最初の一冊~松村比呂美

自著の宣伝のために始めたブログですが、今では、風景や食べ物の写真が主になっています。

『あおぞら町 春子さんの冒険と推理』 柴田よしき(著)

2016-09-09 | 小説
柴田よしきさんの新刊、『あおぞら町 春子さんの冒険と推理』(原書房)を読了しました。
プロ野球の二軍で頑張っている拓郎と、拓郎を支える新米主婦の春子さん。ふたりの日常に迷い込む謎は、とても魅力的です。
どうして、白い花を捨てるの?
毎回、同じ席で野球観戦している黒い服の女性は、なぜいつも無表情なの?
春子さんに向かって「まきゅう」とつぶいた少女。どういう意味だろう?
考えるのが好きな春子さんは、その理由に辿り着きますが……。


『あおぞら町 春子さんの冒険と推理』は、アンソロジー『捨てる』(文藝春秋)に収録されている「花子さんと、捨てられた白い花の冒険」を土台に、新シリーズとして連作集にしたものだそうです。
収録されているのは3編。
「春子さんと、捨てられた白い花の冒険」主人公の名前が春子さんに変更されていますが、その理由もあとがきに書かれていましたよ。
「陽平くんと、無表情なファンの冒険」、「有季さんと、消える魔球の冒険」は書き下ろしです。

プロ野球選手になれるのは、選び抜かれた、ごくわずかな人たち。
そんな人たちでさえ、現役で活躍できるのは短い年数で、活躍することができずに去ることになった選手もたくさんいるのですね。
危うい立場で、いつ戦力外通告を受けるかわからない拓郎。
でも、スター選手となった後輩たちからも慕われていて、生き方がかっこいいです。
知らなかった、プロ野球選手の奥さんたちの大変さもわかって、謎解きと一緒に興味深く読めました。

拓郎さん、いいなぁ。春子さん、好きだなぁ。
胸に優しい空気が入っていく感じで、温かい気持ちになれました。

  
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