高齢者の○○人にひとりが認知症であるという話をよく耳にします。
現実に私の婚家の父が認知症にかかっています。母が献身的に尽くしていますが、本当に大変です。
父と母は大変仲のいい夫婦です。といっても、私より一世代前の夫婦ですから、妻が夫を支え、立てるというスタンスの夫婦です。
しかしながら、父は母を世界一周船の旅に連れていったり、車で北海道を一周旅行したりと、母にたくさんの経験と思い出をプレゼントしたように思います。
そして私たち息子夫婦には、「お母さんだけは頼むな」と、母を思いやることも忘れません。いつかの宴会では、「妻を娶らば才長けて・・」と与謝野鉄幹の歌を朗々と歌いましたからね~。頭が下がりました。
ところが、その父が認知症にかかり、あろうことか、あれほど大事にしていた母を忘れてしまったのです。
夜になると、「お帰りください」と、母に言うのです。漫才みたいな話ですが、「私には息子と娘があり、あなたのような人とここで寝室を同じにする訳にはいかない」と、詰め寄るのです。
大竹しのぶさんを主演にして、「後妻業の女」という映画がありましたが、あれの真逆を行くすごさです。
でも、忘れられてしまった母は大変です。家を追い出されるかのごとく、にらまれてしまうのです。が、次の日の朝になると、「おはよう」と、何事もなかったかのような、父に戻るのらしいです。ただ、認知症であるので、認知に問題があることは変わらないのですが・・・。
つくづくと、人間の「知性」「理性」は、記憶力によるものだと実感します。認知症は本当に恐ろしい病気です。