーニのオペラは、「トゥーランドット」しかり「蝶々夫人」しかり、その旋律の美しさで破綻した物語をうやむやにしてしまう(笑)きらいがありますが、この「ラ・ボエーム」は誰しもが胸に秘めた、若き日の思い出、戻らぬ青春の輝きとその意味=貧しいながらも夢を持った青年たちの、ミミを失うことで知る、青春の終わり(哲学者コッリ―ネは人一倍そのことを知っていて、だからこそ最後のアリアが胸に迫るのです)をテーマにしており、普通の若者の恋に 普通の言葉と何よりも美しい旋律で寄り添う画期的な日常性とともに、非常にオリジナリティのある傑作として、いつの日にも心に直球で入ってくる名作だと思います。

この日の観客は、この状況で来てくれてありがとう・・・的な要素があって前のめったのか、ネトレプコ目当てのミ―ハ―さん(わたくしもそうですが^^;)が多かったのか、スコアを知らない(?)人が多く、曲が終わっていないのにフライング拍手をする場面が目につき、ちょっとハラハラしましたが、出演者は手ごたえを感じたのかカーテンコールでの表情は皆さま晴れやか^^。
特にスザンナ・フィリップスがひとりずつのカーテンコール時に、大きな拍手をもらって、掃けるときにカーテンの陰に入るや否や小さくガッツポーズを取っていたのが微笑ましかったです

最後に、健康上の理由でキャンセルになったジェームス・レヴァインの代わりに指揮者を務めたファビオ・ルイジの正確で緻密な解釈には、さすがの安定感を感じました。オケも特に後半は良かったです




宝塚星組「ノバ・ボサ・ノバ」東京Aパターン

2011-06-08 12:06:49 | TAKARAZUKA
「Nova Bossa Nova」東京公演順調に始まりましたね!

6月3日の初日に大感動しましたが、昨日、6月7日(火)18:30からの公演は、今回最高のSS席。
6列目センターでの観劇は大迫力。

東京公演、役替りはこのような日程になっているのですが・・・

A.(6/3~10) 夢乃聖夏オ―ロ、真風マール、紅メール夫人
B.6/11~24) 真風涼帆オ―ロ、紅マール、夢乃メール
C.6/25~7/3) 紅ゆずるオ―ロ、夢乃マール、真風メール

ちなみに、同じ日程で地味に(?)クラブ・バ―バの歌姫、マダム・ガードにも星の歌姫3名が役替りをします。
A.毬乃 ゆい(6/3~10)、B.音花 ゆり(6/11~24)、C.花愛 瑞穂(6/25~7/3)

それにプラス、中日公演も行くつもりなのですが、これは、バウホール主演のため、真風くんが抜けるので、
マール役を 壱城あずささんと美弥るりかさんが役変わり。これは今、美弥さんの本役のボールソとの交代になります。

9/17(土)~9/20(火) 紅オ―ロ、 壱城マール、 夢乃メール夫人、美弥ボールソ、音花マダムガ―ド
9/22(木)~9/25(日) 夢乃オ―ロ、美弥マール、紅メール夫人、 壱城ボールソ、 毬乃マダムガ―ド

うーん、わたくしが観に行くつもりなのは美弥マールなので、オ―ロとメール夫人は今回のAプロと同じになる、ということですね^^
熱いオ―ロ、ファンキーなメール夫人にはもう一度会える、ということで。
でも真風マールにはこれでさようなら・・・と、役変わりで観ると、気持ちが忙しいです^^;

以下はネタばれありのあらすじです。

最初と最後は砂浜・・・
目覚め、そして余所からのバカンス客、メール夫人とエストレ―ラの登場から始まり、
義賊のソール(子分はみなしごボーロ)と銀行強盗オ―ロ(子分はスリのボールソ)の対決。
最初は銀行強盗の場面で、キザり合い、人々に分け前を与えるソールの勝ち、という感じ。
そしてエストレ―ラのダイヤのネックレスを巡るばかし合い・・・。
これには、まずタンゴ・クラブでのオ―ロのお色気攻撃(エストレ―ラをエスコートしつつ、ネックレスを狙う)とボールソの素早い身のこなしで、まずはオ―ロ組の手に。
それが女だけのクラブ・バ―バのマダムXの手に渡ったことが分かって、女装で潜入する二人のこれまた対決。
ここで奪い返したソール、その時には恋仲になっていたエストレ―ラの首につけてあげます。
同時進行で、もう一つのカップルが・・・。
地元の若者、物売りのマールとブリーザは相思相愛、婚約中です。
タンゴ・クラブの争いで倒れたソールを運ぶ助けをボーロに求められて、マールはブリーザにちょっと行ってくるよ、と。
そこに、ネックレスを手に逃走中のオ―ロ通りかかり、警官隊の目をやり過ごすためにブリーザにキス。
そんな強引なオ―ロに惹かれてしまうブリーザ。ブリーザの野生的な美しさに惹かれるオーロ。
祭りの夜、華やかなパレード、妖しいクラブ、などなど、怒濤のレビューのあと、
踊る人々の群れにブリーザを捜すマールの姿が現れます。
オ―ロとマールの間で引き裂かれるブリーザ。嫉妬に狂う男二人。
祭りの夜に悲劇がおこります。
一方、ソールとエストレ―ラは砂浜で眠りこんでいます。
目覚めて、帰らなくてはと別れを切り出すエストレ―ラ。迎えに来た母親、メール夫人はそっと上着を肩にかけてあげますが、二人の邪魔をしないよう、そっと離れてボーロと海を眺めています。
生きる場所の違う二人、惹かれあう心はそのままに・・・の切ない別れ。
ネックレスをメール夫人に返すソール。

袖に掃けたはずのメール夫人・・・からボールソがネックレスを奪った?
ボールソが勢いよく飛び出し、彼を追うメール夫人・・・ですがその先には・・・
ずっと狂言回し的に舞台を眺めてきたシスター・マーマとルーア神父の募金箱が・・・

ボーロとソールだけが静かな浜辺に残されました。
あ、あれを見なよ、さぁ、行って来い。
札束を渡されたボーロの向かった方に、連行中のマールの姿が。警官二人に札束を渡すボーロ。
手錠が外され、生きていること自由の身になったことを歓び感謝する踊りを踊るマール。

最後はあの手をはたきながら次々と人々が現れ、歌うソールを中心に、全員で頭と腕を上下に振りながらジャンプを繰り返す、単純で熱狂的な怒濤のダンスに・・・。

これは、原作の力、が凄いですね。
それは、その配役に魅せる力のあるスターが入る、という余地を残していて、そこを埋められるスターがおさまることで
グッと光を放つ作品かと。

今観ると、銀行強盗の場面で、非常線のロープの向こうで人々が見守る中を金の袋を子分に背負わせた強盗二人がキザりあったり・・・のシーンとか、ネックレスをエストレ―ラから、オ―ロ、オ―ロからソール、ソールからボールソ、と次々に奪っていく流れ・・・などのテンポは悠長すぎるように感じないでもありませんが、そこはそれぞれのスターの見せ場、ということで問題解決。
その表情、間合いを楽しむための間、と思うとその間は良い緊張を高めこそすれ、決して流れを滞らせるものにはなっていない、と思われますし。

踊りやパワーに組子の勢いを感じるとともに、ソール役者、柚希礼音の圧倒的な存在感に感動。
タンゴ・クラブに繰り出そう、とセンターでサッと脚をあげて踊り出すのデスが、耳の横に上がったその脚と踊りだそうと力をためたボディの作るスペースの大きさと安定感にタメ息が・・・。
ソールって歌が多くて踊りが少ない役という、イメージがありましたが、魅せますね。ちえちゃん(柚希) は。

続きます^^
続きです^^ポイント毎に・・・

■ 恋するソール
今回のノバボサで感じたのは、雪の映像では割合とさらりと描かれていた感のあるソールとエストレ―ラの恋模様が、メインと言って良いほど存在感があった、ということ。
これはちえねねコンビの持ち味と、ねねちゃんの上流階級のお嬢さんにしてはやや奔放な役作りによるのかしら。
オ―ロに誘われて、大人のエスコートにドキドキしてるときにはまだまだお嬢ちゃまでしたが、彼の興味が自分になくてネックレスにあったとわかって一度プチ失恋。その後、車で浜辺にママと到着した時に眼と眼があってちょっと気になっていたソールから誘われてタンゴを踊るシーンでは、すっかり相思相愛でバカンスの恋を満喫。

そう、この踊るシーン、白いロングドレスなのですが、夢咲ねね仕様で深いスリットが入っていて美脚を堪能できる演出に変更
この場面、下手にエストレ―ラ&ソール、上手にブリーザ&オ―ロがカップルでそれぞれ踊っているのですが、エストレ―ラ&ソールは洗練の中に燃え上がる恋が、ブリーザ&オ―ロはもともと血が熱い二人がそのパッションを全開にしている感じが素晴らしくて、一度に両方観なくては・・と忙しい場面です。
多分、役変わりの3人の中で一番踊れるのが夢乃さんなので、このバージョンならではの見どころかも?

そんなラブラブ度が高い二人だからこそ、浜辺の別れのシーンの切なさが沁みます。
目覚めたときのエストレ―ラが淡いピンクのパンツスーツ姿なのに一瞬アレ?と思いましたが、女子度の高い夢咲さんゆえ、横たわる姿などが生々しくならないバランス、ということなのでしょうね。
1人残された柚希さんソールの「エストレ―ラ!」の叫びが、低くてちょっと鼻にかかったハスキ―な声の甘さも手伝って大変切なかったです。

■ 夢乃オ―ロ
えーと、うさんくさいです、登場から^^;いい意味で。
普段から一生懸命で熱くて、真っすぐで、というキャラが持ち味の夢乃聖夏ちゃん。
今回それに「ワルイ」が加わり、味わい深いオ―ロを作り上げてくれました。
真風くんのマールがおっとり青年なので、余計に生粋ラティーナのブリーザれみちゃんが、オ―ロにうっかりなびいてしまった気持ちが、わかります^^;

■ 紅メール夫人
この人のスッとした美しさと、裏腹なこてこてのコメディセンスがこれほど活きる役もそうないのでは?
ムラではちょっとやりすぎ・・・の声も聞こえてきましたが、東京公演で上手く調整してきてくれたのか、やりすぎではありますが、それが不快の域には達せず、充分にその芸を楽しませていただきました。
登場時からソールに色眼を使って「もう、ママったら!」と娘にたしなめられ、クラブでオ―ロを見つけると思わずガン見(笑)
ボールソに対してはもう非道なまでに(笑)振りまわします^^;
酔っぱらって「べサメ・ムーチョ」を歌う場面、ごみ箱から登場、靴を抜いてマイクに見立てて・・・の歌の間合いが絶妙。
歌いながらワンフレーズ口パクになるところで場内爆笑。
でも、最後、エストレ―ラを迎えに行くところでは、しっとりと、人生の先輩なママでした。
上品な外見とハチャメチャな行動のGAPが実に魅力的だったと思います

■ 真風マール
この人の存在感はホントに素晴らしいですね。
下級生ながらも新公の主演を何度も経験してきた、未来のTOP候補。
実際にタッパもありますが、小顔なモデル体型ではなく、全てが大きな舞台人タイプ。
歌舞伎をやっても似合いそうなヴィジュアルです。(ほめてます)
で、どこかおっとりと落ち着いた風情が、個性なのだなぁと。「水さん2世」とその外見で注目されてきた彼女ですが、最近、持ち味がはっきりと出てきた気がします。
マールとしては、ブリーザ一筋の好青年。
ボーロに助けを求められて、快諾するも、ブリーザにちょっと行ってくるね、と目で語るところなど、いかにも頼まれごとをされそうないい人。
・・・で、カーニバルの人ごみの中、必死でブリーザを捜して、見つけたときにはオ―ロと一緒、という場面にキレるところ、大げさな演技なしで、内心のショック、真面目ゆえに慣れないことして悲劇を生む・・・という展開がスムースでした。
最後の解放のダンスはまだ向上の余地はありますが、苦手とされてきた歌も随分上達して(本人比)、バウ主演も張れる器になってきたなと頼もしい限りです^^

■ れみブリーザ
正直、配役発表で、雪組のときはとうこさん、コムちゃんと美しき男役が演じてきたこの大地の女、悲劇のヒロインブリーザを白華れみちゃんが全日通しで・・・と見たときには、役変わりじゃないんだ、なぁんだ、という感じだったのですが^^;
いや、素晴らしい存在感です。
男役の身長分の伸びやかさ充分、黒塗りが似合う白い歯をしっかりと見せた笑顔。
細身なのに筋肉質のどこまでも力強いダンス。
で、しっかりとラテン女の香りが。
マールとカップルのときには、全開の笑顔で彼に視線釘付け、甘えてしなだれかかる様も、微笑ましいお似合いの様子。
でも、オ―ロにキスされて、パッと離れて見つめ合う間に、最初警戒していた野生動物のような表情が、次第に女の媚態に変わる様など、ゾクッとさせられました。
正直、ちょうど1年前の「リラ壁」ヒロインで凰稀さんの相手役として楚々とした薄幸のポーラを演じたときには、これほど幅と奥行きのある女優だとは夢にも思わず・・・。節穴でしたね、わたくしの眼は。
その後、「ロミオとジュリエット」の乳母で泣かせ、「愛と青春の旅立ち」のリネットでちゃっかりとした現実的な婚活娘を共感を得られるキャラとして見せ、「メイちゃんの執事」では現実離れしたルチア様をけれん味たっぷりに演じ・・・・。
男役の2番手にも匹敵する存在感の娘2です。

■ るりかボールソ
凰稀さんが去った後の星組で、つい目が行ってしまうのは、美弥るりかさん。
今回、オ―ロの子分のボールソか・・・メール夫人に絡まれる役ね、とあまり期待もしていなかったのですが、流石の存在感。ネックレスを奪取する流れで、ソールから脅し取る場面の高飛車な顔、風のような身のこなし、メール夫人に絡まれるときの困り顔・・・
そうそう、ちょっとルキーニっぽい、白黒ボ-ダ―のインナーに黒のスーツ、黄色のポケットチーフの衣装が、彼女のシャープな持ち味と黒塗りに映えていましたv
あ、結局ファン目線で何も語っていませんね^^;
まぁ、いちいち何をしても可愛い、ということで・・・^^;

■ クラブ・バ―バ
女だけのクラブ、ということで、女装したソールとオ―ロが潜入する・・・というのが見どころですが、オ―ロともみんのスタイルの良さが確認できる衣装の他、マダムXを演じた万里柚美副組長の変わらぬ美しさと妖艶さも魅力。
紫の蝶の歌姫3人、白妙なつ、優香りこ、妃海風の珍しいメンバーが美声でこの妖しい場面を盛り上げていました^^

■ 怒涛のボーアス・カルナバル
ルーア神父、メール夫人、ラービオスとボールソ、マール、ビーナス、エストレ―ラが次々と羽を背負ったカーニバル衣装でセンターを取ります。
それに合わせてバックも中世の美女、真珠の精、人魚、ドラゴン、サンバダンサーズと入れ替わり立ち替わり、現れて・・という怒濤の中詰が圧巻。
ここではショッキングピンクのビキニ姿で登場し、筋肉質のボディで素晴らしいサンバを踊る裸足のビーナス、ダンサー礼真琴くんに注目です。激しい踊りで目をさらった後は180度開脚で高々とリフトされて掃けますが、礼くんって幕開けの歌いだしでも美声を聞かせてくれましたが、下級生離れした実力派ですね。
お顔は可愛らしいのですが、全てにそつなく、かといって優等生の無味無臭でもない味をしっかりとつけてくるあたり、大物感があります

ホントに楽しいショーでした。
お芝居「めぐり会いは再び」も佳品で、可愛らしくて楽しくて・・・
なのですが、それは追々、後日の観劇後にでも語りたいと思います


宝塚星組 「ノバ・ボサ・ノバ」初日

2011-06-05 07:05:07 | TAKARAZUKA
6月3日(金)15:30~
東京宝塚劇場にて

行って参りました!チケット全日程完売!の話題作、伝説のショー、「ノバ・ボサ・ノバ」、東京初日!
作: 鴨川清作、 演出:藤井大介
初日だけあって藤井先生、お芝居の方の小柳先生、劇団の小林公一氏、1971年初演時のソール、真帆志ぶきさん、翌年の再演時のソール郷ちぐささんなど、錚々たる方々も観劇されていたので、生徒さんたちはかなり緊張してらしたのではないでしょうか。




宝塚大劇場で主要3役を3人の2番手候補が役変わりで・・・という趣向もまたファン心をくすぐり、伸び盛りの3人がまた、その期待に応えて役作りに工夫を凝らして、3パターン観なくては!という気持ちになってしまうという・・・。
柚希さんファンの友人たちは、ムラに遠征したら、やはり3パターン観たくなり、結局リピして制覇。
宝塚と東京では、組み合わせを変えてきているので、コアなファンは遠征したくなりますよね^^
贔屓の元2番手が宙組に異動し、星組愛はそれほどでもなくなったかな?というわたくしでさえ、取りあえず東京の3パターンは観ますし、博多座には行かないものの、最後の中日劇場で、バウ主演のために抜けた真風くんの代わりにマール役で壱城あずさちゃんと美弥るりかちゃんが役変わり(ここでも役変わり・・・!)で入るというあおりについ、みやるりちゃんのマールと色めき立ってしまった、わたくしです^^;
ホント、商売上手です。劇団。踊らされてます。ファンは。

そんな場外の熱気を吸い込んでますます膨れ上がる、舞台上の高気圧軍団(笑)

いや~・・・
DVDで雪組バージョン(間違いなく名作)を何度も観ていたのとはまた違った、今の星組ならでは、の華やかさがこれでもか!と舞台から押し寄せる、パワフルなショーでした。

冒頭、八百屋舞台で、砂浜が斜めって奥行きを見せており、
そこに数組のカップルがそぞろ歩きを楽しんでいます。歌いながら横切るのはロミジュリで象徴的な「愛」の役で抜擢された礼真琴くんと夢妃杏瑠ちゃん。舞台上のシルエットが・・・腰の位置が高い!というのが星組クォリティ。
あの名作が今!再演されているのだな・・・とトキメキました。
センターで眠る男を音羽みのりちゃんの少年ボーロが起こします。
上体を起こした男にスポットが。白と水色の衣装に黒塗りメイクが爽やかな黒塗りラテン男ソール。柚希 礼音さん。
パッとそこから光が発せられるような圧倒的な存在感。
歌い出すのですが、独得な個性を持つ声の迫力がどこまでも広がる感じで、一気に引き込まれました。

1971年が初演、その後、1976年安奈淳さん率いる花組、1999年轟悠さんの雪、真琴つばささんの月組でも再演されていて、轟さんソール、香寿たつきさんオ―ロ、マールとブリーザとメール夫人を安蘭けいさん、成瀬こうきさん、朝海ひかるさんが役変わりで演じた雪組バージョンがDVDになっているのを何度か観て、古さを感じさせない、作品としての完成度の高さ、配役の妙、に感心して大好きだった作品です。

今の、歌えて踊れるTOPスター柚希さんが中心となって、凰稀かなめさんが去って2番手が不確定な今、その座を競う3人がオ―ロ、マール、メール夫人を役変わりで・・・というのが今回の星組バージョンの趣向。

歌って踊って、のショーではあるのですが、カーニバルに浮き立つ南米の街に遊びに来た白人の令嬢エストレ―ラ(夢咲ねね)とその母親メ-ル夫人(紅ゆずる)が、一瞬の祭りの夜に恋を楽しみ、そして去っていく・・・。
というお話と、現地の若者カップルマール(真風涼帆)とブリーザ(白華れみ)が、女性を逃走の目くらましにキスをして警官の追跡をやりすごした銀行強盗オ―ロ(夢乃聖夏)と3角関係になり・・・というお話が同時に進行。
令嬢のバカンスの恋のお相手は義賊ソール。子分のボールソ(美弥るりか)はメール夫人に目をつけられ、いやいやお相手。ソールはオ―ロと張り合って・・・。

様々なエピソードをつなぐのは、冒頭、メール夫人がエストレ―ラの首につけてあげるダイヤのネックレス。
オ―ロがエストレ―ラを誘惑して盗み、それをソールが脅して奪い、ボールソがスリ取り・・・女だけの妖しいクラブ・バ―バの主人マダムX(万里柚美)が買い取り、ソールとオ―ロが奪取するため女装してクラブに潜入。ソールが手にし、エストレ―ラに返し、そして最後は・・・。
舞台上、狂言回し的に存在するのは傍観者であるルーア神父(涼紫央)とシスター・マーマ(英真なおき)、場面の繋ぎは3人のピエロ(鶴美舞夕、如月蓮、大輝真琴)。

激しい踊り、海と太陽を称えるおおらかな歌、リオのカーニバルも凌駕せんと華やかさの限りを尽くした怒濤のレビュー場面。
この作品の再演を熱望した柚希礼音くんはもちろん、今、ノリにノっている星組の力が結集し、実に観ごたえのある舞台に仕上がっていました。

初日ですので、組長 英真なおきさんととTOP男役 柚希礼音さんからの挨拶があり。
3回のカーテンコールの最後はスタンディングオベーションでした

柚希さんの声がちょっと鼻にかかっていたのが気になりました。お風邪かしら?
歌はしっかりと歌われていたので、そんなにひどくないとは思いますが。
(いつものことですが、涼さんは緊張されてか、最初の歌い出しがちょっと危うかったです^^;)
負担の大きな八百屋舞台ですし、内容的にもハードな公演ですので、1人も休演者が出ないようにお祈りします。
あ、中日公演時、故障で途中で離脱されたみっきー(天寿光希)と、大劇場公演途中で怪我でお休みしていた漣レイラくんが復帰していました^^(みっきーはお芝居のみ)

色々とツボを語りたいところですが、7日の火曜日にSS席で観劇の予定がありますので、そのあとに詳細を書きたいと思います






バーミンガム・ロイヤル・バレエ「真夏の夜の夢」

2011-06-03 06:54:30 | BALLET
英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団2011年日本公演
5月27日(金) 東京文化会館
 
「真夏の夜の夢」

音楽: フェリックス・メンデルスゾーン
振付: フレデリック・アシュトン
衣裳・装置: ピーター・ファーマー
照明: ジョン・B. リード

オベロン: セザール・モラレス
タイターニア: 吉田 都
インドからさらってきた男の子:小林 巧 (東京バレエ学校)
パック: アレクサンダー・キャンベル
ボトム: ロバート・パーカー
村人:
ジョナサン・カグイオア、キット・ホールダ-、ロリー・マッケイ、
ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン
ハーミア: アンドレア・トレディニック
ライサンダー: トム・ロジャース
ヘレナ: キャロル=アン・ミラー
デミトリアス: マシュー・ローレンス
蜘蛛の精:  アランチャ・バゼルガ
エンドウの花の精: レティシア・ロ・サルド
蛾の精: ローラ・パーキス
カラシナの精: ジャオ・レイ
妖精たち: 英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団

指揮: ポール・マーフィー
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱: 江東少年少女合唱団

◆上演時間◆

「ダフニスとクロエ」 18:30 ― 19:30

【休憩】 25分

「真夏の夜の夢」 19:55 ― 20:50



幻想的な森の中、妖精たちの住む世界。
それを統べる王、オベロンと女王タイタ―ニアが何やら可愛らしいインドからさらって来た少年をめぐって争っています。
タイタ―ニアのお小姓をオベロンが気に入ったのですが、タイタ―ニアはツンと拒絶。

オベロンは、お気に入りのいたずらな妖精パックを使って、タイタ―ニアにひと泡吹かせようと思いつきます。

このパックのアレクサンダー・キャンベルって、さっき海賊の首領を踊ったばかり・・・なのに、めまぐるしく飛び跳ねるパックを続けて踊り切るって、一体どういう体力?
と思いつつも、いや、体力的には問題ないかも・・と即納得のみっちりと弾力のある筋肉が張り詰めた感じの体型と音もなく弾み続けるそのパのパワーを秘めた軽やかさは、比類なきものがあります。
ジャンプ、ピルエット、シェネ・・・どれをとっても質が高い。ピルエット6回転を眉ひとつ動かさずにやってのけ、超高速シェネで舞台を端から端まで横切った時には息を呑みました。
一般的なパックのイメージ・・・いたずらっ子のような少年ぽさ、ほっそりとした妖精のような肢体・・とは全く違った、どうみても髭の濃そうな(笑)中年男性で大変マッチョな彼ですが、演技とパの確かさで、こういうパックも面白いかも・・と見ているうちに納得させられてしまいました^^
彼はそのうち、どこかに移籍してしまうかも^^;

一方森に迷い込んだ2カップル。愛し合うハ―ミアとライサンダ―は、紫のキチンとしたスーツに帽子もコーディネートしたドレス姿。時を忘れてロマンチックな散歩を楽しみ、一休み。ストールを敷いて寄り添おうとするライサンダ―を、優しく戒め、反対側を示すハ―ミア。結婚するまでは・・・という感じで、互いに投げキスをして眠ります。
ヘレナ役のキャロル・アン・ミラ―はこの役が当たり役、というのが納得の火の玉娘。金髪で薄口の顔立ちながら、情熱的にデミトリアスを追いかけますが彼は全く気がないそぶりで彼女から逃げ惑い・・・。ヘレナの淡い桃色のシフォンのドレスが行動と裏腹にロマンティックでかわいい^^
デミトリアス役のマシュー・ローレンス、見覚えが・・と思ったら、もとオーストラリアバレエ団のプリンシパル。移籍したのですね。そつのない踊り。演技も上手い。
この二人も疲れて木にもたれて眠ります。

そこにご機嫌な学生集団。ふざけたボトムが馬の首をかぶせられたのを見た皆は、おばけかと思って逃げ去ります。
そこに惚れ薬の香りを持つ花を手にしたパック登場。
木の室の寝所で休むタイタ―ニアに、そして恋人たちの男性に、香りを振りかけます。目覚めて最初に観た人に夢中になる・・・という寸法。

ボトムのロバート・パーカーが上手くて・・・トウシューズでロバの蹄での動きを表す様や、戸惑いながらも喜ぶとことなど、マスクをつけているのに踊りで表情が伝わります。彼もプリンシパル。結構層が厚いかも、バーミンガム。

とはいえ、吉田都さんはまるで別格・・・。
ボトムを見て目がキラキラ・・・なんて可愛くて素敵な方!(ロバですが^^;)
可愛らしい笑顔の頬に艶があって、目がハートになっていて・・・。踊りの軽やかさは絶品。
おつきの4人の妖精を呼びますが、呼ばれた4人はあまりに思いがけない状況にそれぞれ驚いたり眉をひそめたりこっそり吹き出したり・・・で、陰でクスクス笑いながらも澄ましてお世話をする当たり、皆芝居心がありますね。
赤ずきんちゃんで可愛かったジャオ・レイが妖精の1人で入っていましたが、この妖精たち、一人ずつに役名があるので、パ・ド・カトルとかソロとか、目立った踊りが入るのかな?と思ったら、ただ、妖精たちの中で目立つポジ、というだけ、でした^^;



ロバに夢中のタイタ―ニアの狂態を見て溜飲を下げたオベロン。と いたずらが成功して満足のパック。

一方目覚めた恋人たちは・・・。ライサンダ―が目にしたのはヘレナ。起こされていきなり手にキス、愛の告白をライサンダーから受けて????なヘレナ。ハ―ミアの恋人からの突然のアタックに戸惑う彼女。更に騒ぎに目覚めたデミトリアスもヘレナをみて恋に落ち・・・二人に追いかけられて取りあえずこの変な状況から逃げようとするヘレナを追いかける二人。
目覚めると・・・あら、ライサンダ―がいないわ?
彼を捜したハ―ミアが目にしたのは二人の男がヘレナを挟んで争う姿。
ヘレナ、あなたったら、この泥棒猫!!何よ!知らないわよ!言いがかりつけないで!!と今度は女性通しのバトルが・・・。

パック・・・。お前、何かやらかしおったか。
オベロン様、申し訳ありません・・・と眼と眼で会話。

眠り薬をまいて、上手と下手で正しいカップルに戻す魔法をかけるパック。でも、デミトリアスだけはそのままに^^
このとき、眠くなって朦朧としている恋人たちを、正しい場所で眠らせるためにパントマイムで操るパックの動きが楽しい♪

目覚めたハ―ミアとライサンダ―、ヘレナとデミトリアスがお互いを見つめ、そして4人で仲良く踊りながら掃けていきます。
このときの音楽が有名な「結婚行進曲」。

一方、タイタ―ニアの寝所からボトムは追い出されます。
何か、変な夢を見たみたいなの・・・不思議そうなタイタ―ニアに侍女である4人の妖精がクスッと笑いあう・・・。
オベロンの挨拶に、良かったらこの子を・・・わたくしも意地を張っておりましたわ・・と和解。

仲直りした森の王と女王のグラン・パ・ド・ドゥ。
アシュトンの振り付けは、ほのぼのとした作風とは裏腹に超・アクロバティック。
完全に前屈した姿勢からホールドされた脇を潜り抜けつつアラベスク・・・という髪飾りがすっかり落ちてしまっても不思議はないような振りが連続しても、顔色一つ変えずに優雅に笑顔で、そして、どんなパのときにも音楽とピッタリ寄り添う都さんの踊りの優雅さ正確さは素晴らしいですね。
終演後、偶然お会いしたバレエ友達と語り合ったときに彼女が言ったのは、「都さんの踊りには せーの、がないのよ!」。
そう、どんな振りにもプレパレ―ションの力みがないんです。
なので、どんな激しい振りや難しいこともそれと気づかずに、ひたすらうっとりと音楽と踊りと作品世界に観客は漂っていられるのでしょうね・・・
セザール・モラレスはちょっと東洋系かと想わせる(違いますが)シャープでエキゾチックな顔立ちと長身でヴィジュアル的にはオベロンに合っていましたが、踊りはやや詰めが甘いかな?

とはいえ、美術、主役の輝き、全体のキャストの演技力などが相まって、しばし、パンダのいる上野の森から、妖精が笑いさざめくイングランドの深い森へと誘われ、心を遊ばせたひととき、でした

この日はお昼は夏日、夜は篠突く雨・・・という寒暖差の激しい日でした。。
ダンサーの皆さま、体調を崩されませぬように・・